(2023.3.4)

 

 

「主体的」であることについての内容です。(当記事タイトルは、後掲している国会議事録より引用したものです。)

 

 

 まず、マスクの着用の考え方(3月13日から適用)については、基本的対処方針において

「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることを基本とする。」

「本人の意思に反してマスクの着脱を強いることがないよう、個人の主体的な判断が尊重されるよう周知していく。」

 などと記載されています。

 なお、感染症法上の位置づけが変更(5月8日予定)された以降は、上記の基本的対処方針そのものが、廃止されます。

 

⇒しかし、「主体的」であることとは曖昧なものであり、干渉、コントロールされ得るものだと感じています。

 

 

 自ら、主体的に判断、選択、決定した事象であると、感じるものについて。

 たとえば、詐欺や脅迫によって行ってしまった契約は、主体的に判断した事象と言えるのでしょうか。

 たとえば、サブリミナル効果の影響を受けた選択は、主体的に選択した事象と言えるのでしょうか。

 心臓の鼓動は、意識して行っている訳ではありませんが、主体的に決定している事象と言えるのでしょうか。

 幼児、認知症患者、心神喪失者などの意思無能力者が行った契約はどうでしょうか。

 寄生虫が宿主を操ってるかのように見える事例が複数あり、例えばウシなどを最終宿主とする寄生虫は、その卵をカタツムリが食べ、孵化した寄生虫を含むカタツムリの粘液をアリが食べ、するとアリはなぜか、草の先に移動してじっと動かなくなり、寄生虫のお望みどおり、ウシなどに草と一緒に食べられてしまう、とのことですが、まるで寄生虫に操られているかのような宿主の行動についてはどうでしょうか。

 脳の視覚野に障害を持ち、目が見えない患者において、患者には見えている意識がないにもかかわらず、かなりの確率で光点の場所などを言い当てる、盲視と呼ばれる現象については、どうでしょうか。

 避難行動について「これまで避難した人は、周りの人が避難していたから避難したという人がほとんどでした、よってあなたが避難しないと、人の命を危険にさらすことになります」などのメッセージが、避難意図を上昇させるとのことですが、この場合の増加する避難の選択は。

「拒否しなければ同意とみなす」の状況における、マイナンバーカードと口座との紐づけの同意。

「接種勧奨、努力義務の適用」、「同調圧力」、「インセンティブ」、「大切な人のために」などの状況における、新型コロナワクチンの接種。

「給食費、保育料の無償」、「マイナポイント」などの状況における、マイナンバーカードの取得。

 怖い先輩に、ジュースを買って届ける行動。

 

 

⇒つぎの国会議事録(抜粋要約)によると、防衛費の増額は「アメリカの要求に応えるもの」ではなく、「我が国が主体的にどうあるか」を考えたもの、とのことです。

○第208回国会 参議院 予算委員会(令和4年5月31日)

▽委員

 総理は日米首脳会談で防衛費の相当な増額を表明されました。これは対米公約ということですね。

▽内閣総理大臣(岸田文雄)

 日米首脳会談で議論を行いましたが、しかし、そもそも我が国の防衛費でありますので、これは我が国が主体的に決めるものであります。これは決して対米公約などというものではないと考えております。

▽委員

 だって、バイデンさんの前で、独り言じゃないでしょう、バイデンさんの前で表明して、それで日米両国で確認したって報道されているんだから、これ対米約束じゃないですか。

 じゃ、約束しなかったと。約束しなかったんですね。

▽内閣総理大臣(岸田文雄)

 約束したという言葉の響きに、何か嫌々ながら、米国に何か求められたというような意味合いを感じるので、あえて否定させていただきました。

 我が国の防衛であります。我が国が主体的にどうあるかを考え、そしてこうあるべきだということをアメリカとの議論の中で示し、それに対して日米において考え方が一致したということであります。

 

○第210回国会 参議院 外交防衛委員会(令和4年12月6日)

▽委員

 岸田総理は、11月28日、財務大臣と防衛大臣を呼び出し、2027年度軍事費をGDP比2%とするよう指示しました。(省略)

 GDP比2%というのは、2年前にトランプ政権から要求され、岸田首相がバイデン大統領に相当な増額と言って約束し、自民党が参院選の公約に掲げた数字です。必要なものの積み上げなどではなく、アメリカの要求に応えるものじゃないんですか。

▽国務大臣

 我が国を守るということに関して言えば、我々は我々の国を守るために必要なものを積み上げて議論してきたところでもありますので、決してそういった御指摘は当たらないと思います。

▽委員

 積み上げであれば、総額だけ先に出てくるのはおかしいですよ。

 

 

⇒自衛権については、首相官邸HP(2020年当時)につぎのとおり説明されていました。

○「なぜ」、「いま」、平和安全法制か?首相官邸ホームページ(2020/01/31)より抜粋要約

▽自衛権・集団的自衛権に関するこれまでの議論(砂川事件判決と昭和47年政府見解)

