第1回 今回のレビューは【FF16】です。

⚠️ネタバレ注意⚠️


ずーっとプレイしたくて半年前に購入していたFF16ですが、ジャッジアイズや【デイブザダイバー】をやり込んでいるうちに発売から1年近くが経過。


去年の6月22日(木)に9000円のフルプライスで発売された本タイトル。2週間前に開始し、昨晩の4時に無事クリアしました。


結論としては、「途中からプレイがしんどくてサブはほぼすっ飛ばし、シナリオをガンガン進めてしまい」今に至ります( ˘ω˘ )


これはFF16が悪いというより、私のシナリオアレルギー要素が本当に多いゲームだったの一言に尽きます。



なにを隠そう、


・全部知ってるのに肝心なことを言わない仲間

・人智を超越した神が、主人公たちをおちょくりながら講釈垂れるシナリオ

(そして最期に人の【心】の強さに打ち砕かれて感情的に死んでいくラスボス)



…苦手なんですよね。

この2つ。


最近のスクエニ作品はこういう脚本が本当に多いな〜と思います。



٭𓈒𓏸シナリオについて٭𓈒𓏸

展開に触れたので先にシナリオの感想について書くと、シナリオの満足度は【25点】

ゲーム自体の満足度は【45点】くらいです。自分の地雷のど真ん中をいく筋書きなので満足度が低いのは仕方なく、それを抜きにして話すと「開発者のやりたいことが見え透いてしまって、こちらの予想を裏切ってこない」というのが、一番の不満ポイントでした。


展開が読める、台詞が先読み出来る、故に飽きてくるというのは、シナリオがありがち、使い古された展開で予想がつきやすいということです。

例えば「頼りになるカッコイイキャラ」というのは死にがちだし、神という存在は「人を見下しておきながら、人に殺されがち」です。特にスクエニ作品が率先してそういう展開を作ってきたので、そういう展開にはもう飽きてるんですよね…。


特にシナリオ命のRPGにはあってはならないことで、私が作中でどれくらい未来予知出来たかと言うと、


「次のクライヴの台詞は【人が人として生きられる世界を】なんだろーな」とか、次の台詞は【俺たちが成すべきことを】だろーな」って想像したらほぼ当たっちゃうほどに同じことしか言わない。


それはアルテマについても同様で、「こいつ きっとこのシーンで【人は愚かで、自分は理だからすげーんだ】以上のことは言わないんだろうな」と思ったら本当にその通り(なんならもう最後までそれしか言わない)だったりとか、キャラクターたちがシナリオの中でこちらの期待値をまったく超えてこない、というのがとても残念でした。


最後まで素晴らしいと思った唯一のシーンは、クライヴとジョシュアの幼少期の関係性です。理想の兄であり王子である少年クライヴと、病弱でどこか神秘性を秘めたジョシュア、そして無邪気なジル。この3人の幼い頃の関係性はとても絵になるし素敵だった。


⚠️ネタバレ⚠️

最後の回想シーンで、兄であるクライヴが、王位継承権をもつ王子であり兄であるという肩書きを押し殺す形で、弟ジョシュアのナイトになる為、弟に膝を着くシーンがある。まさに兄が弟の属下になるというシーンで、クライヴは複雑な面持ちで緊張する弟に、イタズラっぽくウィンクしてみせた。


お兄様、流石ですよ。

こんなに人間出来てる15歳いないよ…



弟のナイトになっても、両親や国民がジョシュアを選ぼうとも、クライヴはプライドを失わず、しっかりジョシュアの頼れる兄だった。そんなシーンに思わず少年クライヴのファンになってしまいました。


打って変わって大人クライヴはというと。。

無口なキャラは好きですよ。冷静でクールで、ちょっと不器用なクラウド・ストライフは大好きだし、大人の魅力があるレオンも大好きです。


でもクライヴの無口な感じは、ちょっと他の作品とは毛色が違うんですよね。クライヴは表向きは無愛想だけど仲間や弟に対するユーモアはちゃんと出すし、どちらかというとクール振らずに「俺の正義はこうだ」というのをしっかり口に出す。しっかり過ぎるほど出す。しつこいほど口に出す。時には「お前 さっきから物語の中でそれしか言わないけど、

