タイトル 「天使の羽」 935 沙希はそれを手で止め、 自分の足で歩き始めた。 翔太はゆっくりと近寄ってくる沙希を見て、 じっと両手を広げた。 頑張れ、頑張れ……。 みんなの応援が聞こえてきた。 鈴音もひなたも祈るように両手を握り締めた。 バサ、バサ……。 パッと沙希の背中に翼が広がった。 翼は羽ばたきだし、歩く沙希の後押しをした。 鈴音と沙希は目を見合わせた。 その瞬間、そこにいる誰もが 沙希の翼を目撃していた。