(2023.12.30)

 

 

 タイトルについて国会議事録など(抜粋要約、時系列)はつぎのとおりです。

 

○行政改革会議(平成9年12月3日)最終報告

 しばしば日本人について指摘される、“集団に埋没する個人”といった特性は、決して日本の国民の不可避的な特性ではない。日本国憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で最大限の尊重を必要とする」と規定している。

 ここに「個人の尊重」とは、一人ひとりの人間が独立自尊の自由な自律的存在として最大限尊重されなければならないという趣旨であり、そのためにこそ各種人権が保障されるのである。

 そして憲法前文にいう、「主権が国民に存する」とは、そのような自律的存在たる個人の集合体である「われわれ国民」が、統治の主体として、自律的な個人の生、すなわち個人の尊厳と幸福に重きを置く社会を築き、国家の健全な運営を図ることに自ら責任を負うという理を明らかにするものである。

 今回の行政改革の基本理念は、戦後型行政システムを改め、自律的な個人を基礎としつつ、より自由かつ公正な社会を形成するにふさわしい行政システムへと転換することである、と要約できよう。

▽内閣機能の強化

 国家目標が複雑化し、時々刻々変化する内外環境に即応して賢明な価値選択・政策展開を行っていく上で、国政全体を見渡した総合的、戦略的な政策判断と機動的な意思決定をなし得る行政システムが求められている。

 これを実現するためには、内閣が、日本国憲法上「国務を総理する」という高度の統治・政治作用、すなわち、行政各部からの情報を考慮した上での国家の総合的・戦略的方向付けを行うべき地位にあることを重く受け止め、内閣機能の強化を図る必要がある。

 内閣が「国務を総理する」任務を十全に発揮し、現代国家の要請する機能を果たすためには、内閣の「首長」である内閣総理大臣がその指導性を十分に発揮できるような仕組みを整えることが必要である。

 そのため、まず、合議体としての「内閣」が、実質的な政策論議を行い、トップダウン的な政策の形成・遂行の担い手となり、新たな省間調整システムの要として機能できるよう、「内閣」の機能強化が必要である。

 内閣機能の強化は、日本国憲法のよって立つ権力分立ないし抑制・均衡のシステムに対する適正な配慮を伴わなければならない。

 国のレベルでは、国会と政府との関係において、国会のチェック機能の一層の充実が求められ、国会の改革が期待されるところである。

 さらに、司法との関係では、「法の支配」の拡充発展を図るための積極的措置を講ずる必要がある。

 

○第142回国会 衆議院 本会議(平成10年5月12日)

▽議員

 内閣提出の中央省庁等改革基本法案について申し上げます。

 本案は、行政改革会議の最終報告を最大限に尊重する旨の閣議決定に従い、同報告の趣旨にのっとって行われる内閣機能の強化、国の行政機関の再編成等の改革について、その基本的な理念及び方針等を定めるとともに、その推進に必要な体制を整備しようとするものです。

 

○第142回国会 参議院 本会議(平成10年6月9日)

▽議員

 中央省庁等改革基本法案に対する反対討論を行います。

 本法案は、橋本総理が会長を務める行政改革会議で、21世紀における国家機能のあり方等について、総理みずからが議論をリードし、たった15人のメンバーで、しかも、国会は人事を含めて何ら関与しないまま最終報告を出して、それを法案化したものです。反対の第一の理由は、本法案が内閣機能の強化、なかんずく内閣総理大臣の権限の強化によって、トップダウン的な政策の推進を可能にしていることです。

 

○中央省庁等改革基本法が成立(平成10年6月9日)

 

○第145回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会(平成11年6月14日)

▽国務大臣

 ただいま議題となりました内閣法の一部を改正する法律案外16件の中央省庁等改革関連法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 本法律案は、さきに国会で成立した中央省庁等改革基本法にのっとって立案したものであります。

 提案理由の第一、内閣機能の強化に関しましては、主権者である国民の信託に基づき国会が内閣総理大臣を指名し、内閣総理大臣及び内閣総理大臣が任命する国務大臣をもって組織する内閣に行政権が属するという国民主権の理念にのっとった我が国の行政のあり方を明らかにするとともに、閣議における内閣総理大臣の発議権を明記し、それを裏づけるため、内閣官房の重要政策に関する企画立案の機能を明確にしております。

 

○第145回国会 参議院 行財政改革・税制等に関する特別委員会公聴会(平成11年7月5日)

▽公述人

 行革の最大の理念、目標、戦略というものは、私の言葉で言いますと、行政の国民化というところに尽きると思います。この行政の国民化というのは、本来、行政、内閣は国民のために福利を実現するように働かなければならない、これが行政における公共性の原則という原理であります。しかし、この原則は今や建前だけになっておりまして、実際には官僚によって行使されております。残念ながら、立法権も予算またその他各種の行政政策も、事実上各省庁で決められているのが現実なのでございます。したがいまして、議会の権能は空洞化し、内閣、閣議の役割も形骸化しているわけでございます。

 そういうことで、一定の内閣の強化総理大臣の強化を行っておりますけれども、しかしそのことだけではなくて、いわば国民との関係をどういうふうに考えているのか、そういうことが一つ出てきていいと思うんです。

