自作erが考えるノートPC選定論 | ZFS free space

自作erが考えるノートPC選定論

 予告通り、ノートPCについて考えていたら脳内で盛り上がったので単体で記事に起こしてみました。

 世間一般で見ればノートPCに強いこだわりを持っている人は意外と少ないですが、こと自作erやヘビーユーザーのノートPCに対するこだわりは特筆すべきものがあります。すっかり低価格化が進み、選り好みしなければ4万円強で実用的な製品が買えてしまう今日だからこそ、自分にぴったりのマシンを選びたくなるが人情というもの。以下、筆者がノートPCに求める条件を並べてみました。対外向けというよりは個人的メモの毛色が強いです。
  ・重さ1.5kg程度
  ・メモリ4GB以上搭載可能
  ・GbE対応有線NIC
  ・解像度1024x768以上
  ・ノングレアパネル
  ・打ちやすいキーボード
  ・MEM/HDDへのアクセスが容易
  ・アナログ/デジタル映像出力


1. サブマシンということ
 筆者の部屋には自作機があります。世の多くの自作erにとってそうであるように、筆者にとって最も信頼できるマシンであり、最も作業がはかどるマシンでもあります。つまり、PC作業の中心はあくまでも自作機で、その他マシンは全てサブマシン的な使い方しかしません。
 では、サブマシンとしてのノートPCにはどんなものが適しているのか。第一に利用形態を考えると、外出先でのネットサーフィンやオフィススイートが主となります。最近テクスト環境を模索中ですが、外でブログ更新というのも楽しいかもしれません。そうなると多少はフォトレタッチも必要でしょうか。並べてみるとこんなもので、重たい作業はまずありません。ネットで動画を見たいならそこそこのCPUを選ぶところですが、個人的にはAtom級でも十分だと思っています。
 次に、持ち出して使うわけですから良好な携帯性が必要になります。この携帯性に対する感覚は好みが分かれるところで、筆者は1.5kg程度で及第点だと思います。特に日本のユーザーは軽いマシンを好むものですが、サブマシンに軽量高価なものを購入するのは気がひけますし、正直100g単位で軽さを追求する必要性を感じないというのもあります。学生にしてみるとペットボトル1本分の差異は大した問題にはならないのです。とりあえず1.5kgで妥協するか、もっと軽いものが欲しければ1.0kg前後を探すかのどちらかでしょう。筆者は以前、必要に迫られて2kg程度のマシンを持ち歩いていた時期があるので1.5kgなら全く不満はありません。


2. ネットブックがNGな理由
 非力軽量とくれば真っ先に思い浮かぶのがネットブック。CULVノートに押されてかつてほどの勢いはありませんが、安価で軽いモデルが多いので条件次第では魅力的です。しかし、残念ながら筆者がネットブックを選ぶことはありません。ネックとなるのは、メモリです。
 今PCを買うなら、必ずメモリを4GB以上積めるものにします。まず前提として、現行のWindows7を快適に動かせる2GBは必須です。これ以下では話になりません。そして、ここからは使用形態によりますが、筆者は少なくとも1GB以上のRAMDiskが欲しいと思っています。RAMDiskの使い勝手の良さに関してはここでは触れませんが、例えサブマシンであっても譲れない条件です。
 そして、残念ながらAtom搭載機でメモリ4GBはあり得ません。最近正式発表された最新世代の"Oak Trail"でさえ、抱き合わせのSM35 Expressは最大2GBシングルチャンネルまでのサポートに限られます。次世代"Ceder Trail"でどうなるのかはわかりませんが、ネットブックの一番のネックはここでしょう。ただ、メモリ周りを制約しているからこそ共食いを防げるわけで、Intelがなかなか解放しないのもうなずけます。EeePC X101あたりはいかにも面白そうなだけに残念でなりません。もっとも、X101は2GB制約でもSolarisを入れたりXPを入れたりして遊べそうですが、それはまた別の話。


