(2023.11.12)

(2023.12.26更新)文末の健康被害救済制度(12/25時点)において認定された症状について更新しました。

 

 

 ファイザー社新型コロナワクチン接種後の「間質性肺炎」に係る事例(副反応疑い報告)のうち4例の症例経過、専門家コメント(抜粋要約)などを掲載します。

 

 

▽89歳の男性

 病歴等:胸膜石灰化など。

 9月8日 男性患者はワクチン4回目接種を受けた。

 その後、労作時の呼吸困難が徐々に増悪した。

 9月22日(ワクチン接種14日後)呼吸困難による体動困難のため、救急搬送された。

 CTで両肺にびまん性すりガラス影を認めた。

 間質性肺炎と診断された。急性発症の肺障害と考えられた。

 患者は入院した。

 労作時の著明な低酸素血症をきたしてベッド上での長期臥床が続いた。

 経口摂取困難となり、肝障害が進行した。

 10月27日(ワクチン接種49日後多臓器不全のため、死亡した

 報告された死因:間質性肺炎。

 報告医師は事象を重篤(死亡)と分類し、事象はワクチンに関連ありと評価した。他要因の可能性はC型肝炎と糖尿病であった。

 報告医師コメント:4回目に投与したコミナティの副反応による間質性肺炎が、全身状態悪化に寄与したものと考えた。

<専門家コメント(令和5年10月27日時点)>

 ワクチン接種後の間質性肺炎発症あるいは間質性肺炎の増悪は以前より可能性が報告されており、本事例も副反応である可能性があるが、その他の原因によるものかどうかは鑑別ができない

 

 

▽69歳の男性

 病歴等:基礎疾患なし。

 6月27日 男性患者はワクチン2回目接種を受けた。

 6月29日(ワクチン接種2日後倦怠感を自覚した。

 7月4日(ワクチン接種7日後)発熱および喀痰があり、病院を受診した。

 胸部CTにて両肺にすりガラス陰影を認めた。急性肺炎と診断された。

 7月12日(ワクチン接種15日後)呼吸困難の増悪がみられ、検査にて炎症所見の増悪を認めた。入院した。

 胸部CTは両肺のすりガラス陰影の増悪を認めた。

 7月14日(ワクチン接種17日後)急性間質性肺炎と診断された。

 7月17日(ワクチン接種20日後)呼吸不全の進行により死亡した

 死因は間質性肺炎、急性肺炎および呼吸不全の進行であった。

 報告医は事象の間質性肺炎を重篤(死亡)と分類し、事象とワクチンとの因果関係を関連ありと評価した。その他可能性のある要因:接種後に偶然、抗合成酵素症候群が起こった可能性はある。

<専門家コメント(令和5年10月27日時点)>

 抗合成酵素症候群による急性進行性間質性肺炎とされる症例。患者に基礎疾患はない。時間経過からワクチン接種との関連を否定はできない。今後、情報の収集と解析が必要である。

 

 

▽85歳の男性

 病歴等:予診票での留意点なし。

 5月25日 男性患者はワクチン1回目接種を受けた。

 5月30日(ワクチン接種5日後)呼吸困難を主訴に、病院で受診した。

 胸部CT上、両側肺野のスリガラス影、右胸水を認めた。

 急性間質性肺炎と診断された。

 6月4日(ワクチン接種10日後死亡した

 報告医師は本事象を重篤(死亡)と分類し、事象とワクチンとの因果関係を関連ありと評価した。他要因の可能性はなしであった。

<専門家コメント(令和3年6月23日時点)>

 急性間質性肺炎/IPF急性増悪の症例である。本疾患は副作用として発現することは起こり得ると考えられるが、現時点では肯定も否定もできない。

<専門家コメント(令和3年7月7日時点)>

 喫煙歴不明だが高齢の男性であることから、元々、間質性肺炎が存在していた可能性がある。ワクチン接種を契機に間質性肺炎が増悪した可能性は否定できない。ただし、右胸水に関しては、間質性肺炎だけでは説明できず、何らかの別の疾患の存在も想定される。

<専門家コメント(令和3年7月7日時点)>

 間質性肺炎と判定するのに情報が不足している。

<専門家コメント(令和3年8月25日時点)>

 ワクチン接種4日で両肺にすりガラス影を認め、死亡している。心不全で説明は困難であり、何らかの間質性肺障害を起こしているものと思われる。ワクチン接種との因果関係は不明で、その他の原因による急性間質性肺炎も否定できない。

<専門家コメント(令和5年10月27日時点)>

 令和3年8月25日から変更なし。

 

 