 今回の法案を見ておりますと、総理大臣に発議権あるいはまたそのスタッフの強化等々、見るべきものがあるわけでございます。官僚支配の体制から民、政治主導型のシステムに変えていくということについてはそれなりに私は評価してよいと思うんですが、逆に今度は、内閣が強くなり過ぎて国民との関係ではどういうことになるのか、あるいは総理府以外の省庁との関係はどうなるかという問題が出てくるわけでございます。

 余りにも内閣の権限が強過ぎる結果、結果として官庁の中に今とまた別の意味で序列ができる。また、国民との関係では、内閣が非常に強固でそれなりに一定のことができるんでしょうけれども、しかし国民との壁は打破できないんじゃないか、こういう危惧を私は持っているわけでございます。

 

○(平成11年7月8日)内閣法の一部を改正する法律成立

 

○第180回国会 衆議院 予算委員会(平成24年7月9日)

▽委員

 日本国憲法の前文に、そもそも国政は、国民の厳粛な信託によって、そしてその権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使する、そしてその福利は国民がこれを享受すると書いてございます。

 主権者である国民を代表する私たち国会議員がその権力を行使して、これが政治主導ですね、そしてその福利は国民がこれを享受する、これが国民の生活が第一という原点であります。

 

○「社会保障・税共通番号」法案の国会審議にあたっての日弁連コメント(平成24年8月8日)日本弁護士連合会

 マイナンバー法案は、民主党、自民党、公明党の3党で大筋合意されたとの報道がなされており、両議院では賛成多数により十分な審議もなく、拙速に成立することが予想される。

 この法案は、重大なプライバシー侵害の危険のある制度を創り出す。

 すなわち、この制度は、個人情報の利活用の推進を優先して、広範な行政及び民間分野において、生涯不変の共通番号を利用させるものであるため、民間においても広く個人の共通番号が認識できるようになり、個人情報が広範に名寄せ・統合(データマッチング)され、プライバシーが丸裸状態になるおそれや「なりすまし」被害が多発するおそれがある。

 さらに問題なのは、法案が衆議院で審議されようとしている現時点においても、共通番号制導入による費用対効果が未だに明らかにされていないことである。これでは共通番号制は一部官庁と一部企業の利益のためだけの箱物事業になりかねない。

 これらの問題点がある上、東日本大震災と福島原発事故のために莫大な費用がかかるこの時期に、壮大な失敗の危険性のある事業を行うための本法案が、真剣な討論がなされないまま、きわめて拙速に成立させられてしまう可能性が高い。

 これは、国民の負託を受けた国会の審議として極めて不十分である。

 当連合会は、この法案を成立させることは、我が国の将来に重大な禍根を残すことになるため、同法案に強く反対するものである。

 

○第183回国会 衆議院 憲法審査会(平成25年4月4日)

▽委員

 憲法は、民意を正確、公正に反映した国会の形成と、その国会から内閣総理大臣を指名し、民意を忠実に執行する内閣を組織することを命じています。では、現実には、歴代内閣がこの憲法の規定どおりに職務を果たし、執行してきたか、しているか、このことが厳しく問われます。

 

○第185回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会(平成25年11月27日)

▽参考人

 憲法は、国民主権を掲げ、国会を国権の最高機関と宣言し、国会が内閣総理大臣を指名すると定めていますから、国民により直接選挙された国会こそが政治の中心に置かれ、国民の間に存在する様々な意見を忠実に反映した国会が討論を通じて政策決定を行い、それを内閣が官僚機構を使って忠実に執行していくんだという政治の在り方こそ憲法が想定し得るものであるという理解であります。

 他方、戦後の現実の政治は、戦前と同様に官僚機構を中心に行われてまいりました。この実態は、議会制民主主義論からすると、本来国会が政治の中心となって政策決定を行うべきであるのに、実際は官僚が実質的な政策決定を行っており、これは憲法に反する非民主的な在り方だということになります。

 では、このとき官僚に取って代わるべき主体として想定されたのは、議会であったのでしょうか。しかし議会は、その組織と行動の準則からして、現代政治の要請には的確にこたえることが困難な機関であります。国際化がますます進展する中で、現代国家は臨機応変の対応を迫られます。それにこたえ得る機関は、日本国憲法上は議会ではなく、内閣以外にありません。そうだとすれば、内閣により迅速な対応を可能とする権限を与えると同時に、その内閣が暴走しないように民主的コントロールを行うという戦略が必要になります。

 政治には、まず誰かが国家、社会が必要としている政策の提言を行い、その支持者を獲得していこうというアクション、イニシアチブを起こすことが必要です。しかし同時に、アクションの暴走を防ぐためにコントロールも必要です。この政治におけるアクションとコントロールのバランスという見方を議院内閣制の運用の仕方に投影いたしますと、アクションの主たる担い手は内閣であり、コントロールの担い手は国会であるという役割分担になります。

 国民に支持された基本政策の選択を基礎に、内閣が官僚の協力を得てそれを強力に実施、執行し、国会、特に野党がこれをコントロールするというのが私の描く議院内閣制の運用の在り方であります。

 

○第186回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会(平成26年5月14日)

