集団的自衛権についての議論 | ZF_phantom

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集団的自衛権についての意見交換の記録。かなりの論点が出てますので、参考にどうぞ。

目次:
 1.集団的自衛権は戦争につながるのでは
   補足:近年の主な戦争の法的根拠と、日本の参加の可能性
 2.国際問題は外交交渉で解決すべきでは
 3.集団的自衛権がなぜ必要なのか
 4.軍事力に頼るのは間違いでは
 5.憲法解釈の変更は許されるのか
 6.国民の信託を逸脱してないか
 7.守るべき憲法とは何か
 8.集団的自衛権は米国に限定されるのか
 9.集団的自衛権容認なら原
発は危ないのでは
10.集団的自衛権で徴兵制になるのでは
11.国民の命運を米国に委ねるの
では
12.半島有事にどうやって救出するの
13.どうして今、集団的自衛権なの
14.戦争に参加したくないという国民の思いは
15.集団的自衛権が閣議決定されて日本はどうなるの ←初心者向き
16.機雷除去は個別的自衛権で対応できるのでは



《1.集団的自衛権は戦争につながるのでは》

(I氏)国連憲章に定められた集団的自衛権の行使に当たり、国民の生命・財産の保障との観点から、憲法との整合性に検討が為されるらしいが、基本にある問題意識が理解出来ない私には、「何アホなこと言っとんの?」としか思えない。

(ZF)こんにちは。フィリピンなど東南アジア諸国が中国にチベットのように蹂躙されると日本は太平洋側からも中国に囲まれ、シーレーンは封じられ、いずれ日本も蹂躙されます。米国の軍事的覇権が弱まっているので日本も地域の安全保障に乗り出さないといけないのです。

(I氏)ご意見ありがとうございます。尊重したいと思いますが、私はそうは思いません。イラクへの米国の軍事侵攻の際に、小泉内閣は米国を支持し、国民もそれを選挙で支持しました。しかし、それが適切な選択であったとは思いません。憲法を根拠に反対も出来たと思います。

(ZF)イラク戦争は集団的自衛権ではありませんし、国連安保理決議での武力制裁(集団安全保障)でもありません。集団的自衛権を論じるには、イラク戦争は無関係です。

(I氏)その違いについては、十分理解ができていませんでした。しかしそれでも、国連の平和維持活動とは関係なく、イラクに自衛隊を派遣・派兵したのですから、解釈に基づく集団的自衛権の行使にはやはり反対ですね。際限が無くなると思います。

(ZF)集団的自衛権を容認しても、イラク戦争は集団的自衛権にも集団安全保障にも無関係ですから、再び同じような事態が生じた場合に日本が関与するならイラク特措法のような特別措置法が必要です。集団的自衛権の賛否に絡める必要はないのです。

(ZF)より重要なことは、フィリピンやベトナムのように在留日本人もいて、日系企業もあり、石油を運ぶシーレーンにも密接な影響がある東南アジア諸国が中国の侵略を受けた場合に、日本が援軍を出
す権利を留保するか、それとも最初から放棄するか、という問題なのです。


《補足:近年の主な戦争の法的根拠と、日本の参加の可能性

1990年 湾岸戦争=集団安全保障(国連安保理決議に基づく武力制裁)
→2014年7月1日の閣議決定によれば、「他国が『現に戦闘行為を行っている現場』ではない場所で実施する補給、輸送など」の後方支援に参加することになる。集団安全保障なので、参加は国連加盟国の義務。閣議決定文書に含まれているが、集団的自衛権そのものではない。

2001年 アフガニスタン紛争=911同時多発テロに対する米国の個別的自衛権、EUの集団的自衛権
→日本も集団的自衛権の行使を容認することで、参戦の権利が生じる。参戦を決意するかどうかは政府の判断。義務ではない。「第三国の侵略が始まり、それが我が国に及ぶような事態」かどうかが判断ポイント。

2003年 イラク戦争=個別的・集団的自衛権でも集団安全保障でもない米国の私的な戦争
→今回の閣議決定には関係しない。よって、日本が参戦する法的根拠はない。実績としては、イラク特措法により自衛隊が人道復興支援活動と安全確保支援活動に参加した。


《2.国際問題は外交交渉で解決すべきでは》

(I氏)なるほど…それでも、集団的自衛権の問題を急いで検討しなくてはならない事に納得が出来ません。日本国憲法の…国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する、それを内閣に守らせることが重要と考えます。

(ZF)急ぐ理由は、ベトナムと中国の衝突が報じられているように、中国の軍事的進出(武装漁民含む)が著しいからです。なお9条の「国権の発動たる戦争」「紛争を解決する手段としての武力行使」に自衛権は該当しません。自衛権の根拠は憲法前文(=政府見解)と国連憲章です。

(I氏)しかし、ご意見伺うと…より一層反対です。憲法の平和主義はそのために存在しているのだと、考えております。

(ZF)中国の東南アジアへの侵略を傍観すると在留日本人と日本の権益を危機に陥らせ、シーレーンも危うくなって石油が届かなくなり、日本の継戦能力も失われてやがては人民解放軍に日本は蹂躙されます。それでもあなたは政府が自衛隊を送る権利を却下するのですか?

