(2024.2.8)

 

 

 タイトルについての内容(抜粋要約、時系列)は、つぎのとおりです。

○厚労省HP

 オンライン資格確認は、マイナンバーカードのICチップまたは健康保険証の記号番号等により、オンラインで資格情報の確認ができることをいいます。

 

○経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月7日)閣議決定

 オンライン資格確認について、保険医療機関・薬局に、令和5年4月から導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカード保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す。

「全国医療情報プラットフォームの創設」「電子カルテ情報の標準化等」「診療報酬改定DX」の取組を、行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる。

 

○オンライン資格確認 強引な推進(令和4年8月5日)東京保険医協会

 令和4年7月から、オンライン請求システム(保険医療機関や薬局が、支配基金等に対して毎月の保険請求を行う際に利用する請求システム)にログインする際に「オンライン資格確認を導入されていない医療機関・薬局の皆様へ」と題したポップアップ画面が表示されるようになっている。

 主な内容は、カードリーダーの申請およびオンライン資格確認の導入を勧奨するものとなっている。さらに「オンライン資格確認の導入に関する検討状況をご回答ください」というアンケートが付いており、回答しないとオンライン請求画面に進むことができないようになっている。

 支払基金によると「オンライン資格確認等における重要な連絡事項について確実にお知らせを行うため」として、オンライン請求システムへのログインの際にポップアップ画面を表示させる機能を追加しており、また、今後も同機能を使った案内を適宜行っていくとしている(※保団連確認)。

 今回の手法は、医業経営にとって一番重要な診療報酬請求の際に、関係のないアンケートを表示し、答えなければ請求できないようにするものであり、重大な問題がある。このような形での「案内」は中止すべきである。

 

○事務連絡(令和4年9月5日)厚生労働省保険局医療課

▽オンライン資格確認の導入の原則義務付け(令和5年4月1日施行)

 保険医療機関及び保険薬局は、患者の受給資格を確認する際、患者がマイナンバーカード健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならないこととする。(保険医療機関及び保険医療養担当規則第3条第1項及び第2項関係等)

 

○厚労省HP

 オンライン資格確認は、患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全でより良い医療を提供していくための医療DXの基盤となるものであることを踏まえ、保険医療機関・薬局に、令和5年4月からその導入を原則として義務付けることとされました。

 

○第212回国会 衆議院 本会議(令和5年12月13日)

▽議員

 マイナ保険証は、他人の情報のひもづけや医療情報の漏えい、請求の誤りなど、トラブルが相次いでいます。現在の利用率は国民全体のたった5%未満です。こうした状況で、来年秋の健康保険証の廃止方針の撤回、延期を望む声は7割を超えました。

 

○厚生労働大臣閣議後会見(令和5年12月22日)

 マイナ保険証の利用率の増加に応じた医療機関等への支援金の周知をし、それを加速化させます。そして公的医療機関や保険者に対するマイナ保険証の利用率の目標設定と、達成に向けた取組の要請など、医療機関や保険者、事業主とも連携して、利用促進の取組を積極的に行うこととしています。

 このように、厚生労働省、医療機関・薬局・保険者、さらには経済界が一丸となって、より多くの国民の皆様にマイナ保険証をご利用いただき、そのメリットを実感していただけるように、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用促進に取り組んでいく所存です。

 

○社会保障審議会医療保険部会(令和6年1月19日)資料

 国が先頭に立って、医療機関・薬局、保険者、経済界が一丸となり、より多くの国民の皆様にマイナ保険証を利用し、メリットを実感していただけるよう、あらゆる手段を通じてマイナ保険証の利用促進を行っていく。

▽マイナ保険証の利用状況・普及に向けた課題

 医療機関・薬局からの利用の後押しが特に必要

 など。

▽普及しない要因

 窓口で「保険証お持ちですか?と聞いている

 医療機関のHPでマイナカードの持参を案内していない

 など。

▽対策(医療機関・薬局)

