(2022.05.30)vol.1投稿
(2022.11.25)vol.2【追記内容】を「vol.1記事」に続く形として、末尾に追記
(2024.1.30)【冒頭の内容】を更新し、vol.3【追記内容】を「vol.2記事」に続く形として、末尾に追記
【冒頭の内容】(2024.1.30)
アビガンについて、つぎの議事録があります。
(平成26年2月3日)医薬品第二部会(議事録)より抜粋要約
▽機構
「医薬品アビガン錠200mgの製造販売承認の可否などについて。」
「全ての動物種で、催奇形性が認められている。」
「ヒトにおいても、催奇形性作用が強く懸念されます。」
「催奇形性のリスクは、本剤の安全性上、極めて重大な懸念であると判断しました。」
▽委員
「どうしてこの薬が、季節性インフルエンザに効かないのに、高病原性、あるいは新型のものに効くかという根拠が今一分からないのですけれども、そこをしっかり説明していただけますか。」
▽機構
「御指摘の部分はまだ明確にはなっていないと考えております。その部分はまた検討が必要になってくるのだと思います。」
▽部会長
「本薬の場合、有効性もさることながら、有害事象にもかなり厳しいものがあります。」
「臨床では普通のインフルエンザにも余り効いていないのに、どうして鳥インフルエンザだけ効くかもしれないと思うかと言われれば、確かにこれはきついです。」
▽部会長
「一般に流通するわけではないので、後から我々がコメントを言っても、反映できる部分もあると思うので、よろしいですか。」
「そういう付帯条件を付けるということで、そろそろ議決に入りたいと思います。」
アビガンは、以上のような議論の後(平成26年3月)に「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に備える備蓄用として、流通におかないという承認条件のもとで異例の承認が与えられた抗インフルエンザ薬」です。
その後令和2年、新型コロナにも適用できる可能性があるのではないかということで、観察研究と呼ばれる方法で患者に投与され始めました。また(令和2年10月16日)に、新型コロナ感染症に係る効能を追加する承認申請がなされました。
その後、つぎの議事録があります。
○第208回国会 参議院 厚生労働委員会(令和4年5月10日)より抜粋要約
▽参考人
「アビガンがコロナに効くかもしれないというレベルのデータに基づいて、政府主導で、未承認薬を観察研究という異例の形で国民に提供して、もう既に1万5000人に投与されています。」
「ところが、この観察研究では軽症患者の1か月以内の致死率が3.9%と非常に高かったんです。」
「治療法を問わない全国のコロナの入院患者を登録したレジストリー研究というのが比較対照になるんですけれども、その場合は軽症患者の致死率は0.4%ですから、約10倍ということになります。」
その後、新型コロナ治療薬としての有効性が確認されなかったため、承認されず、(令和4年10月14日)に「富士フイルム富山化学は、新型コロナウイルスの治療薬としての開発を中止すると発表した」と報じられました。
しかしアビガンはその後(令和5年5月29日)に、今度は希少疾病用医薬品(主にマダニを介して感染するSFTSウイルス感染症)に指定が認められました。指定により「開発にかかる経費負担軽減のための助成金交付」「試験研究費の税控除」など国の支援を受けられるとのことです。
また、新型コロナ以前は約200万人分であったアビガン備蓄数は、(令和5年5月15日時点)現在、結果として約600万人分に相当する量となり、新型インフルエンザ対策としての備蓄が継続されています。
vol.3【追記内容】(2024.1.30)として、希少疾病用医薬品に指定などについて、文末に追記しています。
【前回記事】(2022.05.30)より抜粋要約
アビガンについて、国会議事録などから抜粋要約した内容です。
⇒まずは国会議事録より
○第208回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和4年4月12日)より抜粋要約
▽参考人
「アビガンは、季節性インフルエンザの治療薬として承認申請されましたけれども、有効性を示すことができませんでした。」
「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果が不十分な、将来の新興のインフルエンザ感染症に備える医薬品として、流通に置かないという承認条件の下で、備蓄用として異例の承認が与えられたものです。」
「承認当時の審議会では委員から、季節性のインフルエンザに有効でないものが、なぜ病原性の高いインフルエンザに有効なのか不明だ、とする指摘が相次ぎましたが、部会長が、流通に置くわけではありませんのでと述べて、承認に至ったわけです。」
「ところが記者会見で首相が、観察研究の枠組みの中で、希望する患者への使用をできる限り拡大すると述べて、厚生労働省もこれに沿った通知を出しました。」
「結果、1万5000人以上に使用されるに至っています。」
「しかし、公表されたデータからは、軽症者や60歳未満の致死率が、アビガン投与群の方が高いことが示されております。」
「一方、新型コロナウイルス感染症に対する有効性については、その証明に重ねて失敗し、本年3月末には治験組入れが中止となりました。」