▽参考人

 この中央省庁改革の基本線を提示いたしましたのが、行革会議の最終報告でございます。報告書を改めて読んでみますと、様々な視点が提示されておりまして、それに基づきまして官邸や内閣機能を強化する、あるいは中央省庁の大くくりの再編成を行う等々、様々な改革が提案されておりまして、これに基づいて制度が変わってきたと、こういうところがあろうかと思います。

 中でも特に憲法学の視点から重要かなというふうに思いますのが、内閣それから首相の役割、その補佐機構の強化と、こういった点であろうかというふうに思います。

 報告書を読みますと、もう一つ別の視点も提示されております。抑制と均衡といいましょうか、強い中心をつくる一方で、それに対するバランスをどう取っていくのか、こういう話であったように思います。

 具体的にその報告書の中に出ておりますのが地方分権、それから国会のチェック機能の一層の充実、それから司法制度改革と、こういうことでございますが、本日は特にその二番目ですね、国会のチェック機能について、少しお話をさせていただければなというふうに思っております。

 内閣機能なり首相の指導性を強めるということになりますと、当然、その基盤をどうつくり込んでいくのか、とりわけ正統性をどう調達するのかということが大きな課題になってまいります。この点では、議院内閣制の直接民主政的運用あるいは政権選択の論理といったものが重視されてきたように思います。つまり、国民が内閣や首相あるいは政策を選択するという機能が非常に強調される。それを踏まえた上で、言わば政治の中心に内閣を位置付けて、内閣が官僚を統制していくのだ、使いこなしていくのだと、こういう図式がこの間非常に強調されてまいりました

 以上のような改革を憲法学がどう受け止めてきたかということでございますが、様々な受け止め方がございますけれども、ある有力な学説が主張いたしましたのが、従来憲法学が描いてきた統治イメージを転換する必要があるのではないかと、こういうことでありました。従来の説明ですと、国会が立法を担って内閣や行政がそれを執行すると、こういう形で説明がされてきましたけれども、むしろ内閣自体が政治を担っている、内閣自体が言わばアクションを起こすと、こういった位置付けであって、むしろ国会の役割というのは、それをコントロールするということに重点を置くべきではないかと、こういう図式が一部では提示されてまいりました。

 政治の中心に国民の支持を受けた内閣を位置付ける、あるいは首相を位置付ける。そして、その政治、内閣を中心とした、あるいは首相を中心とした政治が強いリーダーシップを発揮して官を統制する、あるいは官を使いこなしていく、一方では国会がそれを統制すると、こういうイメージが有力な学説によって提示されてきたところでございます。

 考えるべき課題はいろいろあるのですけれども、行革会議の報告書にもありますとおり、内閣機能を強化する、あるいは首相の指導性を強化するということと本来セットで論じられるべき点であった、国会の統制機能をどう考えるのかという問題について、最後に一言だけお話をさせていただきたいというふうに思います。

 この国会の統制機能というものは、実は憲法上はっきりと書かれているわけではございません。ただ、これはいろいろな条文の中に分けて規定されていると、言わば無名の権限と言うのが適切かどうか分かりませんが、そういったものであろうというふうに思います。

 ただ、その統制を考えます場合、一つ非常に難しい問題として出てまいりますのが、議院内閣制の下では多数党が内閣を組織するということでございまして、そうなりますと、どうしても多数派対少数派といいましょうか、日本風に言いますと与党対野党という構図が前面に出てまいります。諸外国では少数派の権限を強化するというような議論もされてはいますけれども、やはり主としては、恐らく野党を担い手とするであろう統制機能が十分に機能しないと、こういう構造的な問題があるわけです。

 

○第186回国会 参議院 国の統治機構に関する調査会(平成26年5月21日)

▽委員

 内閣の在り方についてでありますが、平成13年における中央省庁再編の主な目標は内閣機能の強化でありました。改革の結果を生かして、首相が強いリーダーシップを発揮し、政治主導の国政を展開する内閣も現れるなど、一定の成果が上げられたものと考えられます。その一方で、十年余り経過した現在において、内閣府の肥大化ということが強く指摘をされまして、組織を整理する必要性が生じておると考えるところでございます。

▽委員

 憲法の国民主権の原理を根本に据えることが最も重要であると考えます。選挙で国民の多数を得さえすれば全て白紙委任されたかのように振る舞おうとする政権に対し、参考人から危惧の念が示されたということは重く受け止めるべきです。

 安倍総理は、私が最高責任者だと答弁し、半世紀近くにわたって国是とされてきた武器輸出三原則を放棄し、憲法九条をなきものとする集団的自衛権行使の解釈改憲も閣議決定で実施しようとしています。

 毎日新聞の調査では、憲法解釈の変更に反対が56%、集団的自衛権行使について反対が54%に上りました。また、共同通信の調査では、憲法解釈変更による行使容認に反対が51.3%、集団的自衛権行使容認に反対が48.1%となっており、どちらの調査でも集団的自衛権に反対の世論が賛成を上回っています国民世論はもちろん、国会や憲法も極端に軽視しており、到底許されるものではありません。

 1990年代以降、国民の政治不信を背景に進められてきたのが行政改革でもありました。強い内閣をつくるために、官僚主導から政治主導を口実に中央省庁の改革や独立行政法人の導入が進められ、それと一体に小選挙区制の導入、二大政党づくりが行われてきました。