(I氏)かなり、限定的な条件の…そのような誘導尋問みたいなご質問に「はい」か、「いいえ」で答えるならば、はい、その通りです、ということです。日本国憲法の平和主義とはそれで、むしろ、その種の問題は外交で事前に解消を図るべき事と考えます。

(ZF)外交努力は当然です。外交的に失敗した場合を論じています。警察官も凶悪犯には発砲するから、犯罪を抑止できるのです。日本政府が軍備の手薄な東南アジアに自衛隊を派遣する【権利】を留保していればこそ、中国も侵略を躊躇するのです。あなたの判断は逆の結果を招きます。


《3.集団的自衛権がなぜ必要なのか》

(I氏)ご意見の趣旨は理解できましたが、外交に失敗した場合を心配するのでは無く、平和主義に基づく積極的な外交を展開することで国家間の摩擦は解消を図るべきだ、ということです。「対話の窓は開いている」と、アピールする一方で集団的自衛権を検討するのは筋違いです。

(ZF)安全保障は「保障」です。法律違反に罰則、警察官が拳銃携帯、国家に軍隊。外交しか解決手段を持たない相手国には軍事力で押し出せば必ず勝てます。そう思わせないための軍の抑止力です。交渉が決裂したら撃つよ?という姿勢が外交交渉の成功率を高めるのです。

(I氏)本当ですか? 孔子と弟子のやり取りに似た話があり、孔子は国を成り立たせるため、軍事力の必要性を唱えます。けれども、他に食料や信頼も必要であると唱え、これら三つの内最も必要のないものが軍事力と答えます。あなたの意見が間違っているとは思いませんが…。

(ZF)信心深く善人ばかりのチベットは中国に侵略され今はあの惨状です。スイスは永世中立国であると同時に国民皆兵国家です。東南アジアを守るはずの米国の軍事費は微増か横這いですが、中国の軍事費はここ10年で4倍です。日本も加勢しなければ中国を阻止できないのです。


《4.軍事力に頼るのは間違いでは》

(I氏)チベットの件は共感します。しかし、増えた隣国の軍事費に同様の対応をすることでは問題解消にならない、ということです。アーミテージのように、日本国憲法の戦争放棄が日米間の阻害要因となっていると明言して、日本政府に集団的自衛権行使を求めているのが実情では?

(ZF)拡張志向の軍事国家は勝てると思えば必ず押し出してきます。中国はチベット・フィリピンに、イラクはクウェートに…。勝算がなければ侵出しません。中国が軍備増強するなら、守る日米も態勢を強化する必要があります。軍事的に勢力均衡すればこそ対話に応じるのです。

(I氏)そのような対応が馬鹿げている、と申し上げております。

(ZF)馬鹿げています。核を突きつけ合い、空母や巡洋艦を相手国の近海に進めて威嚇を兼ねた演習をし、爆撃機を飛ばして、「いざとなったら撃てるぞ」と脅しながら外交交渉を続ける状態がいわゆる「平和」というものです。あなたは軍事力を背景とせずに外交する技術をお持ちですか?

(ZF)馬鹿話ですが、今ちょうど東シナ海で中露合同軍事演習の期間中です。もちろん日米への威圧です。呼応するように今朝は東シナ海に面した鳥島射爆撃場で米軍がキノコ雲があがるほどの巨大爆弾の演習をし、自衛隊は奄美大島沖で離島上陸訓練をしました。そして今日も日本は平和でした。


《5.憲法解釈の変更は許されるのか》

(I氏)日本国憲法が、軍事力を前提とした国家観ではそのように思えることは、よくわかります。しかし、それを守ることが、この国が法治の国家としてやってきたことですから、守らせるべきと考えます。異論があるのはよくわかります。

(ZF)憲法その他の法を守るのは当然です。自衛権の法的根拠は憲法前文です。また自衛権は国連憲章51条で規定された「固有の権利=自然権」であり、そこには個別/集団の区別はありません。憲法解釈は政府に委ねられていて、1954年の自衛隊発足も憲法解釈変更によるものです。