○第208回国会 参議院 厚生労働委員会(令和4年4月26日)より抜粋要約
▽政府参考人
「アビガンの観察研究につきまして。」
「令和3年7月に発表されました中間報告によりますと、アビガン投与者数のうち、入院時点で軽症であった患者の方の致死率は3.9%、それから入院1か月後の時点での死亡退院率は、20代未満0%、20代0.2%、30代0.4%、40代0.5%、50代1.5%でありました。」(⇒60代4.4%、70代9.8%、80代21.1%、90代以上29.2%。)
▽委員
「国立国際医療研究センターのレジストリー研究結果と比較してみるとどうかというと、すごく差が出てきているんですね。」
「致死率が10倍高い、あるいは死亡退院率は3倍以上だということになるわけですね。」
「この比較結果見ると、コロナには有効どころか、危険性の高さという結果に見れるわけですよ。」
○第208回国会 参議院 厚生労働委員会(令和4年5月10日)より抜粋要約
▽参考人
「アビガンがコロナに効くかもしれないというレベルのデータに基づいて、政府主導で、未承認薬を観察研究という異例の形で国民に提供して、もう既に1万5000人に投与されています。」
「ところが、この観察研究では軽症患者の1か月以内の致死率が3.9%と非常に高かったんです。」
「治療法を問わない全国のコロナの入院患者を登録したレジストリー研究というのが比較対照になるんですけれども、その場合は軽症患者の致死率は0.4%ですから、約10倍ということになります。」
「1年半の間、軽症患者の致死率はずっと高い状態が続いていました。」
「じゃ、有効性はということは、いずれも有効性の証明に失敗しています。」
「それから、やり直しの治験も、組入れが中止になった。」
「しかし、国は既定方針どおり130万人分の追加備蓄なども行い、多額の税金を企業に払っているというのが現状です。」
「我々も日本企業には頑張ってほしいと思っています。しかし、それは科学的でフェアな戦い方であってほしい。」
⇒有効性については「いずれも有効性の証明に失敗」、安全性については「致死率が10倍」であり、「有効どころか、危険」、これが現在地です。
⇒遡って、薬事承認時の議事録より(上記の危険性について、予見できたのでは?と感じます。)
○薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録(平成26年2月3日)より抜粋要約
▽機構
「医薬品アビガン錠200mgの製造販売承認の可否などについて、御説明いたします。」
「本剤の有効成分であるファビピラビルは、富山化学工業株式会社により創製された抗インフルエンザウイルス薬です。」
「本剤については、当初「A型又はB型インフルエンザウイルス感染症」を効能、効果として申請がなされました。」
「国際共同第III相試験においては、本剤の季節性のA型又はB型インフルエンザウイルス感染症に対する有効性は示されていないと判断いたしました。」
「次に、安全性についてです。」
「妊娠初期に本薬を投与することにより、受精卵の発育遅延又は致死が引き起こされる可能性が示唆されております。」
「全ての動物種で、催奇形性が認められている。」
「ヒトにおいても、催奇形性作用が強く懸念されます。」
「催奇形性のリスクは、本剤の安全性上、極めて重大な懸念であると判断しました。」
「以上から機構は、承認することは不可能であると判断し、追加の臨床試験及び催奇形性に対する安全対策の検討を申請者に求めておりました。」
「その後、季節性インフルエンザウイルス感染症患者を対象に実施された米国第II相試験の成績が得られました。」
「当該試験において、統計学的に有意な差は認められませんでした。」
「本試験では有効性が検証されなかったものの、より高用量での有効性及び安全性を検討するため、米国第I/II相試験が実施されました。」
「本剤を1日2回投与群において統計学的に有意な差が認められました。」
「本剤を1日3回投与群では、統計学的な有意な差は認められませんでしたが、その理由については明確になっておりません。」
「米国第I/II相試験において、本剤の有効性が示唆される結果が得られたことから、引き続き有効性を検証する第III相試験が米国を中心に開始されています。」
「通常の審査においては、第III相試験で有効性の検証結果等が重要な評価資料となるため、本来であればその提出を待つところですが、」
「新型インフルエンザを取り巻く最近の動向として、パンデミックに対する危機管理は喫緊の対応を要する状況にあると考えられている。」
「本剤の効能、効果については、既承認の抗インフルエンザウイルス薬と異なる作用機序を有しており、流通を制限しつつ、本剤をいつでも使用可能な状況にしておくことには意義があると考え、「新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分なものに限る)」とすることが適切であると判断いたしました。」
「委員から事前にコメントを頂いております。」
「新型、再興型インフルエンザに対してですが、季節性インフルエンザで劇的な効果を示しているのであればともかく、国際共同第III相試験では、対照薬に劣っているという結論です。」
