卵巣癌と子宮内膜症。 | 山あり谷あり備忘録

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2011年お正月。いきなり卵巣癌の告知を受け、日々、手作繰り状態で癌と闘うzeroの、のほほーん日記です。少しでも同じ病で悩む方のお力になれましたら幸いです。。。


長くて理屈っぽい?です。どぞ、適当に(笑)。

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どうも...お久しぶりでございます。^^;

卵巣癌の経過に関して大きな変化がないと、つい放置状態に
なってしまいますね。。
しかも、前回とんでもなく後ろ向きな記事をアップして、それっきり
というのは、ちょっと...ですよね。

とりあえず、卵巣癌に関しては1月下旬の検査を何とかクリアし
お馴染みの「順調ですよ」のお言葉をいただきました。
ただ、それに付随して起こっているあんなことやこんなことに
関しましては、「○○科へ」「○○科」へと促されるばかり(笑)。

誰でも年をとれば色々ありますし、病気とつきあって生きて
いこうと考えることも必要ですよね。


ということで。
昨日の「たけしの健康エンターテイメント!みんなの家庭の医学」を
ご覧になった方はいらっしゃいますでしょうか?
珍しいことに卵巣癌と子宮内膜症について取り上げられてました(笑)。

卵巣癌は婦人科癌の中では罹患率が低いので、あまり
その存在自体が知られているとは言いがたいですよね。。

罹患率が低い。
自治体の検診の対象になっていない。
卵巣は体内の奥にあるため容易に検査ができない。
初期症状はほぼなし。
大がかりな啓蒙運動も行われていない。

などなど、マイナーである理由は様々だとは思うのですが、
いったん患ってしまうと、その怖さに直面することになります。

症状が出た頃はすでに進行している状態。
ゆえに卵巣癌は婦人科癌の中では一番死亡率が高い癌と
言われています。
「五年生存率」となりますと、Ⅰ期は90%程度、Ⅱ期は70%程度、
Ⅲ期は30%程度、Ⅳ期は20%程度とされています。


このブログをご覧になる方の多くは卵巣癌患者さんと思われます
ので、これから書くことはごくごく常識的なことだとは思うのですが...

卵巣癌には様々な分類がありますが、主だった「組織型」
としては4種類。そしてそれらの混合型というものもあります。

・漿液性腺癌
・類内膜腺癌
・粘液性腺癌
・明細胞腺癌

書かれている文書などにより若干の違いはあると思いますが
よく比較される以下の特徴をあげてみますと...

「卵巣癌のうちどの程度を占めるか」
「進行が速いか」
「リンパ節などへ転移しやすいか」
「抗がん剤が効きやすいか」

・漿液性腺癌
卵巣がんのうちの40~50%程度。
進行が速く転移をしやすい。抗がん剤が効きやすい。

・類内膜腺癌
卵巣がんのうちの15%程度。
進行は緩やかで転移しにくい。抗がん剤が効きやすい。

・粘液性腺癌
卵巣がんのうちの5~10%程度。
進行は緩やかで転移しにくい。抗がん剤が効きにくい。

・明細胞腺癌
卵巣がんのうちの20~30%程度。
進行は緩やかだが転移しやすい。抗がん剤が効きにくい。

ざっくりと書いてみるとこのようになりますが、もちろん
同じ組織型であっても患者さんによって様々な違いはあります。
上記の分類以外にも、ステージやそれぞれの組織型の中での
分化度(悪性度)などでの診断も下されます。

「抗がん剤が効きにくい・効きやすい」の違いに関しましても
どういう手術を受けたかなどでも違ってくるはずです。
現在の卵巣癌の標準治療は「手術+抗がん剤」ですので、
癌をどれだけキッチリと切除してもらえるかどうかが一番大切な
ことだと、私は自分の経験を通して、強く信じています。

転移もしやすく抗がん剤が効きにくいとされている「明細胞腺癌」。
なぜか日本人に多いのですよね。。
欧米諸国では10%にも満たない程度らしいのですが。。
私の患者友達も半数以上の方が明細胞腺癌でした。
しかし私のような類内膜腺癌であっても、明細胞腺癌であっても、
みんな同じ手術を受け同じような抗がん剤治療を受ける。
とにかく出来ることは全てやる。それだけなのですよね。
そして書物に書かれていることは、一つの目安、ということですね。



そして昨夜のTVショー。
よくぞ「子宮内膜症」について掘り下げて下さったと言いたいです。
ここで気づけば最悪の事態を避けられる女性がどれだけ増えるか!

