中華風リゾットとグリルドカツのグリーンソース | 乞食blog

中華風リゾットとグリルドカツのグリーンソース

カツとマーボ茄子、野菜の煮物、枝豆などが
けっこう残っている弁当空のつまった袋を、
貸しビルの駐車場で手に入れる。

箱とおかず、手拭や割り箸に混じる
枝豆の皮(中身はけっこう入っている)を
ていねいによりわけながら、
さてどうやって食べようかと思案。

元シェフのヨシさんに相談したら
「ああ、これはいいね」
と目を輝かせた。
ヨシさんに言わせると、
残飯はメニューや調理法ではなく、
素材として見るのが良いらしい。

まずカツの肉と衣を分けて、
マーボー茄子からひき肉のタレのみをこそげ落とす。
後はどうやったのか解らないが、
瞬く間に、暖かいとろんとしたひき肉入りのリゾットと、
焦げ目のついた肉にグリーン色の
きれいなソース(枝豆だそうだ)の
かかった一品が出来上がっていた。

付け合せの煮物だった里芋は、
表面に香ばしく焼き色がついており、
ほっくりとした味わいが
一度揚げてからグリルされた
肉のうまみにとてもよく合う。

ふと、昔、会議室でタバコの煙にまぎれながら食べた
仕出しの冷たい弁当の味を思い出す。
それから新婚当時、妻が作ってくれた弁当の味…。
あれは冷えていたけれど、暖かかった。
胸がちょっとつまる。

ヨシさんが
「どうしたの?口に合わないの?」
と心配してくれたが、
「美味しくて…」
と言った後。やっぱり涙がこぼれてしまった。

「まだ、おまえは帰れると思うよ」
ヨシさんはそう言った後、
今夜の分に、と残った飯を
つけもので握ってくれた。

それを半分ずつに分け、
お互いのねぐらに戻った。