というわけで、いい加減書こうかなと思って、なるたるの話です。
結局、なんで鶴丸の家にハイヌウェレがあるかといえば、のり夫が作ったからなんだけれど、じゃあなんで作れたかという事が問題。
つまり、ハイヌウェレを作るにはハイヌウェレを見たことがなければ作りようがない。
という事は見たという事なんだけれど、どこで見たかという話です。
そういう事で、どういう風に説明しようかなぁと考えたんですが、やっぱり順を追って説明することにする。
まず、のり夫のハイヌウェレが出てくるのは「混沌の住人」のエピソード。
とりあえず、この混沌の住人という話がどういう話だったかという事が問題。
このエピソードを説明しようとしたんですが、なかなか大変。
なので、まずは初見の読者がこのエピソードをどのように受け止めるかという話からする。
まず、流れとしては、シイナの父親の飛行機がハイヌウェレに攻撃されて墜落する。
(2巻pp.196-197)
そして、無事であることが判明して、シイナが病院に向かうと、怪しげな男が居る。
(3巻pp.26-27)
その次に、シイナパパと違って助からなかった小野さんの通夜に出た後に帰宅するとアキラが待っている。
(2巻pp.86-89)
これを受けたシイナは、病院にいたあいつが小野さんを殺ったと考えて、その犯人である謎の男を探すことにする。
(2巻pp.43-44)
そして、子供らしく病院を張ってたら本当に現れる。
で、追跡してみると変な工場について、そこで如何にもな人形を見つけるわけです。
(2巻pp.76-77)
そして、散々に怪しい事を言われて、シイナは「悪いことをしたら許さない」と告げる。
(2巻pp.94-95)
こうして、シイナはのり夫と鶴丸を父親を襲った犯人であると認識して帰る。
この時、まだ二人の立場が明らかになっていないので、読者にはのり夫と鶴丸が敵であるということをミスリードさせるという効果もあったりするけれど、正直、これを初めて読んだ時の印象なんて覚えてはいないので、実際にどのように作用したかはわからない。
さて、ここまであらすじは書いた。
で、問題は、鶴丸は何をしたかったかという事。
鶴丸の目的がシイナの保護と世界の存続であることは「なるたるの解説」の記事で明らかにした。
当然、このエピソードもシイナを守るために行ったのだけれど、どういう意図が裏にあるのかが重要になってくる。
このエピソードの直前、シイナは元木航空の墜落事件には自分たちを襲ったイカが関係していると考えて、元木航空の付近に散策に行って、実際にイカの人に、小森に会うことになる。
そこで、ホシマルが助けなかったら死ぬところだったという程に危ない目に合っている。
そして、今回は元木航空の飛行機が墜落したどころか、自身の父親が乗っていた飛行機までもが墜落してしまっている。
どう考えても、シイナはまた危ないことに首を突っ込むことが見込まれる。
鶴丸的にそれは避けなければならない。
そこでどうすればシイナは危ない所に行かないですむかを思案するわけです。
その思案の結果が、今回のエピソードになる。
つまり、鶴丸が何をしようとしたかというと、自分を悪者にして、シイナが真犯人を探しに行かないように仕向けるという事をしたかった。
要するに、自身の居場所を明らかにして、かつ自分が今回の犯人であるということにしてしまえば、シイナは何かが起こっても、鶴丸の工場に行くことになる。
これは、鶴丸の目的が何であるかということが明らかであるという前提での話ですけれど。
要するに、あんまりに脈絡のないこのエピソードにコンテキストを与えるにはどうすれば良いか、という話であって、逆にこれ以外にこのエピソードを説明する術を僕は知らない。
でも、大体あっているはず。
(2巻pp.96-97)
「演出過剰」と言っている以上、何かを演出している。
それが何かを考えなければいけなくて、自分たちが犯人であるという演出、と考えると筋が通り、「でも、あの子たちには効いただろ」と言っている以上、何かしらの効果を狙ってい無ければならない。