「季節性インフルエンザに対してこの程度の有効性ですから、新型、再興型インフルエンザに効果があったとしても、対照薬などよりは劣ると考えることは自然だと思いますし、「他の抗インフルエンザ薬が無効又は効果不十分」である場合に限定したとしても、致命率の高い新型、再興型に対する本剤の有効性はどの程度あるか疑問に思います。」
▽部会長
「なかなか難しそうな薬ですけれども、委員方からの御質問、御意見をお願いいたします。」
▽委員
「どうしてこの薬が、季節性インフルエンザに効かないのに、高病原性、あるいは新型のものに効くかという根拠が今一分からないのですけれども、そこをしっかり説明していただけますか。」
▽機構
「御指摘の部分はまだ明確にはなっていないと考えております。その部分はまた検討が必要になってくるのだと思います。」
▽審査管理課長
「準備をしておくというのも、非常に意義があるのではないかと考えて、今回この部会にお諮りしたということです。」
▽部会長
「それはわかりますが、本薬の場合、有効性もさることながら有害事象にもかなり厳しいものがありますし、使うか使わないかの判断はドクターではなくて、多分行政がするのだろうと思うのです。」
「先ほど委員が言われたように、臨床では普通のインフルエンザにも余り効いていないのに、どうして鳥インフルエンザだけ効くかもしれないと思うかと言われれば、確かにこれはきついです。」
▽事務局
「既存の抗ウイルス薬が無効な場合の最後の手段としての位置付けであれば、本剤を現時点で承認しておく価値はあるのではないかと考えております。」
▽委員
「本日の話だと、本薬剤の場合に限っては、この添付文書で言及している耐性ウイルス的な判断は行政が行うということをうたってしまった方が間違いがないと思うのです。」
「今までに行政の判断が添付文書に反映されることはないと思うのですけれども。」
▽事務局
「はい、検討させていただきます。」
▽委員
「結局、この医薬品第二部会では薬学というか、医学的なことで、それが正しいかどうかの判断をしているわけであって、行政的なことの意見を私たちは求められているわけではないと思うのです。」
「ですから、今回科学的な根拠を欠いているあたりを皆さんが否としている部分はそういう部分。」
「危機管理の所ではなくて、薬として認可するかどうかがここの委員会の目的なのですから、そこがないこと自体が、少ししっくりしないところなのです。」
「ただし、承認条件が今までの薬と違って重いこともあるので、政府を敵に回す気にはもちろんなりませんし、そういうことだと思うのです。」
▽部会長
「一般に流通するわけではないので、後から我々がコメントを言っても、反映できる部分もあると思うので、よろしいですか。」
「そういう付帯条件を付けるということで、そろそろ議決に入りたいと思います。」
「お諮りします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。」
「御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。」
⇒薬事承認後の経緯を、主に国会議事録から見てみます。
○第201回国会 衆議院 予算委員会第五分科会(令和2年2月25日)より抜粋要約
▽政府参考人
「新型インフルエンザの治療薬でございますアビガンは、専ら備蓄用となっておりまして国内に流通しておりませんけれども、新型コロナウイルスにも適用できる可能性があるのではないかということで、観察研究というような形で始めているというような事例がございます。」
○第201回国会 参議院 予算委員会(令和2年3月5日)より抜粋要約
▽政府参考人
「アビガンにつきましては雑誌で、新型コロナウイルスの増殖抑制効果が認められたというふうに発表されてございます。」
○第201回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和2年3月6日)より抜粋要約
▽政府参考人
「アビガンにつきましては、2月下旬より、いわゆる観察研究として行っております。」
「藤田医科大学病院におきましては、臨床研究法に基づく特定臨床研究という位置づけを持って、この3月2日から研究を始めていただいているというふうな状態でございます。」
○第201回国会 参議院 本会議(令和2年4月27日)より抜粋要約
▽内閣総理大臣
「我が国が開発したアビガンについては、既に2000例以上の投与が行われ、症状改善に効果があったとの報告も受けています。」
「希望する患者の皆さんへの使用をできる限り拡大するとともに、可能な限り早期の薬事承認を目指すべく努力しております。」
「今般の補正予算においては、アビガンの備蓄量を現在の3倍、200万人分まで拡大することとしております。」
○第201回国会 衆議院 予算委員会(令和2年4月28日)より抜粋要約
▽委員
「総理、アビガン、できるだけ広く平等に、早く必要な人に行くようにという体制をつくるんだとおっしゃいました。」
▽内閣総理大臣
「かなり早い段階で、これは有望だという報告もあるということで申し上げてまいりました。」
「何とか投与は2000まで増えてきたところでございます。」
「自衛隊の中央病院においては、早くからアビガンを使用して、多くの成果を上げているのも事実だろう、こう思う次第でございます。」
「そして同時に今、70万人分の既に備蓄がある。」
