(2023.12.03)

 

 

 当記事は、つぎの内容などを掲載しています。

 

○知的財産推進計画(令和3年、令和5年)

21世紀の最重要知財となったデータは、流通し、利活用されて初めて情報財として価値を発揮し、財産価値を高めるものであるため、データ流通・利活用を推進するための環境整備は、知財戦略としても喫緊の課題である。」

「データは智恵・価値・競争力の源泉であるとともに、課題先進国である日本の社会課題を解決する切り札と位置付けられる。」

 

○医療DXの推進に関する工程表(令和5年6月2日)医療DX推進本部決定

 民間事業者との連携も図りつつ、保健医療データの二次利用により、創薬、治験等の医薬産業やヘルスケア産業の振興に資することが可能となり、結果として、国民の健康寿命の延伸に貢献する。

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化を加速し、2024年秋に健康保険証を廃止する。こうした取組を通じて、医療等の情報を共有する全国的な基盤を構築する。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認は、医療DXの基盤である。

 

○岸田内閣総理大臣所信表明演説(令和5年10月23日)

「経済、経済、経済」、私は、何よりも経済に重点を置いていきます。

 

 

⇒国会議事録など(抜粋要約、時系列)はつぎのとおりです。

○第186回国会 衆議院 本会議(平成26年3月25日)

▽国務大臣

 健康・医療戦略推進法案について。

 健康長寿社会の形成に資する新たな産業活動の創出等について、基本理念及び国等の責務を定めております。

 

○(平成26年5月23日)健康・医療戦略推進法が成立。

 

健康・医療戦略(平成26年7月22日)閣議決定

 健康長寿社会の形成に資する産業活動の創出等により、我が国経済の成長に寄与する。

<医療情報・個人情報の利活用に関する制度>

 医療関連分野については、個人情報を含む医療情報等の利活用に関する整備のため、国民の理解を前提として、医療等分野におけるマイナンバーなどの番号制度基盤の活用検討、医療情報の活用に係る社会的ルールの明確化とともに、民間活力を利用した持続可能なデータ利活用制度の設計を行う。

<医療・介護・健康分野のデジタル基盤の利活用>

 既に分析、結果の利用が始まっているレセプトデータに係る事業の拡充に加え、まだ利活用が進んでいない検査データに関して大規模な収集・分析を行い、利活用を図る事業の創出、ICT及びデジタル基盤の利活用による質の高い効率的な医療サービス及び公的保険外のヘルスケアサービスの創出を推進する。

 

○第189回国会 衆議院 内閣委員会(平成27年5月13日)

▽参考人

 言うまでもありませんが、個人番号にひもづけられる個人情報が多ければ多いほど、また、その個人情報の質が高ければ高いほど個人番号を悪用しようとする者にとってはその利用価値が高くなります。悪意を持って他人の個人番号を入手しようとする者も増えるはずであります。

 

○第189回国会 衆議院 内閣委員会(平成27年5月15日)

▽大臣政務官

 財政制度等審議会では、医療・介護分野において、高齢者に対して利用者負担を求める際、マイナンバーも活用しつつ、所得だけでなく預貯金等の金融資産も勘案して負担能力を判断する仕組みとする必要があるのではないかと提案をさせていただいたところであります。

 

○経済財政運営と改革の基本方針2015(平成27年6月30日)内閣府HP

 医療保険、介護保険ともに、マイナンバーを活用すること等により、金融資産等の保有状況を考慮に入れた負担を求める仕組みについて、実施上の課題を整理しつつ、検討する。

 マイナンバー制度を活用し、徴税コストの削減を図るとともに、担税力を適切に捕捉するため、金融及び固定資産情報(登記、税情報を含む)と所得情報をマッチングするなど、マイナンバーをキーとした仕組みを早急に整備するとともに、税・社会保険料徴収の適正化を進める。

 

○(平成27年8月28日)個人情報保護法の一部を改正する法律が成立。

 

○第189回国会 衆議院 予算委員会(平成27年11月10日)

▽安倍内閣総理大臣

 例えばIoT、そしてビッグデータといった新たな分野への投資も喚起をしていく。それによって生産性は飛躍的に高まっていくわけであります。そうしたイノベーションを起こしていく考えであります。

 

○第190回国会 参議院 本会議(平成28年1月22日)

▽国務大臣

 世界は第4次産業革命と言われる、IoT、ビッグデータ、人工知能時代を迎えようとしています。昨年10月に設置をした未来投資に向けた官民対話等を通じ、未来社会の到来に向けた成長分野、投資分野について、官民でビジョンを共有し、必要な規制・制度改革については政府を挙げて迅速かつ効果的に対応してまいります。

 

○第2回経済財政諮問会議(平成28年2月18日)議事要旨

▽民間議員

 重要なのは、予防医療などを推進する広い健康長寿産業を作り上げることである。潜在的な需要はあるので、これを顕在化するということである。

 健康長寿産業を目指す際の出発点は、何といっても、予防インセンティブである。それを支えるのが、データヘルス、いわゆるビッグデータの分析等である。

 

○第9回経済財政諮問会議(平成28年5月18日)議事要旨

▽民間議員

 レセプトデータは、健診データを一緒に組み合わせてビッグデータの分析やAIに活用でき、最終的には第4次産業革命の大きなステップになる。これは日本でしかできない。ぜひとも健診データの構築をお願いしたい。

 

○第14回経済財政諮問会議(平成28年8月8日)議事要旨

▽民間議員

 経済の成長はあくまでも民間である。民間からの投資が増えていくよう、構造改革を進めていくべきである。例えば、健康立国に関係して、医療・介護はビッグデータやAIなど、第4次産業革命を活用でき、爆発的な投資の可能性がある

 

○第192回国会 参議院 内閣委員会(平成28年12月6日)

▽委員

 官民データ活用推進基本法案について反対の討論を行います。

 本法案は、ビッグデータや人工知能を活用した新しい産業イノベーションを起こすことを期待し、国や地方公共団体が管理する個人情報を含め、官民の電磁記録データの利活用を促進しようとするものです。これは、日本経団連が提言し、アベノミクス第三の矢とされる2016日本再興戦略で求められていた方向そのものです。

