厚生労働省は6月15日、異常死や診療行為に関連した死亡の死因究明のため、死亡時画像診断(Ai=Autopsy imaging)の活用方法などについて検討を行う「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会」の初会合を開いた。同検討会では、これまでのAiに関する科学的知見などを整理してAiに関する今後の取り組み方策を検討し、年内に一定の取りまとめを行う予定だ。

 同検討会は大臣政務官の主催で、庶務は医政局が担当する。メンバーは計14人で、塩谷清司氏(筑波メディカルセンター病院放射線科科長)ら病院関係者が中心。山本正二氏(Ai学会理事長)や北村善明氏(日本放射線技師会理事)らのほか、法曹関係者も参加する。座長には門田守人氏(日本医学会副会長)が選ばれた。

 冒頭、あいさつした足立信也政務官は、「異常死や診療関連死について、死亡の原因は何なのかを多くの国民の方々に納得していただけるシステムがどうしても必要」と強調し、「できるだけハードルの低い形で死亡原因が診断できるのであれば、それに越したことはない」などと述べた。その上で、「8月末までの概算要求にある程度反映できるような議論が必要だと思う」との考えを示した。

 初会合では、塩谷氏と山本氏がAiの現状などについて説明し、それを基に議論が行われた。
 塩谷氏は、欧米では異常死の解剖率が高く、特定の法医学施設で死体専用機を使用して主に外因性、外傷性死を対象に死後画像を撮影していると紹介。一方、日本の特徴として、▽異常死の解剖率が非常に低い▽一般病院が臨床機を使用している▽主に内因性、非外傷性死を対象に死因のスクリーニングを行っている―などを挙げた。塩谷氏は、解剖は強力な死因究明手段だが、解剖率は2%台と指摘した上で、異常死は全例CTでスクリーニングすべきであり、その結果、解剖率も上昇するとの考えを示した。

 「Ai情報センター」の代表理事も務める山本氏は、「遺族が納得できる、現在日本で行える死因究明は何なのかの視点に立った話がなかなか深まっていかない」と問題視。Aiは遺族にとって「優しい検査」であり、拒否例がほとんどないことなどを紹介した。
 山本氏はまた、Ai情報センターについて、読影の依頼をするだけでなく、「(Aiを実施したが)遺族や医師が第三者の意見を聞きたいという時に活用していただければ」と述べた。さらに、診療放射線技師が行う検査と、放射線科医が行う読影にはそれぞれ費用が掛かると指摘し、それらの費用が正当に支払われる必要性を強調した。

 議論では、菅野健太郎氏(自治医科大消化器内科教授)が、異常死と診療関連死を分けて考える必要性を指摘。診療関連死については、「多面的なアプローチができる体制を取る必要がある」との考えを示した。また、「日本でCTは普及しているが、画像を見ると千差万別だ。質の保証をやらないと、Aiが十分機能しないのではないか」と述べた。

 また、池田典昭氏(九大大学院医学研究院法医学分野教授)は、「そもそも死因究明を何のためにするかを(メンバーで)共有しないと話が進まないと思う」などと述べた。これを受け、足立政務官は「次回の一つのテーマとして、(同検討会の)趣旨をしっかりすることをお願いしたい」と求めた。

 次回会合は7月中に開かれ、引き続きメンバーなどから現状について話を聞く予定だ。


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