「これはインフルエンザとして備蓄をしてきたものでございますが、それを更に200万人分まで増産をすることを、今要請をしているところでございます。」
○第201回国会 参議院 議院運営委員会(令和2年5月4日)より抜粋要約
▽理事
「アビガン、これにつきましては、軽等度症、中等度症の患者さんに対してそれぞれ90%、60%程度の効果があるということであります」
「十分に在庫もあるアビガンが、今後どのタイミングで承認をされるのか。」
▽国務大臣
「特定臨床研究も3月2日より行われておりますし、企業治験も3月31日より開始をされているところでございます。」
○第201回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和2年5月8日)より抜粋要約
▽国務大臣
「アビガンでありますけれども、観察研究、特定臨床研究、企業治験という形の中で進められ、およそ3000例近い投与が既に行われているという現実があります。」
「一般で投与ができるためには薬事承認が必要になってまいります。」
「5月4日の総理会見で、有効性が確認されれば、今月中の承認を目指したいという発言がありました。」
▽委員
「今、アビガンが使えるというのは観察研究という形です。つまり、研究目的という形でアビガンが服用できる。」
▽政府参考人
「アビガンにつきましては、副作用として尿酸値の上昇が認められているということで、感染症学会の指針において指摘されておりますし、さらに、4月30日に企業から肝障害に関する注意喚起というものもなされているところでございます。」
「動物実験におきまして催奇形性等が確認されております。」
「したがいまして、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人への投与が禁忌されているほか、さらに、本剤は精液への移行が確認されております。」
「したがいまして、男性に対しましてもその危険性について十分に説明した上で、投与期間中、投与終了後10日間まで、妊婦との性交渉の禁止、そして避妊の徹底等の指導が求められております。」
○第201回国会 参議院 予算委員会(令和2年5月11日)より抜粋要約
▽内閣総理大臣
「有効性が確認されれば、5月中の承認を目指したいと考えています。」
○第201回国会 衆議院 財務金融委員会(令和2年5月12日)より抜粋要約
▽委員
「前回の質問でも、希望の星であるアビガンについて、早く治療薬としてやってくれということを言ってきました」
「アビガンも、3000件の投与を行って、よい結果も報告されていると聞いております。」
「4月27日には、日本医師会が高齢者へのアビガン適用を積極的に要請した」
「4月30日には、福岡県方式といって、現場の医師にアビガンの使用を判断させるような動きも出てきております。」
「日本の死亡事例でも、アビガンが早期に投与されていれば助かったケースも多数あったのではないかという医療関係者の話も聞いているわけでございます。」
「一刻も早く承認をすべきではないかと考えております」
○アビガン有効性示せず。ウイルス減少率、差なし(東京新聞)令和2年5月20日 より抜粋要約
「アビガンを巡り、臨床研究で、明確な有効性が示されていないことが分かった。」
「感染した著名人がアビガンの投与後に回復したと公表し、首相は「5月中の承認を目指す」とするが、現時点で薬として十分な科学的根拠が得られていない状況だ。」
○第201回国会 衆議院 予算委員会(令和2年5月20日)より抜粋要約
▽委員
「総理が5月中に承認を目指すと言っていた治療薬アビガンについて、今朝の報道では、明確な有効性が示されていない、十分な科学的根拠がまだ得られていないというような報道がございました。」
「一昨日、18日には日本医師会が、アビガンの名前は挙げておりませんけれども、科学を軽視した判断は最終的に国民の健康にとって害悪だというような提言をされまして、拙速な特例承認、特例承認というのは臨床検査の結果の提出を後回しにして特例で認めるということでございますけれども、このような意見も出されております。」
○第201回国会 参議院 厚生労働委員会(令和2年8月20日)より抜粋要約
▽政府参考人
「アビガンについてでございますが、企業の公表によれば、国内治験につきましては8月16日をもちまして患者の組入れが終了いたしました。」
○第203回国会 参議院 厚生労働委員会(令和2年11月24日)より抜粋要約
▽委員
「アビガンです。」
「安倍総理が5月の承認を目指しますというふうな発言がありました。」
「先月も報道では、11月の承認か、みたいな報道が出ておりました。」
「もうそろそろ11月も終わりに来ておりまして、このアビガン、一体どうなっているのか、お聞きしたいと思います。」
▽政府参考人
「10月16日付けで新型コロナウイルス感染症に係る効能を追加する承認申請がございました。」
⇒承認申請に対する、審議結果について。
○薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 審議の概要について(令和2年12月21日)より抜粋要約
▽審議結果
「現時点で得られたデータから、本剤の有効性を明確に判断することは困難であり、現在実施中の臨床試験結果等の早期の提出を待って、再審議(継続審議)」
