参議院 予算委員会 に着流しの女性議員が現れた。質問席に立つと、腰をかがめ、右手を前に突き出し、仁義を切った。
「お控えなすって」
会議室の空気がぴりぴりと緊張する。議長をはじめ居並ぶ政治家達が姿勢を正す。
「早速のお控え、ありがとうにござんす。手前、姓は森、名はまさこ、人呼んで」と、ここで言葉を切る。緋牡丹お竜か、壷振りおせんか、余程、名のある侠客に違いない。
「人呼んで・・・森まさこと発します。」そのまんまであった。
「では、早速、質問をはじめさせて頂きやす。菅親分は視察をしてベントを遅らせ、福島の住民を被曝させた。また、SPEEDIの情報を隠匿して、住民に避難の機会を与えなかった。いずれも防災基本計画に違反しておりやす。ご答弁を願いやす。」
「菅直人君」入れ墨のある両肩をいからせながら、議長が野太い声を響かせた。腹の晒の白さが眩しい。
親分の菅は目をしょぼつかせている。顔に生気がない。尋ねられたくない質問であった。
「ええ、あのう、そのう、ベントはしどろでありまして、情報はもどろであります。あのう、そのう」
しどろもどろである。
菅のいい加減な答弁で怒った森まさこは、さっと机の上に飛び乗った。
「見ておくんなっせ。女だてらに、こぎゃんもんば背負って生きとっとよ!」片肌を脱ぐと、肩には鮮やかな緋牡丹の入れ墨が彫られている。会議室全体がどよめいた。
森は帯に隠してあったドスを取り出すと、小走りで菅親分に駆け寄った。刃を突き付けられた菅はぶるぶると震えつつ、涙ながらに語り出す。
「はい、もも森先生の仰る通りです。ぼぼぼ防災基本計画を無視しました。いいい、違反してました。カッコつけて視察してるうちに、ベントが遅れました。俺ん家、福島じゃないし、住民なんぞ勝手に被曝すりゃいいだろうと思い・・・」
菅の弁明など馬鹿馬鹿しくて、これ以上、書く気にならない。皆さんも読む気になりませんよね。