(I氏)なるほど、1954年の自衛隊の発足の件はよく知りませんでした。国連憲章が発足し、日本国憲法が誕生するので、集団的自衛権は在っても使えない、あるいは存在しないものであったと思います。憲法は為政者に守らせるもので、その他の法律とは異なる性格があると考えます。

(ZF)解釈は憲法そのものではありません。憲法解釈は政府の専権事項であり、時代の変化に合わせて【憲法の範囲内】で解釈を変えるのです。即ち、国際環境の変化によって憲法前文と13条が示す「我が国の存立と国民が平和のうちに生存」の地理的範囲を広げる必要が生じたのです。

(ZF)例を挙げると国内全製造業の1980年の海外生産比率は2%ですが、2012年には20%になっています。つまり日本の権益と活躍の場が諸外国に広がってきたことにより、日本の領域を防衛するだけでは「我が国の存立と国民が平和のうちに生存」を守れなくなってきたのです。


《6.国民の信託を逸脱してないか》

(I氏)あなたがそのようなご意見を持っておられる事はわかりましたが、私はそうは思いません。内閣の判断で決めることの可能な?事項はあるのでしょうが、国民の信託に基づくものであって、私は有権者としてアベ内閣にそんなものを任せるつもりはありません。

(ZF)憲法解釈を踏襲するか変更するかは政府の専権事項です。1954年の自衛隊発足時の解釈変更もそうです。解釈は法律ではないので国会に決定権がありません。しかし、自衛隊は自衛隊法その他を改正しないと行動は何も変わりません。自衛隊法その他は国会で審議して決定します。


《7.守るべき憲法とは何か》(本項は議論には登場していない追記)

(ZF追記)ある時期の政府の憲法解釈を金科玉条に守り続けるのは無意味です。それより、憲法の文言が示す意味こそが守るべきもので、具体的には前文と13条が示す「我が国の存立と国民が平和のうちに生存」が死守すべき意味です。国民を見殺しにして憲法解釈を堅持するのは本末転倒です。

(ZF追記)例えばフィリピンには1,000社/1.7万人が日本から進出しています。これらを守る義務は一義的にはフィリピン政府にあります。しかし、中国が軍事的に侵攻するならば、物理的に防衛は不可能です。国連安保理が動くべき事態ですが、中国は常任理事国なので何も決議できません。

(ZF追記)日本政府が中国のフィリピン侵攻を傍観するなら、日本の権益と日本人を見殺しにすることになります。これは、憲法前文
と13条の趣旨の「我が国の存立と国民が平和のうちに生存」に反することになります。従って、日本がフィリピンを集団的自衛権で防衛する権利が生じるのです。


《8.集団的自衛権は米国に限定されるのか》(国連勤務の方)

(S氏)集団的自衛権を条約に基づく同盟に限定せずに行使することは、無制限な武力行使になるため、安保条約を結んでいる国家間に限定するのが一般的で、かつ、集団的自衛権の行使には国内の手続きが必要ですが、その根拠として条約があるべきだと考えています。

(ZF)中国がP国に侵攻した時に日本がP国に集団的自衛権を行使した場合ですが、仮に安保理で日本の行使が問題になったとしても(当然中国は糾弾するでしょう)、米国が拒否権を発動すれば日本への武力制裁はありませんよね。つまり、実効的には米国の承諾があれば問題ないと思いますが。

(S氏)米国、中国が共に拒否権を行使する格好になれば、安保理は機能不全になりますので、日本がP国に集団的自衛権を行使したとしても、国連安保理で何らかの判断が出ることは考えにくいと思います。安保理で日本に制裁がないとしても、国際法上の適法性は問われると思います。

(ZF)すると、1)集団的自衛権を行使する対象国とは事前に条約や協定を締結することが望ましい、2)たとえ条約を締結していなくても、米国の承諾があれば集団的自衛権行使の違法性を理由に日本が安保理武力制裁されることはない。でよろしいでしょうか。

(S氏)国連による武力制裁は滅多なことでは起きません。経済制裁も安保理決議が必要ですから、このケースは現実的ではありません。しかし、条約や協定がなければ、適法性の問題だけでなく、共同防衛のための訓練なども難しいので、やはり条約のない集団的自衛権は非現実的です。

(ZF)現実的なステップで言えば、1)集団的自衛権容認を閣議決定、2)自衛隊法その他関連法改正、3)集団的自衛権適用対象国と条約・協定の締結、だと思います。日米に限定するつもりはない、というのは磯崎補佐官も安保法制懇も示している通りですし。