<利用率目標の設定・インセンティブ等>

 利用率増加に応じた支援金

 診察券との一体化等への補助金

 R6改定で、利用実績に応じた評価を検討中

<窓口対応の見直し>※全医療機関等に以下の取組を要請。2月から診療報酬請求時に、取組状況をアンケート調査

 窓口での声かけを「保険証、見せてください」から「マイナンバーカード(マイナ保険証)、お持ちですか」へ切換え

 医療機関HPの外来予約等の案内において、「マイナンバーカード」の持参を記載

 マイナ保険証の利用を促すチラシ、ポスター等の院内配布、掲示等

<利用できなかった事例への対応>

 コールセンターへの情報提供に基づき、地方厚生局から事実調査

 

○医療機関を動員!?厚労省の強引なマイナ保険証推進策(令和6年1月23日)全国保険医団体連合会
 令和5年12月のマイナ保険証利用率が4.29%と8カ月連続落ち込む中で、厚労省は、1月19日医療保険部会で、マイナ保険証利用推進策を示しました。
 マイナカード、マイナ保険証は、任意取得や、任意の利用原則です。
 医療機関を動員し患者にマイナ保険証利用を促す推進策は中止すべきです。
 医療保険部会後のブリーフィングで厚労省は、2月の診療報酬請求時に、オンライン請求の回線を利用して取り組み状況の調査を実施するとしています。
 保団連は、厚労省に対して「任意のマイナ保険証の推進を行うことは、事実上強制となり問題」と指摘しました。

 厚労省担当官は「あくまで自主的なもの」「お願いレベル」と弁解しました。

 

○マイナ保険証で医療費10割請求 令和5年10月以降753件(令和6年1月31日)共同通信社

 全国保険医団体連合会は31日、マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」のトラブルに関する調査の最終結果を発表した。

 8672医療機関からの回答のうち、全体の6割に当たる5188医療機関が、令和5年10月以降、マイナ保険証を巡るトラブルを経験したと答えた。(5188医療機関のうち、83%の4300件が「健康保険証で資格確認した」と回答。保団連HPより。)

 患者に対し、本来の自己負担割合と異なって、医療費の「10割」を請求した事例が令和5年10月以降、403医療機関で少なくとも753件あったとしている。 

 

○“国家公務員 マイナ保険証の利用率向上を” 厚労相(令和6年2月6日)NHK

 国家公務員の「マイナ保険証」の利用率が4%余りにとどまっていることがわかり、厚生労働大臣は「低すぎる」として、健康保険の運営団体などを通じ、利用率を上げるよう求めていく考えを示しました。

 厚生労働省は6日にホームページで、去年11月の国家公務員の「マイナ保険証」の利用率を、健康保険を運営する各府省庁などの共済組合別に公開しました。

 それによりますと、保険証を所管する厚生労働省では4.88%、全体の平均では4.36%にとどまったことがわかりました。

 厚生労働大臣は、閣議のあと記者団に対し「低すぎる。率先して使ってもらうよう、働きかける必要性を改めて認識した」と述べました。

 そのうえで「利用促進には、医療機関からの患者への働きかけとともに、健康保険を運営する保険者による利用勧奨の取り組みが重要だ」と述べ、医療機関や保険を運営する団体に対し、目標を設定するなどして、利用率を上げるよう求めていく考えを示しました。

 

○(令和6年2月6日)までに報じられた記事より

 厚生労働省は6日、マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の国家公務員の利用率(昨年11月時点)が全体の平均で4.36%だったと発表した。

 省庁別では、マイナンバーカードを所管する総務省6.26%、マイナ保険証を所管する厚労省4.88%。財務省5.57%、内閣府5.12%、農林水産省5.45%、経済産業省5.15%、文部科学省4.71%、法務省4.48%、国土交通省4.39%、外務省3.77%、防衛省2.50%。

 今年12月の現行保険証の廃止に向け、厚生労働省はマイナ保険証の利用促進を訴えているが、足元の国家公務員の利用もおぼつかない状況となっている。

 

○厚労省が全医療機関にマイナ保険証利用アンケートを強要! (令和6年2月6日)全国保険医団体連合会

 厚労省の強引なマイナ保険証利用促進策の一環として、全医療機関に対してアンケートが実施されています。アンケートの依頼主が厚労省(支払基金)であり、回答が医療機関です。

