仮面ライダーディア 第1章「家族」 | ズツキホッパーの地獄

ズツキホッパーの地獄

一瞬を全力で生きる男の物語

現在から5年後の春休みのこと…

ある飛行機の中で異変が起こる。

ここで1つのアナウンスが入る。

「我々はテロ組織だ。この飛行機をジャックした。命が惜しくば我々の指示に従え」

そのアナウンスに乗客は困惑を隠せなかった。

すると突然、飛行機の揺れが激しくなる。

機内ではたくさんの悲鳴が響いていた。

数分後、その飛行機はどんどん下がっていき、高層ビルにぶつかり、そのまま墜落した。

この事件から戦いは始まる・・・。


仮面ライダーディア

      第一章 家族


墜落し、まっぷたつになった飛行機から、一人の少年が出てくる。

「お父さん!お母さん!」

そこには動かなくなった彼の両親がその目にうつっていた。

少年は涙が止まらず、ずっと…泣き続けた。


その5年後…

その少年がある家に引き取られることになった。

彼の名は坂本弘。

15歳の高校1年生。

あの日から、テロリストが人々を襲い、街は戦争の渦の中だった。

人間同士の生々しい戦いが続いていた。

あの飛行機事故で奇跡的に助かった、たった一人の少年がその家に着いた。


坂本「こんにちは~」

玄関でそう言うと70代後半のおじさんが来る。

「いらっしゃい」と優しく言うと、すぐに荷物を家の中まで運ぶ。

おじさん「ここまで来たのも大変だっただろ、とりあえず2階に来てくれ」

2人は2階に行き、部屋に行く。

おじさん「ここが君の部屋だ。」

部屋は和室で、布団以外何もなく、比較的広い部屋だった。

おじさん「よいしょっと」

荷物を置くと、再び1階に降りる2人。


おじさん「まぁとりあえず座って…えーとこの家に住んでる…まぁ家族のようなもんだな、みんなを紹介するよ」

1階の大きな机を囲み、4人が座る。

おじさん「まずは、この髪の長い男が山下良一だ。自衛隊に入っていて、現在はテロリストと戦っている。年は君と同い年の15歳だ。」

山下「よろしく。」

戦時中となると、15歳という若さでも自衛隊に入り、戦争に行かなければならない、そういう世の中になってしまっていた。

おじさん「えーそれからうちの娘なんだが、風見香(かざみ かおる)だ。うちで家事をしている。」

香「よろしくね。」

山下「それで、おじさんの紹介は?」

風見「お…俺か、俺は風見士郎。…まぁよろしく」

山下良一、風見香、風見士郎、そして坂本弘で暮らす事になった。

山下「結構口数は少ないんだね…」

坂本「いえ、そんなことはないですよ」

山下「疲れた?」

坂本「あ、はい…少し…」

山下「そっか、んじゃぁちょっとだけね、話をしようか」

そう言うと、二人は二階の山下の部屋に行く。


山下「テロリスト達は人々を無差別に殺していっている。しかも最近では動物のDNAを使った薬物で人間とは遠い、生物に変身して人を襲っている。」

坂本「そうだったのか…」

山下「さらに、テロリストは新たな変身システムをつくったという情報もある。」

坂本「変身システム…。」

山下「まぁ、それぐらい。今日は疲れただろうから、もう風呂入って早めに寝な」

坂本「そうする。」

そして坂本は風呂に入り、布団に入った。


~翌日~

自衛隊・訓練所

対テロ組織 自衛隊 隊長 山口鉄二が坂本の強さを見る。

山口「君が新しく入った隊員ね、まぁ、正式に隊員になる前に、この訓練所で、訓練を受けて…それから隊員として戦えるんだけどね、とりあえず戦力を見る。まずは剣道だ!」

坂本「はい!」

坂本も、中学を卒業した年齢になると、自衛隊に入らなければならない。

山口「それでは、ここで最も強い隊員に相手してもらおう…。高岩!」

高岩「はい!」

山口「坂本くん、剣道の経験は?」

坂本「ありません。」

山口「そうか…。じゃぁ準備するんだ。一本勝負だぞ。」


山口「始め!!」

一気に高岩と坂本の声が響く。

山下も見ている。

パシン!という強い音が響いた。

山口「そこまで!!」

高岩「う…やられたぁ」

勝ったのはなんと…坂本だった。




山下「おい、あの高岩さんに勝つってすごいぞ!!」

坂本「え、そうなの?」

山下「そうだよ!!」


次に銃の訓練をする。

山口「10発打って、あの的の真ん中を目指すんだ。」

バキューン!

