「不満だらけだ!!」
桃花は大声をあげた。
最近、桃花は文句を大声で連呼するようになった。
愛海に言わせると、二人の距離が近づいた証拠だって言うけど、不安だらけだ。
最近の一番の不安要素、それはやっぱりルカの浮気心。
とくに気になること。それは、ギャル曾根だ。
「ギャル曽根ってすごいよな」
今頃になって、ギャル曽根にはまってる。
テレビで大口を開けて食う女を見ると、
「おいしそうにご飯を食う女って、思わず、見ちゃうよね」なんてこと言うわけ。
大体なんでいまさらよ。
ずっと前からテレビに出てるじゃないの。
ブスだし、ギャルっていう割には、老けてそうだし。
でも気になるのよ。
ルカが森ガール好きだから、大盛りガールも好きなんじゃないかって。
だって駄洒落で恋しちゃう彼だから、やっぱ心配じゃない。
だから私もなるべくいっぱい飯を食うようにしてる。
おかげで少し太った気がする。
愛海はそんな私を見て、「何、幸せ太り」なんて冷やかすけど、実は結構気にしてる。
「ねえ、ルカ」
「何?」
「ルカって、デブ専なの?」
「どうして?」
「だって大食い女が好きなんでしょ?」
「えっ、そんなこと言ったっけ」
「だって、ギャル曽根、好きみたいだし」
「違う、違う、ギャル曽根が好きなんじゃなくて、ギャルが好きなんだよ」
「はあ?」
ギャル好きだったの。
だからキャバ嬢が大丈夫なんだ。
「だって可愛いじゃないか、キャピキャピしてて」
結局、若い女子が好きなのかもしれない。
「私だって、充分若いでしょ」
そうだ、私だって、まだ十代なんだから。
「だって桃花って今さら、ギャルって感じじゃないでしょ」
それは私がおばさんだって言いたいわけ。
顔が老けてるって言いたいわけ。
もう、森ガールなんて無理があるっていってるわけ。
コスプレして、頑張ってる私を全否定する気!