 2月5日、医療機関に対してマイナ保険証の促進に関するアンケートが依頼されており、アンケートに回答しないと、オンライン請求画面にログインできない状態になっていることがわかりました。

 具体的には、「ログインをタップすると、ポップアップでアンケート画面が出てきて、最下部の「送信して閉じる」というボタンをタップしないと画面が消えません。」とのことです。 

 1月19日の医療保険部会後のブリーフィングにて、厚労省の保険データ企画室長がアンケート実施を説明しており、保団連からの確認に対し医療介護連携政策課は「オンライン請求システムに搭載されたポップアップアンケート機能を利用して保険請求時にアンケートを実施していくと説明していました。

 アンケートを実施することは把握していましたが、答えないとシステムにログインして請求できないやり方は、お願いの域を超えています

▽アンケート画面の表示内容

<マイナ保険証利用促進状況に係るアンケートのお願い(複数選択可)>マイナンバーカードの保険証利用の促進のための取組で実施しているものを、以下の中から全てお選びください。

□受付窓口での声かけを「保険証、見せてください」から「マイナンバーカードお持ちですか」などに切換え

□マイナ保険証のチラシ、ポスターの配布、掲示

ホームページの外来案内や院内の掲示等に「マイナンバーカード」の持参について記載

ホームページの外来・入院案内にマイナンバーカードを持参すれば限度額認定証が不要となることを記載

□上記の取組は行っていない

 

 

⇒なお、マイナ保険証の利用登録の「解除」については、「任意」の手続であるにもかかわらず、現在システム上「解除ができない仕組み」となっています。しかし国会での審議を経て、任意に解除の手続を行うことができるよう、システム改修を行うこととされています。その経緯(抜粋要約、時系列)はつぎのとおりです。

○住民のマイナカードに誤って保険証機能を登録「想定外」解除できず(令和4年9月23日)京都新聞

 住民のマイナンバーカードを誤って健康保険証として使える「マイナ保険証」に登録していたことが分かった。市は住民に謝罪した。国によると、登録は解除できないという。

 いったん登録したマイナ保険証が削除できないことに関し、厚生労働省は「削除手順を整備していない。ひも付けによる不利益がなく、こうした要望が出ると想定していなかった」と説明している。

 

○第210回国会 衆議院 総務委員会(令和4年12月6日)

▽委員

 9月23日付京都新聞には、「住民のマイナカードに誤って保険証機能を登録、想定外、解除できず」という報道がありました。

▽政府参考人

 一旦利用登録された後の取消し処理、これはできない取扱いとなってございまして、システムの仕組み上もできないこととなってございます。

 マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用は強制されるものではないということでございまして、取消し処理ができないことによる不利益は生じないものと考えてございます。

▽委員

 本人は登録しないでほしいと言っているんですから、不利益は生じています。

 

○マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会(令和5年8月8日)資料

 マイナンバーカードの健康保険証利用登録は「任意の手続」であることを踏まえ、利用登録の解除を希望する方については、資格確認書の申請を条件とした上で、任意に解除の手続を行うことができるよう、システム改修を行う。

 

○第212回国会 衆議院 総務委員会(令和5年11月7日)

▽政府参考人

 マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録につきましては、現在システム上、一度登録した後の解除ができない仕組みとなってございますけれども、国会での御指摘をいただいたことなども踏まえて検討いたしまして、マイナンバーカードの健康保険証利用登録は任意の手続であるということを踏まえまして、利用登録の解除を希望する方については任意に解除の手続を行うことができるようシステム改修を行うこととされたものでございます。

▽委員

 任意だから当たり前ですね。

 いつから解除できるんですか。

▽政府参考人

 これから必要なシステム改修のための費用を確保いたしました上で、必要な検討を行って、来年秋の保険証の廃止までには、解除を希望される方が任意に解除の手続を行っていただけるよう進めてまいりたいというふうに考えてございます。

