北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)1月31日より

北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)の産経新聞中国総局記者
福島香織さんは中国の食の安全ついて何度もこのブログで取り上げられて
います。本としてまとめられています

危ない中国 点撃! 福島香織の「北京趣聞博客」/福島 香織
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福島香織著 産経新聞出版)

 産経デジタルのニュース・ブログポータルサイト「iza:イザ!」の記者ブログ「北京趣聞博客(ぺきんこねたぶろぐ)」の中から食の安全問題を中心にまとめた『危ない中国 点撃!』(福島香織著 産経新聞出版)では、中国国内で流通する残留農薬野菜、“毒菜”の現状についても警鐘を鳴らしている。
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■今年は食の安全学ではなくて、環境の安全学とか、別のテーマに切り替えようとおもっていたんですけど、またもやこんな事件が起こってしまうと、このテーマでかかざるを得ないです。きょう31日、この事件の主管部門、国家品質監督検査検疫総局の記者会見にいってきました。事件発覚翌日ですよ。5年あまり北京にいて、中国製品による健康被害問題は2002年の御芝堂ダイエットカプセル事件から取材しきましたが、事件発覚後の翌日の素早さで、当局側が記者会見って、初めての経験です。


■しかも、会見冒頭、劉徳平報道官は「まず、李長江総局長にかわって、日本の消費者の食品中毒による影響を心配し、心より彼らの早期回復を願います」と挨拶ですよ。こんな殊勝な台詞を、中国当局者の口から聞いたのはじめてざんす~。一昔前は「人死んでいないのに、メディア騒ぎすぎ」とか「中国側の責任とは限らない」とか言いかねませんでした。五輪を目前にひかえ、いかに中国がこの事件の処理に腐心し、国際世論の中国攻撃をさけるかに苦慮しているか、うかがえる対応です。今回の記者会見は、いちおうこれまでの反省を生かしたという点で、福島、合格点をさしあげたいと思います。では、その様子をほぼ全部アップ。


■中国国家品質監督検査検疫総局の言い分きいてみる?
今回は殊勝にせめてみました。
サンプル検査の結果は午前3時に知ったよ、
夜中までかんばってます!


■会見は北京市海淀区の同総局建物内で。参加者は劉徳平・同総局報道官(司会役)、王大寧・輸出入食品安全局長、あと専門家の儲暁剛・中国科学検査検疫学院食品安全研究所副所長。

■劉:本日は日本で発生した食品安全中毒事件に関する記者会見を行います。(参加者を紹介)。会見の前に、李長江総局長に代わって言うことがありあます。日本の一部の消費者が食品中毒により影響を受けたことを心配し、心より彼らの早期回復を願っております。 では、会見をはじめましょう。まず王局長から状況を説明します。
(お、いつもと違って殊勝な態度。日本大使館あたりに、対日メディア対策のツボを教えられたか。傲慢な態度は禁物だ、と)

■王:記者のみなさん、こんにちわ。中国語で直接話しても大丈夫ですね。
1月30日午後2時、国家品質監督検査検疫総局は日本から日本消費者が河北食品輸出入集団天洋食品加工工場で生産された冷凍餃子による食中毒事件の報告を受けました。この情報をうけ、われわれはすぐに自主的に調査を開始しました。まず、河北省の検疫当局に工場の現場に行き、検査調査するよう指示しました。(行動のすばやさをアピール。五輪前に、中国のこれ以上のイメージダウンは何とも避けねばならないからね)

■初期調査の結果ですが、日本の消費者の中毒を起こした商品は、2007年10月1日製造の一個13の餃子、10月20日製造14の二種類の豚肉白菜餡餃子です。この2種類は輸出前に、すでにショウガ、白菜などの原料についてメタミドホスなど残留農薬検査を実施し、その結果すべて合格しております。河北省の検疫当局はきのうから、この2種類の餃子のサンプルについて検査し、また現在使用中の原材料も検査を開始しましたが、31日午前3時ごろ、私はこの検査結果報告を受けました。いずれもメタミドホスは検出されませんでした。また、この2種の餃子の加工生産記録をすべてチェックしましたが、完全に合法的で問題はみつかりませんでした。(さりげなく、午前3時まで寝ずに働いてます!と必死ぶりアピール。私も、昨日は夜中3時まで働いてました。ちなみに、ここでメタミドホスは検出されませんでした、問題は見つかりませんでした、という発言は、メタミドホスを検出する技術力が足りませんでした、問題を発見する能力がたりませんでした、とも解釈できる)