○第204回国会 参議院 厚生労働委員会(令和3年3月22日)より抜粋要約
▽委員
「アビガンなんですが、159億円の予算を掛けて200万人分の備蓄を行うということでありますが、現在、たしか55万人分を確保して、次に納品するのが79万人分だというふうに聞いています。」
「トータル的には最終的に200万人分ということだと思うんですけれども、これ承認されていないわけでありますし、投与されているのがたった1万人分なんです。」
「こんなに使わない、まだ承認もされていないアビガンを200万人分も備蓄する必要があるのかというふうに思うんです。」
▽政府参考人
「確かに、昨年の5月だったと思いますが閣議決定して、補正予算も承認いただいて、その段階ではアビガンがまだ製造できていませんでしたので、きちんと製造するようにということをメーカーにお願いして、ようやく製造できたので今回購入に至ったという経緯です。」
「こちらからお願いしておいて、もう買わないよというわけには恐らくいかないですし、国家の危機管理の観点からやはり必要だというふうに考えて、今回に至っております。」
▽委員
「いや、最初はそうだったのは分かるんですよ。」
「でも、ずっと承認されていないまま来ているわけですから、途中で立ち止まるときがあったはずなんです。」
「そのときに立ち止まって、ちょっとここで止めようとか、そういう判断がなぜできないのか。」
「200万人分ですよ。去年1年、1万人分しか使っていないんですよ。」
「200年掛かるわ、200年。どうするんですか、これ、200年分も。」
○第208回国会 参議院 決算委員会(令和4年3月28日)より抜粋要約
▽国務大臣
「アビガンにつきましては新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補として購入したものでありまして、その購入費用は159億円でございます。」
「また、治験への支援を行っておりまして、14億7000万円、富士フイルム富山化学株式会社に交付をいたしております。」
○第208回国会 参議院 厚生労働委員会(令和4年4月28日)より抜粋要約
▽委員
「アビガンについて言えば、安倍首相が、観察研究の仕組みの中で希望する患者への使用をできる限り拡大すると述べ、新型コロナ治療薬としては未承認であるにもかかわらず、1万5000人以上の人に使用された。」
「しかし、アビガンは国内外の3つの臨床試験、日本、クウェート、北米で、有効性の証明に失敗をしております。」
「一方で、危険性が指摘をされました。」
「こういう中で、承認していないにもかかわらず使用したという問題です。」
「アビガンに投入された税金、設備費など、総額幾らですか。」
▽政府参考人
「購入費用は約159億円となっております。」
「保管費用として月当たり240万円、治験への支援に係る額として交付実績額が5.3億円となっております。」
▽委員
「未承認なのに、なぜこれを使用できたんですか。」
▽政府参考人
「既に新型インフルエンザにつきましての薬事承認が行われておりまして、同じ抗ウイルス薬ということで効果が推定されるということで、この危機管理の観点から追加で購入を行ったものでございます。」
▽委員
「アビガンは国内外の3つの臨床試験で新型コロナウイルス感染症に対する有効性の証明に失敗した、そのことをどう総括されていますか。」
▽政府参考人
「薬事承認に向けた治験につきましては、国内外で行われまして、海外では2本あって、有効性が示されなかったという結果が出ております。」
「国内で行われたものについては昨年末に承認審査を行いまして、現時点では有効性を確認することは困難ということで継続審査になっているというところでございます。」
▽委員
「現時点でも有効性証明できてないんですよ。」
「でも、安倍総理の記者会見でアビガン使うことになって、未承認であるにもかかわらず突っ走って、159億円掛けて、1万5000人に使った。」
「有効性の証明がないのに、備蓄を続けるんでしょうか。」
▽政府参考人
「現時点では、新型コロナに対する本剤の有効性、安全性について結論が得られているものではございませんので、まずは企業のデータ解析の結果を待つ必要があると考えております。」
「このため、保管につきましては、引き続き当面は継続する予定としております。」
【前回記事】の抜粋要約は以上です。
vol.2【追記内容】(2022.11.25)
⇒つぎのとおり、要望書が提出されています。
○アビガンの備蓄中止と承認取り消しを求める要望書(令和4年4月4日)薬害オンブズパースン会議(抜粋要約)
厚生労働大臣 殿
「アビガン錠200mgについて、以下のとおり要望する。」
「承認を取り消し、使用及び備蓄を中止すること。」
「アビガンをめぐる経緯について総括をし、国民に説明すること。」
「2022年3月11日、富士フイルム富山化学株式会社は、アビガンについて現在実施している、新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした臨床試験の被験者の組入れを、本年3月末に終了する旨を公表した。」
「これによってアビガンの治験は新型コロナウイルス感染症に対する有効性を示せないまま終了する。」
