(終章)岩手県を「イーハトーブ」と言った宮沢賢治 | キャリア・読書・人生の窓

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汝の一日、かくの如く終れば、汝の一生もまたかくの如し。
そうだ、今日考えたことを書き留めておくことにしよう。

### 前回のつづき ###

 

!?ねえ、ねえ、先輩!
宮沢賢治の作品であと一つだけ
「おすすめ」を挙げるとしたら
なにがある?



!!そうだなあ・・・・・・
以前、コバジュンから教えてもらったんだけど
一つ、とっておきの作品があるよ。


それは『なめとこ山の熊』だ。
僕もこれは宮沢賢治の最高傑作だと思う。



!?へー。
どんな作品なの?



それでは物語の舞台の話から始めよう。

<物語の舞台>

 

「なめとこ山」は架空の山ではない。
小岩井農場の南に実在する山だ。
(明治時代の地名=ナメトコ山) 


しかし、物語の記述を見るかぎり、作品に登場
する、なめとこ山は、隣接した山々も含む地域と
みてよい。


 


<登場人物>


●小十郎
まるで熊のような風体をした熊撃ちの達人であった
が、熊の言葉や気持ちが分かるようになる。
熊の命を奪う行為に疑問を感じ、葛藤する。


●熊
母子熊、小十郎に命を差し出した熊、小十郎を
打ち殺した熊が登場する。


●荒物屋の主人
小十郎の毛皮を買い叩いて搾取する、
やり手の荒物屋。
語り手は「こんないやなずるいやつらは世界が
だんだん進歩するとひとりで消えてなくなって
いく」
と述べており、極端な搾取の手口に対する批判
が向けられている。


 

<あらすじ>

 

なめとこ山の麓に小十郎という熊撃ちの名人がいた。
小十郎には家族を養えるほどの畑はなく、
山林は政府のものとなって伐採が禁じられ、
里では職にありつけず、熊を撃つしか家族を養う道
がなかった。



小十郎は、一家七人を養うために、熊を撃ちまくった
が、本当は熊に申し訳ない気持ちでいっぱいであった。
彼は熊撃ちの時は自信に満ちた名人だったが、殺した
熊に言い訳を聞かせ、次に生まれる時には熊になるなよ
と熊に語りかける。

 


そして、熊の肝と皮を担いで帰る時はみるかげもなく、
ぐんなりした風で山を降りてゆく。 



なめとこ山の熊にとって、撃ち殺されるのはもちろん
迷惑だったが、熊はそんな小十郎に一種の親近感を抱き、
いつも高いところから眺めていた。
小十郎は時おり、熊の言葉さえ分かる気さえした。

 


彼が、なめとこ山で道に迷って、熊の親子に出会った
時に、小熊と母熊の会話を理解してしまい、胸が
いっぱいになって、こっそり戻った時があった。



山では気高い小十郎も、なめとこ山の熊が肝と毛皮
という商品に変わってしまい、町の荒物屋に売りに
行くときはみじめだった。
小十郎の毛皮は、ずるい荒物屋によって2枚で2円と
いう安値がつけられる。

 


生活がかかっている小十郎は、それが不当に安い
ことを分かっていても、仕方なく手放してしまう
のであった。



ある日、小十郎は、木に登っている熊に出会い、
鉄砲を構えた。 
鉄砲をつきつけられた熊は、観念し木から下りると、
小十郎に自分が殺されなければいけない理由を尋ねた。

 


小十郎は、最後には安く買い叩かれてしまう熊の末路
も教え、気の毒に思っていることを告げた。
さらに(本当は熊撃ちをやめて)「草の実でも食べて
死ぬならそれでも良いような気がする」
と本音を漏らした。

 


すると熊は、二年間し残した仕事を済ませたら、
二年目に小十郎の家の前で、死んでいてやるから、
胆でも皮でもあげると約束した。
小十郎はそれを聞くと切なくなって、見逃してやった。

 


ところが二年後、熊は小十郎の家にやって来て、
約束どおり死んでしまった。
熊を見て、思わず拝む小十郎。



一月、小十郎は母に、「水に入る(猟を始める儀式)」
が嫌になったと弱音をはいた。
けれども白沢から峰を越えたところで猟を始めた。
するとまもなく不意打ちで熊が現れ、
小十郎は撃ち損じて熊に襲われてしまった。

 


小十郎の耳には、
「お前を殺すつもりはなかったという」声が聞こえた。


小次郎は青い火を見て死を悟り、
「熊どもよ、今までの自分を許せ」と心でつぶやいた。


三日後、小十郎のために数多くの熊がどこからともなく
集まってきて静かに弔いが行われた。

 

 

 

 

                        (完)

 

 

           

                         合格

 

 


(注)来歴等に関する出典はWikipedia他

 

 

 

 

 

 

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 *コバジュンとその仲間は、NPO法人・JAVA
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http://www.java-animal.org/

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