3. その他大事なスペック
 CULVノートから選ぶときに案外くせ者なのが有線LANのGbEサポート。コストカットのためでしょうか、100Mb止まりのモデルのなんと多いこと。一般ユーザーはあまり気にしないのでしょうか。筆者はファイルサーバーを置いているのでGbE無しでの運用はあり得ません。そうでなくとも、サブマシンとして使う以上母艦とのファイルやりとりは必ずあると思うのですが、LANでのデータ転送は意外と人気が無いのかもしれませんね。
 解像度に関しては、かつてのスクエアモニタ時代に主流だったXGA(1024x768)以上は必須だと考えます。理想を言えばSXGA(1280x1024)以上欲しいですが、ワイドモニタに縦1024を求めるのは酷でしょう。逆に、縦768以上なら横1280以上は保証されたも同然です。ちなみに、本ブログは横1280の環境でブラウザを最大化するとぴったり収まるようなレイアウトにしていますが、みなさん何を基準にしているのか気になるところです。


4. スペックに表れないユーザビリティ
 良く言われることですが、PCの使い勝手の半分は処理能力"以外"のところで決まります。いくら本体が高性能でも、それを使うには人間が入力したり結果を読みとったりする必要があるからですが、これに関連して特に話題にのぼるのはパネルとキーボードでしょう。
 筆者はノングレアパネルは必須だと思います。主となる事務作業系では見た目の綺麗さよりも見やすさが大切ですし、外で開くモバイルマシンは写り込みを減らすことがバッテリーの持ち時間に直結します。悲しいことに、今ではビジネスモデル以外でノングレアパネルが採用されることは殆どありませんが、再び増えることを祈るばかりです。
 パネルに対して、インプット品質を左右するのがキーボードです。ポインティングデバイスとしてのタッチパッドも大事ですが、代用品がかさばるキーボードの方が比重は大きくなります。筆者の場合は特にテクストメインの運用なのでかなり重視しているポイントです。各人の好みが大きく分かれる部分でもあるので、可能なら店頭で実際に触ってみるのが無難ですね。筆者が気にする点は「打鍵時にたわまない」「打った瞬間の手ごたえ」「適度なキーピッチ」の三つでしょうか。キーボードの正確性は仕事効率に影響してくるのでいい加減なものを選ぶと苦労します。筆者がしばらく使っているホワイトボックス系ノートPCのキーボードは残念ながら品質が低くいらつくこと多数です。


5. メンテナンス性
 自作erは基本的にそこにマシンがあったらいじりたくなる人種です。あまり手を加えられないノートPCであっても、とりあえずメモリとHDDはすぐに交換します。オプションで選択するよりも自分で交換した方が安上がりということもありますが、どこか自分の手で入れてやらないと愛着がわかないのもまた事実です。
 メモリもHDDも頻繁に交換するものではありませんが、各種スロットへのアクセスが容易だとそれだけでうれしくなるもので、やっぱりユーザーフレンドリーに感じられます。また、代替品のバリエーションを考えると、多少サイズが大きくなっても2.5インチ9.5mm厚のベイを持っていた方が好印象です。メモリは今でも十分安価で、一度増設したら再び増やすということはあまりしませんが、どんどん高速化大容量化低価格化が進んでいるSSDは途中で何度か交換したくなるでしょう。筆者がMacBook Airを敬遠する最大の理由がここにあります。非常によくできたマシンだとは思うのですが、いまひとつ筆者の肌には合いませんでした。


6. 拡張性
 ノートPCといえばプレゼン、プレゼンといえばノートPCというのはもはや当たり前のことで、なにはともあれプロジェクターに繋げるためのアナログVGA(D-sub 15pin)は必須です。流石にレガシーデバイスな感が強いのか、最近はアナログVGAを持たないマシンも増えてきましたが、アナログプロジェクターが現役のうちは備えて欲しいものです。一方、まだあまり出番はありませんが、デジタル出力も持っているとより安心です。DisplayPort/HDMIはどちらかと言えばプライベートで重宝しそうです。筆者がThinkPad X100eを見送った理由がここにあります。


 以上、如何だったでしょうか。自分では当たり前のことを並べているなと改めて思うわけですが、一方で筆者に強く共感する方は使いづらいマシンでもなんとかごまかしていける人かもしれません。