10発打つと10発とも真ん中に当たる。

山口「君は…!」

となりにいた銃の達人、永徳もびっくりしている。

永徳「え…えぇ!?」


最後に槍の訓練をする。

山口「こちらもまた一本勝負だ。相手はベテランの岡元君だ。」

山口「始め!!」


この試合も疾風のごとく坂本が勝ってしまう

岡元「な…なんだとぉ!?」

山口「君はすごい!もしかしたら隊員になれるかもしれない!後で手紙を送る。今日は帰っていいぞ。」


2人はバイクで帰る。その途中…

山下「いやぁ~すごいよなぁ…あのプロ中のプロを次々倒しちゃうなんて…」

坂本「全然そんなことないですよ」

山下「いやいや…」

坂本「ちょっとバイクを買い替えてくるので、先に帰っててください。」

山下「分かった。一人で道分かる?」

坂本「大丈夫です。」

二人は分かれる。


坂本は立花レーシングクラブというバイク屋に行く。

坂本「どういうことだ…」

だが、そこに立花と、もう一人の客が倒れていた。

坂本「しっかりしてください!」

そこに白いスーツで紫の髪の男が現れる。

男「無駄だよぉ~」

坂本「誰だ、お前は!」

男「俺はテロリストの小田だ。」

坂本「!?」

小田「このバイク屋を襲おうとしたんだが、二人とも俺たちが現れる前に恐怖で息の根を止めてやったヒャヒャッヒャッヒャ」

小田「お前にプレゼントやるよ…地獄への片道キップをな…。ヒャヒャヒャヒャヒャ…」

坂本「お前…」

小田「やれ」

戦闘員が坂本に襲いかかる。

坂本は立ち向かい、次々戦闘員を倒す。

小田「お?なかなかやるねぇ~」

今度は小田が剣を取り出し、戦いをしかけてくる。

坂本も応戦するが、歯が立たない。

小田「ヒヒヒヒヒ…。んじゃぁ…さようなら。ヒャヒャヒャヒャ…」

小田は剣で坂本を刺そうとする。

小田「うっ!!」

小田はなぜか、何かに攻撃されたように転ぶ。

坂本は後ろを振り返ると、黒いコートの男がいた。

小田「この野郎~!!」

小田は立ち上がる。

だが、小田に音声通話が入る。

音声「いったんもどれ…。」

小田「クッ…ラジャー。」

そのままテロリストは立ち去っていく。

坂本はもう一度後ろを振り返ったが、あの男はいなかった。

坂本「立花さん!しっかり…!」

立花「ん…?」

坂本「あれ?」

立花「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~よく寝た。」

坂本「…どういうこと?」

立花「いや~つい気持ちよかったから寝てしまった…。」

坂本「バイク屋の、ど真ん中で!?」

客「う…うぅ…」

倒れていたもう一人の客も起きる。

立花「あ…いらっしゃい」

客「きもちわるい…」

立花「え?私が?」

坂本「違いますよ、具合悪いみたいですけど…」

客「二日酔いみたいです…」

立花「とりあえず奥にどうぞ」

立花は客を奥に連れて行く。

坂本「なんだよ…死んだんじゃなかったのか…」


坂本「このバイク、走りが悪くなってて、変えようかと思ってるんですけど…」

立花「あーそうかそうか、じゃぁこのバイクなんかどうだ?派手すぎて売れなかったこれなんだが…」

緑色のボディに黄色い角のようなものがついたバイクだった。

立花「ちょっとダサいかなぁ…、でもすげぇいい走りすんだよこれが、もうずっとここで眠ったまんまで可哀想になぁ…」

坂本「じゃぁそれにします」

立花「あいよ、かわいがっとくれ」

そうして坂本はバイク屋をあとにする。


道の途中…。

坂本が新しいバイクで帰っていると、さっきの黒いコートの男がいきなり現れる。

坂本はあわててブレーキを踏む。

坂本「危ないなぁ…ちょっと気を…!あんたさっきの…」

男「お前…戦え。」

坂本「は?」

男は立ち去る。

坂本「ちょ…ちょっと待ってくれよ!」

坂本はなぜか変わったベルトを持っていた。


坂本は家に着く。

すると、なにかのビデオを見ていた。

山下「あれ?これって…」

坂本「俺がガキのころの運動会です」

テレビの画面には小さい頃の坂本が余裕の表情で走っているのが映っている。

坂本「俺は親に教わらなかったことがあるんです。」

山下「ん?」

ゴールをして母親に褒められている小学生の坂本が映っていた。

坂本「努力すること…。」


ピピピピピ…!