もうちょっと色々考えた方がよくない?」というくらい同じことしか言わないんですね。


よく「良いキャラクターというのは、こちらが展開を用意しなくても勝手に動くし、台詞をわざわざ考えなくてもキャラクター自らが勝手に喋り、ついには自分で道を選んで進んでいく」といいます。それは本当にクリエイターに愛されたキャラクターに起こる現象で、そういうキャラクターはファンにとってもきちんと魅力的で、クリエイター自身にとっても愛情深い「お気に入り」のキャラクターになります。


本作のクライヴは、「理想で満たされた少年期クライヴ」は魅力的なキャラクター足りえたが、「大人クライヴ」はそうでなかった為に、空っぽで中身のない主人公になってしまったのではないかと感じました。空っぽで中身がない、と表現したのは「大人クライヴに喋らせたいほどの台詞が開発者から出てこないから、同じことしか言わない」キャラになってしまい魅力に欠けてしまったのでは?ということです。



これは完全に個人的な目線であって、「少年クライヴがあなたの性癖に刺さったから魅力的に見えるんであって、開発者は大人クライヴが好きかもよ」と言われても何も反論の余地はないのですが、少なくとも沢山の愛情をもって開発されたのは少年クライヴなんじゃないかな、と感じた次第です。

(勿論 愛情をかけずに作られたキャラクターなどいないのですが)



٭𓈒𓏸FF16キャラクターたちの個性٭𓈒𓏸


もっと言うと、主人公にはじまり、ヒロイン、シドの仲間たち、世界観的な目線でモブキャラクターにいたるまで、あまりにも個性がなく、FFの世界にいるとは感じられませんでした


主人公のクライヴ、そしてヒロインは真面目すぎるほど真面目人間であり、まるで人間臭さを感じないのです。大人クライヴに至っては見た目はあんなに小汚くて、王子感を失い、ベアラーとなって長年強かに生きてきたオジサンなのに、中身は「純粋無垢な箱入り娘」のような性格です。


もっと、酸いも甘いも知り尽くしたシドみたいに掴みどころのない大人に成長してなきゃいけないんじゃないの?


もっぱら「民衆や弱き者のために」「俺たちがやらないと」「クライヴ/ジル、無理しないでと、とても綺麗な台詞しか言わないのが彼らであり、クライヴは「人が人らしく生きられる場所」を作る為に頑張るのですが、それはシドの言葉の受け売りで、クライヴ自身が何故そんなに他者に尽くすのかいまいち動機が分からないままです。強いて言えば、クライヴとジルが「優しい」から。


もちろん自分自身がベアラーとして不遇に扱われ、その理不尽を許せない気持ちはあるのだけど、クライヴのベアラー時代ってそこそこ仲間のベアラーとコミュニケーション取ってやれてそうだったし、「仲間と勝手に話しちゃいけない」「主人の許可なく動いちゃいけない」という制限が精神的に堪えたようには見えないんです。


勿論、道の先々で理不尽に扱われるベアラーはいるのだけど、生まれた時から自尊心をへし折られている彼らと、子どもの頃は人並以上に扱われ、自尊心や愛情を受けてきちんと自立しているクライヴとでは、【ベアラー】という肩書きを背負う重みが全く異なるのです。


クライヴは頬に刺青こそあれど、屈辱に耐え、憎しみを植え付けられて生きてはこなかった。あるいはジョシュアを失った彼にとってベアラー程度の仕打ちは傷心にすらならなかった。むしろ祖国を追われ、弟と父を殺され、自暴自棄になった彼の目的は弟の復讐をすることであり、「ベアラーであること」を当初の彼はどうでもいいと思っていそうなんですよね。


というか最初に同行していた気さくそうな仲間のベアラー達はサクッと殺したのに、虐げられている仲間のベアラーは何とかしてやりたい、救わなきゃいけない弱き者達、と言う彼の心情がわからないのです。


