「医療事務でもしてるの?」
「病院経営の手伝いをしてるんだよ」
「経営?」
「悪く言えば、買収みたいな仕事なんだけど」
なんか怪しい会社に聞こえる。
「経営が立ち行かなくなった
病院を建て直す仕事かな」
そんな能力があったんだろうか。
いや、それ以上に資金がなけりゃできない仕事だ。
「怪しい会社と思ってるだろう?」
「うん」
「誰でも知ってる大企業さ。
もちろん、その系列会社だけどね」
「ふーん……。
よくそんな会社に入れたね。
中途採用でしょ」
「コネ入社かな……」
「そうなんだ」
そんなコネがあるなんて知らなかった。
それならもっと早くその人を頼ればいいのに。
そしたら両親も反対しなかったかもしれないのに。
まあ、るいは変にプライドが高いから
できなかったのかもしれない。
「でも良かった」
これが本心だ。
どんな会社でもいい。
これはみさきにとって朗報なのだ。
結婚が現実感を増してきた。