「そうよ、ひなた、あんた、見合いしなよ」
みさきはあっさり裏切った。
「えっ、嫌よ」
「だって、恋人いないでしょ」
「それはいないけどさあ……」
ひなたの脳裏にふと、翔太の顔が浮かんだ。
「ごめんね、ひなた、お姉ちゃんが不甲斐ないせいで」
ひなたはみさきを睨み付けた。
「赤い糸……」
ひなたは小指を立てた。
「本当に好きな人と結婚してよね
って言わなかった、姉さん」
ひなたの小指の横をみさきは手バサミで切った。
「今、切っちゃった。
ごめん、ひなた」
みさきが鬼に見えた。
やっぱり母似だ。
ひなたはひもを結び直すふりをした。