 個人の資産や所得、納税、疾病や健康等に関わる情報は、たとえ匿名化されたとしても、民間事業者への提供マーケティングへの利活用等を促進することに国民的な合意があるとは到底言えません。

▽委員

 本法案では経済発展の名の下での官の情報の利活用ばかりに目が向き事業者の利益最優先の内容になっていると言えます。

 

○(平成28年12月7日)官民データ活用推進基本法が成立。

 

○システム基盤技術検討会(平成29年2月17日)議事録

▽内閣官房

 官民データ活用推進基本法の概要につきまして御説明申し上げます。

「社会課題の解決」あるいは「GDP600兆円の実現」、そこへ向けて、原則IT、データ活用の推進を図ることによりまして、データを活用した新しいビジネス、イノベーションの創出ですとかデータに基づく農業、医療・介護、観光、金融等々、そういった改革を通じて、これら社会課題の解決等を目指すものでございます。

 この背景といたしましては、やはり近年スマートフォン、IoTの普及でビッグデータが非常に蓄積されつつある。その中で、我が国としても官民挙げてデータを積極活用していこうと、そういった機運を盛り上げる、これが一つです。

 また、AIについても、AIは投入されるデータの質・量を向上させることが重要ですので、そういった観点からも、このデータの収集・活用が必要である。

 平成27年に個人情報保護法が改正されて、パーソナルデータを安全に流通させるための匿名加工情報といった新たな規定が設けられ、パーソナルデータの活用が促進される制度ができました。

 今般、こうした制度化の流れを受け、データ活用を更に進めるため、原則IT、あるいは生成、流通、共有、活用されるデータ量の飛躍的拡大を目指して、官民データ利活用推進基本法が設けられました。

 12条は、個人に関する官民データに関する施策でございます。

 国は、個人に関する官民データの円滑な流通を促進するため、多様な主体が個人に関する官民データを、この個人の関与のもとで適正に活用できるようにするための基盤、プラットフォームの整備、その他必要な措置を講ずるものとするとされております。

 現在、PDS(Personal Data Store)ですとか、あるいは情報銀行、データ取引市場といったテーマを掲げてIT戦略本部で検討を進めているところでございますが、いずれにしろ、個人がしっかり関与した上で自分のデータを管理、さらには第三者による活用、そういった取組を進めることをここで規定しているところでございます。

 15条2項でございます。

 こちらは、多様な分野における横断的な官民データ活用による新たなサービス開発等に資するため、国、地方公共団体、事業者の情報システムの相互の連携を確保するための基盤、プラットフォームの整備、その他必要な措置を講ずるものとするということがここに明記されているところでございます。

▽経済産業省

 健康・医療・介護分野でございますけど、この分野で目指すべきところとしては、我が国は少子高齢化社会で先進国でございますので、その中で蓄積されている医療・介護の膨大なデータを利用して、世界一の医療技術先進国、介護技術先進国を目指していくという方向性を整理をしているということでございます。

 この分野ではデータの整備、連結というところが最も重要な課題なので真ん中に据えた上で、それを活用した健康・医療サービスを展開するとか、創薬や、介護施設にそういったAI技術を活用していくという流れを示しているところでございます。

 

○健康・医療戦略(平成29年2月17日)一部変更

 PHR(Personal Health Record)の実現、すなわち健康・医療・介護に分散している情報を個人単位として統合する際には、健康・医療関連の社会制度も変革が求められ、その流れの中で、新しいヘルスケア産業が創出されるなどの動きも期待される。

 国民の医療情報などの各種データの柔軟な形での統合を可能とする技術の実装、医療情報を広く収集し、安全に管理・匿名化を行い、利用につなげる制度についての法制上の措置等を行う。

 

○第193回国会 参議院 内閣委員会(平成29年3月7日)

▽国務大臣

 名目GDP600兆円経済の実現と2020年度の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指します。

 健康・医療戦略の観点からは、新しい医療・介護システムの基盤となる医療情報の利活用に関する法律案を提出する予定です。

 

○第193回国会 衆議院 内閣委員会(平成29年4月12日)

▽委員

 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律案について、幾つか御質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案も、昨年12月の、日本再興戦略に盛り込まれた医療におけるビッグデータの活用を促す法案だと認識しております。世界に先駆けて超高齢社会を迎える我が国では、課題解決先進国として、世界最高水準の医療や介護を実現していく必要があるわけでありますが、それが同時に我が国経済の成長にも大いに寄与するものと考えております。

 安倍政権では、健康・医療分野を単なる社会保障政策としてではなく、成長戦略の一環として、医療分野の先端的研究開発や健康、医療に関する新産業創出を推奨してきたと承知しております。

▽国務大臣

 安倍内閣といたしましては、成長戦略の柱の一つとして健康・医療戦略というものを位置づけさせていただいております。

 健康・医療戦略の中では、ICT化の柱の一つとして、医療情報というものを広く収集し、安全管理、匿名化を行い、利用につなげる制度についての法制上の措置を講ずることと明記されておりますので、これを受けまして、今回の法案によって、匿名化された医療情報がAI技術などと組み合わされて活用されて、医療の質の向上や、やはり何といっても成長していくためには新産業の創出というものが肝要でございますので、こういうものを通じまして健康長寿社会の実現につなげてまいりたい、こんなふうに整理をさせていただいているところでございます。

▽副大臣

 匿名加工医療情報につきましては、行政機関、学術研究機関及び製薬企業を初めとする民間事業者において利活用されることを想定しております。

 

○(平成29年4月28日)医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(通称:次世代医療基盤法, 医療基盤法, 匿名加工医療情報法)が成立。

 

○第196回国会 参議院 内閣委員会(平成30年4月17日)

▽国務大臣

 ロボットであったりとかAI、IoT、ビッグデータ、こういった第4次産業革命の様々なイノベーションを社会実装することによってSociety5.0を目指していきたい。

 人類史上これまで、狩猟社会から始まりまして、農耕社会、工業化社会、高度情報化社会、4つのレベルを歩んできたわけですが、5つ目のSociety5.0を目指すという形でありまして、政府としては、未来投資会議を中心に関係省庁がしっかりと連携して、医療、介護、様々な分野でビッグデータを活用して、健康医療革命などSociety5.0に向けた取組を推進しているところであります。

