ミツコのとこ | 乞食blog

ミツコのとこ

早朝に開店する飲み屋がある。
店の名前はないが、みんな「ミツコのトコ」と呼んでいる。
店主である女将の名前がミツコというからだ。
ミツコも同じホームレス仲間だ。
昔は水商売をやっていたらしい。

ミツコのトコは、毎週土曜の6時前に開店する。
開店といっても、クーラーボックスと、
組み立て式のテーブルがふたつあるだけの簡易店舗だ。
ここで飲む酒で一番高い酒は、常連だけが知っている、

「ビールの焼酎割り」

昔でいうところのホッピーみたいな飲み物だが、
ホッピーはビールの代用品だった訳で、
本当のビールにアルコール度を増すための焼酎を入れると
ホッピーより味わいがあって美味い。
そしてビールより良く酔えるのも魅力的だ。

注文は、ミツコに「ビールのアレ」と言えば通じる。
たまに焼酎を多めに入れてくれるのも嬉しい。

アルミ缶集めを終えた人たちが、憩いの場として利用する飲み屋。
「ビールの空き缶を山ほどあつめて、コレ飲めるの一杯なんだよな」
と、山ちゃんはちびちびと焼酎のお湯割りを飲みながら言った。

一般の人が動き出す、朝7時には看板の「ミツコのトコ」。
日本で一番営業時間の短い飲み屋なのかもしれない。