■総局としては、輸出食品の安全を確保し、この事件に対して高度の責任を担うものとして、当該企業に対し日本の産品および輸出途中の産品も含め、直ちに回収するよう指示し、河北省公安当局に捜査を依頼し、同時に関係専門家を日本に派遣し、日本との合同調査により問題を明らかにし、協議を行うことにしました。(警察の介入って、犯罪のセンが濃いのか、やはり)


■この会見の直前、午後2時半から4時までの間、日本大使館の香川公使(経済部長)とこの件について会談しました。香川公使によると、日本側はすでに日本市場に売られている同じ製造出荷日の餃子についてすべて回収し、当該企業が出荷した他の商品についても販売を停止したそうです。日本側が行った検査について香川公使の説明では、中毒を実際に引き起こした商品の袋からメタミドホスが検出された以外は、他の商品からはメタミドホスは検出されませんでした。これが一点。

■また香川公使と、問題をどう処理してゆくかについても話し合い、次の2点について、共通認識をえました。日本の警察当局はすでに捜査を開始している段階で、中国側も河北省警察当局も同様の任務についてます。科学的正確な結論が出ない前には、いかなる主観的推測も対外的に発表しないことで双方一致しました。また、中日双方はこの問題について合同調査を展開するになりました。近日中に専門家を日本に派遣して、日本の関係者と共同で調査し、早急に問題を解決します。いったん、はっきりした結論を得られれば、速やかにメディアにみなさんに発表しますから。(へたすれば、大きな外交問題二も発展しかねない。余計なことは言わないにかぎる、ってこれも日本側のアドバイスかにゃ)

■劉:では質疑応答です。

■福島:正確な結論が出ない前は主観的推測は発表しないとおっしゃいましたが、事件の背景とかを考えればいくつかの予測、仮説がたつと思います。それを解説してください。(これって食品テロの可能性もあるの?工場の方は、労働契約法実施がらみで、労使関係がもめているんじゃないの?ウラミ、報復で食品に農薬を混入させるって、中国では一種伝統的ともいえる犯罪だから、ついつい飛ばし気味に想像してしまうんだよな。ぜんぜん違ってたらごめん)


■王:いや、そのことについてははっきり言ったでしょう。日本警察はすでに捜査を開始している。香川公使によれば、嘔吐を実際に引きおこした商品の袋からはメタミドホスが検出されましたが、その他商品、同じ製造日の商品からは検出されませんでした。このことから日本警察は、事件を司法プロセスに従って捜査し、中国警察も捜査を開始しているわけです。こういう状況で、明確な結論がまだ出てない状況で、われわれは無責任な推測を発表できないのです。
(ぶろぐは無責任な推測いいまくります)

■朝日新聞:二つ質問があります。例の企業の商品は中国国内でも売られていますか。あと2003年に例の企業は緑色ルート待遇(優良企業に与えられる品質検査免除の待遇)を与えられていたそうですが、具体的にどういう優遇ですか。もうひとつ、2003年以降、品質検査上の問題はなかったのですか。
(最近は、朝日も中国に厳しいこというようになりましたな)

■王:質問は3つですね。私の理解するところでは、河北省のこの企業は国内でも商品を販売しています。具体的な数量は急いで調査しているところです。我々は企業に対しすでに、生産停止、輸出検査検疫申告の停止、すべての産品の回収を命じています。これは国内商品も含んでいます。
(国内向け商品もすべて回収とは。企業に対しても今までにない厳しい対応。へたしたら、この企業つぶれるな)

■緑色ルート待遇ですが、これは我々が輸出検査検疫速度をアップするために事前に便宜をはかる優遇措置です。しかし検査の機会自体が少なくなるわけではありませんし、検査が厳格さが緩くなるわけでもありません。
(もう少し具体的にいってもらわないと、説得力ありません。ようするに立ち入り検査やサンプル検査はしているの?してないの?)