 憲法は、言うまでもなく日本国の最高法規であり、国民主権の下で議院内閣制を採用しています。民意を鏡のように正確、公正に反映した国会の形成と、その国会から内閣総理大臣を指名し、民意を忠実に執行する内閣を組織することを憲法は要請しています。

 憲法は、国民主権の下で代表民主制を採用し、議会制民主主義を実現する国会を国の最高機関と位置付けています。議院内閣制における内閣の在り方を考える場合、権力を抑制し、統制する国会の役割は極めて重大です。

 参考人から、統治機構を考える場合、内閣や行政機関だけでなく国会の役割を含めて議論する必要性が提起されました。内閣機能強化とセットで国会のチェック機能の充実、統制機能の強化が図られるべきだったとの御意見を、国会は重く受け止めるべきだと考えます。国会は法律を議決する権限を持っており、議決に至るまでの審議のプロセスが重要だという指摘です。

 今、国会が行政を縛る立法機能を十分に果たせているのか、国の統治機構において国会の機能強化の必要性が提起されたことを受け止め、審議の形骸化はないか、点検、検証が必要であります。

 

○第189回国会 衆議院 予算委員会公聴会(平成27年3月9日)

▽公述人

 かつて橋本龍太郎内閣のもとで推進された橋本行革は、中央省庁再編と並んで内閣機能の強化が重要な柱とされていました。内閣府の設置、経済財政諮問会議の創設、民間人の登用のための制度の新設など、さまざまな制度改革がなされました。

 しかし、この制度改革が本当の真価を発揮したのは、その後、小泉内閣で制度がフル活用され、首相主導の枠組みが運用上確立していったときだったと考えられます。

 

○第189回国会 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(平成27年6月1日)

▽安倍内閣総理大臣
 我が国は、敵基地攻撃を目的とした装備体系は保有をしていない、個別的自衛権の行使としても敵基地を攻撃することは想定しないということはまずはっきりと申し上げておきたい。
 ましてや、集団的自衛権の行使として敵基地を攻撃することはそもそも想定していないということは申し上げておきたいと思います。

⇒なお「敵基地攻撃能力」は令和4年12月、岸田内閣により「反撃能力」として保有することが決定されました。

 

○昭和47年政府見解における「外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる」との文言の意味に関する質問に対する答弁書(平成27年6月2日)

 内閣総理大臣 安倍 晋三

「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成26年7月1日閣議決定)において示された憲法解釈は、憲法第9条の下でも例外的に「武力の行使」が許容される場合があるという御指摘の「昭和47年政府見解」において示されたものを含む従来の政府見解における同条の解釈の基本的な論理を維持し、その枠内で、「武力の行使」が許容される場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみがこれに当てはまると考えてきたこれまでの認識を改め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も、これに当てはまるとしたものである。

 

○第189回国会 衆議院 憲法審査会(平成27年6月4日)

▽委員

 率直にここでお話を聞きたいんですけれども、先生方は、今の安保法制、憲法違反だと思われますか。先生方が裁判官となるんだったら、どのように判断されますか。全員。三人とも。

▽参考人

 集団的自衛権の行使が許されるというその点について、私は憲法違反であるというふうに考えております。従来の政府見解の基本的な論理の枠内では説明がつきませんし、法的な安定性を大きく揺るがすものであるというふうに考えております。

▽参考人

 私も違憲と考えます。憲法九条に違反します。

▽参考人

 お二方の先生がおっしゃいましたように、今の言葉では、定義では踏み越えてしまったということで、やはり違憲の考え方に立っているところでございます。

 

○国会改革の経緯と論点(平成27年 7 月号)国立国会図書館

 与党事前審査制とは、内閣提出法案等について、事前に与党の審査手続で了承を得ることを国会提出の要件とする慣行であり、自民党長期政権下で発達した日本独特の制度である。

 内閣と与党の一体性を確保し、国会運営を円滑に行うために発達したものとされるが、与党議員の法案への賛否が国会提出前に決定されることから、同じく法案の国会提出前にかけられる党議拘束とともに、国会審議の空洞化の要因とも指摘されている。

 

○第189回国会 衆議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(平成27年7月15日)

▽委員

(安保法制について)安倍総理、きょう強行採決するんですか、きょう。安倍総理、本当に、国民の皆さんがこの法案を十分理解されている、説明を尽くされたというふうに総理はお思いでいらっしゃいますか。きょう強行採決を、委員長、するんですか。こんな、国民の理解がまだ得られていない中、強行採決というのは到底認められない。きょうの採決の撤回を求めます。

 法案のデメリットをお伺いしても、それはおっしゃらない。何度聞いてもおっしゃらない。自衛隊員のリスクも上がらない、つまり全部バラ色、全てマイナスはない、いいことずくめの法律。こんな説明を繰り返しているから、国民の皆さんの理解が進まないんですよ。

