タイトル「森ガールと盛りあガール」 157 | 可愛い君に愛を囁きたい

可愛い君に愛を囁きたい

みぃたんと忍者たなかーず

「ねえ、愛子さん」

「何?」

「折角だから聞きたいの」

桃花は最後に愛子にどうしても聞いておきたいことがあった。

法学部に入ったからじゃない。

親が弁護士をしているせいでもない。

ずっと疑問に感じていたことだ。

「なぜ保護観察官を目指したの?」

「それは難しい質問ね」

「私は犯罪者の更正には悲観的にしかなれないの」

「それは再犯率が多いから?」

「そう。犯罪者の再犯率は50%以上でしょ」

「さすが詳しいわね」

「大学で習ったばかりだから」

「そう」

「保護観察官の人って不思議?」

「どうして?」

「楽天的っていうか、数字以上に人間に希望を持ってる。でもそんなに人って変われないと思う」 

「でも二人に一人は立ち直るのよ」

「半分しか立ち直らないんでしょ。あれだけ世話をして、もうやりませんと誓った人があっさりと裏切るんでしょ」

「数はあくまで数字なのよ。私は彼らを数字で見てないわ。個人個人が社会に戻ってやり直す姿を思い描いてるの」

「性善説ですか」

 性善説、人間はもともと善であるという考え方だ。

「そんな大それた志はないのよ。ただね、出会ったの、たまたまね」

「犯罪者にでしょ」

「そうよ、罪を犯した人にね」

なんで言い直したんだろう。

犯罪者は犯罪者じゃないんだろうか。

「環境犯罪誘因説って習った?」

 環境が犯罪者を生んでいるという考え方だ。

 テレビなんかで暴力シーンを見て育つのもその一つ。