適切なリスクの見積もり方
今日は私がどのように新しい投資をするときに恐怖や不安と向き合うかをお話したいと思います。ゼロ円マイホームを作ろうと思ったときも同じプロセスでリスクを適切に見積もり、恐怖と不安に対処しました。
新しいことに挑戦する時は、少なからず恐怖や不安がついて回るものです。
自分の経験を超えたものの場合、それが顕著です。
例えば、、、、
1000万円の物件を購入したことがある人は、300万円の物件を購入するのに金額的にはおそらく恐怖は感じないはずです。
ですが、300万円の物件が「ボロボロの戸建て」だったらどうでしょうか?
賃貸需要もなさそうな田舎で、AirBnBもサービスが受け入れられるかどうかすら不明。誰に聞けばよいかもわからない状態、とします。
金額的には問題なくても、相当心理的負担があるのではないでしょうか?
不安要素がたくさんある場合には、情報をすこしずつ整理していきます。
私がやっている「恐怖や不安の乗り越え方」は、以下のようなものです。
- 最大いくら損をする可能性があるのか?
- 最大の損が確定したとき、どのくらいのダメージがあるか?
- 自分でコントロールできる範囲はどのくらいか?
- 想定した前提条件は正しいか?つまり、十分考えられる範囲か?
- 前提条件が変わる確率は?変わったとき手だてはあるか?その時にかかるコスト(お金・労力・時間)は?
1.最大いくら損をする可能性があるのか?
これが最も大事ですね。
でも、あまり安全サイドに考えすぎては、怖くなって動けませんので、バランスがとても大事です。
それに、「最大損失額」の見積りをすること自体、相当高度で経験を必要とします。
最初は、まず業界について勉強すべきですね。
大原則は「知らないものには投資しない」、という事です。
知ったうえで、最大損失を見積もることができるようになって初めて投資して良い、という事になります。
それでも、自分だけで判断するのはリスクがあります。
そんな場合には専門家に相談します。
それも一人ではなく、複数に。
ここはお金もケチらず正規料金を支払いましょう。
ここでケチるとあとで痛い目を見ることになります。
専門家に相談する前に、自分でも勉強して自分なりにリスクを見積もります。
専門家に相談するのは、その答え合わせをするようなものです。
また、専門家を選ぶ際に注意すべき点は、3つあります。
❶その専門家自身がその投資をやり、成功していること
❷その専門家自身が現役であること
❸専門家が中立の立場であること(利益相反になっていないこと)
❸は特に大事です。
2.最大の損が確定したとき、どのくらいのダメージがあるか?
についてです。
これは、将来損が確定したとき生活に与える影響がどのくらいあるのか?ということです。
仮に損が確定してしまった場合の影響の大きさを以下の3段階で考えます。
・生活に支障なし。これまでと同じ生活レベルが維持できる
・生活レベルを少し下げる必要がある。
・自己破産。
そして、自分で取れるリスクはどの程度か見積もっておく必要があります。
私の場合、最悪自己破産までは受け入れる覚悟で不動産投資をしました。
もちろん自己破産しても問題ないということではなく、織り込めない想定外のことが起きた場合は自己破産の可能性もあり得る、ということを受け入れた上で投資をする、という事です。
最悪自己破産は覚悟はしているが、限りなく低いと判断しました。
感覚的には1%にも満たないという感じです。
3.自分でコントロールできる範囲はどのくらいか?
