ノリさんのキャベツ
しばらく姿をみせなかったスタイリストのナベさんが、
両手にキャベツの入った袋をふたつ下げて姿を見せた。
なんでも長野の農家に住み込みで、取り入れの仕事に
ありついたものの、作物が台風でほとんど仕事にならず、
売り物にならない傷キャベツを6個もらっただけで、
帰ってきたそうだ。
「まあ、飯は出たし、風呂にも入れたし、
セーターなんかの古着も、よかったらもっていけ、っていわれてさ。」
おしゃれなナベさんは、食べられるキャベツより、
背中にくくった包みの方が重大らしく、次々と古着を取り出す。
「ほらこれなんか、これおまえに似合いそうだ」
茶色のジャンバーをノリさんに着せてやる。
ノリさんは「農家の人も、台風でたいへんだったよなあ」
と照れくさそうにジャンパーをなでる。
「おれ今、なにもお礼できないよ。
これ古着屋に持っていけば、いい金になるんじゃないの?」
「いや、古着屋にはもう行ってきて、これは売れなかったやつだから」
とナベさんは、気前がいいセリフをはきつつ、下を向く。
見れば、クリーニングもせず、形も古く、
とても売り物になるような代物でない。
以前、ナベさんが拾った衣類を古着屋に持ち込もうとして、
たたき出されていたところを見たことを思いだした。
最初から、売り物になるようなものではないのだ。
「それより、キャベツ食べようよ」
しかしヨシさんの姿も、この前の銀杏の日から見かけない。
ひどい雨だったので、どこかに移動したままなのだろうか。
仕方がないので、鉄板でいためて食べた。
汁ものにしたかったのだけど、ミソもダシもなく、
調味料が醤油しかなかったのだ。
「生でかじってもいけるよ!」
ナベさんが歯のない顔で真剣にいうので、おかしかった。
農家の古着袋からは、靴下がありがたかった。
洗濯してある靴下に履きかえると、
ふかふかで穴もなくて、ぐっと体があたたまる感じがするのだ。
両手にキャベツの入った袋をふたつ下げて姿を見せた。
なんでも長野の農家に住み込みで、取り入れの仕事に
ありついたものの、作物が台風でほとんど仕事にならず、
売り物にならない傷キャベツを6個もらっただけで、
帰ってきたそうだ。
「まあ、飯は出たし、風呂にも入れたし、
セーターなんかの古着も、よかったらもっていけ、っていわれてさ。」
おしゃれなナベさんは、食べられるキャベツより、
背中にくくった包みの方が重大らしく、次々と古着を取り出す。
「ほらこれなんか、これおまえに似合いそうだ」
茶色のジャンバーをノリさんに着せてやる。
ノリさんは「農家の人も、台風でたいへんだったよなあ」
と照れくさそうにジャンパーをなでる。
「おれ今、なにもお礼できないよ。
これ古着屋に持っていけば、いい金になるんじゃないの?」
「いや、古着屋にはもう行ってきて、これは売れなかったやつだから」
とナベさんは、気前がいいセリフをはきつつ、下を向く。
見れば、クリーニングもせず、形も古く、
とても売り物になるような代物でない。
以前、ナベさんが拾った衣類を古着屋に持ち込もうとして、
たたき出されていたところを見たことを思いだした。
最初から、売り物になるようなものではないのだ。
「それより、キャベツ食べようよ」
しかしヨシさんの姿も、この前の銀杏の日から見かけない。
ひどい雨だったので、どこかに移動したままなのだろうか。
仕方がないので、鉄板でいためて食べた。
汁ものにしたかったのだけど、ミソもダシもなく、
調味料が醤油しかなかったのだ。
「生でかじってもいけるよ!」
ナベさんが歯のない顔で真剣にいうので、おかしかった。
農家の古着袋からは、靴下がありがたかった。
洗濯してある靴下に履きかえると、
ふかふかで穴もなくて、ぐっと体があたたまる感じがするのだ。