 これまで最高裁判所が自衛権について考え方を示した判決は「砂川事件」判決だけです。そこでは、憲法前文にある「国民の平和的生存権」も根拠として、憲法第9条によって日本固有の自衛権は否定されたものではない、としています。その上で、「我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然」であるとしました。

 政府は集団的自衛権に関して、昭和47年に見解を示しています。

 この政府見解では、

 日本国憲法が、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛の措置をとることを禁じているとはとうてい解されない。」

 しかし、憲法は、「自衛のための措置を無制限に認めているとは解されない。」「それは、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むを得ない措置としてはじめて容認されるものであるから、その措置は、右の事態を排除するためとられるべき必要最小限度の範囲にとどまるべきものである。」

 としています。

 これが、これまでの憲法第9条の解釈の「基本的な論理」です。

 すると、「必要最小限度の範囲」とはどのような範囲なのか、が問題になります。昭和47年当時、「集団的自衛権」とは、他国を防衛するためのものだ、と考えられていました。そのため、昭和47年の政府見解では、およそ集団的自衛権は、必要最小限度の範囲を超えるもの、としていました。

 では、「昭和47年当時」とはどういう時代だったでしょうか。ニクソン大統領が訪中し、米中国交回復の方針を決めた年です。この年、田中総理も訪中しました。沖縄返還も昭和47年でした。すなわち、それ以前は、尖閣諸島は米国の施政権下にあり、そこへの中国公船の侵入など想定できない時代でした。また、北朝鮮による核開発やミサイル開発なども考えられない時代です。さらに、この頃は、軍事技術も現在と全く異なっていました。それから40年以上が経過した今、「当時」の情勢認識に従って、日本人・日本国の防衛政策を考えてよいものでしょうか?

 憲法の基本論理を維持することを前提とした上で、大きく変化した実態上の要請にこたえることが、どこまで法的に許されるのか、との観点から、今回の平和安全法制は構成されています。

(参考)砂川事件

 憲法第9条と自衛権との関係についての考え方を示した、唯一の最高裁判決が出た事件です。

 

 

⇒上記の砂川事件については、国家賠償請求訴訟の裁判が続いています。

○砂川事件国賠訴訟(2019年3月19日提訴、東京地裁)

 砂川事件最高裁判決の背後に、当時の田中耕太郎最高裁長官からマッカーサー駐日アメリカ大使らへの密談による裁判情報の漏洩があり、憲法37条が保障する「公平な裁判所」の裁判を受ける権利が侵害されたとして、砂川事件元被告の3名が、国を相手取り起こした。

 

○砂川事件国賠訴訟で「調査嘱託」決定 米国公文書めぐり開示手続き(2021年4月27日)週刊金曜日オンライン(抜粋要約)

 砂川事件国賠訴訟の第4回口頭弁論が3月29日に開かれた。東京地裁は漏洩の証拠となる米国の公文書について情報開示に向けた手続き(調査嘱託)に入ったことを明らかにした。

 米国公文書館で機密指定解除され、2008年にジャーナリストらの手で発見された複数の公文書には、当時の田中耕太郎最高裁長官が、砂川事件の一方の当事者である米国の駐日大使らと密談し、「駐留米軍は違憲」とした伊達判決(東京地裁59年3月)を覆す意図で「(争点を)法的問題に閉じ込める」などと発言したと記録されている。

 裁判で原告側は、実際にこの公文書にある田中長官の発言通りに裁判が進み、日米安保条約が合憲か違憲かの判断はウヤムヤにされ「司法審査権の対象外」などという判決になったと主張。これに対して国側は、同文書の存在を一貫して「不知」として認めなかった。

 

○「米国圧力」実質審理へ 「砂川事件」国賠償訴訟、元外交官らを証人に採用(2023.1.24)琉球新報社(抜粋要約)

 砂川事件国賠訴訟の第11回口頭弁論が23日、東京地裁であった。裁判長は原告側が証人尋問請求した元外交官らの採用を決めた。

 砂川事件は、後に当時の田中耕太郎最高裁長官が米側へ裁判の見通しなどを伝えていたことが米公文書で判明。元被告らがゆがめられた刑事判決で精神的損害などを被ったとして国を相手に慰謝料などを求めている。

 国側は米公文書の存在を「知らない」と主張している。

 

 

⇒上記の「2008年にジャーナリストらの手で発見された複数の公文書」について、つぎの質問主意書、答弁書(抜粋要約)があります。

○砂川事件最高裁判決における我が国の司法権の独立に関する質問主意書(平成20年6月18日提出)衆議院議員

 米軍立川基地(当時)の拡張に反対する住民等が基地内に侵入したいわゆる「砂川事件」で、1959年3月30日、一審の東京地方裁判所(伊達秋雄裁判長)は基地の存在を違憲とし無罪としたが、12月16日の最高裁判所大法廷(田中耕太郎裁判長)はこれを破棄し、合憲判断を下した。

