月刊・歴史チップス 10月号飲酒味 | ★☆★☆★★☆歴史タイムッス☆☆☆★★★☆古今東西歴史関連記事リンク集

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日本史娯楽検証物語サイト「歴史チップス」執筆のネタ探しとして日本や世界のメディアや個人・企業サイトから歴史関連記事リンク集を作成(リンク切れ御免)。また、「古今チップス(旧歴史タイムズ・現歴史タイムス)」の2005年11月~2014年12月のバックナンバーも掲載。

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◇☆★◇★           ★◇★   2006年10月号 飲酒味
☆★◇★~月刊・歴史チップス~★◇★☆   [2006.10/1発行]
★◇★           ★◇★☆◇    (SINCE 2001.11)
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  ☆ 酒乱! 変態! ぐてんぐてん! 飲んだら偉人もヨッパライ!?
  ~ ああ万札が、慶応が、『福翁自伝』にある福沢諭吉の醜態!!
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■今月の味付け■
 序 文.飲酒運転・飲酒乱行
 本文1.ども!
 本文2.だー!
 本文3.……。
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 最近、飲酒運転・飲酒乱行による犯罪が毎日のようにチマタをにぎわせて
いる。
 生涯に一度も車の飲酒運転をしたことがなく、免許取得以降不動の優良運
転者の私にとっては全くもって理解不能、心情不可解極まりない。(自慢タ
ラタラに聞こえるかもしれないが、ようはペーパードライバーだからだ)
 また、生涯に一度も飲酒乱行をしたことがなく、しらふの時ですら無関係
な女性に触ったことがない私にとっては全くもって理解不能、心情不可解極
まりない。(自慢タラタラに聞こえるかもしれないが、ようは女性が寄り付
かない上に酒を飲まなくなったからだ)
 当然、警察の厄介になったこともなく、パトカーに追われるどころか、追
いかけて喜んでいる私にとっては、これらの人々は全く別世界の異次元異空
間の人々なのであろう。

 まあ、こんな私も遠き学生時代には自転車の飲酒運転を何度か行っていた
わけで(二十歳は超えていましたが。念のため)、酔った勢いで隣の隣の県の
山奥まで走ってしまって、家に帰るのに非常に難儀したこともございまし
た。
 今でもよく、
「これがサバイバルだー! ネイティブアメリカンなんだー!」
 なーんてわけのわからないことを叫びながらバカみたいに原野を駆け回っ
ていたあの頃のあちこちの景色がフッと脳裏をかすめて懐かしく思い、また
一度その場所に行ってみたいと思う次第でありますが、なにせ体がついてい
かなくなりましたので、このように静かにしておる次第でございます。


  旅に病んで夢は枯野をかけ巡る
                      松尾芭蕉


 とにかく、飲酒の「醜態」というものは誰でも経験することだと思います
が、それを「犯罪」に発展させてはいけません。「醜態」は酔いがさめれば
「チャラ」ですが「犯罪」というものはその後も「継続」してしまうからで
す。
 なーんて、そんなことは飲酒常習者の方々もよーく分かっておりますよ
ね。

 というわけでそんな方々に自信を付けさせるわけではありませんが、今回
はあの幕末明治の大偉人が飲酒後に起こした大失態を紹介します。
 そうです。みんな知ってる、みんな大好きなあの御方の醜態です。
 残念ながら今現在、その御方は私のところには留守しております。いつ帰
ってくるかは聞いておりません。
 あれ? 一葉ちゃんも新渡戸ウジもいないですな。
 おお! 岩倉さん、まだ御存命でしたか……。


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   1.ども!
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 ども! 諭吉です!
 今では万札の顔になり、大人気の福沢諭吉です。
 そうです。『学問のすすめ』や慶応義塾でも有名ですね。
 ちなみに慶応義塾にはボクシング部はありません。
 KO。
 なーんちゃって!
 ホントはあるかないか知りませーん。なにせ私はもうだいぶ前に死んでま
すからー。

 はーい。軽くスベッたところで、私の酒の醜態を御紹介しましょう。
 実はいっぱいあるんですよー。
 なにせ私は天性の酒好きですからー。少年時代からチビチビやってました
からー。ホントですって! 私の著書『福翁自伝(ふくおうじでん)』見ちゃ
ってくださいよー。びっくりしますよー。
「え! これ、ホントに、あの福沢さんのお話!? 別の福沢さんちゃうの?」
 それくらいおバカですよー。
 まあ、マジなときはマジなんで、ここまでに成り上がったんです。なんせ
「偉人」ってよばれてますからね。ぶへ!「人参」ちゃうで。ハッハッハ!