上記の4種類のうち、類内膜腺癌と明細胞腺癌に関しては
近年、子宮内膜症との関連性が取りざたされています。
この2種類の組織型を患った患者さんの卵巣に子宮内膜症性
卵巣嚢胞(チョコレート嚢胞)を合併しているケースがよく見られると。

閉経前の女性は毎月、子宮内膜がはがれ落ち月経が起きるわけ
ですが、その子宮内膜が子宮内部以外の場所に発生してしまう症状が
子宮内膜症であり、卵巣に発生した子宮内膜症が「チョコレート嚢胞」と
呼ばれる病変なのです。

月経時の出血の際、その一部は体内に吸収されますが、その多くが
卵巣に留まり、たまった血液が古くなるとチョコレート色の
嚢胞になる
ことから名づけられたようです。
腫瘍が大きくなるにつれ下腹部痛や骨盤痛が現れ、高齢になるにつれ
がん化する確率も高くなってしまうようです。

摘出された20cmにも肥大した私の卵巣はまさに血の塊のようでした。
...兄達は現物を見せられ、私は写真でしか見てないのですが(笑)。

術後、当時の主治医に「子宮にも異常があったのですか」とお尋ねした
ところ、少し間をおいて「子宮は問題なくきれいでしたよ」とおっしゃった
ことを今でも覚えています。
卵巣癌は予後が悪く転移をしやすい癌なので、癌が片側にしか発生
していなくても基本的に両卵巣と子宮は摘出になってしまうのです。

思えば私も月経痛はひどかった。。
毎月、鎮痛剤なしでは過ごせず、ひどいときは仕事を休まなくては
ならないこともありました。

そのときにちゃんと婦人科を受診していたら...。

すでに遅かりしことではありますが、今でも後悔しています。
日本人は我慢しすぎだとよく言われますが、その通りですよね。^^;

昨日の番組でもお医者さまが「本来の月経痛は我慢できないほどの
ものではないはずだ」とおっしゃっていました。
ある程度の年齢に達していて月経の周期も落ち着いてきているのに
月経痛が激しいということは、「何かあるのかも」と疑ってみることも
予防の大切な一歩なのかもしれませんね。


私も私の患者友達も誰も、まさか「自分が癌になる」とは思わずに
生きてきました。

卵巣腫瘍の90%は良性と言われています。
卵巣癌の罹患率は近年高まってはいるけれどまだまだ低い。

それでも卵巣癌になった。
私は卵巣癌のうちの15%程度の類内膜腺癌であった。
(予後の良い組織型ですが割合としては少ないですよね?)

良いこともそうでないことも、低い確率だから自分に該当しない
ということはないんだと、そう実感しました。


罹患率が低いといいましても、アメリカは日本の3倍以上、
スウェーデンでは7倍以上とも言われています。
卵巣癌には遺伝的な因子もありますが、もちろん他にも原因に
なるうるのではないかと言われている因子はたくさんあります。
妊娠をする女性が減り排卵回数が増加、食生活の欧米化、
生活環境の変化などなど。

現在日本では年間9000人程度が発症し、死亡数は4500人以上にも
のぼるとの報告があります。
数字だけをみてみると、患った方の半数が治癒することなく卵巣癌で
亡くなっているということなのでしょうか。。

罹患率の低い卵巣癌でこの数字なのですから、乳癌や子宮頸癌を
患う患者さんはどれくらいなのか...。

私と同じ日に手術を受けられた当時70歳の子宮頸癌の患者さんは
子宮体癌と卵巣癌予防のために、
頸癌0期にも関わらず開腹し
子宮と卵巣の摘出手術も受けられました。
当然迷いはおありだったようですが、更年期も終えられ、先生からも
「もう使わないでしょ?」と言われ(笑)、決心がついたようでした。

私にももう卵巣も子宮はありませんが、再発のリスクは残っています。
腹膜や腹水、大網にも転移していたので、そのあたりがどうなるのか。
再発するとしたら、どこが多い?
遠隔転移をしていたら、再発なのか新しい癌なのか、その判断は?
いろいろと勉強不足です。^^;

婦人科の疾患というものは、年齢に関わらず、密接な繋がりを持ちながら
ずっと付きまとってくるものだと...そういうことなのですね。



男性の皆様にも知っていただきたいと思っています。
女性特有の疾患は言葉に例えられないくらい辛いものなのだと。
あなたの近くにいる大切な女性が我慢強い方であればあるほど。

いろいろ...決断をしなくてはいけないことも生じてくるとは思いますが、
まずは「知る」ことから、ですよね。
知った上で、それぞれの人生を生きていけばいい。



...たまに書くと、こうも長くなるものか。
でも、ここは闘病の備忘録ブログなので遠慮なく(笑)。

正直、ときどき全てを投げ出したい気持ちにもなったりしますが、
病気であるとかないとか、実はそういうことはあまり関係ないのでしょうね。

自分の気持ちが弱いかどうか。弱くなっているかどうか。
...と自覚できているうちは大丈夫だろうなぁ~と思ってます(笑)。

気づいたら再来週はMRIで、来月はその検査を受けての婦人科検診。
血液検査で怒られないように食生活を整え始めなければ(笑)。p(^-^)q