RCHO→RCH2COOH、つまりアルデヒドから1炭素伸長したカルボン酸を合成したいときってあると思いますが、案外良い方法がないと思いませんか?
私も何度か経験したことがありますが、毎回良い方法があったらなーって思っていました。
2炭素伸長したカルボン酸であれば、WittigやHorner-Emmonsを足がかりに容易に合成できます。
でも、1炭素だとなかなか・・・
私が経験もしくは思いつくものとしては、
①Wittig→加水分解
メトキシメチルトリフェニルホスホニウムハライドを塩基でイリドとした後、アルデヒドと反応させればRCH=CHOMeとなります。
これを加水分解すれば一炭素伸長したアルデヒドができますので、あとは酸化すれば完成。
しかし、案外この反応は収率がよくない印象があります。
特に、中間体のアルデヒドは安定性に問題がある場合もあり(特にArCH2CHO)、扱いが面倒。
②還元→脱離基導入→CN置換→加水分解
アルデヒドを還元し、脱離基(ハロゲン、トシル、メシルなど)導入後、KCNやNaCNを用いてCNで置換、その後加水分解すれば完成。
はじめのCN置換までは工程数が長いですが、安定した収率でとってこれます。
しかし、最後の加水分解にきつい条件が必要であり、他の官能基がもつかどうかが問題です。
③Arndt-Eistert反応
アルデヒドをカルボン酸へと酸化後、酸クロリドへ誘導。そしてジアゾメタンもしくはTMSジアゾメタンを作用させてジアゾケトンとし、これを銀塩で処理すると完成。
これは私自身本でしか見たことありません。
あんまり有用性は高くないのでは・・。
④FAMSO
FAMSO=Formaldehyde Dimethyl Dithioacetal S-OxideをTritonBなどの塩基で処理し、アルデヒドを作用させて生じた中間体を加水分解すれば完成。
FAMSOは千葉大工学部の小倉克之先生が開発したもので、類似のものとしてMT-スルホンというものもあります。
これは一度試したことありますが、ちょっと条件がきつめ。
試薬も高めなので、どうでしょう・・・。
そのほかにも、トリクロロカルビノールへ変換し、それを足がかりに合成する方法もあります。
たしか数年前のOrg Lettに報告があったような。
これはやったことありませんが、ちょっと特殊な反応でやりづらいかもしれません。
何か他に良い方法ってないですかねー?
変わった試薬、高価な試薬、有害な試薬を使わずにスケールアップに耐えうる合成法。
何かあったら教えてください。