 報道によれば、この二つの裁判の間に、当時のマッカーサー駐日米大使が藤山愛一郎外相、福田赳夫自民党幹事長、上告審の担当裁判長である田中耕太郎最高裁判所長官と会っており、事件にかかわる発言を得ていたことを示す文書が、米国立公文書館で見つかった。文書は、1959年3月31日から4月24日に駐日米大使から国務長官にあてた電報である。

 文書によれば、話された内容は以下の通りである。なお、受信時間は日本時間に統一した。

 1959年3月31日午後2時17分受信「今朝8時に藤山と会い、米軍の駐留と基地を日本国憲法違反とした東京地裁判決について話し合った。私は、日本政府が迅速な行動をとり東京地裁判決を正すことの重要性を強調した。私はこの判決が、藤山が重視している安保条約についての協議に複雑さを生み出すだけでなく、4月23日の東京、大阪、北海道その他でのきわめて重要な知事選挙を前にしたこの重大な時期に大衆の気持ちに混乱を引き起こしかねないとの見解を表明した。

 私は、日本の法律体系のことをよく知らないものの、日本政府がとり得る方策は二つあると理解していると述べた。

 一 東京地裁判決を上級裁判所に上訴すること。

 二 同判決を最高裁に直接、上告すること。

 私は、もし自分の理解が正しいなら、日本政府が直接、最高裁に上告することが非常に重要だと個人的には感じている、それは社会党や左翼勢力が上級裁判所の判決を最終のものと受け入れることはなく、上告法廷への訴えは最高裁が最終判断を示すまで論議の時間を長引かせるだけだからであると述べた。これは、左翼勢力や中立主義者らを益するだけであろう。

 藤山は全面的に同意すると述べた。完全に確実とは言えないが、藤山は日本政府当局が最高裁に跳躍上告できるはずだとの考えであった。藤山は、今朝9時に開催される閣議でこの行為を承認するように勧めたいと語った。マッカーサー」

 1959年4月1日午後8時26分受信「藤山が本日、内密に会いたいと言ってきた。藤山は、日本政府が憲法解釈に完全な確信をもっていること、それはこれまでの数多くの判決によって支持されていること、また砂川事件が上訴される際も維持されるであろうことを、アメリカ政府に知ってもらいたいと述べた。法務省は目下、高裁を飛び越して最高裁に跳躍上告する方法と措置について検討中である。最高裁には3000件を超える係争中の案件がかかっているが、最高裁は本事件に優先権を与えるであろうことを政府は信じている。とはいえ、藤山が述べたところによると、現在の推測では、最高裁が優先的考慮を払ったとしても、最終判決をくだすまでにはまだ3カ月ないし4カ月を要するであろうという。(略)この会談の開催について最終決定をくだす前に、藤山は明朝、福田と船田と相談し、事前公表予定の明日の会談が、自民党にとっても世論にとっても有意義かどうかをチェックする予定である。マッカーサー」

 1959年4月3日午後3時26分受信「自民党の福田幹事長は私に、内閣と自民党が今朝、日本における米軍基地と米軍駐留に関する東京地裁判決を、政府は最高裁に直接上告することに決定したと語った。マッカーサー」

 1959年4月24日午後3時55分受信「(略)内密の話し合いで担当裁判長の田中は大使に、本件には優先権が与えられているが、日本の手続きでは審議が始まったあと、決定に到達するまでに少なくとも数カ月かかると語った。マッカーサー」

(電報は以上)

 砂川事件をめぐる審議は、日米安保条約改定に向けた両政府間の協議と同時進行で行われている。一審判決が1959年3月30日、跳躍上告による最高裁判決が同年の12月16日安保条約改定の署名が行われたのが1960年1月19日。検察官が東京高裁に上告していれば、最高裁判決が年内に行われることは不可能であったと考えられる

 閣議の1時間前に駐米大使が外務大臣に面会すること、また駐米大使の意を受けて外務大臣が跳躍上告を主張することは、極めて異例な事態である。駐米大使が「日本政府が迅速な行動をとり東京地裁判決を正すことの重要性を強調」し、本来上告を決める立場にない日本の外務大臣が政治的に介入することは、司法権の独立を脅かすことであり許されるものではない。本件の事実関係をただすとともに、政府の基本的見解を明らかにする必要があると考える。

 従って、以下質問する。(質問の一部を抜粋)

 国務大臣が他国の外交担当者に対し、閣議に関わる情報を事前に明かすことは情報漏えいに相当するか。

 検察独立の原則に従えば、上訴を決める権限は検察官にあるべきと考えるがいかがか。

 政府が跳躍上告を閣議決定するのは、行政権による司法権への侵害であり、憲法違反と考えるがいかがか。

 藤山外相がマッカーサー駐日米大使に対し「現在の推測では、最高裁が優先的考慮を払ったとしても、最終判決をくだすまでにはまだ3カ月ないし4カ月を要するであろう」と述べたのは事実か。

 事実であれば、政府による司法への干渉につながり、司法権の独立を侵すことにならないか。

 福田総理大臣は、マッカーサー駐日米大使と田中耕太郎最高裁判所長官(当時)が面会していた事実を承知しているか。

 