(S氏)仰る通りの流れになると思います。故に、磯崎補佐官がツイートしたように日米安保条約と集団的自衛権は無関係、というのは言い過ぎだ、と考えています。現状で条約があるのは日米だけなので、日米に限定して議論していますが、他国と条約等が出来ればその限りではありません。

(ZF)前ツイの3は1が必須条件ですから、1の国民的議論を喚起している現状では「日米に限定される」と「日米に限定するつもりはない」は絶大な違いです。後者は政府の意志を示しています。従って、磯崎補佐官の説明は趣旨として正しいと思います。

(S氏)磯崎補佐官のツイートの趣旨は良くわからないのでこれ以上言及しません。将来的に日米に限定しない、ということを否定す
るつもりはありません。


《9.集団的自衛権容認なら原発は危ないのでは》

(A氏)再稼働や推進派に限って、集団的自衛権賛成とか多いよね。原発って、安全保障から言ってウィークポイントでしょ。

(ZF)シーレーンの石油止められても日本は滅びますけどね。太平洋戦争では米国にこれをやられました。長大なシーレーン防衛よりミサイル迎撃が簡単かも。

(ZF)どこの国もエネルギーを止められたら終わります。エネルギー資源国以外は。石油が止まっても消費量の3割程度の電力供給ができる原発は有効ですよ。防護は可能ですから。

(A氏)防護は可能?

(ZF)ミサイルの迎撃は可能ですよ。現代の軍事力はミサイルの迎撃合戦ですから。武力攻撃でエネルギーを狙うなら、シーレーンもアキレス腱なので、原発だけことさら取り上げても意味ないですよ、という話。

(A氏)集団的自衛権を行使容認しないといけないぐらい危機なんでしょ? なら何故ウィークポイントになる原発再稼働する?

(ZF)戦争になった場合の継戦能力の維持には電力が欠かせません。シーレーン防衛は海自、原発防護は陸自の任務です。完璧でなくても両方やるのです。そういう状況下では、「原発への攻撃で放射能漏れしないこと」は優先度が下がるのです。電力確保が優先です。

(A氏)戦争維持のための電力として原発を動かす。汚染はリスクであって、当然という事を主張するわけだ。つまり、原発を動かすのは、その時の為にも必要という事なのだね。

(ZF)そうですよ。繰り返しですが、戦争になった場合の継戦能力の維持には電力が欠かせません。シーレーンも危うくなるので、石油に全面的には頼れませんから、破壊リスクを覚悟で原発も稼働させるのです。戦時にはリスクは原発だけではないの
です。


《10.集団的自衛権で徴兵制になるのでは》

(Y氏)戦争となるとわかって志願兵になる人は現状より少ないでしょう、人口が減るのも合わさって、徴兵せずに兵員増強は不可能ですね。

(ZF)先進国の軍備は高度化してるので、毎年若い新兵がうようよ入ってきても戦力になりません。熟練技能兵でないと務まらないのです。小銃担いでればなんとかなった時代と違います。先進国には徴兵制の国はありません。

(Y氏)どっかに派兵するならその分を増員しないと国防が疎かになるわけですが、その分をどう補うんでしょうかね。

(ZF)例えばイージス艦には300人が乗り組んでますが、10隻増やすとしても3,000人です。東南アジアへの遠征艦隊を作るとしても徴兵は要らないのです。

(Y氏)イージス艦単独で済むならともかく、集団自衛権行使で派兵となるとイラク派兵や震災の派遣より大規模にならざるえないでしょう? 自衛隊に多少の予備兵役が居たとしても、戦死や拒否や逃散がある以上、国防分の兵員を割くか大元を増やすしかないと思いますけどね。

(ZF)例えば中国がベトナムに侵攻した場合なら、日本は海自が出るだけで十分ですよ。陸自は要りません。なにしろ、ジャングルで無敵のベトナム軍です。手伝い無用です。フィリピンの場合も、中国とは陸続きでないので、海自で十分です。



《11.国民の命運を米国に委ねるのでは》

(佐野よしあき・日本共産党川崎市議会議員)集団的自衛権? 在留法人を帰還させるのに、何で米軍艦船にのせる必要があるの? チャーター機を使えばいいじゃない?

(ZF)韓国在留日本人は3万人以上(外務省調べ)です。長距離砲とミサイルが飛び交う中、そんな人員を運べる航空会社はありません。あなた政治家? 

(佐野氏)だとしたら余計に、戦争を回避することに命をかけるのが政治家じゃない? どう考えても集団的自衛権行使なんて、おかしい!