▽委員

 なぜ最初に解除できないようなシステムを作ったのか。それには予算も使っているでしょう。そして、解除しようと思ったら新たなシステム開発が必要で、新たな予算も必要だ、こういうお答えなんですね。

 一番最初にそういうシステムを発注したのはどこなのか。そういう政策決定をやった決裁文書を出していただきたいんですけれども、お答えいただけますか。

▽政府参考人

 当時の関係資料でございますけれども、具体的に、お求めの内容を見させていただきまして、適切に対応させていただきたいと考えてございます。

 

○第212回国会 衆議院 総務委員会(令和5年11月24日)

▽委員

 今回の補正予算にマイナンバーカードの健康保険証利用の登録を解除するシステム改修予算が含まれていると聞いておりますが、その額は幾らですか。

▽政府参考人

 今般の補正予算案では、マイナ保険証の利用登録解除を可能とするシステム改修を含めまして、保険証の廃止に向けた準備のため、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた各保険者や実施機関のシステム改修経費として、資格確認書や資格情報のお知らせを交付する機能などの改修に必要な経費としまして、249億円を計上しているところでございます。

▽委員

 その中で切り分けてくれと言ったんですが、切り分けられないという答弁ですから、249億円がかかるという前提で話を進めさせていただきます。

 それでは、最初にマイナンバーカードの保険証利用登録のシステムを作ったときの額は一体幾らだったのか。平成29年度から令和3年度までの合計で、答えていただけますか。

▽政府参考人

 制度設計当初のオンライン資格確認等システムなどの開発につきましては、今お話のございました平成29年度から令和3年度にかけて実施してございまして、その総額は468億円でございます。

▽委員

 468億円です。

 先日の当委員会で、マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除任意の手続であるということを踏まえてそうする、こうおっしゃいましたね。

 そこで聞くんですけれども、では、最初にマイナンバーカードの保険証利用登録のシステムを作った時点で既に任意の制度ではなかったですか。このときは任意じゃなかったんですか

▽政府参考人

 マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録でございますが、これは当初より任意の手続として設けられてございます。

▽委員

 そうなんですよね。最初から任意の制度なんですよ。ですから当然、最初から利用登録をすることも解除することもできるようなシステムでなければおかしいですね。今明らかにしたように、470億円近いお金をかけておきながら、最初から解除の仕組みを設けていなかったがために、今回、新たに、切り分けようがないんですから、250億円の経費をかけてシステム改修をしなければならない。これは私は二重投資だと。

 最初にどういう発注がされたのか、なぜ登録はできても解除はできないというシステムを、まずは470億円もかけて作ったのかということは、説明責任を負って果たしていただきたい。

 

 

⇒マイナンバー制度の設計については、つぎの意見書(抜粋要約)などがあります。

○マイナ保険証への原則一本化方針を撤回し、現行保険証の発行存続を求める意見書(令和5年11月14日)日本弁護士連合会

 マイナ保険証への一本化を原則とするという方針は、国民皆保険制度の下、マイナンバーカードの取得を事実上強制するものであって、番号法の任意取得の原則に反するものである。

 政府の方針は、あくまでもマイナ保険証一本化への移行実現自体を維持することを第一目的としているとしか考えられず、極めて不合理である。

 現在、マイナ保険証とオンライン資格確認等システムの整備に伴い、自分の診療・投薬情報、特定健診情報等との結合が当然の前提とされており、これに同意しない手続が存在しない

 包括的連携を拒む手続が保障されていない現在のマイナ保険証のシステムは、プライバシー保障に欠ける

 患者の、自己の医療情報にかかるコントロール権をないがしろにするシステムであるといわなければならない。

 マイナンバーカードの多目的利用自体に関しても、国は、利便性を重視して、マイナポータルで閲覧できる情報をどんどん増加させている。しかし、閲覧できる情報が多くなるということは、マイナンバーカードとパスワードが第三者の手に渡れば、なりすましによりマイナポータルにアクセスされ、世帯情報、勤務先、所得に関する情報から、いつ、どこの医療機関にかかって、どのような薬を処方されたか、特定健診の結果(身長、体重、腹囲、血圧、尿検査・血液検査結果等)、出産給付情報などに至るまで、極めて広範なプライバシーに関する情報を不正閲覧されてしまうなど様々な危険に直面させられる可能性が生じる

