本日もわたしのブログをご訪問いただきありがとうございます。

先週、勤務先から派遣されて課長研修(マネージャー級研修)を受講して参りました!
さいたま市内で行われた研修の参加者は、同業他社の方を含め約50人。
二日間にわたり、課長(マネージャー)の役割、職場運営、課題解決能力の向上などについて学びました。

その中で題材として取り上げられたあるお話が印象的であり、とても感動しました。
ぜひともこのお話を多くの方と共有したく、紹介させていただきます。

今から30年ほど前の実話。
東京の聖路加国際病院に入院している5歳の女の子。
彼女は白血病で1歳の頃から入退院を繰り返しています。

これまで治療を尽くしてきたものの、その甲斐もなくターミナルケアの段階に移ります。

ある年の冬、いよいよ終末が迫りつつあることを感じた主治医は、
「お父さん、この子に好きなものを食べさせてあげてください」と伝えます。

お父さんはベッドに横たわる娘に聞きます。
「ねぇKちゃん。先生が『Kちゃんの好きなものを食べていい』って言ってたよ。何が食べたいかな?」

「ぶどう。ぶどうが食べたい」
ささやくような娘の言葉にお父さんは考えてしまいます。

季節は冬。
ぶどうなど売っているだろうか……。

あちこちのお店を訪れては「ぶどうはありませんか」と尋ねますが、季節外れのためぶどうは手に入りません。

それでも諦めず、日本橋にあるデパートの果物売場を訪れます。

もう何度口にしただろう。
「あの……、ぶどうはありますか?」
店員さんに問いかけると、

「はい。ございます」
微笑む店員さんの言葉に、お父さんは足が崩れそうになります。

しかし……。

店員さんから差し出されたのは桐の箱に入った立派な巨峰。
艶やかで美味しそうな巨峰ですが、そこには30,000円の値札が。

これまでに費やした治療費などで家計は厳しく、そんなお金はありません。
今財布にあるお金は2,000円ほど。
とうてい買えるものではありませんでした。

それでもようやく見つけたぶどう。
諦めきれないお父さんは、洗いざらい事情を話すと、
「量り売りしてもらえませんか」
と店員さんに懇願します。

個人商店ならばともかく、デパートで量り売りなどしてもらえないことは承知のこと。
お父さんは頭を下げます。

「少々お待ちください……」
店員さんはぶどうの桐箱を持って奥の事務室に消えました。

しばらくすると、
「お待たせいたしました」
お父さんの前にやってきた店員さんの手には20粒ほどにカットされ、きれいに箱詰めされた巨峰が。

「こちら2,000円になります」
店員さんは微笑みながら小さく腰を折ります。

お父さんは何度もお礼を言うと急いで病院に戻りました。
そしてベッドの上で待つ娘に、
「Kちゃんが食べたかったぶどうだよ」
艶やかな巨峰を差し出します。

娘の喜ぶ姿に笑みがこぼれるお父さん。

Kちゃんは細い腕を伸ばすと、
「おいしいね。本当においしいね」
そう言って美味しそうにぶどうを口に運びます。


そして間もなくKちゃんは天に召されました。

お話はここで終わります。

この場面に在ったらどのような判断が適切なのだろうか……。
現場の長である課長(マネージャー)として考えさせられる題材でした。