玄宗の治世は開元(713~741)と天宝(742~756)の44年間に及んだ。

開元の治と呼ばれる佳政をしいた玄宗も、

晩年は政(まつりごと)に飽き、

楊貴妃の色香に溺れて安禄山の乱をまねく。

音楽を愛した玄宗は宮中の梨園に楽士を集めた。

梨の木が多く植えられていたところからこの名がある。

歌舞伎界を梨園と呼ぶのはこれに由来する。

玄宗は特に羯鼓(かっこ)を好んだ。



二本のばちで打つ鼓で両杖鼓ともいい、甲高い音がする。

玄宗はかって琴を聞いて喜ばず、弾いていた者を追い出して、

「羯鼓を持ってきて汚れた耳を清めよ」と言ったという。