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「鳥」
ティッピ・ヘドレン



(11)

映画「鳥」の撮影のとき、監督のヒッチコックは本物の鳥の足をしばり、メラニー役のティッピ・ヘドレンに近づけた。金髪の美女が鳥につつかれる危険よりも リアリティーを優先した。

ティッピ・ヘドレンも怖かったでしょうが、鳥も怖かったでしょうね。なにしろ 地球上で最も獰猛な動物、人間が大勢そばにいるんですから。

自衛のために鳥はクチバシを使った。彼女は目の下を鳥に突っつかれて出血し、 半狂乱になったそうです。

鳥や魚は自衛のために敵の目を攻撃します。ライオンのように水牛の背骨でさえ へし折ることができる腕力はない。一閃して頸動脈を断ち切る牙もない。だから 危険な相手を無力化するために目を狙う。

ティッピ・ヘドレンを突っついた鳥は本気で目を狙った。彼女が目の下を怪我するだけで済んだのは幸運だった。

公園の鳩は人間を敵だと思ってませんからね。子供が近寄ってもまず大丈夫でしょう。でも鳩が増えすぎるのはどうか
。病原菌を媒介しますからね。鶏イ ンフルエンザもそうです。鳩の糞の問題もある。糞害です。

東京都もさすがに鳩の糞害にフンガイしているようだ。でも役所の反応はご多分に洩れず、ニブイ。

まっ、そういう話は置いといて。

「鳥」の公開は1963年。ヒッチコックが64才の時です。1899年生まれですからね 。彼は19世紀人だ。ティッピ・ヘドレンは1931年生まれ。「鳥」の公開のときは 32才です。

ティッピ・ヘドレンの映画人生は短くて長い。「鳥」、「マーニー」で主演した あと、マーロン・ブランドとソフィア・ローレンが共演した「伯爵夫人」でチョ イ役。あとはエトセトラだ。「伯爵夫人」はチャップリンが監督し、自身が出演していない唯一のカラー映画ですね。

長いのは何故か。娘がメラニー・グリフィスだからです。母娘を合わせると十分に長い映画人生だ。


メラニー・グリフィス