怪我をした沙希を献身に介護することで、
いい母親だと周りに誉めらる。
奈菜はそこに喜びを見出すようになる。
そして沙希への虐待は、ひどくなっていく。
沙希が怪我をすれば、誉めてもらえる。
誰もが献身的な母親を、犯人だとは思わない。
「そう、変わっていったのね」
「そうです」
拓海はうなだれていた。
当然、それに拓海は気がついたはずだ。
それでも、きっと止められなかったのだ。
奈菜の体の傷も、
拓海が暴力を振るった傷じゃなく、
奈菜自身がつけた傷。
沙希の傷も、奈菜がつけた傷。
でもみんなが、拓海が犯人だと思った。
それは拓海のキャラのせいだ。
自己中心的で、俺様風の拓海は、誤解されやすい。