山下「自衛隊からの連絡だ。」

山口「大宮神社にて、テロリストが動いている。すぐに急行せよ!」

二人は神社までバイクで急ぐ。


大宮神社

坂本「どこだ…。」

小田「呼びました~?」

山下「!!」

坂本「武器を貸してください。」

坂本は山下から剣を借りる。

山下も剣を握る。

小田「あ~あ…俺を殺す気?」

小田は注射器のようなものを腕に刺す。

すると小田はみるみるイカの怪人に姿を変える。

坂本「あれが…動物のDNAで変身した生物か!」

坂本と山下は怪人に斬りかかる。

だが、怪人相手には歯が立たない。

坂本「ぐはぁ!」

山下「うっ…」

二人はその場に倒れる。

小田「こんなもんか…。」

そして近くにいた少年の命がねらわれる。

坂本「危ない!」

”お前…戦え。”

坂本の頭にあの黒いコートの男の言葉がよぎる。

坂本「何で…俺なんだ…?」

すると坂本は何かに気づく

坂本「そうか…俺は努力したことがなかった…。努力って…自分のためでもあるけど、人のためにするものなのか…」

坂本は決心し、ベルトをつける。

イカ怪人「貴様…それは!」

山下「何で…お前が!?」

坂本「お前らのつくった変身システムであり…俺のこれからの人生そのものだ!」

小田「ふざけたことを言うな!それを返せ!」

坂本はポーズをとり、カードを取り出し、それを飛ばす

坂本「変身!!」

カードをキャッチし、ベルトに入れ込む。

ベルト「トランスフォーム!ディア!!」

すると、眩しい光に包まれて、坂本は緑色の戦士に変身した。

$ズツキホッパーの地獄

山下「坂本…?」

坂本「ディア…俺は仮面ライダーディア!!」

イカ「ふざけやがって…殺っちまえ!」

戦闘員がディアに襲いかかる。

ディアは戦闘員を次々倒していく

イカ「クソ野郎!」

イカの怪人はディアを襲う。

ディアとイカは互角に戦い合う。

…が徐々にディアが攻撃をしていく

イカ「ク…このカリは必ず返すからな…」

テロ達は逃げていく

坂本は変身を解く

山下「坂本、なぜそれを…?」

坂本「ある男に渡された。」

坂本「それより君…家に帰りな」

さっき狙われた少年に話しかける。

少年「う…うるせぇ!家なんかないんだよ!」

山下「お母さんとお父さんは?」

少年「そんなもんいねーよ」

坂本「…。」

山下「なぜ家がないんだ」

少年「追い出されたんだよ!」

山下「ならその家に帰るべきだろ、ここは危ない」

少年「嫌だ!俺はもう一人で生きていくんだよ!誰も頼らずな!!」

坂本「なら一人で生きていくしかないな…困ったらここに来い。」

山下「おい…」

坂本は少年に一枚の紙を渡す。

山下「ちょっと…それ家の住所じゃん!」

坂本「いいんだ、一人で生きていけるってことだもんな。」

少年「分かった…。まぁこんなもんいらないがな。じゃぁな!」

少年はどこかに行く

山下「本当にいいのか…?」

坂本「彼に受信機をつけておいた。これでどこにいるか分かる。」

山下「ほぅ…流石っ」


二人は家に帰る。

坂本「さて、早速さっきの男の子の居場所を見てみよう」

山下「本当に早速だね」

坂本はパソコンを起動させる。

香「あ、さっき手紙が届いてたよ」

山下「え…どれどれ… あ…坂本…明日からもう隊員だってさ!」

坂本「あ、そうすか」

山下「すげぇじゃん…まぁ隊員の数も減っていってるんだろうけどさ…」

坂本「今、公園にいるみたいですね」

坂本「受信機にカメラを飛ばそう」

この頃は科学が発達し、”飛べるカメラ”というのが開発され、空中から写真や動画を撮る事ができる。

坂本はそのカメラを外に出て、飛ばした。

そしてすぐ家に戻る。

坂本はパソコンで少年の様子を見ながら言った…。

坂本「ハンマーセッション…開始。」

山下「それなんかのパクリだよね」


その夜…。

ピンポーン

家のインターホンが鳴る。

香「はーい」

香はドアをあけると、そこにはあの少年がいた。

香「あら…?」

後から坂本が来る。

坂本「おぉ…やはり来たか」

少年を家の中に入れる。

坂本「おらよっ」

