本日もわたしのブログをご訪問いただきありがとうございます。

タイトルの「学問は人を幸せにするのか?」について最近考えています。

このブログを訪問される方は心理学、生理学、脳科学、生物学、精神医学などを専門とする方が多いかと思います。
そして、何のためにそれを学び、実践しているのかと問われれば「世のため人のため」とお答えになるのではないでしょうか。
ちょっとクサいかもしれませんが、少しでも世の中のためになりたい、人の役に立ちたいという気持ちはウソではないはず。  

もちろん学びを生かしてお金を得る、生活の資とすることも大きな目的であり、できるなら「それなりにお金は欲しい!」とお考えではないでしょうか。
これを言わないとウソくさくなりますからね!

世の中を明るくする、人を元気づける、自分がその一助になっている。
これはマズローの承認欲求やアドラーの共同体感覚を持ち出すまでもなく、人としての根元的な喜びだと思います。

さて、私は経済学を専門としています(皆様とはずいぶんカテゴリーが違うかもしれませんね💦)ので、「経済学は人を幸せにするのか?」という命題について考えます。
経済学は、安定的な経済成長、その結果としての国富や企業資本の蓄積、給与の上昇、労働時間の短縮、税負担の低減を図り、以て国民生活を豊かにすることを目的としています。
「経済」とは中国の古典に著された「経世済民」を緒とし、政治や行政を含めた善政の根義として説明されます。国を善く治め民が安寧に暮らすための指南といってもよいでしょう。

これを実現するために、有効需要の創出、財政出動、通貨供給量や利子率の調整などさまざまなアプローチが用いられます。
これを論じますといくら時間があっても足りませんので割愛しますm(__)m
財務省や日銀といった偏差値80の方々があーだこーだと、その明晰な頭脳で経済対策を打ち出しますが……、なかなかクリーンヒットは出ないですねぇ……。

結論から申し上げますと、経済学は「結果が見えにくい」学問だとされています。
例えば、景気回復や好景気の実感は数値よりも感覚的なところが大きく、「Aという施策をとったから◯%の効果があった」という結果が計りづらいのです。

そこでなのか、近年ーといってもここ2~30年ーでは人心(マインド)からアプローチする行動経済学の研究が進められています。
大雑把に言えば、これまでは経済施策のモデルとして、無機質なヒト(ヒトはある条件のもとで常に合理的行動をとるという、実は「不合理」なヒト)や数字、公式を使っていたものを、「もっと有機的な、揺らぎとか幅とか偏りとかを考慮しようよ!」というモデルを用いるものです。
例えば、大根を買いたいAさんがいます。
Aさん家から近い八百屋さんでは一本100円。ちょっと遠いスーパーでは一本110円で売っています。従来の経済学のモデルでは、Aさんは八百屋さんで大根を買うものと規定します(近くて安いのだから当然ですね)。
しかし、本当にAさんは八百屋さんで買うでしょうか?  Aさんにとってはスーパーに行ってお肉や日用品などと一緒に大根を買う方が合理的だと判断すれば10円高くてもAさんにとっては理にかなっている訳です。

ちょっと話が長くなりましたが、景気とか経済が好調だなぁと感じるのは、多分に個々人の「気持ち」というアバウトな部分が大きく合理的には計れないと。
「景況感」を英語に訳すとBusiness sentiment(=感情)、Business confidence(=信用、自信)と表されます。

景気は各人の感情や信に拠っている。

これからの経済学は心理学的なアプローチ、経済学と心理学等の学際的融合が重要になると考えられます。

ここに集う皆さんの衆知が必要な時代なのです。

これからも皆さんと学び、共に高みに上がり、
「学問は人を幸せにするのか?」に対するアンサーを考えていけたらと思います。