仮住まいは、リノベーション済みとはいえ、
色々と古い造りで、一言で言えば団地です。
でも、多分私の一生のうち、一番いい住まいかな。
エレベーターも付いててます。生まれて初めてのエレベーター付きの物件。
まさか住めるとは思わなかった。
子供の頃から、一戸建てと言えば聞こえはいいけど松ぼっくりを燃やして沸かすお風呂とか、
壁の隙間から外が見える家とか、ペットじゃない動物が住んでいるとか、そんなんばっかでした。
子供の頃家の中の大事なものはブリキ缶かガラス瓶に仕舞っていたのは、害虫やネズミ対策だったんだと気づいたわ。
針金製で中に油揚げ吊るしてる鼠取り、台所にありました。
トイレはとーぜん落下式…。
だから、他人からしたら団地?貧乏臭い、と思われても、自分にとってはお城です。
配管剥き出しとかお風呂のコンクリート叩きが殺風景で嫌という方も多いのですが
生活水準の低さ故に要求水準低いからか
ナメクジが出ないお風呂というだけでサイコー。
私の子供の頃はお風呂に入る時は、塩の入ったガラス瓶を持って中に入ってました。
だって、ナメクジ嫌ー、お風呂いやー、と言ったら吝嗇ママンが
そんなもん塩かけたら溶けちゃうから気にしない!
だもん。
となりのトトロのアニメは好きだけど
古い一般住宅に住むのは苦手なのは
そんな暮らししてきたから。
アニメでは描かれるわけないけど、
絶対あの家のお風呂もナメクジ出たはずだよ。。
皆、昭和カルチャー回顧のいいとこ取りに騙されんなよっ。
その点
団地は衛生的。
狭いかもしれないけど合理的に出来ていて
余計なモノを持たなければ結構気持ちよく暮らせます。
参考にするのは、昔の団地の間取りや家具の資料とか、昔の集合住宅の展示博物館を見学、です。
当初公団団地に住めたのは、例外もあるけどある程度所得があった世代だそうな。
こんな狭いのに、4人家族が住んでいたって
昔の人は、今よりモノを持っていなかったんだなぁ。
公団の博物館館で見た、
お風呂に外に面した窓が無い代わりに台所との間に通風用の小窓を設けているとか
トイレの電気と玄関の灯りを兼ねてるとか
ダイニングキッチンの壁にある棚から天板を出してカウンターテーブルみたいにした食卓とか、ちっちゃいけど絶妙な工夫が素晴らしいと思います。
これらは50年くらい前のモデルだから
さすがに私の住んでいる部屋の設えとは違いますが、限られた面積や予算の中で
一般市民の暮らしを向上させようとした設計集団の心を感じます。
そんな努力と研究をして来た
西山夘三という学者さんの本を読み、
その生涯の業績に感謝しかない、です。
西山さんの
仕事道具を入れたご自分発案の
おかもち型道具箱を持って
家の中でどこでもお仕事出来るとか
フリーアドレスシステムの先駆けですわ。
後、色々な庶民の暮らしを取材し得意なイラストで残した資料が素晴らしく
ことに船上生活家族のは、狭小賃貸の発想に酷似してます。
西山さんの仕事を始め、このような先人の偉業の積み重ねで、今の自分のささやかながら快適な日常があるのだと実感し
せめて、「使捨離」の継続で進化させようと思ったりしてるところです。