 私は、最大の問題は、総理がアメリカの議会で、夏までにこの法案を成立させる、こういうふうに明言をされたことから始まっているんじゃないかと思うんです。海外でそういう公約的なことをおっしゃって、夏までに成立させるというのがそこで決まってしまって、そこに突っ走っている。これは今、日本の国会ですよ。日本の国民の皆さんをないがしろにして、何でアメリカ議会、そこで公約しちゃうんですか。そこから話がおかしくなっているんじゃないのか。

 いずれにしても、きょう採決は到底容認できませんので、委員長、ぜひ質疑を終局しないでいただきたい。

▽委員

 国民の皆さんの理解が全く進んでいるとは思われない中で採決をするというのは、国会にあるまじき行為だと私は思うんです。

 今、国民の皆さんは反対反対と言われているけれども、後から私たちが正しいとわかってくれる、それは私たちが判断する方が正しいんだと、極めて上から目線で、俺たちの判断だけが正しいんだと言わんばかりの態度じゃないですか。これが問題なんです。

 採決をきょうするというのは、私はあり得ないと思う。しかも、国民の皆さんの反対の声は日増しに強まっていると私は思うんです。いろいろな世論調査を見ると反対、違憲だという声が過半を大きく超え、かつ、審議が尽くされていないという声が8割。

▽安倍内閣総理大臣

 世論調査の結果を見れば残念ながら国民の理解は進んでいないということでございまして、我々は、国民の理解が進むように、深まっていくようにさらに努力を重ねていきたい、このように考えております。

▽委員

 それでは、安倍総理は、この安保法制、機は熟している、決めるときには決めるという発言をこれまでされております。きょうはまさにその決めるときは決めるというタイミングになるんでしょうか。

▽安倍内閣総理大臣

 まさにこれは委員会においてお決めになることであろう、このように思います。

▽委員

 結局、地方の議会の理解も得られていない、国民の懸念、不安は日に日に高まる、有識者、専門家の疑念も全く払拭できていないということ、これが今の現状であります。

 何よりも、専門家が言うように、憲法学者が言うように、この法案は違憲だということに対して合憲だという明確な根拠を示せていないところが国民の不安を増大させているんだと思います。

▽委員

 衆議院憲法審査会では、自民党推薦の先生までがこれを憲法違反だと痛烈なだめ出しを出すという事態になりました。歴代内閣法制局長官経験者からもそろって憲法の範囲を逸脱していると懸念が表明される事態となりました。国民の不安も高まる一方、結果、審議日数を重ねれば重ねるほど、国民の理解は深まるどころか、今国会での法案成立に反対の声が日増しに増している状況ではありませんか。

 国民への丁寧な説明に努めていくといいながら、こんな採決のやり方は到底認められるものではありません。

▽委員長

 これより採決に移ります。

 内閣提出、自衛隊法の……(発言する者あり)自衛隊法の一部を改正する、我が国及び国際社会の平和安全及び……(発言する者あり)平和安全及び……(聴取不能)します。

 自衛隊法の……(聴取不能)する法律案の賛成の諸君の起立を求めます。〔賛成者起立〕

▽委員長

 起立多数。本案は賛成多数をもって成立いたしました。

 

○第189回国会 衆議院 本会議(平成27年7月16日)

▽議員

 安倍総理、総理は本当に採決するんでしょうか。今からでも遅くはありません。再考すべきです。

 国民の8割が政府の説明は不十分と言い、半数以上が政府の安全保障関連法案は憲法違反あるいは反対と答えています。平和を求めて国会を取り巻く若者たちは日に日にふえています。大多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官経験者、そして、長らく自民党において安全保障政策の責任者を務めてきた自民党元議員などが、声をそろえて、政府案は違憲またはその疑いが強いと断じているのです。

 そういう中で、強行採決をすることは、戦後日本の民主主義にとって大きな汚点になります。採決を取りやめ、憲法違反の政府案を撤回することを強く求めます。

 まず、政府の安全保障関連法案には、その内容以前に、大きな問題があります。

 第一に、法案の前提となっている昨年7月の閣議決定です。私は昨年の予算委員会で、集団的自衛権の問題を何度も取り上げました。しかし、安倍総理は、有識者懇談会や与党協議を理由に答弁を拒みました。そして、国会閉会後の7月1日、与党協議がまとまったその日に閣議決定したのです。

 そもそも、歴代内閣が否定してきた集団的自衛権の行使を認めるという、憲法改正に匹敵するような憲法解釈の変更です。本来であれば、国民の過半数の賛成を得て憲法改正すべきものです。国会での議論も国民の理解もなく、戦後70年間、歴代内閣と国会が積み上げてきた憲法解釈を、一内閣の独断で変更してしまったことは、大きな間違いです。

 第二に、米国議会で法案の成立を約束したことです。本来、国会に法案の審議と成立をお願いする立場の総理が、この夏までに成就させると期限を切って断言するなど、日本の国会での発言であったとしても大問題になる話です。それを米国議会で約束するなど前代未聞、国民無視、国会軽視ここにきわまれりです。

 メディアの調査によれば、この2カ月間の特別委員会での議論の中で、政府の安全保障関連法案に対する反対の声はより高まっています。総理や閣僚が答弁を重ねれば重ねるほど、国民の反対や疑問がふえ続けるという今までになかったことが起きているのです。安倍総理は、国民の理解を得ることに見事に失敗したのです。