▽上記質問に対する答弁書(平成20年6月24日)

 内閣総理大臣 福田康夫

 御指摘の報道については承知しているが、御指摘の報道における文書がいかなるものか定かではなく、また、当該文書が作成されたとされる時期から相当の年月が経過しており、政府としてその内容について現時点で承知しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

 

 

⇒2013年以降も「新しく解禁された文書」を契機に改めて議論されており、つぎの国会議事録(抜粋要約)があります。

○第183回国会 参議院 法務委員会(平成25年5月9日)

▽委員

 1959年に在日米軍の駐留を憲法違反としたいわゆる伊達判決が下されました。この判決は僅か9か月後に最高裁で取り消されましたが、その経緯に関して新たにアメリカ政府の解禁文書が公表されまして、大きな反響を呼んでおります。

 この解禁文書は、1959年8月3日発信のマッカーサー二世米駐日大使がアメリカの国務長官にあてた秘密書簡であります。これまでは安全保障上の理由で閲覧禁止になっておりましたが、山梨学院大学の教授がアメリカの情報自由法に基づいてアメリカの国立公文書館に開示請求して入手をされたものであります。

 この伊達判決をめぐっては、2008年にもアメリカの政府解禁文書が明らかにされておりますが、今回の新しい解禁文書は更に重要な問題を明らかにしております。

 これ、50年以上前の判決ではありますが、この最高裁判決は、我が国の存立にかかわる高度な政治性を有する問題司法審査の対象とならないという判断をいたしました。これが今日まで米軍基地の存在の是非に関する司法の消極的な姿勢を決定付けているわけでありまして、やはりまさに今日的な問題であります。

 まず、資料一の1959年3月31日付けの極秘至急電を見ていただきたいんですが、これは08年のアメリカ政府解禁文書で、いずれもマッカーサー・アメリカ駐日大使からアメリカの国務省にあてた電報であります。伊達判決の翌日の3月31日の朝8時、閣議が開かれる1時間前に大使が藤山外務大臣に会ったことの報告であります。大使は、日本政府が迅速な行動を取り、東京地裁判決を正すことの重要性を強調し、直接最高裁に上告することが非常に重要だと述べたと報告しております。これに対して藤山外務大臣も、全面的に同意すると述べた、今朝9時に開催される閣議でこの行為を承認するように勧めたいと語ったとされております。

 実際、伊達判決は高裁には上告されずに直接最高裁に上告する跳躍上告というものが行われたわけですが、まず法務大臣にお聞きしますが、この跳躍上告が行われたのはいつか、またそれを行った理由はどういうことだったんでしょうか。

▽国務大臣

 いわゆる砂川事件に関して、検察当局におきまして、昭和34年4月3日、第一審の判決で法律が憲法に違反するものとした判断が不当であるということを理由として最高裁判所に跳躍上告したということでございます。

▽委員

 いわゆる普通の上告じゃなくて跳躍上告をやったのはなぜかということです。要するに、高裁じゃなくて最高裁に直接したのはなぜか

▽国務大臣

 それはやはり跳躍上告は刑事訴訟規則254条にございますが、「その判決において法律、命令、規則若しくは処分が憲法に違反するものとした判断又は地方公共団体の条例若しくは規則が法律に違反するものとした判断が不当であることを理由として、最高裁判所に上告をすることができる。」となっておりまして、その規定に基づいてこの跳躍上告をしたということであります。

▽委員

 違憲判決が出ても全部やっているわけじゃないんですね。私はこれは特別な理由があったんだろうと思うんですが、この資料一の4月1日付けの至急電などを見ますと、当時、日米安保条約の改定交渉の真っ最中で、日米両政府が非常にこの伊達判決に驚いている様子が分かるわけであります。

 大使は、この跳躍上告が必要な理由として、その年の4月の重要な知事選挙や夏の参議院選挙などへの政治的影響、それから日米安保条約改定交渉を複雑にしかねないということ、さらには米軍基地の反対勢力を勢い付かせることになりかねないというようなことも挙げているわけですね。そのために、最高裁で早期にこの伊達判決を否定することが必要だということで、跳躍上告を外務大臣に求めました。実際、その直後、4月3日に跳躍上告が行われたわけであります。

 次に、資料二の、これは跳躍上告後の同年4月24日、やはりマッカーサー大使から国務長官あての公電を見ていただきたいと思います。跳躍上告をしたものの、外務省は判決の時期を推測できないというふうに言っているんですね。そこで、大使は直接、当時の田中耕太郎最高裁長官と話し合ったというものであります。その中身を公電の最後の部分で報告をしております。

 最高裁にお聞きするんですが、そもそもアメリカの駐日大使と最高裁長官が公式行事とかレセプションなどの会場以外で個別の問題で話合いをするということが通常行われているんでしょうか。ここ5年間はどうか、併せてお答えいただきたいと思います。