私の目には、クライヴに刺青を入れ、凄惨な時間を過ごしたという過去を彼に背負わせたい、という開発者の思惑、言い換えると「ファッションベアラー」を纏わせられたクライヴでしかない。(FF15で失明させられたイグニスも「ファッション失明」とか言われてましたね)彼にとってはベアラーという過去がその程度の傷に思えるのです。RPGに壮絶な過去は付き物ですが、FF作品は特にキャラに重たい過去を気軽に背負わせることに慣れ過ぎてしまった感があります。そこもクライヴという人格がいまいち薄く感じられた部分です。


加えて、シドに救われたベアラー達が自立し過ぎていて「ベアラーの闇」が薄っぺらくみえるんですよね。ここはFF14色が特に出ていて「己の役割を120%発揮する仕事が出来る仲間たち」がバリバリ働いているせいでしょうね。(道端で苦しむトラウマを抱えたベアラーと、シドの街で暮らす自尊心の塊みたいなベアラーは別の人種のよう)


その他にも、黒の領域が広がり、住む世界が狭まる危機感は分かるのですが、「ジョシュアの復讐」に取り憑かれた彼が、シドに感化されて環境問題に命を掛ける理由もあまりピンとこない。行きずりに遭遇した不幸にあれもこれも手を出すのは何故なのか。その理由が見つけられず、あまりに投げっぱなしで、キャラクター象がぼやけてしまう原因になっている気がしました。


彼らが唯一見せた人間らしさといえば「パンに合わせるのは肉がいいか、スープがいいか迷う」というのがジルが本作で最も人間らしさを出したシーンでした。人らしく生きられなかったジルがささやかな人の幸せを見い出した良いシーンなのですが、それにしたってキャラの味付けが薄味すぎやしないか?


市場の掛け声、そこに息づく人々のセリフのまぁ個性のないこと。「野菜が安いよ!」「イチゴが1等甘いよ!」「うちの皿を見てってよ」 本作の特徴かもしれないのですが、中世ヨーロッパが舞台といってももう少し世界観の脚色どうにかならなかったでしょうか。いまFFの世界にきてるんですよ? そんなアサシンクリードのモブに置き換えたところで何の違和感もない台詞ではなくて、FFの世界を感じさせる演出が欲しかった。


つまるところ、いかにゲームが素晴らしくても

「共感できないキャラクターを操ってロールプレイする」というモヤモヤを抱えたままでは、RPGを楽しくプレイすることは難しいのです。

これが、私がFF16を最初から最後まで

まったく楽しめなかった理由なんじゃないかな。



٭𓈒𓏸背景マップについて٭𓈒𓏸


これは昼に言えることですが、灰色、茶色とほこりっぽい街が続き、ランドマークがどこにもなく道がとても覚えにくかったです。トルガルのガイドがなければ、背景の一部とインタラクト出来るハシゴの見分けもつかず、街を注意深く観察して進路を探すのは無意味なことです。だって見分けがつかないほど背景がありきたりなんだもの。インタラクトのUIは、世界観に馴染ませるためか本当に最小限で見落としやすく作られています。スタイリッシュなんだけど、特徴のないマップとの相性は悪かったです。


それでも挫けずにあたりを見回して道を探すと、フレームレートが追いつかなくて本当に酔いそうでした。トルガルのガイドは便利だけど、L3の長推しは毎回プレイの手を止めてしまうのであまり実用的ではなく、世界にこだわるあまり機能性が欠けた作りになってしまっているのが残念でした。


٭𓈒𓏸イベントがほぼ夜なことについて٭𓈒𓏸


これは意図してやっているのが分かります。

どこかで何かを発生させるにしても、クライヴたちは必ず夜まで待機し、夜の闇に乗じて行動します。


おそらくPS5の美しい映像、スクエニの誇る最高クオリティのエフェクトを魅せるため、夜空を背景にしたのでしょう。これは本当に美しかったのですが、映像もあそこまでいくと何が起こっているのやらサッパリで、背景がもともと地味で昼が逆に映ないことから夜の背景を活用したことは英断だと思いますが、あまりに長くムービーに退屈してしまうゲームでは、美しい映像美にも心は動かないのだなという目で見てしまい少し残念でした。映画ではなく私はゲームを買ったのだから!遊びの部分に期待したいじゃないですか!




