キネマ画報

キネマ画報

名古屋在住映画好きダメ人間の映画愛をこめてのブログ多少脱線ありです。


「ブラック・スワン」の鬼才ダーレン・アロノフスキー監督が、2000年に手がけたヒューバート・セルビー・Jr.の小説「夢へのレクイエム」を原作に映画化した監督第2作です。

ブルックリンに暮らす孤独な未亡人サラのもとに、テレビ番組から出演依頼の話が舞い込む。番組に出ようと、ダイエットを決意したサラは、医師に処方されたダイエットピルで瞬く間に減量に成功。一方、文無しの生活を送る息子のハリーは、恋人マリオンとのささやかな夢をかなえるため、麻薬の売買に手を染め、彼らを待っていたのはさらなる破滅の道だった…


昔、地元では劇場公開がなく、今回のリバイバルでようやく劇場で観ることが出来ました。内容的にはすでにDVDや配信で繰り返し観ていたので、その強烈さはわかっていましたが、久しぶりにちゃんと観るとみんな麻薬に溺れて最悪な体験をするというお話で、これを観たら麻薬はやっちゃ駄目だなと思うことうけあいです。

若きダーレン・アロノフスキーの才気溢れる演出&編集がキレキレで惚れ惚れするし、ちょうどキャリアの迷い子だったジャレッド・レトやジェニファー・コネリー、エレン・バースティンが文字通り身体を張った捨て身の演技で麻薬中毒者の最悪な末路を体現している姿に頑張ったねと言ってあげたくなります。

あと音楽が素晴らしくクリント・マンセルによるテーマ曲の旋律が内容と滅茶苦茶マッチしていて最高でした。

刺激が苦手な若い世代はこの映画を観て何を思うか?気になります。

「僕たちは変わらない朝を迎える」の高橋雄祐が監督と主演する短編作品です。アマプラにあったので観ました。
 
盲目の青年ユウキはイタリア料理店の見習いとして働き始め、料理人を夢見るが…
 
高橋雄祐さんは芸歴10年の俳優さんです。名古屋シネマスコーレの舞台挨拶で何度も彼自身を見たことがあります。インディペンデント映画では主演作もあり、多彩な役を演じていますがこの作品では料理店でナポリタンに放レ込んで修業を始める盲目の青年役を演じています。
映画の内容がどうというよりは彼自身が自分にはこんな演技もできるんですというプロモーションの意味を兼ねて製作されたのではと思いますが、それにしても演出はしっかりしていてドラマとしてのクオリティも高いです。
なぜ彼がメジャーで発見されないのか不思議です。最近、監督業を始める俳優さんたちが増えていますが、そういう人たちはだいたい俳優としても魅力的なのでなにがきっかけであれ報われて欲しいなと思うばかりです。
 

 

 

はるな愛の自伝「素晴らしき、この人生」と、医師・和田耕治についてのノンフィクション書籍「ペニスカッター:性同一性障害を救った医師の物語」を元にしたNETFLIXオリジナルの作品です。


幼い頃からアイドルを夢見ていたケンジは、成長とともに“自分らしさ”と周囲の視線に悩むようになる。学校でいじめを受け、家族にも相談できずにいたケンジは、両親に内緒で働きはじめたショーパブで、華やかで個性的なメンバーたちと知り合い、「アイ」という名前でステージデビューを果たす。そしてアイは、貴公子のようなダンサー・タクヤと恋に落ちる。一方、過去に患者を救えなかった苦悩を抱える医師・和田は、アイの深い苦悩を知り、性別適合手術の世界に足を踏み入れることを決意し…

 

「Winny」の松本優作監督が起用されたのは正解だったと思います。「Winny」で平成のファイル共有ソフト開発者の事件を描き、実在する人物を描き、その時代を再現するということを経験していたことが今回の成功の要因です。

アイドル好きなケンジが女性として生きたいと願い、その強い思いを患者想いの医師が様々な困難を乗り越えて達成する。女性として新たな人生を歩むも恋人の家族には拒絶されと悲喜こもごもを当時のヒット曲に乗せて描いていきます。

昭和に日本で性転換手術をするということがどれだけ大変かということは昨年公開された「ブルーボーイ事件」で描かれていました。東京オリンピックを控えた1965年の日本で性転換手術を受けた人たちとその手術を請け負った医師の受難を観ていたことで、この作品で斎藤工さん演じる医師が苦悩するのもよくわかりました。

ニューハーフの世界で生きる、ショーをする彼女たちを描く物語なので昭和~平成のヒット曲を使ったミュージカルシーンもはまっています。

物語の展開に歌詞がしっかりとリンクする選曲も絶妙で凄いです。

あと意外なキャストがいい味を出していました。それはケンジを見守る家族たち。千原せいじのいかにも関西のおとんがもう本当にすごいし、吉本新喜劇の末成映薫さんのおばあちゃんとかネイティブな関西感が素晴らしい。「Winny」ではエセ関西弁が気持ち悪かったですが、今回はその違和感もしっかりとクリア。

主演の望月春希さんもミュージカルシーンとか、モノマネ芸とかかなりのハードルを乗り越えた素晴らしい演技で今後仕事が激増しそうな存在感でした。

東京へ出てからのはるな愛ぶりも激似で凄い!