(ZF)半島有事とは、金正恩が韓国に武力侵攻することです。これは日本の政党や政治家の平和思想のコントロール外です。中国が南シナ海でフィリピンやベトナムに衝突してるのも同じです。警官が拳銃を携帯するのと同様、自衛隊と集団的自衛権は有事への備えと抑止力です。

(佐野氏)拳銃に例えられましたが、引き金は常にアメリカに握られることになりますが、国民の命運をアメリカに委ねることに主権国家としておかしいと思いませんか?

(ZF)集団的自衛権は日本の権利であり米国とは直接関係ありません。安保法制懇報告書に従えば「我が国と密接な関係にある外国に対して武力攻撃」かつ「その事態が我が国の安全に重大な影響」で発動可能とする権利です。対象国は米国に限定されません。

(佐野氏)戦争条項を持たない日本が、集団的自衛権行使するということは、同盟国に指揮権も管理権も委ねるということです。つまり、引き金は常に同盟国が握ることになりませんか?

(ZF)いいえ。「権利行使の判断」も「自衛隊の指揮権」も日本の総理大臣にあります。権利行使対象国が米国なら現場レベルでは米軍・自衛隊の合同作戦となるでしょうが、自衛隊の指揮権は総理大臣のままです。また、権利行使対象国は東南アジア諸国などもあり得ます。


《12.半島有事にどうやって救出するの》

(佐野氏)邦人救出のためにチャーター機を使うことは、これまでも行ってきたことです。集団的自衛権行使を正当化する理由として、紛争地域から邦人救出のために、わざわざ米軍艦船を使うのはおかしい。

(ZF)在韓邦人3万人を移送するのに100~150便必要です。機体数も空港のキャパ的にも不可能です。また1985年のイラン・イラク戦争の際には日本航空へのチャーター要請を日航労働組合が安全が保障されないとして拒否しました。

(佐野氏)在韓邦人3万人を安全に避難させるためには、集団的自衛権行使が必要ということですか? どのように安全に避難させられるのか、ご高説を賜りたい。

(ZF)米第7艦隊揚陸艦4隻では一往復で約2,500人、海自も加われば、いずも・ひゅうが・いせ・おおすみ・くにさき・しもきた、で約6,000人。在韓米国人13万人+日本人3万人としても、米軍のみで64往復、日米合同なら19往復です。

(佐野氏)いずれの艦船も相手国の攻撃対象になりますが、戦闘状態の中で、安全に避難させられますか? 実際に可能ですか?

(ZF)やれと命令されれば実行するのが軍人です。危険だからと拒否する民間人や民間企業とは違います。無事に完遂出来るかどうかは結果論です。戦乱の最中に保障なんてありません。その選択肢を権利として留保することが大事なのです。 

(佐野氏)結局、戦闘状態になったら、自衛隊員が命がけで邦人救出しようとしても、安全に避難させられないということですね。戦争を回避すること以外に、邦人の安全は守れませんね。

(ZF)戦争を回避する外交努力は当然です。しかし、金正恩がどう動くかは誰もコントロールできません。軍事力は外交努力が失敗に終わった場合のバックアッププランです。警察官が拳銃を携行するのと同じです。備えあれば憂いなし、です。

(佐野氏)国を守りたいというお気持ちはよくわかりました。


《13.どうして今、集団的自衛権なの》

(ぎ氏)私的な意見としては、今回の集団的自衛権の内容に関しては、どう捉えていいのかわからんというのが正直なところ。素人目線では、集団的自衛権を認めることで、他国の攻撃対象となりえないかが心配といったところか。

(ZF)集団的自衛権は、例えば中国がフィリピンやベトナムに攻め込んだ時に日本が援軍を出せる権利です。ASEAN諸国が攻め落とされるとシーレーンが封鎖されて石油が届かなくなりますから、日本にとっては死活問題です。行使容認によって中国はかなり動きにくくなります。

(ぎ氏)なるほど!ご指摘ありがとうございます、かなり欠けていた視点です。 的外れな質問かもしれないのですが、どのような考え方があるのかわからないことがあるので、2点ほど疑問を投げさせていただいてもよろしいでしょうか。

(ZF)はい。なんなりとどうぞ。 

(ぎ氏)1点目として、なぜ今なのか、という理由はあるのでしょうか。国際的に大きな変化があったのでしょうか、 2点目として、集団的自衛権を認めることで、攻撃対象となる可能性が増える危険性は高まることはあるのでしょうか。

