こんにちは。
毎度、お馴染みの伊坂幸太郎についてです。
今回は、『SOSの猿』を読み終えました。
今回の物語は、他の伊坂作品と比べるとちょっと“理屈っぽい”印象もあるのだけれど、読み進めるほどに引き込まれ、不思議な余韻が残る一冊でした。
●「集合的無意識」ってなんだ?
物語のなかで印象的だったのが、心理学者ユングが提唱した「集合的無意識」という概念です。
「人の無意識の奥深くには、人類共通の“原型(アーキタイプ)”が存在する」という考え方で、それは夢や直感、物語のパターンの中にも現れてくると言います。
正直、読んでいて「うーん、なんか予知とか占いみたいで怪しくない…?」と思う自分もいたのですが、れっきとした心理学理論のひとつとして存在していることに驚きました。
●人はなぜ惹かれ合うのか?
この本を読みながらふと考えたのが、
**「人と人が無意識に惹かれ合うのって、こういう“深い部分”で何かがつながっているからなのかな」**ということ。
たとえば、たまたま目が合っただけなのにどこか気になる人がいたり、まったく違う環境にいたのに同じテーマで悩んでいる人と出会ったり…。
偶然と言えばそれまでだけれど、もしかすると無意識の奥底で、何か“共通のパターン”に引き寄せられているのかもしれません。
●伊坂作品と「つながり」
伊坂幸太郎さんの作品は、登場人物や物語が“見えない糸”でつながっている感覚があります。
今回の『SOSの猿』もそうですが、人と人がどこかでつながり、影響を与えあう描写が本当に巧みです。
そしてそれは、作中の物語だけでなく、読者自身の人生にも静かに問いかけてくるように感じました。
●なかなかぶっ飛んだ表現もあるけど…
最近は楽しく没頭できる読書が好きな私ですが、たまにはこういう“考えさせられる一冊”もいいものですね。
次は本文庫本の解説でも述べられていた『マリアビートル』を読む予定です。今からあの「運の悪い男」の活躍が楽しみでなりません!
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伊坂幸太郎『SOSの猿』
――「無意識」が、意識よりも雄弁なときがある。
そんな言葉が頭に残る、静かで奥深い作品でした。
ありがとうございました。