▽最高裁判所長官代理者

 最高裁判所長官と駐日米国大使が過去5年間におきまして、各種レセプションあるいは晩さん会等で同席する機会を除きますと、個別の案件で会ったことはございません

▽委員

 非常にやはり特例なわけですね。通常あり得ないことだと思いますが。

 では、そこで何が話されたのかと。今の資料を見ていただきますと、原文ではプライベートカンバセーションとなっておりますが、内密な話合いで、担当裁判長の田中は大使に、本件には優先権が与えられているが、日本の手続では、審理が始まった後、決定に到達するまでに少なくとも数か月掛かると語ったと報告をされております。この裁判は在日米軍の存在が憲法違反かどうかが争点となったわけで、アメリカはまさに一方の利害関係者なわけですね。

 一般論としてお聞きしますが、裁判長がその裁判の事件の利害関係者とこういう個別の話合いをすること、また、その中でこの裁判の見通しを語るということが許されているんでしょうか。

▽最高裁判所長官代理者

 これはあくまで一般論としての裁判長の行動ということで申し上げますと、裁判長が個別事件の利害関係者と個別に当該事件について話をする、そういったものにつきましては、一般論で申し上げますと、その状況あるいは話の内容によって様々なものが想定できることですので、一概に申し上げるのは難しいんでございますが、例えば係属中の事件について、裁判手続とは関係のない私的な会話の中で当事者以外の第三者に対して事件の内容あるいは手続の話をするということは、裁判官としては通常行わないことであるというふうに認識しております。

▽委員

 通常行わないことだということで、当然だと思いますね。もしそんなことが明らかになったら、もう直ちに忌避の申立てが起こるというような重大な問題だと思いますが、更に確認しますけれども、裁判の期日について、裁判長が指定し公表する前において一方の当事者のみに明らかにするということは、私は裁判所法75条の評議の秘密に反すると考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

▽最高裁判所長官代理者

 これも一般論で申し上げますが、裁判所法75条2項は評議の秘密ということを規定しておりますが、これは合議体で行う裁判、これは判決又は決定でございますが、これをするための評議に関する規定でございまして、一方、期日の指定は、これは裁判長の権限に属しまして、裁判長が単独で行う命令という性質の行為でございます。

 したがいまして、裁判長が期日指定前に審理の日程あるいは判決期日を一方当事者に伝えるということが、これは直ちにこの裁判所法75条2項の評議の秘密に触れるということは通常考えにくいこととは思われます。

 しかしながら、別の問題といたしましては、一方当事者に通常の形で期日の打診をするということではなくて、殊更一方当事者の便宜を図るような形で今後予定している期日を伝えるということがありますと、これは裁判に対する公正さに対する疑義を生じさせ得るものと、そういった問題は生じようかというふうに考えております。

▽委員

 裁判の公正さに対する疑義を生じるということがありました。まさにそういうことが行われているわけですね。

 資料三が今回新しく解禁された文書でありますが、田中長官とアメリカの話合いは一度だけでありませんで、59年8月3日に発信されたこの電報は、レンハート在日米大使館首席公使と田中長官との会話を報告したものであります。

 共通の友人宅での会話の中で、田中耕太郎裁判長は公使に対して、砂川事件の判決は恐らく12月であろうと今考えていると語ったとしております。公判期日を最高裁が決めたのは8月3日ですから、その日の公電ですが、その一番下に、1959・7・31、レンハートとあります。この日(7月31日)にレンハート氏が起草されたと考えますから、共通の友人と話したのはそれより前ですから、まさに期日が決める前に一方の当事者にこれを明らかにした。私は、これは評議の秘密を侵したことになると思います。

 さらに、公電はこう述べておりまして、彼は、口頭弁論は9月初旬に始まる週の1週につき2回、いずれも午前と午後に開廷すればおよそ3週間で終えることができると確信していると述べておりますが、12月の判決までにこの審理はいついつ行われたのか、これは法務省、大臣、いかがでしょうか。

▽国務大臣

 いわゆる砂川事件の跳躍上告審の公判期日でございますが、第1回公判期日は昭和34年9月7日、第2回が同じく9月9日、それから第3回が9月11日、第4回が9月14日、それから第5回が9月16日、それから第6回は9月18日、こういうふうなものであったと承知しております。

▽委員

 ですから、今、公電で述べられたとおり、9月初旬に始まって毎週2日の公判で3週間で終えると、同じ日程をこの段階で一方の当事者に明らかにしているわけですね。田中長官は、弁護団からの協議要請はことごとく拒否をしまして、当時、裁判官忌避を申し立てられたわけですが、一方で、アメリカ大使、当事者とは密談をして、まだ決まっていないこの評議の日程や見通しを漏らしていたということであります。

 この5日後には、本件の審判を迅速に終結せしめる必要があるとして、弁護人の人数制限という前代未聞の決定を強行されました。これは弁護側の抗議で取りやめになりましたけれども、とにかく迅速な行動を最初から求めてきたアメリカに応えるような形で公判の戦略や日程も示して事実上約束し、まさにそのとおり行われたということが見て取れるわけですね。