「アビガンは、季節性インフルエンザの治療薬として申請されたが、タミフルとの比較で非劣性が示せなかったばかりか、プラセボと比較した堅固な有効性の証明にも失敗した。」
「にもかかわらず、2014年3月に、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症に備える備蓄用として、流通におかないという承認条件のもとで異例の承認が与えられた抗インフルエンザ薬である。」
「2020年4月、当時の安倍首相が「観察研究」の仕組みの中で希望する患者への使用をできる限り拡大すると述べ、厚生労働省が藤田研究(観察研究)に参加することを条件に、新型コロナウイルス感染症の治療に用いることを認める旨を通知し、以後、新型コロナウイルス感染症の治療薬として約1万5000人に使用されてきた。」
「アビガンについては、承認時の審査等を通じて、既に催奇形性が明らかになっている。」
「まず、動物実験において、初期胚の致死(ラット)及び催奇形性(サル、マウス、ラット、ウサギ)が認められている。」
「また、本剤が精液中へ移行すること、本剤の代謝物が母乳中へ移行することが確認され、添付文書では警告欄において、妊娠検査の実施を必須とし、男性に対しても避妊が必要であるとされている。」
「2021年4月に公表された藤田研究の中間報告においては、入院約1か月後までの軽症患者の致死率がアビガン使用者において、レジストリ研究のデータと比較して極めて高いこと、及び藤田研究に参加した患者の致死率が、60歳未満の患者では3倍以上、全年齢でも約2倍高いことが明らかになっている。」
「新型コロナウイルス感染症について、複数の治験において有効性の証明に失敗している。」
「2020年12月21日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会において、アビガンの国内治験として行われた試験の結果が審議され、有効性を明確に判断することは困難という理由で、継続審議となった。」
「クウェートで実施されていた試験においては、主要評価項目で統計的に有意差が示せず、2021年1月27日に試験を終了する旨が発表されている。」
「米国、メキシコ、ブラジルの試験施設の多国籍共同試験において、主要評価項目で統計的有意性を達成しなかった旨が2021年11月に発表された。」
そもそも「2014年のアビガンの薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会における審議に際しては、委員から、高病原性のインフルエンザウイルス感染症に有効だとする理由が不明であるとする指摘が相次いだ。」
「これに対し、PMDAは「御指摘の部分はまだ明確にはなっていない」と回答するなど、普通であれば承認などありえない状況であった。」
「しかし、部会長が「一般に流通するわけではないので」などと述べて押し切って承認に至ったのである。」
「アビガンを承認した際の審議会議事録を読めば、誰もが、なぜこれで承認なのかと疑問を抱かざるを得ない。」
「アビガンは、季節性インフルエンザに対する有効性さえ示せず、「既存の抗インフルエンザウイルス薬に耐性を有し、かつ高病原性のインフルエンザウイルス感染症の蔓延に備える医薬品」としての有効性を基礎づける科学的根拠が見いだせないまま承認されたのである。」
「しかも、催奇形性や胎児毒性などの重大な危険性がある。」
「従って、備蓄用としても、承認したことは適切ではなかった。」
「そのうえ、新型コロナウイルス感染症に対する使用は、アビガンの潜在的な危険性を一層明らかにした。」
「従って、アビガンの承認を取り消し、使用及び備蓄を中止するべきである。」
「また、このような医薬品について、政治主導で過剰な期待感をつくりだし、「観察研究」という枠組みで使用したことの非科学性、非倫理性は重大である。」
「令和2年度だけでも厚生労働省によるアビガンの購入費は、159億円である。」
「また、この他に富士フイルム富山化学には、厚生労働省から治験の支援金として14億740万円余、経済産業省から製造設備拡充の補助金として40億6800万円が支払われている。」
「厚生労働省は、再発防止のための総括報告書を作成して国民に説明をするべきである。」
⇒(令和4年10月14日)つぎのような内容が報じられていました。
「富士フイルム富山化学は14日、抗ウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルスの治療薬としての開発を中止すると発表した。」
「異例続きだったアビガンの一連の動きに、終止符が打たれる。」
「臨床試験で有効性が確認できなかった。」
「アビガンは2014年に従来の薬が効かない新型インフルエンザ向けに承認された。」
「動物実験で、胎児に奇形が出るおそれがあるとわかっていて、妊娠中の女性らには使えない。」
「新型コロナの流行を受けて2020年3月、同社が新型コロナ向けの治験を始めた。」
「有効性などを示すデータが出ていない2020年5月、当時の安倍晋三首相が月内の承認を目指すと表明。」
「直後に厚労省は「治験データは後でも可」と早期承認が可能となる特例を設けた。」
「2021年に新型コロナ感染者に対し効果を確認する治験を開始したが、有意な結果が得られなかった。」
「北米やクウェートの海外治験でも、有効性は証明できなかった。」