 

○第196回国会 参議院 内閣委員会(平成30年6月14日)

▽国務大臣

 これからはデータ駆動型の社会になっていきます。様々なデータを安全な形でしっかりと集め、それを例えばリアルなデータとして物づくりの現場で活用していく、さらには、予防であったりデータヘルス、こういう世界をつくっていく、そういったことは極めて重要であると思っております。

 

○第14回経済財政諮問会議(平成30年11月20日)議事要旨

▽民間議員

 今後、健診を受けていく上で、保険証機能をマイナンバーの中に入れ込み、健診データを通年で管理することで、マイナンバーの普及にも活用してはどうか。

 

○第16回経済財政諮問会議(平成30年12月10日)議事要旨

▽民間議員

 経済・財政一体改革を推進していく上で、是非お願いしたいのがマイナンバーカードの普及である。マイナンバーカードが普及しないと、これらの改革工程も進まない。ましてや、電子政府や地方行政におけるDX、また、データヘルスや、ゆくゆくは応能負担などの全世代型社会保障の推進においては、マイナンバーカードの活用が不可欠

 

○第198回国会 参議院 予算委員会(平成31年3月7日)

▽国務大臣

 日本独自の動きではありますが、民間においても既に個人データの保護を図りつつ利活用を促進するための取組がもうスタートしています。例えば、情報銀行や情報取引市場は、本人が自分の情報をコントロールすることを可能としながらもデータ流通の促進を図る、これは日本初の新しいモデルだと思います。

 

○第198回国会 参議院 経済産業委員会(平成31年3月14日)

▽政府参考人

 民間のビジネスということでございますけれども、個人からパーソナルデータを預かって、その当該個人の関与の下に第三者へ提供することを可能にする情報銀行などの取組が既に進んでおります。

 こうした民間ベースの動向ですとか、あるいは海外の動向も参考にしながら、データの移転あるいは開放のルールの在り方について今後検討していくことにしております。

 

○第198回国会 衆議院 経済産業委員会(平成31年4月17日)

▽政府参考人

 匿名加工医療情報についての御質問と承知をしておりますが、この法律は、医療機関等があらかじめ本人に通知を行いまして、本人が提供を拒否しない場合には、国が認定をしました事業者に対して医療情報を提供することを可能としたものでございます。

 

○第2回経済財政諮問会議(令和元年5月31日)議事要旨

▽民間議員

 個々人が生まれてから学校、職場に至るまで健診・検診情報の全てを2022年度までに電子化し、蓄積を推進するとともに、予防等に活用すべき。学校などは、デジタルデータになっていないところも多く、これを早くデジタルデータにするということが必要。また、このようなデータを蓄積できるのは世界でも日本以外になく、そういった意味で、大変な飛躍ができる大きなチャンスでもある。マイナポータルを活用するPHRとの関係を含めて対応を整理し、本年末までに工程化していただきたい。

 さらに、6月を目途に立ち上げることを予定しているPHR検討会において、しっかりと匿名化したデータをオープンにして、予防等に活用できることを含め、是非、検討を進めていただきたい。

 

○成長戦略フォローアップ (令和元年6月21日)首相官邸HP

 パーソナルデータの円滑な流通の実現に向け、データ流通市場における各プレーヤが実装すべき機能等のアーキテクチャを実証実験等を通じて取りまとめる。

 特に、パーソナルデータの第三者提供を行う「情報銀行」について、その多様化を見据えた認定ルールの見直しを2019年夏を目途に行い、これに基づく認定を加速させる。

 

○マイナポータルで提供可能なAPI機能について(令和元年10月2日)首相官邸HP

<マイナポータルのAPIで新たに実現されるサービス>

 マイナポータルで提供する機能を、行政機関だけではなく、企業や市民団体等の民間組織に対してもAPIとして提供することで、自己情報や検索機能を活用した新たな行政サービス・民間サービスの開発につながることが期待されます。

 

○健康・医療戦略(令和2年3月27日)閣議決定

 特異データ等を排除してしまうという匿名加工情報の課題等を踏まえ、個人情報等に配慮しつつ、商用目的を含む医療情報の利活用を更に推進するため、医療分野における仮名化等の在り方や、電子的方法による単回の包括的な本人同意等の簡潔な利活用要件の在り方について、法制化を含めて検討する。

 ヘルスケアデータを活用した民間サービスの創出に向けて、事業者等に求められる要件(セキュリティ等)、データの相互運用性や標準化の検討など、必要な基盤整備を進める。

 

○第8回経済財政諮問会議(令和2年5月29日)議事要旨

▽民間議員

 まず、マイナンバーカードの普及が重要であり、しっかりと国民に広報するとともに、カード所持のインセンティブを高めるため、マイナンバーカードと保険証の完全一体化について完了年度を決めてしっかりと進めていただきたい。

 

○第17回経済財政諮問会議(令和2年11月27日)議事要旨

▽民間議員

 社会保障を今後、持続可能なものにしていくためには、このマイナンバーを活用した応能負担の仕組みをしっかりとつくる必要がある。

 高齢者を中心に所得は低いが資産はある方々が多数おられると承知している。その方々と本当に困窮されている方々を同列に扱うということ自体、世代間・世代内双方の点で公平性に欠けるのではないか。

 

○第204回国会 参議院 本会議(令和3年4月14日)

▽国務大臣

 データは新たな価値を生むものであり、個人情報を含むデータについても、データガバナンスの確立を図りつつ活用していくことが重要です。

 民間の取組である情報銀行は、個人の同意の下、パーソナルデータを預かりデータを活用する我が国発の仕組みであり、データの提供履歴を本人が確認することが可能となっています。

 

○第204回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和3年5月7日)

▽政府参考人

 応能負担を取る場合に、これをより公平なものにしていくためには、所得だけでなく資産の保有状況も勘案することが重要であるというふうに考えてございます。

 具体的な実施方法については、マイナンバーの預貯金口座へのひもづけ、これも極めて重要な一つの方法ではないかというふうに考えておりますけれども、具体的な設計については、実効性あるいは公平性確保の観点から、引き続き関係省庁ともよく検討してまいりたいというふうに考えております。

