タイトル 「天使の羽」 855 結局、鈴音は、 沙希とひなたをつれて、 明治神宮にやってきた。 沙希の主治医の小春は あっさりと外出許可を出した。 母の小春は絶対に反対すると、 ひなたは思っていた。 大日本フィギュアスケート選手権の時でさえ、 姉のみさきがついていく条件で 許してもらったからだ。「もう心配いらないでしょ」 小春の言葉は 医者でないひなたにとっても、 希望の声に聞こえた。 沙希はきっと そのうち歩けるようになるだろう。