 

○「マイナンバー制度の問題点と解決策」に関する提言(令和5年10月10日)一般社団法人情報システム学会

 マイナンバー制度の制度設計の内容に、根本的な不良がある

 現在のマイナンバー制度では、マイナンバーカードは最高保証レベルの当人確認用の所有物として使用することを前提に設計されている。言い換えると「マイナンバーカード+暗証番号」を使用すれば、様々なことが何でもできるという設計なのである。しかし、裏を返せば「マイナンバーカード+暗証番号」が悪用された時も、何でもできてしまうということでもある。

 一方で、マイナンバーカードは身元証明書として常時携行する設計にもなっている。現実世界に例えると、実印を常時携行しなさいという制度設計に近い。その際のセキュリティが4桁暗証番号だけというのは、余りに脆弱であると言わざるを得ない。

 当然、マイナンバーカードを常時携行すれば、盗難被害に遭う人が増えてしまう。マイナンバーカードは最高保証レベルの当人確認の所有物であるので、犯罪ターゲットになりやすく、マイナンバーカードを使用して利用できる情報システムが増えれば増えるほど、マイナンバーカードに関わる犯罪が増えることになるだろう。

 これは、現在のマイナンバー制度の設計者に、情報システムの運用視点と、ユーザーがどのようにしてマイナンバーカードを使用するかというユーザー視点が欠如していることから発生する問題である。

 

 

⇒一方で、つぎの議事録など(抜粋要約、時系列)があります。

○第196回国会 参議院 内閣委員会(平成30年6月14日)

▽国務大臣

 これからはデータ駆動型の社会になっていきます。様々なデータを安全な形でしっかりと集め、それを例えばリアルなデータとして物づくりの現場で活用していく、さらには、予防であったりデータヘルス、こういう世界をつくっていく、そういったことは極めて重要であると思っております。

 

○第14回経済財政諮問会議(平成30年11月20日)議事要旨

▽民間議員

 今後、健診を受けていく上で、保険証機能をマイナンバーの中に入れ込み、健診データを通年で管理することで、マイナンバーの普及にも活用してはどうか。

 

○第16回経済財政諮問会議(平成30年12月10日)議事要旨

▽民間議員

 経済・財政一体改革を推進していく上で、是非お願いしたいのがマイナンバーカードの普及である。マイナンバーカードが普及しないと、これらの改革工程も進まない。ましてや、電子政府や地方行政におけるDX、また、データヘルスや、ゆくゆくは応能負担などの全世代型社会保障の推進においては、マイナンバーカードの活用が不可欠

 

○第198回国会 参議院 予算委員会(平成31年3月7日)

▽国務大臣

 日本独自の動きではありますが、民間においても既に個人データの保護を図りつつ利活用を促進するための取組がもうスタートしています。例えば、情報銀行や情報取引市場は、本人が自分の情報をコントロールすることを可能としながらもデータ流通の促進を図る、これは日本初の新しいモデルだと思います。

 

○第198回国会 参議院 経済産業委員会(平成31年3月14日)

▽政府参考人

 民間のビジネスということでございますけれども、個人からパーソナルデータを預かって、その当該個人の関与の下に第三者へ提供することを可能にする情報銀行などの取組が既に進んでおります。

 こうした民間ベースの動向ですとか、あるいは海外の動向も参考にしながら、データの移転あるいは開放のルールの在り方について今後検討していくことにしております。

 

○第2回経済財政諮問会議(令和元年5月31日)議事要旨

▽民間議員

 個々人が生まれてから学校、職場に至るまで健診・検診情報の全てを2022年度までに電子化し、蓄積を推進するとともに、予防等に活用すべき。学校などは、デジタルデータになっていないところも多く、これを早くデジタルデータにするということが必要。また、このようなデータを蓄積できるのは世界でも日本以外になく、そういった意味で、大変な飛躍ができる大きなチャンスでもある。マイナポータルを活用するPHRとの関係を含めて対応を整理し、本年末までに工程化していただきたい。