 

○データヘルス改革に関する工程表について(令和3年6月4日)厚生労働省
  マイナポータル等を通じて、自身の保健医療情報を把握できるようにするとともに、UI(利用者と製品・サービスをつなぐ接点)にも優れた仕組みを構築する。
 患者本人が閲覧できる情報(健診情報等)は、医療機関や介護事業所でも閲覧可能とする仕組みを整備する。
(例)学校健診(私立等含む小中高大)

・マイナポータルで閲覧可能(2022年度中~)

・2024年度中に全国の学校で対応

 

○成長戦略フォローアップ(令和3年6月18日)首相官邸HP

 デジタル社会に不可欠なデータの利活用を促進し、データ流通量の増加を図るため、情報銀行によるデータの加工・仲介・分析機能の強化に向けた環境整備を2021年度に行い、その成果を踏まえて、2022年度中に情報銀行と自治体・地域事業者とのデータ連携による地域活性化や情報銀行をハブとしたデータポータビリティの実現に向けた検討を行い、データ連携に係る要件や仕様を取りまとめるとともに、必要な認定指針の見直しを行う。

 

○知的財産推進計画2021(令和3年7月13日)知的財産戦略本部

▽21世紀の最重要知財となったデータの活用促進に向けた環境整備(現状と課題)

 社会のデジタル化に伴いデータは智恵・価値・競争力の源泉となり、欧州や米国を始め諸外国はデジタル社会においてデータが国の豊かさや国際競争力の基盤であると捉え、新たにデータ戦略を策定しこれを強力に推進している。

 一方で日本は十分な活用が進まず迅速かつ的確な対応ができていない。

 このような状況下で、21世紀の最重要知財となったデータは、流通し、利活用されて初めて情報財として価値を発揮し、財産価値を高めるものであるため、データ流通・利活用を推進するための環境整備は、知財戦略としても喫緊の課題である。

 データが情報財として価値を発揮するには、国境を越えた自由なデータ流通を確保することも重要である。

 データの流通・活用促進環境を整えることで、知財としての価値あるデータ/情報財の形成に向けた投資が起爆し、新たな価値・収益を生みうる知財たるデータ資本が蓄積されるようにすることが重要である。

 

○第205回国会 衆議院 本会議(令和3年10月11日)

▽内閣総理大臣(岸田文雄君)

 国民の信頼と共感を最優先する政治姿勢を堅持し、丁寧な対話を積み重ねることで、真に国民が必要とする政策に取り組んでいく、こうしたことによってのみ民主主義の危機を乗り越えていけるものと信じております。

 

○第208回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和4年3月2日)

▽政府参考人

 民間のPHR事業者とマイナポータルとのAPI連携を通じて、国民が適切にPHRを利活用できる環境を整えるための基本的な指針も策定したところであります。

 

○第208回国会 参議院 文教科学委員会(令和4年3月8日)

▽国務大臣

 現在、政府では、生涯にわたる個人健康情報マイナポータルを用いて、電子記録として本人や家族が正確にこの把握を活用するための仕組みでございますPHRの構築を進めているところでございます。

 このような方針の下、既に特定健診や乳幼児健診の情報については本人や家族が閲覧できる仕組みが整備されておりますが、今年度からは、個人情報にも配慮して、学校健診診断についても仕組みの構築に向けて実証事業に着手しているところでありまして、来年度予算においても関係の経費を計上いたしているところでございます。

 

○第208回国会 衆議院 本会議(令和4年3月31日)

▽内閣総理大臣(岸田文雄君)

 政府として、まずはマイナポータルとPHR事業者の間でデータ利用の連携を開始するとともに、事業者に向けた個人情報保護等のガイドラインを策定したところです。

 今後、事業者間でのデータ標準化等につながる業種横断的な団体の設立支援等を通じて、より一層強力に、国民の健康づくりにつながる新たなサービスの創出に取り組んでまいります。

 

○第208回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和4年4月6日)

▽国務大臣

 保健医療分野におけるデータの利活用は非常に重要な課題であると考えています。

 厚生労働省では、人々が自身の健康医療情報を日常生活の改善につなげるPHRなど、データヘルス改革として保健医療分野におけるデータの利活用を推進してきているところであります。

 引き続き、官民におけるデータ利活用の環境整備を進めてまいりたいと思います。

 

○住民のマイナカードに誤って保険証機能を登録「想定外」解除できず(令和4年9月23日)京都新聞

 住民のマイナンバーカードを誤って健康保険証として使える「マイナ保険証」に登録していたことが分かった。市は住民に謝罪した。国によると、登録は解除できないという。

 いったん登録したマイナ保険証が削除できないことに関し、厚生労働省は「削除手順を整備していない。ひも付けによる不利益がなく、こうした要望が出ると想定していなかった」と説明している。

 

○「次世代医療基盤法」とは(令和4年10月)内閣府HP

 健診結果やカルテ等の個々人の医療情報を匿名加工し、医療分野の研究開発での活用を促進する法律。

 医療情報の第三者提供に際して、あらかじめ同意を求める個人情報保護法の特例法

 次世代医療基盤法においては、医療機関等は、あらかじめ本人に通知し、本人が提供を拒否しない場合、認定事業者に対して医療情報を提供することができる

 

○第210回国会 衆議院 予算委員会(令和4年10月18日)

▽岸田内閣総理大臣

 国民の皆様にマイナンバーカードで受診していただくことで、健康、医療に関する多くのデータに基づいたよりよい医療を受けていただくことが可能になるなど、カードと健康保険証の一体化には様々なメリットがあると思っております。そして、こうしたメリットをより多くの国民、関係者の皆様に早くお届けできるよう、カードと健康保険証の一体化を進めるため、令和6年秋の健康保険証の廃止を目指すことといたしました。

 

○(令和4年11月2日)個人情報保護委員会

 本件は、個人情報保護法の特別法として制定された次世代医療基盤法上の医療機関等が関与する事案である。

 医療機関の再委託先NTTデータが、プログラムの設定ミス等により、医療情報取扱事業の運用を開始した令和2年9月から令和4年7月15日までの間、通知が行われていない患者の医療情報を、認定事業者及び認定受託事業者としてのLDI及びNTTデータに漏えい(意図せず提供)した事案。

