以前ブログで紹介しましたが、東北大の岩渕先生が開発したAZADO類はTEMPOより高活性な触媒であり、立体障害の大きなアルコール類の酸化に使われます。


いつか機会があったら是非使ってみたいと思いながら、ここまでそのような機会がなかったのですが、ついにそのときがやってきました。



今回、ある二級アルコールをケトンに酸化したかったのですが、Swern酸化やSO3Py酸化などのDMSO系の酸化等を試したのですがどうもいまいち。


TPAP酸化等の金属を使う酸化やDess-Martin酸化は結構いい感じだったのですが、スケールアップするにはちょっと抵抗が・・・。


Dess-Martin periodinaneはAldlichで5gで30000円以上、TPAPも結構高いです。


しかもTPAPの場合は今回の基質では10mol%くらい入れないと反応が完結しないということがあったので、ちょっと考えものでした。


そこで、和光純薬で購入可能な1-Me-AZADOを使ってみました。


共酸化剤としては次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使えれば非常に安いのですが、今回の場合は副生成物ができてしまいました。


そこで、PhI(OAc)2を使ったところ、反応時間はかかりましたが室温で定量的に反応が進行しました。


1-Me-AZADOは500mgで29000円しますが、触媒量が少なくて済むので、TPAPやDess-Martinに比べたら安くなることが判明し、これでスケールアップしました。


文献によると、もっと反応がいきやすいものだったらほんの数分で完結するみたいです。




これはなかなかよい試薬ですね。


もちろんTEMPOでOKならそれにこしたことはないですが。


なんだがんだいって、一番安い酸化反応はTEMPO酸化だと思います。


使う試薬が全て安価ですからね。


ただ入れる試薬が多くて正直面倒ですが。



もし酸化に困ったときは是非試してみてください。


ちなみに、1-Me-AZADOとAZADOが和光純薬で売られていますが、1-Me-AZADOの方が安かった気がします。


触媒活性はほとんど変わりません。


1-Me-AZADOの方が作りやすいみたいですね。



あ、ところでAZADOって何て読むか知ってますか?


これは『アザード』と言うらしいです。


岩渕先生が講演で言ってました。