湯の花 | 乞食blog

湯の花

肌寒い季節になってきた。
夏に山ちゃんがリアカーで
どこからか拾ってきたドラム缶、
この風呂もそろそろ火をくべて
温めなければ湯ざめしてしまう。

ということで皆でお燗してみましたヨ。
ゴエモン風呂に入る順番は
その日いちばん残飯をもってきたマーちゃんから。
続いて私、それからこうりゃん先生、
ノリさん、キンさんの順。

最後になって、またまたキンさんが怒り出した。
「ぬるい上に、汚ねぇ!」と。

たしかに湯面は、
何も入れてないはずなのに泡立ち、
怪しげなものが浮いている。
博学のこうりゃん先生は
「上ずみだけとって、湯の花として売りましょう」
と言い出す始末。

真顔でそんなことを言う
先生に場の空気も和み、
キンさんの怒りもひと段落。
なんだかんだで入り始めたが
そのあとの一言が粋である。

「おめぇらのツメの垢なんか、飲みたくねぇヨ!」

皆で笑った。
かといって、あの高層ビルに出入りする方々の
ツメの垢も別に飲みたくないわけで、
しょうがなく皆、
自分の垢にまみれて日々暮らしている。