タイトル 「天使の羽」 967鈴音には試合に勝ちたいという意識は強くない。それがある意味弱点でもあるのだが。その時の畠山は思っていた。勝つための演技でなく、自分が満足できる演技をすればいいと。その方が失敗しても、きっと後悔をしないだろう。鈴音の4回転ジャンプへの意志は固く、それを妨げる権利は誰にもない。鈴音が4回転を跳んで勝つことに拘るのなら、それを応援するしかない。それに今の鈴音なら、それを成し遂げるかもしれないと、畠山は思っていた。