タイトル 「天使の羽」 1069「でもねえ、結局孫の顔見たら、 一気に気持ちが折れたみたいね」 それでか、 毎日のように病院に来てたんだ。 あの顔……。 みさきは沙希を見つめる 冬樹の表情を思い出していた。 あの目は愛しい者を 見つめる優しい眼差しだった。「それから、 おかげ様で息子が更正しましたって 手紙が来たのよ」 小春は机の引き出しをまさぐった。「見せようか」「いい、いいよ、別に……」 母は自慢したかったのだろう、 がっかりしていた。