▽70歳の女性

 病歴等:高血圧症などで通院中。

 8月5日 女性患者はワクチン2回目接種を受けた。

(8/6~8/7)38度台の発熱が出現した。

 8月8日(ワクチン接種3日後)自然解熱したが、腹痛・嘔気が始まった。

 8月11日(ワクチン接種6日後)16:30頃、腹痛の改善なく受診した。

 17:00、原因精査のために検査を行う提案をしていたところ、突然、呼吸状態が悪化した(眼球上転していた)。

 ショック状態であった。原因精査・加療のためにA院に受け入れ要請を行い、救急搬送を行った。

 精査を行い、CTで間質性肺炎を疑う肺炎像が両肺野に見られた。

 徐々に呼吸状態が悪化した。

 A院での呼吸管理が難しいと判断され、B院へ転送となった。

 救急車の中でも呼吸状態は悪化し、徐々に自発呼吸が弱まり、B院到着後すぐに心肺停止となった。

 23:19死亡した

 B院で撮影されたCTでは肺水腫となっていた。

 間質性肺炎から肺水腫となり、死亡につながった可能性が示唆された。

 間質性肺炎に至った要因について、ワクチンの副反応が疑われ、本報告書が提出された。

 報告医師は、事象を重篤(死亡)と分類し、事象がワクチンと関連ありと評価した。他の要因の可能性はなかった。

 報告医師コメント:ワクチン接種後から、発熱、腹痛/嘔気、呼吸困難によるショック、死亡と症状の移り変わりはあるものの、これらの症状は一連の病態と考えられる。呼吸困難の要因として、CT検査で間質性肺炎を疑う陰影が確認されており、間質性肺炎の発症に至った要因について白血球数増加があり、アレルギー反応が示唆された。ワクチン以外の外的要因はなく、副反応が疑われた

<専門家コメント(令和5年10月27日時点)>

 ワクチンが間質性肺炎を引き起こし死亡の原因となった可能性は否定できないが、ショック状態での撮影CTで、様々な修飾が加わっていた可能性も十分考えられる。症例票の情報で明確な判断を下すのは困難と考える。

 

 

 事例は以上です。

 

 

⇒参考として、これまで健康被害救済制度(12/25時点)において認定された事例の一部はつぎのとおりです。

▽女、48歳、間質性肺炎

▽女、51歳、間質性肺炎

▽女、54歳、急性間質性肺炎

▽男、54歳、間質性肺炎の増悪

▽女、54歳、皮膚筋炎、間質性肺炎、急性呼吸不全

▽女、56歳、間質性肺炎

▽男、58歳、急性間質性肺炎

▽女、59歳、薬剤性間質性肺炎

▽男、59歳、間質性肺炎

▽男、60歳、間質性肺炎の増悪

▽女、61歳、間質性肺炎

▽男、61歳、中毒疹、間質性肺炎

▽男、62歳、急性間質性肺炎

▽男、62歳、間質性肺炎

▽女、62歳、間質性肺炎、皮膚筋炎

▽女、64歳、急性心筋梗塞、心室中隔穿孔、多臓器不全、DIC、敗血症、間質性肺炎

▽女、65歳、間質性肺炎の増悪

▽男、66歳、呼吸不全、間質性肺炎

▽男、67歳、間質性肺炎

▽女、68歳、発熱、倦怠感、腰痛、間質性肺炎、顕微鏡的多発血管炎の急性増悪

▽男、68歳、間質性肺炎

▽男、69歳、間質性肺炎の急性増悪

▽男、70歳、間質性肺炎、ANCA関連血管炎

▽男、72歳、間質性肺炎の増悪、消化管穿孔、たこつぼ型心筋症

▽男、72歳、間質性肺炎の増悪

▽女、73歳、間質性肺炎

▽男、73歳、間質性肺炎

▽男、73歳、間質性肺炎急性増悪

▽男、74歳、間質性肺炎急性憎悪

▽男、74歳、間質性肺炎急性増悪

▽女、74歳、間質性肺炎の疑い

▽女、75歳、間質性肺炎、中毒疹

▽男、75歳、間質性肺炎の急性増悪

▽女、76歳、急性間質性肺炎

▽男、77歳、陳旧性心筋梗塞、心肺停止、心室細動、間質性肺炎

▽男、77歳、間質性肺炎の急性増悪

▽男、78歳、左顔面神経麻痺、間質性肺炎の増悪

▽男、78歳、間質性肺炎

▽男、80歳、間質性肺炎

▽男、80歳、間質性肺炎、重症筋無力症

▽男、80歳、間質性肺炎

▽男、80歳、間質性肺炎

▽女、81歳、間質性肺炎の急性増悪、低ナトリウム血症

▽女、81歳、アテローム血栓性脳梗塞、間質性肺炎増悪

▽男、82歳、間質性肺炎

▽男、82歳、間質性肺炎の急性増悪、急性心臓死

▽女、84歳、間質性肺炎の増悪

▽男、84歳、間質性肺炎の急性増悪

▽男、84歳、間質性肺炎、廃用症候群

▽男、85歳、間質性肺炎

▽男、87歳、間質性肺炎増悪、気胸

▽女、87歳、間質性肺炎

▽男、87歳、間質性肺炎の急性増悪

▽女、87歳、間質性肺炎の増悪

▽女、87歳、間質性肺炎の急性増悪

▽女、90歳、間質性肺炎急性増悪

▽女、90歳、間質性肺炎

▽男、91歳、間質性肺炎急性増悪

▽男、91歳、間質性肺炎の増悪

 

 

<備考>

〇ワクチン分科会副反応検討部会資料

 薬機法に基づく製造販売業者からの副反応疑い報告状況について(コミナティ筋注・集計対象期間における基礎疾患等及び症例経過)