 漏えいした未通知患者の医療情報は、15医療機関、94,579名分である。

 自己の生命身体に関する極めて機微な情報である医療情報を本人たる患者が医療機関に提供する趣旨は、治療のためにこれを包み隠さず伝えることが不可欠であるという特殊性に起因する。すなわち、医療情報は、患者が治療という目的を達成するために選択の余地が極めて乏しい中で提供した情報であるという側面を持っているのであり、当該個人データの性質及びその量からすると、漏えい等が発生した場合のリスクは特に高く、医療機関においてはこれを常に意識し、当該個人データの取扱いに関して個人情報保護法を厳に遵守すること、とりわけ、高い水準の安全管理措置等を講じることが求められる。

 本件漏えいが事業開始当初から長期間発見されなかったことにも鑑みると、当該体制を生み出した各当事者において、改めて、根本的な意識改革を促す必要がある。

 

○第13回経済財政諮問会議(令和4年11月2日)議事要旨

▽民間議員

 2025年には団塊の世代が75歳以上になる中で、まさにこの応能負担を徹底した社会保障制度実現は待ったなし。今一度マイナンバーの活用拡大のために対応が必要。

 例えば、健康診断や受診記録等、健康増進や予防に活用できる大変多くのデータがある。マイナンバーを用いたPHRの活用基盤を早期に整備すべき。

 

○第210回国会 衆議院 総務委員会(令和4年12月6日)

▽委員

 9月23日付京都新聞には、「住民のマイナカードに誤って保険証機能を登録、想定外、解除できず」という報道がありました。

▽政府参考人

 一旦利用登録された後の取消し処理、これはできない取扱いとなってございまして、システムの仕組み上もできないこととなってございます。

 マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用は強制されるものではないということでございまして、取消し処理ができないことによる不利益は生じないものと考えてございます。

▽委員

 本人は登録しないでほしいと言っているんですから、不利益は生じています。

 

マイナンバーの利活用拡大に向けたロードマップ(概要)令和9年までの工程について(令和4年12月22日)経済財政諮問会議決定

資産情報とマイナンバーの紐付け

 預貯金口座へのマイナンバー付番を推進(〜令和6年)

 固定資産へのマイナンバーの紐付けについて地方自治体等における取組を推進。原則全ての市町村において自らの住民の固定資産とマイナンバーが紐付け可能(〜令和8年目途)

 など。

 

○次世代医療基盤法の見直しについて(令和4年12月27日)首相官邸HP

「次世代医療基盤法検討WG 中間とりまとめ(令和4年6月3日)」のポイント

 医療分野の研究開発ニーズを踏まえると、匿名加工医療情報は研究開発に活用しにくい

 現行法の匿名加工医療情報に加えて、新たに「仮名加工医療情報」(仮称) を創設する。

「仮名加工医療情報」とは、他の情報と照合しない限り、個人を特定できないよう加工した情報。

 医療情報の研究ニーズ社会的便益の観点から、新たに「仮名加工医療情報」の作成・提供を可能とする

 

○第211回国会 衆議院 予算委員会第七分科会(令和5年2月20日)

▽副大臣

 健康づくりを推進することは、国民の健康増進はもとより、ヘルスケア産業の育成による経済成長、これも期待できますし、ひいては持続可能な社会保障制度ということにもつながってまいります。

 

○第211回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会(令和5年3月14日)

▽国務大臣

 昨年12月策定のデジタル田園都市国家構想総合戦略では、医療全般にわたる情報について共有、交換できる全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、こういった医療・介護分野でのDXに関する具体的施策を位置づけたところであります。

 

○情報銀行で病歴や健診結果も 総務省会議、活用認める(令和5年3月15日)日本経済新聞

 総務省は15日、個人の情報を預かり企業に提供する「情報銀行」で扱える健康・医療分野のデータを拡大する指針案を示した。病歴や投薬記録、健康診断結果など、個人の健康に関わる機微なデータの収集を可能にする。用途は健康サービスのように個人に明確なメリットがあったり、公益性があったりする事業に限定する方針だ。

 情報銀行では現在、健康・医療分野で扱えるデータは体重や血圧、心拍数、酸素飽和度などに限られている。

 病歴や投薬記録、健康診断結果といった機微なデータを解禁することで、活用の幅は広がる

 健康・医療情報が流出した場合、悪用されれば個人に大きな損害が生じる恐れがある。総務省の有識者会議では利用が無制限に広がらないよう、情報の用途に制限を設けるかどうかや、対象とする情報の範囲をどう定めるかについて慎重に議論してきた。

 

○第211回国会 衆議院 本会議(令和5年3月16日)

▽国務大臣

 医療データの利活用についてお尋ねがありました。

 電子カルテ情報を含む保健医療情報については、個人のデータを自ら一元的に把握できるようになることで国民の更なる健康増進に寄与すること、データの二次利用による創薬が可能になることなどを目指して、全国医療情報プラットフォームの創設に向けた検討を進めているところであります。

 

○第211回国会 衆議院 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会(令和5年4月19日)

▽国務大臣

 マイナポータルのAPI連携で、民間の方に新たな付加価値をつけていただいて世の中に便利なサービスを出していくというのが、これは非常に大事だと思います。

 

○第211回国会 参議院 内閣委員会(令和5年5月16日)

▽委員

 いわゆる次世代医療基盤法改正案について質問に入らせていただきます。

▽政府参考人

 制度の見直しに向けたワーキンググループにおきましては、現行の匿名加工医療情報では、希少疾患についての研究、データに基づく精緻な研究、あるいは薬事申請のためのデータとしての活用等が難しいとの課題が指摘されたところでございます。これらの課題が匿名加工医療情報の利活用が必ずしも十分に進んでこなかった理由であると考えております。

 今回の改正におきましては、ほかの情報と照合しない限り個人を特定できないように加工いたしました仮名加工医療情報を利用できる仕組みを創設することとしております。

▽委員

 情報をより生の形で提供することができるので、使い勝手が良いということだと思いますが、新たな制度創設の趣旨をいま一度お聞かせ願います。

▽政府参考人

 仮名加工医療情報につきましては、匿名加工医療情報と比較した場合に、ほかの情報と照合することによりまして個人を特定することが可能な場合があるということで、悪意のある利用者がほかの情報と照合することで本人を特定し、権利利益の侵害を行うおそれがあることが否定できません