その投資において自分で何がコントロールできて、何はコントロールできないのか、事前に調査しておきます。
私が不動産投資が好きなのは、自分のコントロールできる範囲が広いからです。
株やFXなどは(私の知識不足からかもしれませんが)、不確実性が高く、世界中の交通・貿易が複雑に絡み合った現代ではそれぞれに与える影響を加味して予想することは非常に難しいと思っています。
つまり市場はコントロールできないと考えています。
株式やFXでいうと、コントロールできるのは自分の心理面と、売り買い、そのタイミング・数量などと極めて限定的です。
不動産であっても将来は確実に見通せるというわけではないですが、人口動態や街の発展の道筋、賃貸需要などはかなり安定して推移すると予測できます。
不動産投資でコントロールできないリスクとしては、天災(水災・風災・雷)・火災などです。
しかし、天災自体はコントロールできませんが、保険でカバーできるので自分でコントロールできる範囲と考えることができます。
保険内容にもよりますし、保険加入のためのコストを事前に支払うわけですから、保険料を支払うことにリスクが無いかだけを検討すればよいことになります。
コントロールできないものとしては、賃貸需要などです。
ただし、賃貸需要が低くても、入居者のニーズに応じて家賃をさげたり、リフォームしたりすることによってえらばれやすい物件にすることは十分コントロールの範囲内となります。
このようにコントロールできるものとできないものを、あらかじめ認識しそれぞれのリスクに対応できるかどうか、その範囲などを見極めることが重要ですね。
4.想定した前提条件は正しいか?つまり、十分考えられる範囲か?
ここも、実は相当に経験が必要な部分です。
最初は分からないので、専門家のチェックを受けるようにしましょう。
前提条件が間違っていると、間違った結論を導き出すことになります。
それは、データで実態を確認したりする必要があります。
物件は一点物ですので、同じ物件というのは存在しませんが、同じようなカテゴリーに分類してその実態を把握することでおおよその将来性が見通せるわけですね。
例えば、木造物件ではとても空室が多く家賃の価格帯も2万円をきるような田舎のエリアで、築浅RCの購入を考えていたとしましょう。
この時、このエリアの平均空室率を見てもあまり意味はないわけです。
参考にはなりますが、一番重要なのは同じようなスペック(この場合、築浅RCの同じような間取り、広さ、立地)での空室率・家賃相場などの情報が必要になってくるわけです。
5.前提条件が変わる確率は?変わったとき手だてはあるか?その時にかかるコスト(お金・労力・時間)は?
これは応用問題ですね。
4.である程度前提条件を検討していますが、その前提条件の範囲を外れる場合の話です。
確率的には非常に低い事柄を検討することになります。
正確な予測は無理なのでざっくりとした感覚値でかまわないです。
例えば、不動産投資の場合、天災は保険によって対策可能と言いましたが、日本列島を覆うような大地震なら話は別です。
例えば、南海トラフ巨大地震がきたらどうでしょうか?
通常ならカバーされる地震保険も、範囲が広すぎる場合保険会社の積み立てでもカバーできない可能性があります。
建物も倒壊しているかもしれないし、人も移動して人口も少なくなるかもしれない。
ただ、この場合自分だけが被災者ではないため国が動いてくれる可能性はあります。
このケースを心配して不動産投資に踏み切れないという方がいますが、私はこのケースの場合には、不動産投資をやってもやらなくても悲惨な結果は同じ、とみています。
私自身は「同じ悲惨なら、それまでに不動産投資を開始して巨大地震が起こるまでの間にキャッシュを貯めていたほうがいい」という結論になりました。
銀行への返済も、被災者救済として特別措置が取られる可能性が高いとみています。
個人の場合には「自然災害債務整理ガイドライン」という国の制度もありようです。
被災された皆さまへ | 一般社団法人自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関 (dgl.or.jp)
一般社団法人の「東日本大震災・自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関」の報告によれば3608件の相談が寄せられ、債務整理が成立したのは952件、手続き中が546件(うち30件が特定調停申し立て)となっており、3割強は債務整理の話が前向きに進んでいるようです。
この場合には大変だということは分かります。
債務を軽減してもらうにも、債権者(銀行)の合意も必要ですし、経済合理的な道筋が求められます。
この場合には非常に重荷を背負うことになりますが、その確率はどの程度か?という事です。非常に低く、それを恐れていては投資など一切できなくなってしまいます。
ある程度のリスクを背負う覚悟がないとなかなか厳しいです。
いつ来るかわからない地震を恐れ、少しも踏み出すことができないのはそれこそ機会損失になると思っています。
まとめ
このような考えうるリスクへの対応をそれぞれに検討していくことが、不安を解消することにつながると思っています。
考えない方が踏み出せるかもしれませんが(笑)