 そう。あれはまだ私が大坂の緒方(おがた)塾の塾長だった頃のお話です。
 緒方塾、知ってます?
 知ってまっしゃろ! 適塾(てきじゅく)! 適々塾! 幕末の蘭学者・緒方
洪庵(こうあん)先生の熱血塾でんがな! 教科書にも載ってまんがな! 超有
名でっせ。ま、私ほどでもありませんがね。ハッハッハ!

 その頃、私は緒方塾に下宿していました。
 始め通学してたんですが、面倒になって住み着いちゃったんですなー。
 で、すんごいお利口さんだったんで、書生から塾長に昇り詰めちゃったん
です。

 塾は非常に開放的でした。
 夏はみんな全裸でした。いわゆるスッポンポンでした。なにしろ大坂の夏
は格別ですからー。
 ただ、みんなで集まる時、つまり飯を食う時と講義・集会時にはさすがに
羽織る程度に着物を着ました。もちろん、下女たちがそばにいる時も、やむ
を得ず着ました。人間というものには、羞恥心(しゅうちしん)があるもんな
んですなー。


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   2.だー!
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 ある夏の夕方に地酒の差し入れがありました。
 酒飲みの私はたまりませんでした。
「うまそうだねー。早くみんなで飲みたいねー」
 でも、下女たちがそばにいます。お松やお竹ら三、四人が表で涼んでたむ
ろしています。
 私たちが夕方から飲んでいるところを見たら、きっと緒方先生や奥さん
(緒方八重)にチクることでしょう。私は塾長ですが、任せられているだけで
す。そんなことをされたら、
「あんたクビ!」
 てなことにもなりかねません。

 でも、酒というものは、今すぐにでも飲みたいものなんです。目の前に置
いてあると、余計にたまんないわけです。
「あの女たち、早くどっかに行かないかなー」
 すると長州出身の塾生・松岡勇記(まつおかゆうき)が私に耳打ちしまし
た。
「お任せください。私が一瞬で追っ払ってきますわ」

 松岡は下女たちのもとに行きました。
「おーい、お松どん、お竹どん、みんなおいでー」
 下女たちは何かくれるのかと思って、
「なになにー」
 と、喜んで寄ってきました。
 すると松岡は、いきなり、
「だー!」
 と、着物の前をはだけたんです。
「キャー!」
「いやーん!」
「キライー!」
 下女たちはびっくり仰天にはじけ散って、一瞬にしてどっかにふっ飛んで
ってしまいました。
 その後で私たちは堂々と心ゆくなく酒を飲むことができたんです。
 私は学習しました。
「なるほど。うるさい下女を追い払うには、ああすればいいのか」


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   3.……。
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 それからしばらくしたある日の夕方、私は酒に酔って例のように全裸で大
の字になって二階で眠っていました。
 すると、階下から、
「福沢さん、福沢さん」
 と、呼ぶ声がします。
(うるさい下女だな)
 私は不機嫌に目覚めました。何しろついさっき酒を飲んで寝たばかりで
す。
 そのとき、私はあのことを思い出しました。
(そうだ! うるさい下女を一瞬で追い払う方法があったじゃないか。うへ
へっ)
 私は変態的に笑いました。
 うまい具合にちょうど私は全裸なんです。一糸まとわぬスッポンポンなん
です。つまり、前をはだけなくとも、そのまま下女の前に飛び出してやれば
いいわけです。
 私は起き上がりました。
 そしてそのまま階段を駆け下りると、
「だー!」
 と、いきなり下女の前に堂々と飛び出してやりました。

 でも、私を呼んだ女は逃げませんでした。驚きもしませんでした。
 しかも下女と思っていたのに、下女ではありませんでした。
 あろうことか、なんてこった、お、お、奥さんだったのです!

 私はどうしようもありませんでした。
 奥さんは、しばらくマジマジと見てから、何も言わずに静かに去っていき
ました。



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