 こういうことで、改正案におきましては、仮名加工医療情報を利用する方、利用事業者につきましても、主務大臣が安全管理措置等を審査し、認定を行うとともに、本人を特定しようとする行為、いわゆる再識別の行為を禁止し、それから不正な行為を行った際の罰則を設ける、こういったことによりまして患者本人の権利利益が適切に図られる仕組みを構築したものでございます。

▽委員

 昨年、本人に通知されていない約9万5000名の方の医療情報が、自分が知らないうちに匿名加工されて第三者に提供される事態がありました。しかも、当該事業者は6月に事態発生の可能性を認識していたにもかかわらず、政府への報告は9月と大幅に遅れたと。

 この法律は医療分野の研究開発に資するために医療情報等の利活用の枠組みを定めるものですが、利活用の大前提となる国民の個人情報、医療情報についての安心、安全が確保されていない中で、いたずらに医療情報等について利活用を推進しようとすべきではないということを指摘して終わります。

▽委員 

 医療分野の研究開発によって国民の健康増進が図られ、難病の治療法確立などの技術進歩がもたらされる可能性を否定はいたしません。ただ、そのために、生命、身体に関する極めて機微な個人情報である医療情報が保護されないリスクを放置することは許されません。

 国が医療情報を守り抜いてくれるという信頼感が醸成できていない中で、医療ビジネスの発展のみに焦点を当て、利益追求を優先する本法律案には反対します。

 

○(令和5年5月17日)次世代医療基盤法の一部を改正する法律が成立。

 

○(経済同友会代表幹事)記者会見発言要旨(令和5年5月30日)文責: 経済同友会事務局

Q:マイナンバーカードに関して、誤登録や他人の情報を紐付けるミスが相次いでいる。経済同友会は、マイナンバーカードをデジタル化の基盤として推進する立場にあると思うが、混乱ぶりをどのように見ているのか。

(代表幹事)岸田政権が掲げる(行政手続きの)デジタル完結をしっかりとやり遂げてほしい。マイナンバー制度がなければ、将来的に医療、介護、年金、運転免許証等あらゆる(分野)に支障をきたす。

 マイナンバー制度は(あらゆる行政サービスの)中核に位置する。そのため、マイナンバー制度を(前提としたインフラを)しっかりと作り上げてほしい。

 インフラを構築し、最終的に(マイナンバー活用による)応能負担を実現してほしい。社会保障(分野におけるマイナンバーの活用)は大変重要な(社会)基盤になり、最終的には(個人の)資産を把握することも必要だと思う。(今回の一連のトラブルは)問題ではあるが、(マイナンバー制度の推進を)止めることは絶対にあってはならない

 

○医療DXの推進に関する工程表(令和5年6月2日)医療DX推進本部決定

 民間事業者との連携も図りつつ、保健医療データの二次利用により、創薬、治験等の医薬産業やヘルスケア産業の振興に資することが可能となり、結果として、国民の健康寿命の延伸に貢献する。

 まずは、2023年4月に、保険医療機関・薬局にオンライン資格確認等システムの導入を原則義務化するとともに、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を加速し、2024年秋に健康保険証を廃止する。こうした取組を通じて、医療等の情報を共有する全国的な基盤を構築する。

 マイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認は、医療DXの基盤である。

 誕生から現在までの生涯にわたる保健・医療・介護の情報を PHRとして自分自身で一元的に把握可能となり、個人の健康増進に寄与する。またその際に、ライフログデータ(個人の生活や活動をデジタル記録したデータ)の標準化等の環境整備が進むことにより、こうしたライフログデータ等の活用が可能になれば、疾病の予防などにもつながる。

 オンライン資格確認等システムを拡充し、保健・医療・介護の情報を共有可能な「全国医療情報プラットフォーム」を構築する。

 全国医療情報プラットフォームにおいて共有される医療情報の二次利用については、そのデータ提供の方針、信頼性の確保のあり方、連結の方法、審査の体制、法制上ありうる課題その他医療情報の二次活用にあたり必要となる論点について整理し、幅広く検討するため、2023年度中に検討体制を構築する。

 

○知的財産推進計画2023(令和5年6月9日)知的財産戦略本部

 世界で急速に進展・高度化しているデジタル化は、イノベーションを促進し、経済発展と社会的課題の解決を同時にもたらす大きな可能性を有している。データは智恵・価値・競争力の源泉であるとともに、課題先進国である日本の社会課題を解決する切り札と位置付けられる。

 我が国における個別分野のデータ取扱いルールの整備の動向として、次世代医療基盤法が挙げられる。同法は、健診結果やカルテ等の個々人の医療情報を匿名加工し、医療分野の研究開発での活用を促進することを目的としている。

 しかしながら、匿名加工医療情報については、希少な症例や特異値等の情報の提供が困難であったり、薬事目的利用の前提であるデータの真正性を確保するための元データに立ち返った検証ができない等の課題が指摘されている。

 このような医療研究の現場ニーズに的確に応えるデータ利用の在り方等について、2023年3月に次世代医療基盤法の一部を改正する法律案が国会に提出され、同年5月に成立した。

 改正法においては、仮名加工医療情報の利活用に係る仕組みの創設や NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)等の公的データベースとの連結を可能にする内容などが盛り込まれている。

 これにより、希少な症例や特異値等の情報を研究開発に活用することができるようになり、医療情報を活用した研究開発の可能性が拡大することが期待される。

 

○経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日)閣議決定

 マイナンバーカードによるオンライン資格確認の用途拡大や正確なデータ登録の取組を進め、2024年秋に健康保険証を廃止する。

 レセプト・特定健診情報等に加え、介護保険、母子保健、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療介護全般にわたる情報を共有・交換できる「全国医療情報プラットフォーム」の創設及び電子カルテ情報の標準化等を進めるとともに、PHRとして本人が検査結果等を確認し、自らの健康づくりに活用できる仕組みを整備する。