 さらに、重大なのは、この公電の中で、裁判長は結審後の評議で実質的な全員一致を生み出し、世論を揺さぶるもとになる少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っていると付言したと、こういうふうになっております。この判決は全員一致だったということで確認してよろしいですか。

▽最高裁判所長官代理者

 御指摘の昭和34年12月16日最高裁大法廷判決には、この判決は裁判官7名の補足意見及び裁判官3名の意見があるということが書かれた次に、裁判官全員一致の意見によるものであるとの記載がされております。この判決を見ますと、判決の主文におきましては、裁判官全員一致の結果が取られているものと理解できるものと考えております。

▽委員

 今お答えありましたように、判決では、アメリカ側が期待したとおり、一審の違憲判決を正面から覆して米軍駐留に合憲のお墨付きを与えたわけでありますが、田中長官は、この全員一致の判決後の記者会見で、15人の裁判官が結論なり理由の極めて重要な点について根本的に一致したのは大変喜ばしいことだとわざわざ記者会見で言うんですね。私は、裁判長でかつ最高裁長官が全員一致だから喜ばしいと言うことは、逆に言えば、反対が出たり少数意見が付いたら喜ばしくないということになるわけですね。これは非常に問題だと思いますが、こういうような発言をした例がほかにあるでしょうか。

▽最高裁判所長官代理者

 これも我々の一般的なことでございますが、裁判官が判決等の裁判書を離れまして担当事件について記者会見をしたり、その内容等についてコメントをするというようなことがあったとは、これは近年を見る限り承知しておりません。

▽委員

 ですから、本当にもう最初から最後まで異例ずくめのことになっているわけですね。裁判長が、少数意見を回避するやり方で運ばれることを願っていると述べて、判決後は、全員一致は大変喜ばしいと会見でわざわざ異例の言葉を述べております。

 実はそれだけじゃありませんで、お配りはしておりませんが、これは59年11月5日の、やはりこれは航空書簡でありますけれども、マッカーサー氏と田中裁判長との非公式会談の報告でありますが、田中氏は、15人の裁判官から成る法廷にとって最も重要な問題は、この事件に取り組む際の共通の土俵をつくることだと、裁判官の幾人は手続上の観点から事件に接近しているが、他の裁判官たちは法律上の観点から見ている云々ということを書いておりまして、まさにどういう評議が行われているかということをアメリカ側に言っているわけですね。

 そして、このアメリカ側の解禁文書、資料四を見ていただきますと、判決の翌日にマッカーサー氏から国務長官あての電報でありますが、全員一致の最高裁判決が出たことは、田中裁判長の手腕と政治力に負うことがすこぶる大きいと。彼の思慮深い裁判指導は、審理引き延ばしを図った弁護団の奮闘を抑え込むのに成功したのみならず、ついに15名の裁判官から成る大法廷全員一致の判決をもたらした。この裁判における裁判長の功績は、日本国憲法の発展のみならず、日本国を世界の自由陣営に組み込むことにとっても金字塔を打ち立てるものであると。まさに天まで持ち上げているわけでありますが、私はこの跳躍上告から裁判の経過、その間でのアメリカとのやり取り、そしてこの判決の中身とその後の会見を見ますと、非常にやはり司法の独立というものが厳しく問われていると思いますけれども、そういう重大問題だという認識は、最高裁、あるでしょうか。

▽最高裁判所長官代理者

 今委員指摘の具体的な事実につきましては、これは非常に古い事実でございまして、最高裁内部にその点を裏付けるような資料がございません。したがいまして、そういった事実を前提に最高裁判所がそれをコメントするということは差し控えさせていただければと思っております。

 

○第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会(平成27年8月19日)

▽委員

 このパネル、政府・与党が今回の集団的自衛権容認の根拠にした砂川事件の最高裁判決そのものが、実はアメリカのリクエスト、指示によるものだったということを表す資料でございます。これは、早稲田大学教授の許可を得、引用した資料でございます。

 この砂川判決、1959年、昭和34年3月30日に東京地方裁判所で米軍駐留の違憲判決が出て、ちょうど日米で交渉中だった新安保条約に政治的に悪影響を与えないように、東京高裁をすっ飛ばして、最高裁に直接上告した。この跳躍上告、かなり珍しいことで、その中でもなお珍しい、戦後、砂川事件も含めて3件しかない検察官による跳躍上告を行った事件だったそうです。それもアメリカのリクエストだったと。

 1959年、昭和34年3月30日、東京地裁で駐留米軍は憲法違反の判決が出た翌日、朝8時に、アメリカのマッカーサー駐日大使が当時の藤山愛一郎外務大臣に面会をして、日本政府が迅速な行動を取り、東京地裁判決を正すことの重要性を強調し、日本政府が直接最高裁に上告することが非常に重要だと言ったそうです。それに対しまして藤山外務大臣は、直後の、今朝9時に開催される閣議でこの行動を承認するように勧めたいと語ったそうです。そして3日後、4月3日、検察官が跳躍上告をしたと。そして、それから3週間後、4月24日、当時の田中耕太郎最高裁判所長官がマッカーサー大使に、日本の手続では審理が始まった後、判決に到達するまでに少なくとも数か月掛かるとわざわざ語ったというんです。

