タイトル 「天使の羽」 972「ねえ、パパ、 私を迎えにきたんでしょ」「そ、それは……」 拓海は困ったような顔をした。「寂しかったんだよ」 沙希は上目遣いで、 拓海をじっと見つめた。 その目は涙目で、 今にも涙が溢れ出しそうだった。 それでも沙希の顔は 微笑みに満たされていた。「もう、いなくなっちゃ嫌だよ」「ああ」 拓海は思わず沙希を抱きしめた。 途端に、沙希の目から涙がこぼれた。 病院の誰もが、 沙希が涙をこぼすのを見るのは初めてだった。絵はイメージです。最近こんなのをよく見る。