  ٭𓈒𓏸主人公は弟

【ジョシュア】が良かった٭𓈒𓏸


ここでタイトルにも書いた件です。

主人公は【青年クライヴ】ではなく、【幼いジョシュア】にすべきだったのではないか?


これは完全に自分の趣味嗜好なのですが、シナリオを最後まで見た自分が抱いた最初の感想は「これクライヴじゃなくて、弟ジョシュアの視点でやりたかったな」というもの。


理由はFF16の一番の魅力は

【理想的な兄クライヴの姿を第三者視点で描くこと】だったんじゃないかと思えたから。


最初に書いた、クライヴが最も魅力的に見えたシーンが大人のクライヴではなく、少年時代に弟にウィンクして見せた兄クライヴだった、という点に帰結します。最後にあのシーンを持ってきたということ、すなわち開発者が見せたかった物語の根幹も、本当は【弟の視点から見た兄クライヴ】ということなのだと思います。


詳しく語る前に前提として、物語の筋書きを大まかに説明します。フェニックスのドミナント(継承者)が執り行う祭事の間際、暴動が起こり、パニックを起こしたジョシュアがフェニックスに覚醒してしまい暴走しているところに、クライヴが止めに入り突然イフリートに覚醒。制御出来ぬままに弟ジョシュアを殺害してしまい、以来後悔の放浪に出るというもの。やがてイフリートを神の器として狙われ、実は生き残っていたジョシュアが兄の身を案じて影からその身を守っていた、というのがこの兄弟の関係性である。


立派に成長したジョシュアの登場には本当に胸が熱くなりました。ただ序章ではあんなに素晴らしく描かれていた兄のクライヴが、あまりに無能に成り果てて主人公としての立ち回りがパッとしない。絶望し、弱さに打ちひしがれ、目的も立ち位置もあやふやでとにかく危なっかしい無口な主人公に、操作するカタルシスが感じにくい。弟を失ったので、もう昔の兄ではないとはいえ、幼いながらも備えていたカリスマ性や強い意思はどこかへ消えてしまい、ときには見る影もなく【全裸】を晒して本当に「大丈夫お前??」とただただ自分の分身に不安を感じる旅路でした。


もしもこれが、理知的で優秀なクライヴが、落ちぶれて失墜し、泥臭く逞しい大人に生まれ変わり、いい意味で格好よく奮闘する物語なら素晴らしかったに違いないが、実際大人に成長したクライヴは物足りないほどキャラクターが立っておらず、薄味で中身のない主人公に変わってしまいました。


ジョシュアを主人公に据えることで、自分はそこを変えたかったのかもしれない。


無垢で何も持たない弟の視点から、変わりゆく兄の勇姿を描いて欲しかった。


もちろん、主人公に据えた上で、内面も外面も出し尽くして総合評価で「大優勝」できる主人公は間違いなくカッコイイけれど、それを作り上げるのは本当に難しいことだと思うし、今作はそれに失敗しています。


そしてクライヴについては、主人公として描かない方がはるかにカッコイイキャラに出来たのでは無いかと思う。カッコイイ兄というのは、いつでも誰かの【理想像】であって、FF16の冒頭で描かれたクライヴも、クライヴ自身の視点に見えて、実はアレは「ジョシュアの視点で見た理想の兄の姿」だったのでしょう。



第三者のジョシュアの視点であれば、クライヴの、格好の付かない内面的な葛藤を描く必要はないし、クライヴの中身を必要以上に描く必要がないので、クライヴの内面が実は空っぽな人間だと言うことにプレイヤーが気付かずに済む。(空っぽというと語弊があるので言い換えると、「クライヴは理想的な兄というキャラ付け以外は他に必要ない」ということ。それだけで十分 本作に存在理由のあるキャラクターになると思う)