「厚生労働省に承認を申請していたが、10月中に取り下げる。」
「政府は新型コロナの治療薬候補として174億円を投じて200万人分のアビガンを備蓄したほか、治験で必要となる経費として15億円を同社に補助していた。」
⇒しかしつぎのとおり、抗インフルエンザウイルス薬としての備蓄が中止された訳ではありません。
○厚生科学審議会感染症部会(令和4年5月20日)資料
「抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について」
▽現在の備蓄方針について
「国と都道府県は、4,500万人分を目標として抗インフルエンザウイルス薬を備蓄する。」
「備蓄薬の種類については、厚生科学審議会感染症部会決定を踏まえ、多様化を図る。」
「現在、一般名ファビピラビル(商品名アビガン)などについて、備蓄保管を行っている。」
「アビガンは目標量4500万人分とは別に200万人分を備蓄している。」
⇒(令和4年10月18日)つぎのとおり報じられていました。
「政府はアビガンを新型コロナ用としてすでに159億円かけて約134万人分を購入している。もともとの新型インフル向けの備蓄分と合わせ、計約200万人分を購入済みだが、これらはすべて新型インフル用にするという。」
○厚生労働大臣記者会見概要(令和4年10月18日)より抜粋要約
▽記者
「抗インフルエンザ薬アビガンについて質問です。」
「富士フイルム富山化学が14日に開発中止と申請取り下げを発表しました。」
「大臣が前回厚労相を務めていたコロナ禍初期には、効果を期待し、特定臨床研究のデータを使って承認する可能性があることなど異例の対応も表明していましたが、当時の対応の是非について検証する考えがあるか教えてください。」
「また、すでに購入済みの約200万人分のアビガンの利用方法についてお考えを教えてください。」
▽大臣
「検証というのは何を検証するのか質問の趣旨が分かりませんが、当時多くの皆様がコロナの治療薬を求めておられ、そしてそれに繋がるものについてできるだけ速やかに対処して欲しいという流れの中で、しっかりした手続きは踏んでいかなければなりませんが、そういった中での対応をとってきたということです。」
「現状においても新たな薬・ワクチンについては当然同様な対応が必要だと思っておりますので、特段それについて何か検証する必要はないと考えておりますが、同時に新型コロナ治療薬についてはしっかり確保していく、有効な治療薬について研究開発する、これはしっかり支援をしていきたいと考えております。」
「アビガンの備蓄については、令和2年4月7日の閣議決定である「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」に基づき、新型コロナウイルスの候補薬として備蓄を行ったものでありますが、今回製造企業が薬事承認申請を取り下げるということですから、当面は、新型インフルエンザ対策としての備蓄としていきたいと考えております。」
vol.3【追記内容】(2024.1.30)
○第211回国会 参議院 決算委員会(令和5年5月15日)より抜粋要約
▽政府参考人
新型インフルエンザ用治療薬アビガンにつきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、当該感染症の治療薬の候補として令和2年度内に200万人分確保することとしました。この際、既に新型インフルエンザ対策として備蓄していた約70万人分に加えまして、約130万人分を159億円で購入をしております。
このうち、新型コロナウイルス感染症の患者に約3万人分を使用し、残る薬剤については新型インフルエンザ対策として備蓄をしております。備蓄数は、新型インフルエンザの患者数に、患者用に換算しますと、約600万人分に相当する量となっております。
○第211回国会 参議院 厚生労働委員会(令和5年5月25日)より抜粋要約
▽国務大臣
アビガンは、新型インフルエンザ治療薬として当初必要量を購入したところでありますが、その際には、新型インフルエンザ治療薬として使う場合には、一人当たりの40錠が必要となっています。他方で、新型コロナ治療薬としては一人当たり122錠が必要となっております。
その上で、アビガンの購入量については、新型コロナの流行前には、新型インフルエンザ対策として、200万人分を約68億円で確保いたしました。
その後、新型コロナの流行に伴い、新型コロナ治療薬の候補として200万人分を確保することにいたしました。この際、既に新型インフルエンザ対策として備蓄していた分、先ほど申し上げた換算に直しますと約70万人分でありますから、それに加えて130万人分を追加で約159億円で確保したところでございます。
これまでに購入したアビガンの総量は約2億4400万錠となっております。このうち、新型コロナ治療薬としての観察研究を行うため、約5万人にアビガンを投与いたしましたが、途中で投与を中止したケース等があるため、実際の使用量としては約3万人分を使用したこととなります。
結果的に、アビガンの製造企業が新型コロナ治療薬として開発を中止したことから、現在は新型インフルエンザ治療薬として約600万人分を備蓄しているということとなっています。
▽国務大臣
