(2022.10.17)

 

 

 当記事は、国がWithコロナ(新型コロナウイルスとの併存)へ方針決定(9/8)した後の、高齢者施設の面会についての内容です。

【高齢者施設の面会について】までは、以前の記事と重複した内容を含みます。

 

⇒つぎの決定(9/8)のとおり、オミクロン流行期においては「若者の大部分の人は感染しても軽症で入院を要することはない」また「今回の感染拡大についても、新たな行動制限を行うことなく、感染者の減少傾向が確認できている」よって今後は「新たな行動制限は行わない」および「重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置く」、それにより「新型コロナウイルス対策の新たな段階に移行」して「感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る方針」であり、「今回を上回る感染拡大が生じても社会経済活動を維持できるようにする」とのことです。

○Withコロナに向けた政策の考え方(令和4年9月8日)新型コロナウイルス感染症対策本部決定(抜粋要約)
「オミクロン株については、若者の重症化リスクは低く、大部分の人は感染しても軽症で入院を要することはない。一方で、高齢者のリスクは引き続き高い。」
「新たな行動制限を行わず、重症化リスクのある高齢者等を守ることに重点を置いて、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る方針とした。」
「今回(令和4年夏)の感染拡大についても、新たな行動制限を行うことなく、感染者の減少傾向が確認できている」
「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の措置について、高齢者・重症化リスクのある者への保健医療の重点化と患者の療養期間の見直しを行うなど、新型コロナウイルス対策の新たな段階に移行する。」
「今後、今回を上回る感染拡大が生じても、保健医療システムを機能させながら、社会経済活動を維持できるようにする。」
「さらにWithコロナ(新型コロナウイルスとの併存)における感染対策のあり方について引き続き検討していく。」


○基本的対処方針分科会(令和4年9月8日)議事録(抜粋要約)

▽厚生労働大臣

「今後も、Withコロナの新たな段階への移行を進め、社会経済活動との両立を図っていきたいと考えております。」

▽構成員

「今回、社会経済活動を優先するというところに舵を切ったということなのだと推測しています。」

▽構成員

「社会経済活動を回す、このために制限を緩和していく、つまり一定のリスクを許容する一定の重症者・死亡者を許容するという政府の御判断なのだろうと思います。」

 

 

⇒上記のとおり、ようやく、感染拡大防止と社会経済活動のバランスを考慮した判断がなされました。

 

【高齢者施設の面会について】

⇒その中で、高齢者施設の面会について、分科会議事録より。

○基本的対処方針分科会(令和4年9月8日)議事録(抜粋要約)

▽構成員

「御考慮いただきたいのが、全く変更されていない患者さんと施設の面会のところです。」

「今回、恐らくは社会経済活動を優先するというところに舵を切ったということなのだと推測しています。」

「その上で、ここでは感染が流行している地域では面会について検討しろと書いてあるのですが、ずっと面会を制限され続けるのでしょうかということです。」

「一番気の毒なのは、高齢者施設の方々はコロナ感染、重症化、死亡のリスクを抱えながらも、会いたい人に会えない。」

「いろいろな活動を制限されているということはあまりにも気の毒で、これは高齢者を守ることになっていないのではないかと思いますので、社会経済活動全体に広げるというときに、この方々に対してどういったことをしてあげられるのか、面会に関して明確な権利を認めてあげるべきではないかということを改めてきちんと議論して、国から出していただきたいと思います。」

「施設側の判断に任せられるということは、施設としては院内感染、施設内感染を何とか防ぎたいから非常に困ると考えるところが多くて、これは国でしか言ってあげられないことだと思います。」

 

○新型コロナウイルス感染症対策分科会(令和4年9月16日)議事概要(抜粋要約)

▽構成員

高齢者施設にいらっしゃる高齢者の社会活動は制限されたままになってしまう恐れがあると思う。」

「つまり自立して活動できる方々の活動は再開されるでしょうし、そうあるべきだと思うが、一方で、クラスターが発生しやすいとか、重症化しやすいとか、死亡者がいらっしゃることに対して、非常に過敏に思っていらっしゃる高齢者施設の方々において、高齢者の人たちのQOLはますます低下するのではないかということを危惧する。」

「院内感染リスクはもちろん防ぐことは大事であるし、感染に強い施設になるための支援はさらに強化されることは必要だという前提である。」

「一方で、一定の院内感染は、許容せざるを得なくなってくると思う。」

院内感染や例えば死亡といったことと、御本人のQOLを高く維持して、できる限り楽しく生きていただくということトレードオフについて、しっかり考える必要があるのではないかと思った。」

 

 

○コロナ禍における社会福祉施設・医療施設での面会機会の確保を求める意見書(令和3年4月16日)日本弁護士連合会 より抜粋要約
「新型コロナウイルス感染防止対策下においても、社会福祉施設に入所、医療施設に入院している高齢者・障がい者にとって、親族や支援者との面会の機会を確保することは、その心身の安定、機能低下の防止、適切な身上保護のための、重要な権利・利益である。」
「社会福祉施設・医療施設において、感染拡大防止を強調する余り、入所・入院している本人との面会が一律に禁止される等、過度に面会が制限されるといった問題が顕在化している。」
「国も、面会をしないことが心身に悪影響を与えることを踏まえ、面会制限については慎重な判断が必要であるとの方向性を示している。」
「長期間にわたり家族等の身近な人との面会が制限されることにより生じる本人への影響として、ADL(Activities of Daily Living)の低下認知機能の低下身体疾患の悪化などが生じ、健康被害や死亡に至るリスクが高まること(いわゆるフレイル化)が明らかになっている。」
「高齢者・障がい者にとって、面会は健康面・身体面での意義に限らず、人とのコミュニケーションを取り、社会とのつながりを感じることで得られる幸福感を充足させるといった、精神面での意義をも有している。」
「人と面会して、コミュニケーションを取る権利は、人格的価値、関係性構築にかかる価値につながるものであり、社会福祉施設や医療施設に入所・入院している高齢者・障がい者にとって、面会をすることは人格的生存に不可欠であるため、憲法第13条の規定する幸福追求権として保障されるべき人権である。」
「誰もが等しく、適切な医療・福祉サービスを受ける権利を有しているはずであり(憲法第13条、第25条)、国際人権社会権規約も、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認めている。」
「社会福祉施設や医療施設における家族や支援者等との面会は、感染防止による生命・身体の安全と同様に、重要な権利・利益である。」


 最後に。

「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」には令和3年11月19日の変更決定より「患者や利用者、家族のQOLを考慮すること」、「地域における発生状況、患者や面会者等の体調なども考慮し、対面での面会を含めた対応を検討すること」(抜粋要約)と記載されています。

 しかし変更決定時の議事録に「国としては「対応を検討すること」という表現しかできないのかもしれないのですけれども、これがそのまま現場に下りていくと、検討した結果「やめる」というように倒れやすいところがあります。」、「周知をされるときには、積極的に検討してほしい、ということを伝えていただきたい。」とあるように、当初より「対面での面会」が結果として実施されるのかについては懸念されていました。

 今後、面会をすることは「人格的生存に不可欠」であり、憲法上「保障されるべき人権」であることについて改めて議論され、その情報が周知されること、またWithコロナ(新型コロナウイルスとの併存)の趣旨が周知されることなどにより、施設における面会について人々のココロの自由度が高まり多様性が生じ、結果としてこれまでより高齢者など本人とその家族が、選択肢を得ることにつながることを、願っています。

 

 以上です。


<備考>

○日本国憲法第13条
「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」

 

○日本国憲法第25条
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」

○経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(国際人権社会権規約)第12条
「すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。」