新型コロナウイルスが世界をめちゃめちゃにし始めてから早くも一年が経つ。

北海道では2020の真冬から、日本全土でみればちょうど一年前ぐらいからだったと記憶している。

以来、毎日毎日コロナ関連の代わり映えの無いニュースが必ずと言っていいほどテレビでは流れている。

今を生きていくことはまるで五里霧中の山の中を進むようだ。

多くのイベントは中止、そして度重なる外出自粛要請。

僕自身の周りでは、リストラ、給料カットなどなど。

暗いお知らせには本当に事欠かない一年間だった。

それでも無情にも時間は過ぎていくのであって、その情報量の多さに365日間はまるで瞬きの隙に過ぎていった。

そして僕もまた歳をとり、時間の流れというものは加速していくばかりで見通しは良くないままだ。

特にこの冬はまるで長く、霧に包まれた長く怠い下り坂を転がるように過ごした。

下り坂という言葉はマイナスのイメージを含んでいる、しかし下り坂の持つ性質は決して悪いことばかりでは無いと思う。

 

  

 

バイクのコーナリングもスリリングで楽しかったのはやっぱ下り坂だったし、スノーボードという板きれ一枚に身を任せれば冬の下り坂はまるで天国だ。

下り坂の「下り方」を身につければいいだけのことだと思う。

いつか遠くない日。このままこの下り坂を抜けたこの谷のどん底で僕は、満面の笑顔で自分の下ってきたラインを振り返っていると思う。そしてこれか待ち受ける次の頂上を見つめてわくわくしているだろう。

 

辛いのはなにも下り坂ばかりではない。

息を切らしながらの上り坂もまた辛いものだ。

故にたどり着いた先のてっぺんからみる景色は格別に美しく見える。

 

 

僕たちの認知の外側で、いつの間にか上り坂に差し掛かっているかもしれない。

盛者必衰という言葉もあるとおり、散々世界を掻き乱している新型コロナウイルスもいつまでもこのままの勢いが続くわけではないと信じたい。

 

いつかこの世界、コロナにむしばまれた世界が新たな局面を迎えるその日まで。

僕はこの下り坂を楽しみつつなんとか生き延びて、新しい景色の為に上り坂を駆け上がっていきたい。

 

 

ダニー

2021/05/10