アビガン、今日に至るまで承認されていない理由ということでありますが、アビガンについては、藤田医科大学を中心に実施された特定臨床研究、富士フイルム富山化学社が実施した複数の国内第三相試験のいずれにおいても有効性が確認されなかったものであります。PMDAの審査や薬事・食品衛生審議会における審議の結果、承認可能との判断には至らなかったところでございます。
○薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会(2023年5月29日)議事録(抜粋要約)
▽事務局
希少疾病用医薬品の指定の可否について御説明いたします。まず「ファビピラビル」(アビガン)ですが、申請者は「富士フイルム富山化学株式会社」、予定効能・効果は「重症熱性血小板減少症候群ウイルス感染症(SFTSウイルス感染症)」となっております。患者数は763人と推定されています。
SFTSウイルス感染症は、主にマダニを介して感染し、発熱、倦怠感等に続き、嘔吐、下痢等の消化器症状が認められることが多く、臓器不全によって死に至る場合もある疾患であり、現在、確立した治療法はありません。本剤はSFTSウイルス感染症患者を対象とした非盲検既存対照の国内第III相試験が実施されており、○○○○○○○○○○○○○致死率が○○%であり、国内疫学調査の結果に基づく致死率25.6%を下回る結果が得られております。
希少疾病用医薬品の指定要件を満たすと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
▽部会長
委員の先生方から御質問等がございましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。それでは議決に入ります。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
○マダニ感染症治療に期待 富山化学開発「アビガン」希少疾病用薬品指定へ(令和5年5月31日)富山新聞(抜粋要約)
富士フイルム富山化学の開発した抗ウイルス薬「アビガン」が、29日の厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会で、薬事承認申請の優先審査など優遇措置を受けられる「希少疾病用医薬品」への指定を認められた。
希少疾病用医薬品は、国内の対象患者数が5万人未満で、医療上、特に必要性が高いなどの条件に合う医薬品として、厚労相が指定する。アビガンは6月にも指定される見通し。
SFTSは重症化すると死亡することがあり、致死率31%とする研究もある。国内では昨年、過去最多の118人(速報値)、今年も今月14日時点で43人が感染している。ワクチンや有効な治療薬はない。
過去の臨床研究ではアビガンを投与した患者23人のうち19人が回復し、致死率が17.4%まで低下した。
希少疾病用医薬品の指定を受けると、研究開発促進に向けた国の支援が受けられる。助成金の交付、試験開発の指導・助言を受けることができ、他の製品より先に承認審査が行われる。
▽重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
SFTSウイルスを原因とする感染症。主にマダニにかまれて感染する。2011年、中国で世界初の患者が報告され、その後、西日本を中心に国内でも患者が確認されている。人が感染すると6~14日程度の潜伏期を経て、発熱や全身のだるさ、下痢や腹痛などの症状が出る。発症したネコやイヌなどから人に感染した事例もある。
○アビガン「希少疾病用」指定 厚労省、マダニ感染症効果 富山化学開発(令和5年6月28日)富山新聞
アビガンは5月29日に希少疾病用医薬品の指定が認められ、6月22日付で厚労相から指定を受けた。
指定されると、薬事承認、販売に向けて
▽開発にかかる経費負担軽減のための助成金交付
▽医薬品医療機器総合機構の職員による指導・助言
▽試験研究費の税控除
▽薬事承認審査の優先措置・手数料減額
▽再審査期間の延長
といった国の支援を受けられる。
最後に。
○添付文書(アビガン錠200mg)より抜粋要約
本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。
承認用法及び用量における本剤の有効性及び安全性が検討された臨床試験は実施されていない。
承認用法及び用量は、インフルエンザウイルス感染症患者を対象としたプラセボ対照第I/Ⅱ相試験成績及び国内外薬物動態データに基づき推定した。
動物実験において本剤は、初期胚の致死及び催奇形性が確認されていることから、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。
動物実験において、臨床曝露量と同程度又は下回る用量で、初期胚の致死(ラット)及び催奇形性(サル、マウス、ラット及びウサギ)が認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
動物実験において、幼若イヌ[8週齢]に1ヵ月間投与した試験では、若齢イヌ[7~8ヵ月齢]の致死量より低用量で投与20日以降に、途中死亡例が認められている。
幼若動物(ラット[6日齢]及びイヌ[8週齢])では、異常歩行、骨格筋線維の萎縮及び空胞化、心乳頭筋の変性/壊死及び鉱質沈着などが認められている。
以上です。