北朝鮮は、ペンスアメリカ副大統領の韓国、日本訪問直前のタイミングで中距離弾道ミサイルのムスダン(ICBM 大陸弾頭ミサイル)の発射実験を実施したが、失敗した。

 

ペンス副大統領が ”北朝鮮への戦略的忍耐の時代は終わった”と表現している通り、これまでにない緊張感が高まっているものの、中距離弾道ミサイルムスダンの発射テストの失敗と北朝鮮の重要な記念日の4/15に核実験が行われなかった事実を併せて考えると、アメリカ側からの”先制攻撃”は一旦、避けられた。

 

往々にして日本の報道だけみているとなんだか、ほんわかしていて、切迫感が伝わらない。自主規制とやらで、際立った表現が避けられているからだろう。

 

現実には、今、時間がたてばたつほど、北朝鮮側の核兵器開発は進行する。30代の若い独裁者は、政権を握ってから中国の国家主席とすら会っておらず、世界の国々との付き合い方が分かっているとは到底、思えない。 いわば身勝手な考え方の一方的な押し付けができる状態のままだ。

 

歴史をみて、核開発をあきらめた新興国、例えばリビアの失敗を礎にして、北朝鮮は、絶対に同じ轍を踏まないよう、ひたすら核兵器保有国への道を突進するだけだろう。

 

トランプ政権にとって、北朝鮮問題の解決はほとんど困難なほど遠い道のりだ。今後の情勢について不確定性の度合いはいまでも全く変わっていない。

 

北朝鮮では一連のコールドランチ方式ミサイル発射テストの成功で、固形燃料型ミサイル性能は各段に向上している。発射準備が簡単で潜水艦や陸上移動車両によって、場所を変えながら数分で攻撃態勢を整え、攻撃が可能となるメリットは絶大だ。

 

言い換えると、アメリカ側からのトマホークなどクルーズミサイルの攻撃ターゲットにはなりづらく、アメリカ側が先制攻撃を仕掛ける場合は、即応的に反撃するべく、北朝鮮ではすでに韓国、日本など近隣国をターゲットとして臨戦態勢をとっていると考えるべきだ。少なくともアメリカの軍部ではこのことを想定済みだろう。

 

トランプ政権からの発信を振り返れば、朝鮮半島で先制攻撃など”事を構える”際にはかならず韓国、日本政府への事前の協議を行う旨の発言があるが、戦術的レベルの情報共有は、あくまでも軍事的観点からの判断であるため、有事になってみないと実際は定かではない。

 

海外在留邦人数調査統計(平成28年度要約版)による在韓邦人数3万8千人。 全邦人を一気に避難させる点について、日本政府はチャーター機の手配などを示唆しているが、民間航空での日本-韓国間の定期便数を踏まえても、相当な日数と混乱が予想される。

 

そもそも金浦や仁川空港自体が戦略的攻撃目標となっている点も考慮すべきだ。 よって政府がアナウンスしているほど、安心な状態ではないと考えてしまうのは僕だけだろうか。

 

もちろん、中国の動きもある。 中国国際航空の北京発平壌行きの運航一時停止などの”制裁”が採られ出している。軍事的制裁以外の経済的制裁はかなり有効だろう。その意味で中国がカギを握っているので、安倍政権としても中国との距離は縮めておくべきだと思う。

 

今日、ペンス副大統領が来日する。アメリカが自身でできることは限られいる。北朝鮮が韓国と日本にミサイル攻撃の臨戦態勢をとっているなかで、アメリカの直接軍事行動は、間違いなく韓国と日本での犠牲者を見込むことになるからだ。

 

本当に、物騒なはなしだ。

 

2017年 4月 16 日 午後3時ごろ 豊洲にて