第三者から見た、つまりジョシュアから見た

【カッコイイ理想の兄】の象を崩すことなく、クライヴの生き様を描いてほしかった。




本題に戻って、ジョシュアが主人公だったならどうだろう?自分なりに考えてみました。


イフリートの暴走に瀕死の重傷を負ったジョシュアの物語は、彼を匿い蘇生させた不死鳥教会から始まる。


ジョシュアは初期のクライヴ同様、イフリートの存在を知らないため、兄や仲間を殺し、自分を襲ったイフリートの存在に執念を燃やしている。だが旅を重ねる中、アルテマの存在を知り、尊敬すべき兄クライヴが変態ストーカーアルテマおじさんに身体を狙われていることを知り、なんとかその横暴を止めようと錯綜する。


クライヴ本人はそんなことも知らず、王位を失ってなお世界や人を救う為に飛び回っている。ジョシュアにとっては尊敬すべき憧れの兄のまま。そんな兄と再会し、力を合わせてアルテマを倒すべく力を合わせるストーリーは、プレイヤーにとっても「憧れのクライヴと共闘」できる体験になるでしょう。


⚠️ひとつ注意すると、この世界線ではカッコイイ兄が全裸で拘束されて牢屋で咽び泣いたり、罠だと承知の上で敵陣にたった3人で飛び込んで「クソ!囲まれた!絶体絶命だぜ!」なんてダサい真似はしないクライヴであることをご留意頂きたい⚠️



ジョシュアの中でも、プレイヤーの中でも、クライヴはいつまでも憧れのカッコイイ兄であり、多くを語らないナイトとして活躍する。


そうしてようやく、ジョシュアの前にあの髪ボサボサで渋めに成長した三十路クライヴが登場が現れる時のカッコ良さたるや、始終「シドの為!シドの為!」と取り憑かれたように、仲間も連れずに単身と犬で敵国を崩壊させては帰ってくる、計画性をあまり感じさせてくれないお茶目なクライヴとは雲泥の差ではないだろうか。


わたしは個人的に、もう少し大人でカッコイイクライヴが見たかった。主人公ではなく、第三者の視点で冷静で多くの苦労は語らない、しかし子供の頃のように熱くて優しい兄であるクライヴをもう少し見ていたかった。


あと口元がクマさんみたいなデザインのイフリートよりも、フェニックスの方が操作性も見た目も断然好みだった。通常の戦闘ではフェニックスをずっと操作していたかったし、もしも理知的でカッコいいクライヴが猛り狂うイフリートを操っていたら。ラスボスの最後の最後でちょっとだけ最強のイフリートを操作するだけで終わっていたら…。3万くらいするイフリートフィギュアを買って枕元に置いていたかもしれない。


٭𓈒𓏸肌色シーンが多いことについて٭𓈒𓏸

話は変わって、

ここも本作の賛否両論が別れたところ。

わざわざCEROをあげてまで肌色シーンを入れて

語る必要が本作にあったのかどうか?


結論からいうと、自分は別にいらなかったかなー、というのが正直なところ。本音をいうと全然いらなかった。自分には需要0で、自分のゲーム体験には一切不要だった、というのが感想です。


まず裸体が美しくないのが致命的。

これが本当に大きい。


これは海外受けを狙った製作なのかもしらないけど

男キャラの裸が本当に汚くて…(ごめんなさい)


先に断っておくと、FF16は海外向け作品です。リップシンクは日本語非対応で、声優さんすら異例なことに「日本人声優の名前」が「海外声優の名前」の後ろに表記されるくらい、海外を意識して作られています。


海外のゲームは「イケメン」「美青年」よりも「こぎたないオジサン」にこそ需要があります。

勿論、日本の細くてスタイリッシュな容姿も海外勢の心を掴んで止まないのですが、「その細腕で2mの鉄塊を振り回せるわけねぇだろ」が海外プレイヤーのアンサーであり、需要なのです。


そのせいか、クライヴの裸は太腿は太いし、ケツはデカいしふくらはぎはムチムチで、美脚なんてどこ吹く風。日本人がアニメやゲームで見慣れた「細い」「しなやか」「ふつくしい」という綺麗な男キャラの常識を吹き飛ばすような「ガチガチマッチョのお兄さん」なのです