勿論、効果は自分たちを犯人だと思わせることで、「目的は達している」の目的は、自分たちが犯人であると認識させることにある。
こうやって、自分たちを犯人に仕立て上げることで、シイナに嫌われたとしてもシイナを危険から遠ざけることが出来る。
ここまでで、このエピソードがどのようなエピソードだったかは明らかになったと思う。
そして、問題のハイヌウェレ人形について。
結局、のり夫はハイヌウェレの姿を目撃しない限り、ハイヌウェレの人形を作ることは出来ない。
そして、今回のエピソードがどういうエピソードだったかという事もまた、問題になる。
つまり、今回のエピソードは自分たちをシイナの父親を狙った犯人であると勘違いさせることなのだから、その為の演出に使われたあの人形が、全く当たり障りのないただの人形であってはいけない。
要するに、あの人形が、あの竜骸を操っている人間が、今回の事件の犯人であるという事を認識しないで他、ハイヌウェレ人形を「演出」の為に使うことは出来うない。
すなわち、のり夫はハイヌウェレが俊二さんの飛行機を撃墜したところを見た、と推論することが妥当と言えるわけです。
物語中で黒の子供の会が活動したのは、小森を除くと俊二さんの飛行機が墜落したのが初めてで、それ以外に敵対する勢力として表れていない。
結局、ハイヌウェレが敵であると認識するには、俊二さんの飛行機が墜落した現場にいたか、俊二さんが天使に攻撃されたと証言したことを聞くくらいしか、ハイヌウェレが敵であると認識することは出来ない。
しかし、その証言を聞いただけでは、ハイヌウェレの似像を作り上げることなど不可能。
しかも、その似像はさとみがハイヌウェレの姿であると認識できるほど。
(7巻pp.202-203)
ここまで同一のものを作るには、見ない事にはあり得ない。
そこで問題なのが何時見たかという話だけれど、俊二さんの飛行機が墜落したその時である、と考えて、それを否定する要素が何処にも存在しない。
だから、僕はその瞬間に見たと考えている。
鶴丸の目的が世界の存続であると考える限り、シイナには世界は楽しいもので、存続させるべきものであると認識させ続けなければならない。
その為には、シイナの家族が死ぬなんてことはあってはいけない。
そして、このエピソードに前後して、連続で元木航空の飛行機が、竜骸に襲撃されている。
敵の目的は不明だが、一回は必ず航空機を襲撃した少年に、ホシマルは酷い怪我を負わせている。
しかも、間が悪いことにその相手に自分の父親が元木航空に努めていることをシイナはバラす。
(2巻pp.26-27)
こうなってくると、よっぽど報復が恐ろしい。
この状況でシイナの父親である俊二さんの命を守るには、護衛するしか方法はない。
よって、のり夫のヴァギナ・デンタータが俊二さんの飛行機の近くで陰ながら護衛していた。
その場でハイヌウェレと戦闘することは非常に危険だけれど、俊二さんを死なせるわけにはいかないので、墜落して死にかけた俊二さんをヴァギナ・デンタータが保護した。というシナリオ。
というシナリオなんだけれど、真実であるという保証は一切ない。
結局、証明しようがない。
こう考えることが一番の蓋然性を持っているんだけれど、何せ描写されていないことでしかないので、確証がない。
論理的にはこうとしか考えられないのだけれど、証明しようがない。
でも、間違ってはいないと考えています。
こう説明すれば全ての筋が通るから…
どうなんでしょうね。
以上が鶴丸ハウスにハイヌウェレ人形があった理由についてですが、思ったより長くならなかったなぁ、というのが素直な感想です。
といっても、「なるたるの解説」から通算すれば、一万字は軽く超えてるんですが。
あと何個か、説明しなきゃワカンネェだろうなぁ、ってエピソードはありますが、特に書いていてリアクションも殆どなかったし、書かなくていいのではないかとは思う。
その代りアクセスはあるのだけれど。
リアクションはあくまで「殆ど」無かったので悪しからず。
・2015年8月18日追記
ここには僕の余計な一言が書いあったので削除しました。