 その他、新しい医療技術の開発や創薬のための医療情報の二次利活用、「診療報酬改定DX」による医療機関等の間接コスト等の軽減を進める。

 

○(経済同友会代表幹事)記者会見発言要旨(令和5年6月28日)文責: 経済同友会事務局

 重要なのは、デジタル社会において、マイナンバーは非常に重要なインフラであるという点だ。絶対に後戻りせず、しっかり進めてほしい。そして、国民の不安や懸念を払拭すべくしっかりと対応していただきたい。

(現行の)健康保険証廃止が2024年の秋と聞いているが、これに間に合うように仕上げることだ。私達民間からすれば「納期」は非常に重要であり、(期日を)守ってやり遂げることは日本の重要な文化である。健康保険証の廃止については必ず実現するよう、これを「納期」として向けてしっかりとやっていただきたい。

 

○マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会(令和5年8月8日)資料

 マイナンバーカードの健康保険証利用登録は「任意の手続」であることを踏まえ、利用登録の解除を希望する方については、資格確認書の申請を条件とした上で、任意に解除の手続を行うことができるよう、システム改修を行う。

 

○医療・ヘルスケアデータをめぐる産業界の動きが熱い(令和5年9月12日)ミクスonline

「大量の医療・ヘルスケアデータを有するものが、次の世代の医療・健康ビジネスをリードする」

 政府の医療DX推進本部がヘルスケア領域でのDX化の工程表を示したことで、製薬企業はもとより、医療機器、検査薬、食品、さらにはIT企業や損保・保険業界からデータビジネスに参入する動きが強まっている。7月に発足した「PHRサービス事業協会」には、121事業者が参加表明。PHRの利活用についての議論を開始した。

 経産省主導の協会ではあるが、新たなビジネスモデルの創造やサービスソリューション開発の方向性をめぐる議論が俄然熱くなってきた。

 すでに大手製薬企業を中心に大量のヘルスケアデータを活かすビジネスソリューション開発とサービス提供に取り組んでおり、その流れは製薬業界全体に波及する可能性を秘めるといっても過言ではない。ますます熱い視線が注がれるだろう。

 

○第13回経済財政諮問会議(平成5年10月10日)議事要旨

▽民間議員

 データの二次活用も含めて、データの活用に関する規制に注目し、改革を思い切って加速すべき。データの活用を進めることにより、予防医療や免疫に関する分野はニューフロンティアになり得る。また、若い方々の健康にとっても重要な分野。また、スタートアップの創出も期待でき、民間企業の相当な投資機会にもつながる。イノベーションによって、革新的なサービスが生み出される可能性が非常に高い分野ではないか。

 

○「マイナンバー制度の問題点と解決策」に関する提言(2023年10月10日)一般社団法人情報システム学会

 本提言書で問題点として指摘しているのは、「マイナンバー法に書かれた目的実現のために必要となるマイナンバー制度の制度設計の内容に、根本的な不良があること」である。そして、「その設計不良のままデジタル化を推進してしまうと、目的を実現するのに遠回り(情報システム開発の費用と時間が膨大にかかるなど)だっだり、設計不良が別の大きな社会問題を誘引してしまう」ことである。

 言い換えると、制度目的は正しいが、制度の実装方法(情報システムの設計・開発と運用)に不良があることにより、現在の設計のまま推進してしまうと、国民にとって不利益の方が大きくなってしまうという懸念である。

 設計不良発生の原因を一言でいうと、マイナンバー制度で実現させようとしていることが多すぎるため、一貫したIT戦略と業務改革の方向性を描けず、情報システムの設計・開発の目標が不明確かつ曖昧になってしまっている点にある。

 現在のマイナンバー制度では、マイナンバーカードは最高保証レベルの当人確認用の所有物として使用することを前提に設計されている。言い換えると「マイナンバーカード+暗証番号」を使用すれば、様々なことが何でもできるという設計なのである。しかし、裏を返せば「マイナンバーカード+暗証番号」が悪用された時も、何でもできてしまうということでもある。

 一方で、マイナンバーカードは身元証明書として常時携行する設計にもなっている。現実世界に例えると、実印を常時携行しなさいという制度設計に近い。その際のセキュリティが4桁暗証番号だけというのは、余りに脆弱であると言わざるを得ない。

 当然、マイナンバーカードを常時携行すれば、盗難被害に遭う人が増えてしまう。マイナンバーカードは最高保証レベルの当人確認の所有物であるので、犯罪ターゲットになりやすく、マイナンバーカードを使用して利用できる情報システムが増えれば増えるほど、マイナンバーカードに関わる犯罪が増えることになるだろう。

 これは、現在のマイナンバー制度の設計者に、情報システムの運用視点と、ユーザーがどのようにしてマイナンバーカードを使用するかというユーザー視点が欠如していることから発生する問題である。

 現在のマイナンバーカードの利用は一旦停止して、マイナンバー制度を設計し直し、再出発することが必須である。

 一見遠回りのように見えるが、現在のマイナンバーカードに拘らず、一旦歩みを中断してでも、「マイナンバー制度のシステム再設計を行うことが、マイナンバー制度の目的実現と日本社会のデジタル化推進の近道になる」ことを申し添える。

 

○岸田内閣総理大臣所信表明演説(令和5年10月23日)

「経済、経済、経済」、私は、何よりも経済に重点を置いていきます。

 

○全世代型社会保障構築会議(令和5年10月31日)

▽医療DXの推進(日本経済団体連合会)提出資料

 全国医療情報プラットフォーム構築に向けて、オンライン資格確認等システムについては、マイナ保険証に対する国民の不安を払拭するとともに、早期に全国規模での利活用が進むよう、整備を着実に進めるべきである。

▽医療・介護分野等におけるDXの推進(経済同友会)提出資料

・電子カルテ標準化や全国医療情報プラットフォーム構築の加速

PHRを活用した民間サービスの充実に向けた、散在する健康・医療・介護情報のデジタル化・標準化等の事業環境整備

個人データ提供を促すインセンティブ設計と匿名データの利活用推進

 

○第212回国会 衆議院 厚生労働委員会(令和5年11月1日)