さすがに女性キャラは美しかったです。ジルはあんなに前線で戦って、雑に虐げられてきたベアラーなのに肌に傷1つないのが「ご都合主義だなぁ」とは思ったけれど、ベネディクタが身体を使ってのしあがる様はあの世界の強かなキャラクター性を描いていて良かったし、そうでないと語れない物語もあると思うから全然あっていい。


でもFF16の物語はそれがないと語れなかったか?と言われると正直、そこまでして伝えたいことが果たしてこのゲームにあったか?という印象。


ベネディクタについては、あの前が開いた大胆な服装をみれば、彼女がどんな手段で地位を築いてきたかは推して知るべしという感じだし、両思いにも関わらず恋仲が進展しなかったジルとクライヴも、服を着たまま美しい夜の浜辺で手を繋いでキスをすれば関係が成就した表現には十分で、別に裸で心の距離の近さを表す必要はなかった。というか、2人の服を濡らしたいが為にあの海底シーンを作ったのかな??すごいな。。  そしてアルテマおじさんとバルナバス国王の驚愕の肉体関係についてはもはや記載不要でしょう。


何も初心な心で「愛を表現するのに肉体関係は必須じゃないよ!」という気はないです。むしろ身体の関係でしか描けない愛はあるし、朝チュンで絆を表現するなんてあたりまえの演出である。でも裸を出しておけば物語のシリアスさが増すだろう、という安直な考えではなく、シリアスさはきちんと物語の深みで演出して欲しかったです。


自分は今作で「あの裸体のシーンあってこその絆だったわー!見事だわー!」と感じるシーンは少なくとも一切なかった。




操作性とプレイ体験について


最後は少しだけ、ゲームの操作感と肝心の遊びの部分について触れたい。


アクションについては、操作感と見た目が「デビルメイクライっぽい」とよく言われるように、実際にデビルメイクライの開発者の方が携わったようなので、そのまま「とても簡単に分かりやすく作り直したデビルメイクライ」という印象だった。


スタイリッシュで単純明快なところが、RPGからアクションに引っ越した初心者さんにも優しい作りという印象だが、やはり「単調すぎて選択肢が少ない」ということにも早々に気付いた。


このゲーム、色んなところで「こんなに削ることある?!」というくらい無駄を削いでいる。これは開発コストでカットしたんだろうなー、というほどにスカスカしているところが分かりやすい。顕著なのは装備品の少なさと、カスタマイズのシンプルさ。装備品は章が進むことに1つ解放され、それ以外に装備品を選ぶ余地がない。例えば魔法中心の攻撃スタイルにしたいとか、シヴァの力をメインにしたいから防御を捨てて魔力に充てようとか、そんな選択肢は一切ない。


古いアイテムを捨て、新しい武器を1個買う。

新しい武器を作ったから、1段階つよくする。

本当にそれだけ。


パーティーはいるがゲストだから戦略もなにもない。常についてくるトルガル(狼)も【噛む・蹴る】しかせず、カスタマイズもない。


クライヴの攻撃パターンも、高火力を出すルーティンは決まっていて、あとは緩いQTAをしてムービーを見るゲームだ。


既にこの1年でたくさんの方が書いていることなので復唱はしないし、「凡ゲー」と言われる理由はシンプルにここなのだと思う。


もちろんゲーム開発者のはしくれなので、たくさんの要素を入れることは難易度が高く、やればやるほどコストが嵩む。シナリオが少なく、シンプルに遊びだけで作られているゲームは本当に大変だ。それでもわたしは、「いいゲーム」って「遊びがいっぱいあることだよな」と思っている。


最高の体験が出来ることがエンタメで、それが遊びだろうが映像だろうが体験が良ければ金を払う価値はあるだろ、というのはそうだけど、やっぱりゲームは「遊んで」「頭を使って」ナンボで、自分はそれが良いゲームだし、そこを作れるクリエイターを目指したい。



以上【FF16】のレビューでした。