(ZF)1点目です。オバマ大統領が「米国は世界の警察官ではない」と宣言してしまいました。これによって世界の治安能力が減退したのです。そして、御存じのように中国が南シナ海・東シナ海で侵略を始めました。これが日本にとっての喫緊の課題です。だから、今なのです。

(ZF)2点目。中国がベトナムなどに侵攻した場合に、日本が自衛隊を差し向けることが可能となります。中国はそれを承知しているのでベトナム侵攻を躊躇させる効果があります。これが抑止力です。一方で、いざ中越紛争勃発時に日本が参戦する可能性は出ます。これをどう評価するか。

(ぎ氏)アメリカの立場の変化表明が行われたことに関しては知りませんでした。日本が迫られた状況も認識が深まりました。 さらにお聞きしたいが、なぜオバマ大統領は今そのような表明をなさったのでしょうか。ZFさんの見解をお聞きしたいです。

(ZF)米国政府にお金がないのです。イラク戦争、アフガン戦争の2つの戦争にカネがかかりすぎ、米国政府は予算措置ができずに政府機関を一時閉鎖するところまで追い込まれています。米軍も縮小させて各国から撤退せねばならない状況なのです。だから、日本周辺は日本がやれ、と。

(ZF)追記です。 

米政府が金欠でもがいてるニュースです。最近は毎年これやってます。
http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTYEA1B07Y20140212

金欠で米空母を早期退役させるとかどうとか。
http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303996604579368310485682406


《14.戦争に参加したくないという国民の思いは》

(ぎ氏)なるほど。得心いたしました。また自分でも調べてみたいと思います。疑問に感じていた国民の信託の逸脱の問題に関しても、ブログ(=この記事)を拝読させていただきました。 しかしながら、国民の大きな関心は戦争勃発時に参加しなければならないか否かにあると感じています。

(ぎ氏)そう考えた際、 1、日本が戦争に参加しなければならない状況は、現状から見てどれだけ起こりうるのでしょうか。 2、反対を表明する国民の声が、今後の政策に反映されることはあるのでしょうか。彼らの、戦争に参加したくないという思いはどう汲み取ればよいのでしょうか。

(ぎ氏)2点目に関しては少し自身の理想論が混同されており、あまり建設的な話ではなかったかもしれません。 しかしながら、国民一人一人のミクロな願いのようなものがどのように国策に反映されうるのか、という問いは個人的に大事にしたいと考えています。


(ZF)1、定量的に算出することは不可能だと思います。中国が南シナ海で衝突しているのがエスカレートして軍事衝突になる可能性をどう見積もるか。日本の集団的自衛権が稼働し始めた時に、その抑止力がどれほど効くか。もちろん、日本の後ろには日米同盟も控えています。

(ZF)2、集団的自衛権は「権利」です。中越紛争勃発時にベトナムから援軍要請が来ても日本が拒否する選択肢もありです。ここにその時点での国民の意向は反映されるでしょう。もちろん、ベトナムを占領されることでシーレーンが危うくなるリスクとのトレードオフとなります。

(ZF)さらに考えなければならないのは、中越紛争に援軍を送っても戦場は南シナ海だけとは限りません。中国が日本にミサイルを撃つ(と脅す)かも知れませんし、在日中国人の一部が武装蜂起して破壊工作をするかもしれません。そういうリスクも忘れてはなりません。

(ZF)ただし、認識していただきたいのは、日本が戦争しなければ世の中は平和、という時代ではなくなりつつあるということです。日本が戦わなければASEAN諸国が蹂躙され、シーレーンが封鎖されて石油が枯渇し自衛隊も動けなくなれば、日本本土も侵略されかねません。

(ZF)そして、日本が中国に侵略・占領されたら、あとはチベットやウイグルのような惨状になります。ただでさえ日本に逆恨みを持っている中国人が多いのですから、戦後の米軍占領下のような状況ではいられません。虐殺される運命だと思います。

(ぎ氏)なるほど…現在の日本が立たされている状況は思っていたより逼迫していたのですね。 最後にお聞きしたいのですが、ZFさんは、どのような意図をもって、集団的自衛権に関連するツイートを探してこのようなリプライをなさっているのですか?興味本位でお尋ねしたくなりました

(ZF)はい。実は意外と緊迫した状況にあります。私の動機は、いわゆるサヨクや中韓への対抗意識でしょうか。あちらの陣営がああいう悪意でやってくるなら、こっちも負けてられるか、みたいな。それで、できるだけ理解者を増やしたいなと思っています。

(ぎ氏)そういう意図があったのですね。ありがとうございます、立場がわかったことでより理解が進みました。 僕自身はおそらくはサヨク的な考え方をしているかなとは思いますが、理解を深めるた
めにも今後もお話を伺うことがあるかと思います。その際はどうぞよろしくお願いします。


《15.集団的自衛権が閣議決定されて日本はどうなるの》

(iさん)可決されたんやね集団的自衛権 なんやあまりよくは理解できてへんけど デモ隊を無視してまで可決したんや。 メリットの面の方が多かったんかな 賛成か反対か言われたら反対やけど ちゃんとわかりやすく解説してほしいわ 不安や。日本どーなんの?

