独りはぐれ
人里に
迷い込んだ子鬼

山に逃げようと
一生懸命

運悪く
足をくじき
人間に取り囲まれて

豆をぶつけられ
石をぶつけられて
やがて
死にました

何度も血を吐いて
死にました

言葉にならない声で
叫んでいました

『許してください』
『許してください』
『痛いよ』
『痛いよ』
『苦しいよ』
『苦しいよ』
『おかあさま、助けて』
『おかあさま、助けて』

命尽きる最期まで
涙を流しながら
叫んでいました

人間の言葉など
知る由もなし
話せるはずなどなし

『鬼のくせに
花なんか握ってやがる!
気持ちわりい!』

早く首でも
切り落としちまいな!

手には
おかあさまの
誕生日プレゼント

桃の花

やがて終わる世界に

雪の結晶
鬼とは
いったいなんなのでしょう。。。