 今、安倍総理がなすべきことは、政府案が国民の理解を得ることができなかったことを率直に認め、直ちに撤回することです。

▽議員

 政府・与党は、昨日の安保特別委員会での強行採決に続き、この本会議での採決を強行しようとしています。

 しかし、どんな世論調査でも、国民の5割以上が、この法案を憲法違反と批判しています。6割以上が、今国会での成立に反対と言っております。8割以上が、政府の説明は十分ではないと答えています。安倍総理自身、昨日の特別委員会で、国民の理解を得られていないのは事実だと認めたではありませんか。この事実を認めていながら、なぜ採決ができるのか。

 政府・与党の横暴は、憲法九条のじゅうりんというだけでなく、主権者である国民多数の意思をないがしろにする点で、国民主権の大原則をじゅうりんする歴史的暴挙であります。

 

○安保関連法案の衆議院強行採決に抗議する会長声明(平成27年7月16日)第二東京弁護士会会長

 当弁護士会は、本年5月19日に、安保関連法案について、立憲主義等に違反する憲法違反であると批判する会長声明を発している。

 本年6月4日には、衆議院憲法審査会で与党推薦を含む3名のすべての憲法学者が安保関連法案について「憲法違反」と断じ、その後も圧倒的多数の憲法学者が憲法違反ないしその疑いがあると評価した。このような問題のある法案は本来廃案にすべきであり、本国会での成立は審議が不十分であるとして、少なくとも慎重審議をすべきであるとの世論が多数であった。

 しかるに、政府は世論を無視し、設定した審議時間の基準を超えたことを理由に、7月15日、16日の両日、上記の違憲の疑いの極めて強い安保関連法案の採決を強行した。

 十分な審議もなく時間の経過を理由とし、議員の数を利用して採決を強行することは、国政を議会での審議に付託した国民主権原理に悖るといわざるを得ない。

 また、憲法に反する法律は、いかに国会で採決されようとも憲法違反であるとの瑕疵が治癒されることはない。憲法違反の法案を、時間制限と数の理屈で通過させたことは、憲法の最高法規性を無視し、立憲主義に悖るといわざるを得ない。

 近代立憲主義は、権力者の限定なき法適用による権力行使憲法によって制約することが人々の権利や自由を護るとして、最高規範としての憲法を厳格に解釈してきた。国際情勢の変化を強調しようとも、立憲主義違反の憲法解釈は、許されない。

 

○横浜地方公聴会速記録(平成27年9月16日)

▽公述人

 安全保障関連法案に反対する学者の会は、現在、学者の賛同者は1万3988名となっています。また現在、全国の137大学において法案反対の有志の会が結成されています。

 ふだん政治的な活動になじみのない学者の運動がこのように広がっているのは、かつてないことです。しかし、このかつてないことは、学者だけではなく、高校生にも、大学生にも、ママさんたちにも、中年の世代にも、そして高齢者の間でも、また労働者、医師、宗教者、芸術家、弁護士など社会各分野にも生まれていて、法案反対の運動は、文字どおり国民の全階層に大きく広がっています。

 その理由は言うまでもありません。今、日本の国民の多くが、戦後70年の間、日本国憲法の下でつくられてきた日本の国家社会の柱である平和主義、民主主義、そして立憲主義が危機にあることを認識し、安保関連法案が成立するようなことがあれば日本の国の形が根本的に覆されてしまうと考えているからです。

 安倍政権は、法案の合憲性を言い続け、集団的自衛権の根拠に最高裁の砂川判決を援用しています。しかし、こうした援用はまさに曲解であり、この問題に関わって発言しているほとんど全ての法律家が、すなわち憲法学者たち、弁護士の団体である日本弁護士連合会、歴代の内閣法制局長官、最高裁の元裁判官たち、そしてついには元最高裁判所長官まで法案の違憲性を断じるに至りました。

 法案の内容と並んで問題なのは、その進め方が民主主義と立憲主義に対する挑戦だということです。

 安倍首相は、決めるべきときに決めるのが民主主義だと言い、この四月にアメリカに約束した手前もあり、今国会で安保法案をどうしても成立させるつもりのようです。しかし、現在の深刻な問題は、国会の多数派と国民の多数派のねじれです。国会の多数派選挙の投票における国民の主権行使によって成立した多数派ですが、しかし、主権者国民は、その多数派に全くの白紙委任状を与えたわけではありません。ましてや、安保法案は憲法の平和主義を変えようとする重大な内容を持つものです。主権者国民を選挙のときだけの主権者に押し縮めること民主主義を形骸化させます。

 また、安保法案は審議が進むほど重大な問題点が続出し、国会が議論を尽くしたとは大多数の国民が考えていません。現在の民意に耳を傾けることこそ政治家の責務であり、安保法案の強行は、民意を無視し、民主主義、国民主権に背くものです。

 元々、安倍政権は日本国憲法の全面改正を目指しています。安倍首相は、憲法九十六条が規定する憲法改正手続のハードルを下げるために、九十六条を先行して改正することをもくろみました。しかし、これに対する国民の反発は大きく、また憲法全面改正も当面困難だという状況の下で、集団的自衛権を認め、憲法九条を骨抜きにする解釈改憲を図ったというのが7月の閣議決定でした。政府の権力をチェックする憲法を、チェックされる政府が自分の政策に都合のよいように変更したというのが事態の本質です。