 さらに、6月を目途に立ち上げることを予定しているPHR検討会において、しっかりと匿名化したデータをオープンにして、予防等に活用できることを含め、是非、検討を進めていただきたい。

 

○第8回経済財政諮問会議(令和2年5月29日)議事要旨

▽民間議員

 まず、マイナンバーカードの普及が重要であり、しっかりと国民に広報するとともに、カード所持のインセンティブを高めるため、マイナンバーカードと保険証の完全一体化について完了年度を決めてしっかりと進めていただきたい。

 

○第204回国会 参議院 本会議(令和3年4月14日)

▽国務大臣

 データは新たな価値を生むものであり、個人情報を含むデータについても、データガバナンスの確立を図りつつ活用していくことが重要です。

 民間の取組である情報銀行は、個人の同意の下、パーソナルデータを預かりデータを活用する我が国発の仕組みであり、データの提供履歴を本人が確認することが可能となっています。

 

○成長戦略フォローアップ(令和3年6月18日)首相官邸HP

 デジタル社会に不可欠なデータの利活用を促進し、データ流通量の増加を図るため、情報銀行によるデータの加工・仲介・分析機能の強化に向けた環境整備を2021年度に行い、その成果を踏まえて、2022年度中に情報銀行と自治体・地域事業者とのデータ連携による地域活性化や情報銀行をハブとしたデータポータビリティの実現に向けた検討を行い、データ連携に係る要件や仕様を取りまとめるとともに、必要な認定指針の見直しを行う。

 

○知的財産推進計画2021(令和3年7月13日)知的財産戦略本部

 社会のデジタル化に伴いデータは智恵・価値・競争力の源泉となり、欧州や米国を始め諸外国はデジタル社会においてデータが国の豊かさや国際競争力の基盤であると捉え、新たにデータ戦略を策定しこれを強力に推進している。

 21世紀の最重要知財となったデータは、流通し、利活用されて初めて情報財として価値を発揮し、財産価値を高めるものであるため、データ流通・利活用を推進するための環境整備は、知財戦略としても喫緊の課題である。

 

○第208回国会 参議院 文教科学委員会(令和4年3月8日)

▽国務大臣

 現在、政府では、生涯にわたる個人健康情報マイナポータルを用いて、電子記録として本人や家族が正確にこの把握を活用するための仕組みでございますPHRの構築を進めているところでございます。

 このような方針の下、既に特定健診や乳幼児健診の情報については本人や家族が閲覧できる仕組みが整備されておりますが、今年度からは、個人情報にも配慮して、学校健診診断についても仕組みの構築に向けて実証事業に着手しているところでありまして、来年度予算においても関係の経費を計上いたしているところでございます。

 

○第208回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和4年4月6日)

▽国務大臣

 保健医療分野におけるデータの利活用は非常に重要な課題であると考えています。

 厚生労働省では、人々が自身の健康医療情報を日常生活の改善につなげるPHRなど、データヘルス改革として保健医療分野におけるデータの利活用を推進してきているところであります。

 引き続き、官民におけるデータ利活用の環境整備を進めてまいりたいと思います。

 

○第210回国会 衆議院 予算委員会(令和4年10月18日)

▽岸田内閣総理大臣

 国民の皆様にマイナンバーカードで受診していただくことで、健康、医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能になるなど、カードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあると思っております。そして、こうしたメリットをより多くの国民、関係者の皆様に早くお届けできるよう、カードと健康保険証の一体化を進めるため、令和6年秋の健康保険証の廃止を目指すことといたしました。

 

○第211回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会(令和5年3月14日)

▽国務大臣

 昨年12月策定のデジタル田園都市国家構想総合戦略では、医療全般にわたる情報について共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、こういった医療・介護分野でのDXに関する具体的施策を位置づけたところであります。

 

