あるものの合成を行うとき、合成経路を考え、事前に文献などを調査して実験に臨みます。


より短く、効率的な経路で、そして高収率で目的物が得られるようにしっかり考えたうえで実験に臨むことが重要です。


しかし、最近の若い子はしっかりと調査をしないまま実験を行っているような気がします。



最近こんなことがありました。


私が面倒を見ている後輩社員がある化合物の合成に困っていました。


どうやらうまくいかない様子。


詳しい内容を聞くと、その化合物は特許で知られている化合物だが、合成法は記載されていない。


scifinderで調査しても合成法はでてこないらしい。


なので、似た化合物の合成法を調べ、それに従って検討しているとのこと。


ふーんそうなんだ、と思い、相談に乗りました。


いや、その前にこの子は本当にちゃんと合成法を調べたんだろうか?という疑問が。


その子には黙ってひそかに自分で調べなおしてみました。


すると、合成法発見!!



たしかにその子が言うとおり、その特許には合成法は載っていません。


しかし、よく特許を読むと、リファレンスが。


そしてそのリファレンスを見ると、載っているじゃありませんか。


『おいおい、ちゃんと調べたのかよ』と思いました。


たしかに特許って見慣れないとどこに何が書いてあるか探すのは大変です。



さて、その子に説教。


『早く実験がしたいのはわかるけど、時には時間をかけてしっかり調べるのも大切。そして、合成経路や合成法を吟味し、準備が整ったら実験をする。その方が結果的に早い。』


結局のところ、目的の化合物はきちんと合成法が載っているので、そのとおり合成すればできるってこと。


しかし、その子は合成法が載っていないと思っていたため、無駄な実験を行ってしまい、さらにうまくいかなかったということ。



最近はscifinderがあるので、ちょっとした化合物ならあんまりよくわかってなくても合成できちゃいます。


反応の意味をわからないまま実験をしている子もいますがね。


私の持論ですが、どのように調べるか?そして膨大な反応例からどの反応を選択するか?というのが案外重要。


経験のない若い子はその力が低い気がします。


先輩社員は『scifinderで調べなさい』というだけではなく、一度その調査に付きあってみてはいかがでしょうか?


案外変な調べ方、そして変な反応のチョイスをしているかもしれませんよ。


なので、調査結果だけ聞いても案外あてにならないことが多いかも。


調べ方をきちんと指導してあげてください。



ということで、最近の私の反省でした。