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タイトルは、1997年に刊行された、歌人俵万智さんの第三歌集『チョコレート革命』であります。
俵万智さんは第一歌集『サラダ記念日』が有名ですね!

さて、チョコレート革命は、
「男では なくて大人の 返事する 君にチョコレート 革命を起こす」
という表題歌で勃発します。

「男ではなくて大人の返事……」まずその歌意を図りかねます。

革命は首謀者の「声明」が出されるまで状況が分からないもので。
 
しかし、この歌集が「不倫恋愛にある女性の気持ち」を連ねたものと認めるや、ガツンとやられます。
やられるのはもちろん男性です。

「愛することが 追いつめることに なってゆく バスルームから 星が見えるよ」
 
迷いを覚えながらも、女性の男性に対する愛は深まるばかり。
「追いつめる」とは女性が男性を追いつめているのか、女性が自分自身を追いつめることを悟っているのか……。

「水蜜桃の 汁吸うごとく 愛されて 前世も我は 女と思う」
「逢うたびに 抱かれなくても いいように 一緒に暮らして みたい七月」
 
わたしは「耽溺」という言葉が浮かびました。
ほとばしるエロスというマグマの噴出から、しっとり濡れた情愛への変化。

「妻という 安易ねたまし 春の日の たとえば墓参に 連れ添うことの」
「焼き肉が 好きグラタンも 好きという 子らに私は あなたのパパが好き」
「父として 君を見上げる 少女あり 淡く鋭く 我と関わる」
 
そして不倫恋愛では避けて通れない嫉妬、覚悟を内包しながら。
このあたりが一番ヒリヒリします。
読者はギリギリを攻めてくる挑発をさみだれのように受けることになります。

「きつくきつく 我の鋳型を とるように 君は最後の 抱擁をする」

しかし、女性と男性は別れを選びます。
理由? それは言葉にした途端に野暮なもの。

読後、三十一文字の歌の連なりは一編の映画を鑑賞したようで、深い余韻から抜け出すことができません。
いや、オペラに近いかもしれない……。

不倫恋愛に在る方、必読の一冊です。
 
【追記】
和龍も一句
散り散りに  乱れしこころは  置いてきぼり
  週末お盆  年末年始
家庭のある彼  週末 お盆 年末年始は家族の元で過ごしている
置いてきぼりのわたしの心は  散り散りに乱れています  
 
お目汚し、失礼いたしましたm(__)m