 これだけでも日本の最高裁って一体何なんだよという話ですよね。わざわざそんなことを報告しに行くのかって、おかしな話だよなと思いますよね。でも、本格的にびっくりするのは次のお話なんです。

 ちょっとお伺いしたいんですけれども、この文書の存在というのは御存じでしたか。外務大臣からお聞きしてもよろしいですか。済みません、これ、いきなりなんですけれども、申し訳ないです。

▽国務大臣(岸田文雄)

 米国において様々な公文書、公開されております。公開された文書については米国も一般にコメントを行わない、このようにしていると承知をしております。日本国政府として、この公開された文書について一々コメントすることは適当でないと考えます。

▽委員

 知っていたということでよろしいんですかね、この文書の存在は。

▽国務大臣(岸田文雄)

 御指摘のこの文書も含めて、砂川事件に関しまして審理過程で日米間で交渉したのではないか、こういった指摘があります。これにつきましては、日米間で交渉したという事実はないと考えます。砂川事件の際の最高裁判所への跳躍上告が米国の要望によるものであるというような御指摘は当たらないと考えております。

 そして、御指摘の中で、3月31日のこの文書については衆議院の委員会におきましても指摘がありました。この文書についても外務省として改めて確認作業を行いましたが、日本側にこれに該当するような文書は存在しないということを報告させていただいております。

▽委員

 日米間でのやり取りはなかった、別にそれはアメリカ側が跳躍上告させたわけじゃないんだ、というような話だったと思うんですけれども、でも、日本側にはその文書も残っていないって、それは破棄しただけじゃないのという話ですよね。だって、アメリカの公文書館から出てきているんですもの。当時のアメリカ大使から国務長官宛ての公電で、首席公使が田中長官と話し合ったことをここに書いてきているわけですよね。

 その内容、どんな内容なのということなんですけれども、このような内容でした。

 田中耕太郎最高裁長官はアメリカ大使館の首席公使レンハートさんという人に、砂川事件の判決が恐らく12月に出るであろうと今は考えている、争点を事実問題ではなく法的問題に限定する決心を固めている、口頭弁論は9月初旬に始まる週の1週につき2回、いずれも午前と午後に開廷すればおよそ3週間で終えることができると信じている、最高裁の合議が判決の実質的な全員一致を生み出し、世論をかき乱しかねない少数意見を避ける仕方で進められるよう願っていると語ったというんですね。

 ざっくり言うと、普通の外交ルートでは知り得ない最高裁の内部情報、しかも、かなり精度の高い情報を最高裁長官自らがぺらぺらとアメリカ側に横流しをした、自分の立場を最大限に生かして、手心を加えまくって根回しをして、日米安保を成立させるために都合のいい判決を出すのを急いだという話なんですよね。

 アメリカの政治工作のとおり、日本の最高裁はシナリオどおりの判決を出したという、忠犬ハチ公もびっくりのお話。これ、アメリカの公文書館から出てきているものですよ。そこに書かれているんですよ。それをとぼけるってすごくないですか、知らないって。そんな事実はないというような雰囲気で先ほどお答えをいただいたと思うんですけれども。

 そして、その田中長官のお言葉どおり、1959年、昭和34年12月16日、最高裁大法廷で裁判官15名の全員一致で田中長官本人の口から米軍の駐留は合憲という砂川判決が言い渡されたと。これで、米軍の駐留は違憲とされた東京地裁判決、いわゆる伊達判決は破棄されましたというお話です。

 少し前にノーベル物理学賞ですか、受賞された教授が日本の司法は腐っているとおっしゃっていたんですけれども、最高裁長官が自ら動いて、超スピードでアメリカに言われたとおりの判決を出すなんて、日本の司法は随分前から腐り続けていたんだなという話だと思うんです。砂川判決は、司法の独立などほとんどが夢の話で、自己保身に必死な者たちによる腐った判決だったと私は言えると思います。

 岸田外務大臣、この砂川判決、先ほどもお答えいただいたんですよね、先回りをして。もう一度お聞きしたいな。該当する部分だけお聞きしたいと思うんですけれども、この砂川判決、跳躍上告がアメリカのリクエストだったということを御存じでしたかという話だったんですけれども。

▽国務大臣(岸田文雄)

 まず、この砂川判決につきまして、米国の関与につきまして裏付ける文書は確認できていないと考えます。

 そして、あわせて、最高裁と在京米国大使館とのやり取りについて御指摘がありました。最高裁と在京米国大使館とのやり取りですので、私の立場で申し上げるのは適切かどうか分かりませんが、私の知る限り、平成25年ですが、5月9日の参議院法務委員会において、最高裁内部において御指摘のやり取りを裏付けるような資料はない、こうした答弁があったと承知をしております。