坂本はカレーライスをつくり、少年の目の前に置く。

坂本「どうした?食べないのか?」

少年は我慢しているようだ。

だが目の前の湯気がでていて、スパイシーな香りのたつカレーを見ていると、我慢できなくなる。

そして少年はカレーを食べはじめた。

坂本「やっぱ腹減ってたんだろ」

少年はもくもくと食べ、あっという間に食べ終える。

坂本「どうだ?うまかったろ?」

少年「家で食うほうがうまいもん」

坂本「そりゃぁそうだな。家の味には敵わないよ。愛情が違うからな…。」

少年「じゃぁ俺は帰る。」

坂本「どこへ?」

少年「さぁな…少なくとも家には戻らない。」

坂本「そっか…。」

少年は家を出る。


その直後、少年の悲鳴が聞こえ、あわててとび出る坂本

少年を小田が襲っていた。

少年「おい、助けてくれよ!」

坂本「お前、一人で生きていくんじゃなかったのか?」

少年「そうだけど…」

坂本「だったら自分でなんとかしてみろ!」

少年「え…でも…やるしかないのか」

少年は落ちていた木の棒で小田に殴りかかる。

小田「あらあら…ガキが!」

小田は少年の首をつかみ、殺そうとする。

少年「う…」

少年の顔が白くなる。


坂本「まずいな…」

…だがそこへ、誰かが小田の手をつかみ、投げ飛ばし、少年を助ける。

坂本「!?」

少年「ん………………………と、父さん?」

父親「健一!しっかりしろ!」

少年「父さん!」

母親「健一!もう…心配したんだから…」

少年は泣き出し、両親も泣きながら安心していた。

坂本「人間は皆、一人では生きていけない。必ず誰かの支えで生きてるんだ。お前には、テロリスト相手にも躊躇なく立ち向かう、お父さんやお母さんの愛がなければ、お前は死んでいたぞ。」

少年「…うん。」

坂本「それにお母さんとお父さんもお前が必要なんだ。じゃなければ助けたりしないだろ。人は自分一人で生きてるんじゃないんだ、絶えず誰かのために生きているんだ。生きるっていうのはそういうことだ。」

少年「あぁ、分かったよ。」

小田が立ち上がる。

小田「何が家族だ…?そんなもん捨てなければ強くなれない…!」

坂本「いや違う!本当の強さとは優しさだ!!人を想う事によって、人は強くなれる!お前は弱い!」


小田「俺は弱いだとぉ…?」

小田は注射器を刺し、イカの怪人に変身する。

坂本「さぁ…早く逃げて」

父親「ありがとうございました!」

家族3人は逃げる

坂本「俺が相手だ…。」

ベルトをつける。

坂本「変身…!」

坂本はディアに変身する。


両者は戦い合う。


ディア「とりゃぁ!」

ディアのキックを食らうイカ

イカ「この野郎!」

イカも負けずパンチをしてきたが、ディアはよけ、イカに強烈なパンチをする

イカ「くそ…」

イカは剣をとり出し、斬りかかる。

ディア「ぐわぁ!」

ディアは攻撃されるが、一枚のカードを取り出し、ベルトに入れ込む。

ベルト「ディアソード!」

するとディアの手に剣が現れる。

ディア「使い方が分かってきた…。」

ディアはその剣で反撃する

イカ「ぐふっ!!」

イカはひるむ。

ディア「そろそろとどめだ」

ディアはまたもカードを取り出し、入れ込む。

ベルト「ライダーキック!!」

ディアはおもいっきり、ジャンプし、その勢いでイカにライダーキックする。

ディア「とりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!」

イカ「ぐはぁぁぁぁぁあああああ!」

イカの怪人は倒れた。

ディア「あがりだ。」




あの家族は、手をつないで帰っていた。

坂本はその様子を見ていた。

坂本「空が綺麗だな。」

そう言い残し、坂本は逆方向へと歩き出す。


$ズツキホッパーの地獄


ディアの戦いはまだ始まったばかり…。

これから坂本の周りで何が起ころうとしているのか!?


仮面ライダーディア 第1章 家族

完。


第2章にへ続く。



第1章 イメージソング 木山裕策


この物語はフィクションです。人物名、団体名等、実在のものとは全く関係はありません。