大切な人が生まれた、大切な日
0時になった途端に鳴り出す彼女の携帯
沢山の人に愛されている彼女
でも、今だけは
「実彩子」
携帯の画面をニヤニヤしながら眺める彼女をそっと抱きしめる
「たかひろ……?」
「実彩子、」
「どうしたの…?」
困ったような顔をして、それでも抱きしめ返してくれる
うまく言葉にできないけど、それでも
伝えたいことは、たったひとつ
「お誕生日おめでとう。生まれてきてくれて、ありがとう。」
俺と出逢ってくれて、
俺と一緒にいてくれて、
「ありがとう、ここに居てくれて」
精一杯の想いが伝わるように、きつく抱きしめる
「……こちらこそ、ありがとう、ずっとそばに居てくれて」
そっと顔をあげた彼女は、
綺麗に泣いていた
「しあわせだよ、私」
そうやってわらう彼女を
これから先もずっと
隣で見ていたいと思った