 違憲の法案を国民の過半数の意思を無視して成立させることにいかなる道理もありません。二院制の下、参議院の独自性と良識に基づいて、全ての議員の皆様が国民の代表として、党議の拘束から離れて、国民の反対と不安を自分の目と耳でしっかりと認識し、法案の違憲性を判断して、法案を廃案にするために行動していただくことを心から希望いたします。

▽公述人

 国会は立法をするところです。政府に白紙委任を与える場所ではありません。ここまで重要な問題が審議において明確になり、今の法案が政府自身の説明とも重大な乖離がある状態でこの法案を通してしまう場合は、もはや国会に存在意義などありません。これは、単なる多数決主義であって民主主義ではありません

▽公述人

 国会の審議が進めば進むほど反対が大きくなっているというのが私の実感です。国会の前に多くの人が集まって、法案反対のデモンストレーションをしております。

 国会の審議の中で、事柄が明確になっていくのではなくて、ますます大きな問題点が国民の前に明らかになっていく。したがって、この法案が問題法案であるということを国会が確認をして、廃案にし、もし本当に本当に必要ならば、もっとちゃんとした法案を出すというのが国会のあるべき態度ではないかと。多くの国民もそれを求めていると思います。

 最近の世論調査でも、今国会で法案を成立させる必要はないというのが7割くらいになっているわけですね。さっき申し上げたように、国会の多数は確かに多数であって、最後には多数決で決めなければならないというのが民主主義のルールですけれども、これは、公述人がおっしゃったように、多数決主義ではなくて民主主義だという観点に立って今回の法案の審議の全体の経過を見渡すとすれば、まさに国民の多数を国会の多数がどう受け止めるかという問題になっていると思います。

 ですから、現在の国民の世論に耳を傾けることが国会の多数派の政治家としての責務だと、私は強く思います。

 審議は十分に尽くされたか、8割に近い国民がそうではないと言っているではありませんか。どうしてこういう国民の声を無視してこういう法案が強行されるのか、私にはほとんど理解できない。

 今回の法案は、これはどう考えても憲法九条に違反している。憲法に違反した法案をどうして国会が通すことができるのか。

 本当に、もっとしっかりした安全保障体制を考えようということであれば、憲法改正まで含めて正面から議論を立てたらどうなんでしょうか。それを抜きにして、私は、安倍総理の国会での答弁は国民をごまかしているのではないかと。誠実な答弁になっていないのではないかということを多くの国民は感じているわけです。

 ですから、法案を廃案にして最初からやり直す。憲法の改正が必要ならば、憲法の改正を正面から打ち出して理を尽くして国民に説明をする最後は国民が決めるわけです。今回はその国民の過半数が反対しているわけです。どうしてこれを国会が通すことをできるのかということを皆さん言っています。

 今回の違憲の法案は絶対に通すべきではありません。

 

○第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(平成27年9月17日)

▽本日の会議に付した案件
 安保法案(内閣提出、衆議院送付)など

▽委員長(鴻池祥肇君)

 私に対する不信任の動議がただいま手渡されました。佐藤正久理事に委員長の職務を委託いたします。

▽委員

 まだ会期が残っているにもかかわらず、この法案を途中で切り上げて、そして数の力で押し切ろうという姿は、たとえ鴻池委員長であっても、私はこの動議に賛成する以外にない、断腸の思いで私の不信任動議に対する賛成討論を終わらせていただきます。

▽理事

 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。

 これより採決に入ります。

 鴻池祥肇君不信任の動議に賛成の方の起立を願います。〔賛成者起立〕

▽理事

 起立少数と認めます。よって、本動議は賛成少数により否決されました。

 鴻池委員長の復席を願います。

 速記を止めてください。〔速記中止〕

〔理事佐藤正久君退席、委員長着席

▽委員長(鴻池祥肇君)……(発言する者多く、議場騒然、聴取不能

委員長退席〕午後四時三十六分

 本日の本委員会における委員長(鴻池祥肇君)復席の後の議事経過は、次のとおりである。

 速記を開始し、安保法案など、質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。

 

○安全保障関連法案採決に関する質問主意書(平成27年9月17日)衆議院議員

 安全保障関連法制は各種世論調査の結果8割の人が慎重に審議をすべきという結果が出ている。国民の十分な理解がない中で、政府与党は、何故強行採決を行ったのか。

▽上記質問に対する答弁書(平成27年9月29日)

 内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 麻生太郎

 お尋ねについては、国会の運営に関することであり、政府としてお答えする立場にはない。

 

○第189回国会 参議院 本会議(平成27年9月19日)

▽議員

 現在も、私は与党のあのような暴力的な強行採決は断じて認めるわけにはいきません。今も、国会の周辺に多くの方々が反対の声を上げて集まっていただいています。

▽議員

 まず、私は特別委員会においてあのような強行採決が行われたことを非常に残念に思います。委員会における議事録を確認しても、鴻池委員長の着席と退席の事実の記載しか残されておらず、何の採決が行われ、どのような結果になったのか、外形的には全く形跡が残っておりません