○情報銀行で病歴や健診結果も 総務省会議、活用認める(令和5年3月15日)日本経済新聞

 総務省は15日、個人の情報を預かり企業に提供する「情報銀行」で扱える健康・医療分野のデータを拡大する指針案を示した。病歴や投薬記録、健康診断結果など、個人の健康に関わる機微なデータの収集を可能にする。用途は健康サービスのように個人に明確なメリットがあったり、公益性があったりする事業に限定する方針だ。

 情報銀行では現在、健康・医療分野で扱えるデータは体重や血圧、心拍数、酸素飽和度などに限られている。

 病歴や投薬記録、健康診断結果といった機微なデータを解禁することで、活用の幅は広がる

 健康・医療情報が流出した場合、悪用されれば個人に大きな損害が生じる恐れがある。総務省の有識者会議では利用が無制限に広がらないよう、情報の用途に制限を設けるかどうかや、対象とする情報の範囲をどう定めるかについて慎重に議論してきた。

 

○第211回国会 衆議院 本会議(令和5年3月16日)

▽国務大臣

 医療データの利活用についてお尋ねがありました。

 電子カルテ情報を含む保健医療情報については、個人のデータを自ら一元的に把握できるようになることで国民の更なる健康増進に寄与すること、データの二次利用による創薬が可能になることなどを目指して、全国医療情報プラットフォームの創設に向けた検討を進めているところであります。

 

○第211回国会 参議院 内閣委員会(令和5年5月16日)

▽委員

 いわゆる次世代医療基盤法改正案について質問に入らせていただきます。

▽政府参考人

 制度の見直しに向けたワーキンググループにおきましては、現行の匿名加工医療情報では、希少疾患についての研究、データに基づく精緻な研究、あるいは薬事申請のためのデータとしての活用等が難しいとの課題が指摘されたところでございます。これらの課題が匿名加工医療情報の利活用が必ずしも十分に進んでこなかった理由であると考えております。

 今回の改正におきましては、ほかの情報と照合しない限り個人を特定できないように加工いたしました仮名加工医療情報を利用できる仕組みを創設することとしております。

▽委員

 情報をより生の形で提供することができるので、使い勝手が良いということだと思いますが、新たな制度創設の趣旨をいま一度お聞かせ願います。

▽政府参考人

 仮名加工医療情報につきましては、匿名加工医療情報と比較した場合に、ほかの情報と照合することによりまして個人を特定することが可能な場合があるということで、悪意のある利用者がほかの情報と照合することで本人を特定し、権利利益の侵害を行うおそれがあることが否定できません

 こういうことで、改正案におきましては、仮名加工医療情報を利用する方、利用事業者につきましても、主務大臣が安全管理措置等を審査し、認定を行うとともに、本人を特定しようとする行為、いわゆる再識別の行為を禁止し、それから不正な行為を行った際の罰則を設ける、こういったことによりまして患者本人の権利利益が適切に図られる仕組みを構築したものでございます。

▽委員

 昨年、本人に通知されていない約9万5000名の方の医療情報が、自分が知らないうちに匿名加工されて第三者に提供される事態がありました。しかも、当該事業者は6月に事態発生の可能性を認識していたにもかかわらず、政府への報告は9月と大幅に遅れたと。

 この法律は医療分野の研究開発に資するために医療情報等の利活用の枠組みを定めるものですが、利活用の大前提となる国民の個人情報、医療情報についての安心、安全が確保されていない中で、いたずらに医療情報等について利活用を推進しようとすべきではないということを指摘して終わります。

▽委員 

 医療分野の研究開発によって国民の健康増進が図られ、難病の治療法確立などの技術進歩がもたらされる可能性を否定はいたしません。ただ、そのために、生命、身体に関する極めて機微な個人情報である医療情報が保護されないリスクを放置することは許されません。

 国が医療情報を守り抜いてくれるという信頼感が醸成できていない中で、医療ビジネスの発展のみに焦点を当て、利益追求を優先する本法律案には反対します。

 

○(令和5年5月17日)次世代医療基盤法の一部を改正する法律が成立。

 