(ZF)集団的自衛権は、例えば中国がフィリピンやベトナムに攻め込んだ時に、日本が援軍を出せる権利です。ASEAN諸国が攻め落とされると、シーレーンが封鎖されて石油が届かなくなりますから、日本にとっては死活問題になります。行使容認によって中国はかなり動きにくくなります。

(iさん)ありがとうございます! やっぱり、援軍。そうですか。 弱い日本のままじゃないぞてゆーことですかね でも戦争はいやだなあ

(ZF)中国は、ベトナム1国には侵略を決意するかもしれませんが、日本が反撃に加勢すると知れば困ります。なぜなら、日本とも戦えば今度は米軍まで引きずり出されるので、米+日+越 vs 中国の構図になっちゃうからです。そうすると、中国としては侵略を躊躇します。これが抑止力です。

(iさん)おぉ。なるほど 中国を黙らすゆーこともできるかも しれないんですね。国民からしたら メリットの方がおおきいのか デメリットのほうがおおきいのか わからないですけど。

(ZF)日本のメリットは大きいですよ。日本の石油シーレーンの安全が確保できるだけではありません。台湾では早速「中国が攻めてきたら日本が助けに来てくれる」と報道されてるようですが、こういう親近感が日本のビジネスを大きく後押ししてくれるのです。

(iさん)なるほど。ご丁寧に説明してくださってありがとうございます。 やっぱりちょっとでも理解すると違ってきますね。


《16.機雷除去は個別的自衛権で対応できるのでは》

(尾崎日菜子さん)「マリアナ海峡に機雷を設置することは国際法で認められていないから、それが設置された場合、集団的自衛権を行使して、除去する権利があります」って全く意味がわからないよ… そもそも、国際法に誰が挑戦するんか?とか、なんで、集団的自衛権の話なんか?とか、そもそも、自衛権なんか?とか

(ZF)機雷はマラッカ海峡とかペルシャ湾の話ではありませんか? 対立が激しくなれば国際法を無視して行動する国はいくらでもあります。集団的自衛権は抑止力になります。 

(尾崎日菜子さん)海峡に機雷を設置すれば、日本にたいする供給を止めれるかもしれませんが、今度は止めた国の輸入をどこからするのか?ってこともありますよね?そんな事態が現実的なのでしょうか?

(尾崎日菜子さん)もう一つは、実際に世界史の中で、海峡が機雷で封鎖されたケースっていうのは、どれだけの頻度で発生しているのですか? 冷戦以降の世界秩序の中で、そのようなことが起こった事実をあたしは知らないのですが。

(尾崎日菜子さん)三つ目は、機雷の除去をなぜ、集団的自衛権の枠組みで行使する必要があるのですか。 仮にその状態がかなりの確率で起き得るとしても、個別的自衛権で対応が可能だと思います。


(ZF)イランが西側諸国と対立してペルシャ湾出口のホルムズ海峡に機雷敷設、という想定などです。湾岸戦争でイラクが使用したようです。機雷は現在でも有効な兵器で、進化しています。中越戦争、中比戦争、日中戦争、日韓戦争があればおそらく使用されると思います。

(ZF)この記事が参考になると思います。湾岸戦争では個別的自衛権に基づく機雷除去ができませんでした。日本周辺海域ではなかったからです。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140618/plc14061803090006-n1.htm

(補足:湾岸戦争では、停戦後に海自の掃海部隊がペルシャ湾で機雷除去作業を行っている。)


(尾崎日菜子さん)要するに、湾岸戦争で機雷が使われたかもしれないという実例と、東アジアで戦争が起こった時に、機雷が海峡に仕掛けられるかも知れないって話ですね。 もしくは、イランの情勢が緊迫化した時にあり得るということですよね。 でも、東アジアで戦争が起こる蓋然性も高くないし

(尾崎日菜子さん)そもそも、集団的自衛権を行使しないことによって、イランで有事が仮に起きた時も、外交努力ができるのだから、安全保障というのなら、むしろ、集団的自衛権をなるべく放棄することが、安全につながると思うのですが…