 切れ目のない安全保障は重要であっても、憲法無視の歯止めが掛からない安全保障や、対米追従で止めどのない安全保障は許されるものではありません。

 そもそも、集団的自衛権行使を認める今回の存立危機事態が、元最高裁長官、最高裁判事、歴代内閣法制局長官、さらには日本中の憲法学者など、かくも大多数の法律専門家から何ゆえ違憲であるとNGを突き付けられているのか、立法者である我々は専門家の意見にもっと謙虚に耳を傾ける責任があります。

 

○(平成27年9月19日)我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律が成立(通称:安保関連法, 安全保障関連法, 平和安全法制整備法, 安保法, 安保法制)

 

○安全保障法制改定法案の採決に抗議する会長声明(平成27年9月19日)日本弁護士連合会会長

 本日、参議院本会議において、平和安全法制整備法案などが採決された。

 本法案の国会審議が始まってからは、衆議院憲法審査会における3名の参考人をはじめとする多くの憲法学者、歴代の内閣法制局長官、さらには元最高裁判所長官を含む最高裁判所判事経験者が、本法案の違憲性を指摘するに至った。

 これに対し、国会における政府の説明は極めて不十分であり、本法案に対する国民の理解は深まることなく、今国会での本法案の成立に反対する意見が世論調査の多数を占めていた。

 こうした民意を無視して十分な審議を尽くさないまま、参議院特別委員会が採決を強行し、参議院本会議において本法案が採決されたことは、立憲民主主義国家としての我が国の歴史に大きな汚点を残したものであり、強く抗議する。

 

○安保特別委における採決に関する質問主意書(平成27年9月24日)参議院議員

 平成27年9月17日、安保特別委において、鴻池祥肇委員長の不信任動議採決に引き続き、審議中であった「安保法案採決」が行われたとされる件に関して、安倍内閣としての認識を確認すべく、以下質問する。

一 平成27年9月17日、安保特別委において安保法案採決は行われたのか、安倍内閣としての認識を明確に示されたい。

二 前記一に関して、安保法案採決が行われたとするならば、動議採決の後、どのような手続を経て採決されたのか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。

三 前記一及び二に関して、同日の会議録(未定稿)においては、理事佐藤正久君による「速記を止めてください。」との発言の後、「速記中止」、「理事佐藤正久君退席、委員長着席」とあり、次いで「委員長(鴻池祥肇君)…(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)」、「委員長退席 午後四時三十六分」とある。この会議録によれば採決が行われた事実はない。安倍内閣が、鴻池委員長復席の後、安保法案採決が行われたと認識しているならば、採決が行われた事実を証明し得る証拠を具体的に示されたい。

▽上記質問に対する答弁書(平成27年10月2日)

 内閣総理大臣臨時代理 国務大臣 麻生太郎

一から三までについて

 お尋ねについては、国会の運営に関することであり、政府としてお答えする立場にはない。

 

○第192回国会 参議院 内閣委員会(平成28年12月6日)

▽委員

 官民データ活用推進基本法案について反対の討論を行います。

 本法案は、ビッグデータや人工知能を活用した新しい産業イノベーションを起こすことを期待し、国や地方公共団体が管理する個人情報を含め、官民の電磁記録データの利活用を促進しようとするものです。これは、日本経団連が提言し、アベノミクス第三の矢とされる2016日本再興戦略で求められていた方向そのものです。

 個人の資産や所得、納税、疾病や健康等に関わる情報は、たとえ匿名化されたとしても、民間事業者への提供、マーケティングへの利活用等を促進することに国民的な合意があるとは到底言えません。

▽委員

 本法案では経済発展の名の下での官の情報の利活用ばかりに目が向き、事業者の利益最優先の内容になっていると言えます。

 

○(平成28年12月7日)官民データ活用推進基本法が成立。

 

○第196回国会 衆議院 本会議(平成30年1月25日)

▽内閣総理大臣(安倍晋三君)

 いわゆる敵基地攻撃については、日米の役割分担の中で、「米国の打撃力に依存」しており、日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていません。この点については、今後ともいささかの変更もありません

 

○第198回国会 参議院 決算委員会(平成31年4月15日)

▽委員

 小選挙区制が導入されてから、この選挙制度の意図のとおり、非常に強い内閣が誕生するようになりました。今の安倍政権がまさにそうだと思います。ただ、識者が繰り返し指摘をするのは、一方で、この強くなった行政府をチェックをする、監視をする様々な機関の権限の強化というものが一方で置き去りにされたのではないかと。

 

○「強すぎる官邸」ゆがむ官僚との関係、コロナで表面化(令和3年3月5日)朝日新聞デジタル

 優れた官僚が支えた戦後日本の政治は、平成に入った1989年前後から立ちゆかなくなる。国内外の問題は官僚主導の前例踏襲では解決不能で、政治の役割がより強く求められた。こうした状況のもとで「強い官邸」をめざす改革が進行する。

「安倍1強」と呼ばれた第2次安倍政権の政権運営は「強い官邸」が主導する政治をめざした平成の改革の完成型と呼ばれた。

 

 

(1/2)の内容は以上です。

(2/2)に続きます。(同時に投稿しています。)