○医療DXの推進に関する工程表(令和5年6月2日)医療DX推進本部決定

 民間事業者との連携も図りつつ、保健医療データの二次利用により、創薬、治験等の医薬産業やヘルスケア産業の振興に資することが可能となり、結果として、国民の健康寿命の延伸に貢献する。

 まずは、2023年4月に、保険医療機関・薬局にオンライン資格確認等システムの導入を原則義務化するとともに、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を加速し、2024年秋に健康保険証を廃止する。こうした取組を通じて、医療等の情報を共有する全国的な基盤を構築する。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認は、医療DXの基盤である。

 誕生から現在までの生涯にわたる保健・医療・介護の情報を PHRとして自分自身で一元的に把握可能となり、個人の健康増進に寄与する。またその際に、ライフログデータ(個人の生活や活動をデジタル記録したデータ)の標準化等の環境整備が進むことにより、こうしたライフログデータ等の活用が可能になれば、疾病の予防などにもつながる。

 オンライン資格確認等システムを拡充し、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情報プラットフォーム」を構築する。

 全国医療情報プラットフォームにおいて共有される医療情報の二次利用については、そのデータ提供の方針、信頼性の確保のあり方、連結の方法、審査の体制、法制上ありうる課題その他医療情報の二次活用にあたり必要となる論点について整理し、幅広く検討するため、2023年度中に検討体制を構築する。

 

○知的財産推進計画2023(令和5年6月9日)知的財産戦略本部

 データは智恵・価値・競争力の源泉であるとともに、課題先進国である日本の社会課題を解決する切り札と位置付けられる。

 

○経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日)閣議決定

 マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大や正確なデータ登録の取組を進め、2024年秋に健康保険証を廃止する。

 レセプト・特定健診情報等に加え、介護保険、母子保健、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めるとともに、PHRとして本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みを整備する。

 その他、新しい医療技術の開発や創薬のための医療情報の二次利活用、「診療報酬改定DX」による医療機関等の間接コスト等の軽減を進める。

 

○岸田内閣総理大臣所信表明演説(令和5年10月23日)

「経済、経済、経済」、私は、何よりも経済に重点を置いていきます。

 

 

⇒憲法についての内容ですが、「個人の尊重」「全体的利益」などについて、つぎの宣言があります。

○立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言(平成17年11月11日)日本弁護士連合会(抜粋要約)

個人の尊重」とは、人間社会における価値の根源が個人にあるとし、何にも勝って個人を尊重しようとするものである。一方では利己主義を否定し、他方では全体主義を否定することで、すべての人間を自由・平等な人格として尊重しようとするものであり、個人主義とも言われる。

 改憲論の中には、憲法の「公共の福祉」概念が人権相互の調整原理と解されることを批判し、「公益や公の秩序」「国民の責務」などの概念を導入して、国家的利益や全体的利益を優先させ、人権を制限しようとするものがある。しかし「公益及び公の秩序」「国民の責務」などの個々の基本的人権を超越した抽象的な概念を人権の制約根拠とすることを認めれば、基本的人権の制約は容易となり、人権制約の合憲性についての司法審査もその機能を著しく低下させることとなる。

 

⇒現状については、全体的利益の名のもとに、軽視されている視点があるのではないかと感じています。

 

 

 最後に。

 結婚などについては、つぎの提言などがあります。

○少子化社会対策大綱(令和2年5月29日閣議決定)

 結婚、妊娠・出産、子育ては個人の自由な意思決定に基づくものであり、個々人の決定に特定の価値観を押し付けたり、プレッシャーを与えたりすることがあってはならない

○提言書「人口ビジョン2100」人口戦略会議(令和6年1月9日)

 結婚や子どもを持つかどうかは、個人が自由な選択によって決めるべきことです。少子化社会とは、その「個人の選択」と、社会経済全体が持続し成長することを目指すという「社会の選択」とが“対立”している状況と言えます。

 

 

 以下の、あくまでも想像上の内容で、おわります。

 

 マイナ保険証を利用するかどうかは、個人の自由な意思決定に基づくものです。その利用率が低い社会とは、「個人の選択」と、社会経済全体が持続し成長することを目指すという「社会の選択」とが“対立”している状況と言えます。