義援金「早く届けて」 | 皇国ノ興廃此一戦二在リ各員一層奮励努力セヨ 







【東日本大震災】

人手不足の被災役場、証明書発行進まず。



 東日本大震災で被災した人の生活再建を支援するために全国から寄せられた義援金の給付が遅れている。窓口となる自治体も被災し、膨大な対象者の確認作業に手間取るなど、被害の大きな地域ほど行き渡るまでに時間がかかっている。「もう食べていけない」。仕事や家族を失った被災者からは悲痛な声が上がる。

                                  (長島雅子、荒船清太)

 町役場が津波で流された宮城県南三陸町。27日、初めて義援金の振り込みが行われた。「町民から『早くしてほしい』といわれ続けた。何とか支給にこぎ着けた」と、同町保健福祉課の担当者は話す。

 日本赤十字社などに寄せられた義援金について国は4月、死者や行方不明者1人当たり35万円▽住宅が全壊した世帯と、福島第1原発から30キロ圏内の世帯に35万円▽住宅が半壊した世帯に18万円-とする第1次分の配分基準を決めた。

 南三陸町は戸籍が流された。家族関係の確認が困難になるため、死者・行方不明者対象の申請受け付けは先送りし、住宅被害の受け付けを優先させた。

 震災でこれまでに寄せられた義援金は日赤で約2088億円、中央共同募金会で約300億円に上る。すでに約725億円が被災15自治体に送金されたが、南三陸町のように被害が大きい市町村ほど支給が遅れている。

 岩手県では県に直接寄せられた義援金を含む計約144億円のうち給付率は30%にとどまる。

 陸前高田市では、16日の申請開始から約3100人が申し込み、6月上旬にようやく支給が始まる。職員が被災し、人手不足のためで、社会福祉課は「東京都や名古屋市など他自治体からの応援を受け、全力で対応している」と話す。

 宮城県では支給対象の34市町村のうち23市町村で支給が開始したが、「被害の大きな所では、まだ支給できない状態だ」(社会福祉課)という。

住宅被害の義援金申請に必要な罹災(りさい)証明書発行に欠かせない家屋被害調査の遅れも要因の一つだ。

 家屋が完全に流された地域では一括認定が可能だが、浸水が低かった地域などでは度合いによって給付金額が異なるため、市町村の担当者が一軒一軒調査しなければならない。

 被害が甚大な地域では他自治体からの応援を得ても作業が追いつかない。岩手県の担当者は「支援物資の運搬などに市町村の職員が取られている。迅速な義援金支給には、そうした職員を行政サービスの窓口に戻す必要がある」と話す。