(ZF)ベトナムと中国の対立によって中国がベトナム国境に人民解放軍を集結させたという報道もありました。東アジア有事の蓋然性は低くないのです。また、集団的自衛権を放棄した方が安全というのは、警察官から拳銃を取り上げた方が安全という主張と同じです。

(尾崎日菜子さん)そこは平行線でしょうね。パンと大砲のゲーム理論をご存知ですか?一方がパンを選ぶとわかっていれば、もう一方は大砲ではなくパンを生産するのが合理的って話です。あたしは合理主義者なので、相手があえて損をするような選択をするとは信じていません。

(ZF)一般的なゲーム理論なら知っています。しかし、例えば中越や日中の対立激化は、中国内部での権力争いも影響しているので単純なゲーム理論ではモデル化できないと思います。日韓対立もそうです。安全保障を考える際に、相手を信じることは危険です。

(尾崎日菜子さん)主体がn個になってしまうと、あたしの能力では形式化できないので、その判断は保留しますが、冷戦中の東南アジアの干渉戦争中でも、機雷を設置された歴史はないのに、その可能性を想像することは、全く生産的でも、集団的自衛権を合理化するものでもないと考えます。

(ZF)例えば、この記事を見てください。中国という主体で見れば明らかに損な行動をしています。しかし、中国内部の権力争いまで分解すれば、習近平に反撃する石油閥という構図が出てきます。単純な損得モデルではないのです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3867

(ZF)また、中国の機雷についてはこの研究も見てください。中国は機雷の有効性を認識し、台湾有事などを想定して10万個の機雷を準備していると報告されています。機雷戦は今でも現実的なテーマです。
http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/review/2-1-s/2-1-6s.pdf

(尾崎日菜子さん)非常に官僚的回答をありがとうございます。 機雷という兵器は最近のトレンドだから、過去に使われた例が少なくても、機雷は設置され得る。複数の主体が存在するモデルを考えた時に、厳密な損得以外の行動原理がありうる。ということですね。

(尾崎日菜子さん)あなたの話は理屈の上では理解可能なのですが、東アジアのどこかのプレイヤーが、合理的な行動ができなくなる場合があるという命題が、すなわち、高い確率で、東アジア有事が起きて、その結果、どこかの海に機雷が設置されるっていう事態に結びつくとは思いません。

(尾崎日菜子さん)それは、あくまでも、あり得るという話なので、あたしの直感的には、そのリスクを考えるより、車にひかれて死なないこととか、電車のホームに転落しないようにすることの方が、多くの人のホスピタリティを高める配慮であると思います。


(ZF)安全保障と国防は備えです。最近起きていないというのは対策しなくて良いという理由になりません。千年に一度の大地震と津波に備えて原発の安全性を高めることと、日々の交通安全はどちらもやるべきことなのです。発生確率を除いて、あなたはもう十分に理解したと思います。

(尾崎日菜子さん)機雷が設置され得るということは理解しましたよ。 ただ、ものすごい色んな条件が整っていればですが。 ただ、全ての危険因子に対応するということは、異星人の侵略にも、隕石の落下にも対応するというくらい、現実的な選択ではないと思うのですよ。 

(ZF)もちろん、リスクへの備えはコストとの兼ね合いになります。湾岸戦争でイラクが機雷を敷設し、中国が有事に備えて10万個の機雷を準備しているのが現実です。異星人の侵略よりは可能性が高いので備えるのです。



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参考:
集団的自衛権 閣議決定全文 2014年7月1日
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/pdf/anpohosei.pdf
http://www.47news.jp/47topics/e/254916.php


「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」の一問一答(内閣官房)
http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/anzenhoshouhousei.html

磯崎総理補佐官に聞く「集団的自衛権」
http://togetter.com/li/670414


参考2:
戦争を抑止する□□の会・演説原稿
http://ameblo.jp/zf-phantom/entry-11889681085.html


参考3:
日本の集団的自衛権行使容認に対する各国政府の反応。

《賛成》フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、イギリス、ドイツ、EU

《反対》中国、韓国


参考4:
以下の日本の安全保障環境の変化を理解できるかどうかで、集団的自衛権への理解度も変わるはず。

1)中国による軍事力を用いた海洋覇権拡大(ヒント:九段線、第1列島線、第2列島線)
2)オバマ大統領による「米国は世界の警察官ではない」宣言(理由は財政難)

日本が置かれた環境が変わっているのだから、日本も今まで通りでは済まない。変化への対応が必要。





礒崎陽輔・国家安全保障担当内閣総理大臣補佐官からコメントいただきました。