北海道蘭越町の母子殺傷事件で、強盗殺人罪などに問われた無職、渡辺勇一被告(38)=南富良野町=の判決公判が29日、札幌地裁であり、辻川靖夫裁判長は求刑通り無期懲役を言い渡した。直接証拠がない中、弁護側は無罪を主張していたが、辻川裁判長は状況証拠を積み重ねて「犯人は渡辺被告以外にない」とした検察側の主張を大筋で認めた。渡辺被告は控訴する方針。

 公判で検察側は▽母子の携帯電話の位置情報から、母子が渡辺被告の車で殺害現場に行ったことは明らか▽渡辺被告は当時金に困っていたが、事件後に妻らに約28万円の現金を渡しており、母子から奪った現金の一部だ--と主張。これに対し弁護側は、母子とドライブしていたことを認めたものの、▽母子を札幌市豊平区内で車から降ろした▽妻らに手渡した現金はへそくり--と反論。「第三者が母子を現場に連れていき殺害した」と無罪を訴えていた。

 辻川裁判長は判決で「豊平区内で母子を降ろしたとすると携帯電話の位置情報と矛盾する上、母子が第三者と連絡を取った形跡はなく、被告の車に同乗したままだった可能性が極めて高い」と指摘。「長女が『車を乗り換えていない』とした供述は信用できる」「渡辺被告が母子の現金を奪う以外に金を入手する手段がなく説明は不自然」とし、「被告が犯人であることは確実な事実として推認できる」と結論づけた。

 弁護側は「妻に渡した現金から母子の指紋が検出されず、被告の車や着衣からも血痕が検出されていない」と指摘していたが、判決は「あり得ないことではない」と退けた。

 判決によると、渡辺被告は07年9月14日夜、蘭越町の道路工事現場で、出会い系サイトで知り合った札幌市豊平区、無職、上野雪絵さん(当時37歳)の頭を鈍器のようなもので多数回殴って殺害して現金約40万円入り財布を奪い、一緒にいた長女(10)の頭も殴り重傷を負わせた。

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