▽国務大臣

 デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードを活用したマイナ保険証は、デジタル社会における質の高い持続可能な医療の実現に必要不可欠であり、国民の皆様が健康医療情報に基づいたよりよい医療を受けることを可能にするものです。

 

○第212回国会 衆議院 総務委員会(令和5年11月7日)

▽政府参考人

 マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録につきましては、現在システム上、一度登録した後の解除ができない仕組みとなってございますけれども、国会での御指摘をいただいたことなども踏まえて検討いたしまして、マイナンバーカードの健康保険証利用登録は任意の手続であるということを踏まえまして、利用登録の解除を希望する方については任意に解除の手続を行うことができるようシステム改修を行うこととされたものでございます。

▽委員

 任意だから当たり前ですね。

 いつから解除できるんですか。

▽政府参考人

 これから必要なシステム改修のための費用を確保いたしました上で、必要な検討を行って、来年秋の保険証の廃止までには、解除を希望される方が任意に解除の手続を行っていただけるよう進めてまいりたいというふうに考えてございます。

▽委員

 なぜ最初に解除できないようなシステムを作ったのか。それには予算も使っているでしょう。そして、解除しようと思ったら新たなシステム開発が必要で、新たな予算も必要だ、こういうお答えなんですね。

 一番最初にそういうシステムを発注したのはどこなのか。そういう政策決定をやった決裁文書を出していただきたいんですけれども、お答えいただけますか。

▽政府参考人

 当時の関係資料でございますけれども、具体的に、お求めの内容を見させていただきまして、適切に対応させていただきたいと考えてございます。

 

○マイナ保険証への原則一本化方針を撤回し、現行保険証の発行存続を求める意見書(令和5年11月14日)日本弁護士連合会

 マイナ保険証への一本化を原則とするという方針は、国民皆保険制度の下、マイナンバーカードの取得を事実上強制するものであって、番号法の任意取得の原則に反するものである。

 政府の方針は、あくまでもマイナ保険証一本化への移行実現自体を維持することを第一目的としているとしか考えられず、極めて不合理である。

 現在、マイナ保険証とオンライン資格確認等システムの整備に伴い、自分の診療・投薬情報、特定健診情報等との結合が当然の前提とされており、これに同意しない手続が存在しない

 包括的連携を拒む手続が保障されていない現在のマイナ保険証のシステムは、プライバシー保障に欠ける

 患者の、自己の医療情報にかかるコントロール権をないがしろにするシステムであるといわなければならない。

 マイナンバーカードの多目的利用自体に関しても、国は、利便性を重視して、マイナポータルで閲覧できる情報をどんどん増加させている。しかし、閲覧できる情報が多くなるということは、マイナンバーカードとパスワードが第三者の手に渡れば、なりすましによりマイナポータルにアクセスされ、世帯情報、勤務先、所得に関する情報から、いつ、どこの医療機関にかかって、どのような薬を処方されたか、特定健診の結果(身長、体重、腹囲、血圧、尿検査・血液検査結果等)、出産給付情報などに至るまで、極めて広範なプライバシーに関する情報を不正閲覧されてしまうなど様々な危険に直面させられる可能性が生じる

 

○令和6年度予算の編成等に関する建議(令和5年11月20日)財政制度等審議会

 医療保険・介護保険における負担の在り方全般について、マイナンバーの活用により金融資産の保有状況も勘案して負担能力を判定するための具体的な制度設計について検討すべきである。

 マイナ保険証は電子処方箋等をはじめ医療DX推進の基礎となるものであり、利用することで過去の診療・投薬の履歴を患者や担当医が参照することが可能であるが、マイナ保険証利用率は低い水準にとどまっている。

 医療DXについては、工程表に沿って着実に進めていく必要がある。また、全国医療情報プラットフォームの構築により、電子カルテ情報や予防接種情報等についても共有可能となる。

 

 

 時系列の内容は以上です。

 

 

 最後に。

 つぎの内容を前述しました。

▽知的財産推進計画

 データは智恵・価値・競争力の源泉であるとともに、課題先進国である日本の社会課題を解決する切り札と位置付けられる。

▽岸田総理

「経済、経済、経済」、私は、何よりも経済に重点を置いていきます。

▽一般社団法人情報システム学会

 マイナンバー制度の制度設計の内容に、根本的な不良がある。

 現在のマイナンバー制度の設計者に、情報システムの運用視点と、ユーザーがどのようにしてマイナンバーカードを使用するかというユーザー視点が欠如している。

 

 憲法についての内容ですが、「個人の尊重」「全体的利益」などについて、つぎの宣言があります。

○立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言(平成17年11月11日)日本弁護士連合会(抜粋要約)

 日本国憲法は、「個人の尊重」と「法の支配」を中核とする「立憲主義」に基づくものであり、すなわち、すべての人々が個人として尊重されるために、最高法規として国家権力を制限し、人権保障などをはかるという理念を基盤とした憲法である。

「個人の尊重」とは、人間社会における価値の根源が個人にあるとし、何にも勝って個人を尊重しようとするものである。一方では利己主義を否定し、他方では全体主義を否定することで、すべての人間を自由・平等な人格として尊重しようとするものであり、個人主義とも言われる。そして、憲法の基本原理である国民主権基本的人権の尊重も、ともにこの「個人の尊重」に由来している。

「法の支配」とは、専断的な国家権力の支配(人による支配)を排斥し、権力を法で拘束することによって、国民の基本的人権を擁護することを目的とするものである。

「国民主権」とは、国政についての最高決定権が国民にあり、国の政治のあり方を最終的に決定するのは国民である、とする考え方である。

 改憲論の中には、憲法の「公共の福祉」概念が人権相互の調整原理と解されることを批判し、「公益や公の秩序」、「国民の責務」などの概念を導入して、国家的利益や全体的利益を優先させ、人権を制限しようとするものがある。しかし、「公益及び公の秩序」、「国民の責務」などの個々の基本的人権を超越した抽象的な概念を人権の制約根拠とすることを認めれば、基本的人権の制約は容易となり、人権制約の合憲性についての司法審査もその機能を著しく低下させることとなる。

 

 

 全体的利益の名のもとに、軽視されている視点があり、「根本的な不良」などは、その結果としての一つの顕れではないかと感じています。

 

 

 以上です。