▽委員

 この国の真実は、もう海外からの情報公開に頼るしかないというような状況になってしまっているということですよね、本当に。

 政府・与党が集団的自衛権行使容認の根拠とする最高裁の砂川判決、この判決には集団的自衛権の容認などどこにも書いていませんよね。政府・与党の議論はおかしいし、信用できませんし、何を言っているのか分からないレベルですよ。その砂川判決、砂川判決そのもの、アメリカのリクエスト、要求、指示によって跳躍上告され、要求どおりに作られた全く信用できない代物だということですよね。こんな腐った砂川判決を根拠にして、しかも、その判決文には全く書かれていないのに集団的自衛権の行使が合憲だと言われても、説得力全くありませんよねという話です。

 こんな砂川判決、信用できるのかと。アメリカのロックフェラー財団が田中長官と密接な関係を持ち、アメリカに招待し、人的な関係を築いていたそうです。こんな砂川判決、信用できるはずありませんよね。

 そして、政府自ら認めているように、これまで憲法違反であった弾薬の提供、輸送や戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機への給油、整備も、武力行使と一体化した後方支援ではないから憲法違反でないと、今回勝手に憲法解釈を変更したのもアメリカからのニーズ、リクエストなんですよね。何でもニーズには飛び付くんだなって。国内のこの国に生きる人々のニーズには耳を傾けずに、けど、アメリカ様やアメリカ軍の言うこと、そして多国籍企業の言うことはいろんな手を使っても推し進めるんだな。

 

⇒つぎで最後の議事録です。なお「唯々諾々」とは、「事の善し悪しにかかわらず、何事にも他人の言いなりになって従う様子」を意味します。

○第189回国会 参議院 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会公聴会(平成27年9月15日)

▽委員

 砂川判決は、マッカーサー駐日大使が日本政府に働きかけて、いわゆる高裁を飛ばす跳躍上告が行われたこと、また、当時の田中最高裁長官が裁判の見通しなどをマッカーサー駐日大使と個別に話をしていたということがアメリカの公文書館から明らかになっておりますが、裁判の中立性を私は大きく損なわせるものだと思いますけれども、公述人の御感想というか御意見をお聞きいたしたいと思います。

▽公述人(元最高裁判所裁判官)

 田中耕太郎先生は有名な商法学者であられ、かつ、最高裁退任後は司法裁判所、世界の裁判所というところで長年お勤めになった大変偉い先生ですが、おやりになったことは、司法に汚点を残す誠に残念な行為だったと思います。

▽委員

 今回の法案がアメリカが自衛隊に肩代わりをさせようとしているんではないかと、こういうようなお話をされているのをお聞きしたことがあるんですけれども、その点、いかがお考えでしょうか。

▽公述人

 今回アメリカが願っていることは、自国民の死傷、兵隊の死傷を減らし、国民の税金の負担を減らし、それを日本国民の死傷と税金に肩代わりしてくれと。

 どの国も自国の利益だけをこれは追求するのは世界の中で当然のことなので、私が心配するのは、現政権が、日本人の、殊に若い世代の福祉、生命、生活というものを本当に尊重してもらっているのだろうか、日米同盟の強化ということに凝り固まってアメリカの言わば手先になる、これだけ唯々諾々とする、まあ占領のときにも占領軍に非常に唯々諾々と日本は従いましたけれども、70年たってまたやることはないんじゃないのというのが私の意見です。

 

 

 最後に。

 冒頭で、防衛費の増額は「アメリカの要求に応えるもの」ではなく、「我が国が主体的にどうあるか」を考えたものである旨の、国会答弁を掲載しました。

 しかし、「主体的」であることとは曖昧なものであり、干渉、コントロールされ得るものだと感じています。

 現在、政策として、社会全体の利益のため、あるいは国民個人の利益のためだとして、国がその方向性を決定したうえで、国民一人一人の行動を報酬によるインセンティブにより誘導する、あるいは、あたかも当人が自分で選んだかのような体裁を整えながら誘導する手法などが利用されています。

 たとえばマイナンバーカードについて日本弁護士連合会の意見書などには、「リスクがある」等ゆえに「利便性と危険性を利益衡量して取得するか否かを決めるという申請主義(任意取得の原則)を採用」しているのであり「制度目的と関係のない利益誘導」は「任意取得の原則に反するものである」などと記載されています。

 ワクチン接種についても同様ですが、国が決定した方向性にリスクが内包されている場合であっても、これらの手法により行動を誘導する目的のため、そのリスクについて十分な情報提供がなされないことについては、結果的に被害を受けた国民などの不信を招くことは、必然だと感じています。

 そして、渋谷駅の犬の像について。

 もしも、忠犬ハチ公の気性が荒く、駅で待っている間に、攻撃的な行為を行っていたという話であったならば、「主体的」な行為であろうがなかろうが、美談とはなっておらず、像など存在しなかったのではないでしょうか。

 日米首脳会談における、総理曰く「主体的」な「防衛費の相当な増額の表明」は、果たして今後、人々にどのような影響を与えることに繋がり、結果として、どのように受け止められることになるのでしょうか。

 

 

 以上です。

 

 

<備考>

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