■この企業は対日輸出の食品加工企業で、餃子のほか串焼きなどを生産しています。1996年から対日輸出を開始して以来、われわれの調査によれば、ずっと産品の品質は非常に安定しおり、2004年8月に基準値以上の大腸菌が検出された事故以外、いかなる品質問題も発生していません。
(河北省の現場のルポによれば、3年前にも農薬混入事件があったという元作業員の証言があるけど)

■福島:農薬の管理状況をおしえてください。メタミドホスは昨年来流通が禁止されているはずですが、工場の在庫や農家の買い置きの処理はどうなっているんですか。また、残留農薬が原因の中毒事件の統計はありますか、死亡例はありますか。(たしか、2007年12月4日、河北省保定市の学生20人あまりが学食で食べたニラ卵餃子で、吐き気、頭痛、腹痛、手指のまひなど有機リン農薬中毒になった。原因はニラの残留農薬とみられている。残留農薬中毒事件は、中国ではけっこうある)

■王:2003年、農業省は322号公告を出し、5種類の毒性の強い有機リン農薬の使用を徐々に減少するよう指示をだし最後に完全停止を規定しました。2007年1月1日から、全ての農業において、メタミドホスなど5種類の劇毒有機リン農薬の使用を完全禁止しています。今にいたるまで、わたしのもとにはメタミドホスによる死亡事件は報告されていません。中毒事件は発生していますが。
(誤用、誤食や故意に混入させる犯罪も多い。四川省ではメタミドホスを調味料と間違って料理に入れて誤食し、2人死亡している。農家では収穫した小麦の袋の隣に、無造作に有機リン農薬の袋を置いてあったり、本当に管理がいいかげんなんだよな。で残留農薬中毒の統計はないの?)

■福島:それは残留農薬としての中毒の話ですよね。故意に農薬を食品に混入する事件や、誤飲事件では死亡例がありますよね。

■王:農薬の使用は農業部が管理し、刑事事件については公安部が管理しているので、こちらではわかりません。

■AP:確認させてください。メタミドホスは袋から検出されたんですか。それともギョーザからも検出されたんですか。

■王:日本の公使の話によると、3例の中毒例のうち、吐瀉物とビニールの袋の内側からメタミドホスが検出されました。その他サンプルからは検出されませんでした。これが日本側の検査結果です。日本側は昨日の午後2時、メタミドホス中毒事件の状況を中国側に通報し、関連商品の製品番号を提供し、我々としても、その製品番号の保留サンプルについて検査を行いましたが、今日の午前3時すぎに出た検出結果によると、メタミドホスはまったく含まれていませんでした。(ギョーザの餡のショウガとか白菜の残留農薬が原因なら、袋につくかな?食べ残しの餃子などは調べられなかったのかな?)


■ロイター:(よくききとれなかった)?

■王:日本の香川公使とこの問題について広汎な議論をおこないましたが、中国としては、この2種類の製造番号の製品サンプルについては何ら問題がなく、日本側も、中毒患者の吐瀉物と商品の袋以外からは、同じ製造番号の産品からメタミドホスは検出されませんでした。ですから、警察が介入したわけです。
(犯罪のに、お、い)

■フェニックス?:検出されたメタミドホスの量はどのくらいですか。どういう状況で中毒は発生したのか。

■王:こういうことです。消費者は、袋を破って、ギョーザを鍋に放り込んだ。食べ終わって、数人が中毒症状を訴え、病院は吐瀉物を収集、化学検査を実施しました。警察も同時に餃子の袋を科研に出し、メタミドホスを検出しました。量がどの程度かについては日本側は何もいっていません。いずれにしろ中毒に至る量であった。しかし、日本の市場で売られている餃子、包装袋からはメタミドホスが発見されていない。


■国家品質管理検査検疫総局は、河北省検疫当局に企業の全ての商品の回収を命じ、すでに日本で売られている商品は日本側を通じて回収命令をだしています。日本に輸出途中の商品も、自主回収を行っています。

■中国記者:補足質問です。国内の商品も全部回収したのですか・

■王:この企業は国内でも商品を販売していますが、生産停止、販売停止を命じ、一律に商品回収しています。


■毎日:回収の手段を教えてください。

■王:中国は昨年後半に、食品追遡回収管理弁法(食品リコール規定)を発布しており、そのプロセスに厳格にしたがい、回収しています。具体的プロセスは複雑ですが、まず小売店に通知し、売り場に告知を張り出すなどします。リコール管理法規は日本など他国と同じです。(まさか食品リコール弁法がこんなに早く使用されるとはね)

■毎日:企業の製造プロセスに問題が見つかっていないといいながら、すべての商品を回収するのはなぜですか。

■劉:われわれはこの状況にあって、いっさいの不安要素を排除する必要があり、すぐさま生産・販売停止と回収を命じました。もし最終的に、生産プロセスの問題でないと確認されれば、この企業も生産・販売をすみやかに再開します。
(私は、中国も自信がないのだと思う。残留農薬の検査って結構、技術がいるというか、難しいと思うよ。地方の検疫当局があわてて現地にいって、ちゃかちゃかと検査しても、その結果が100%というわけではない。本当は、広汎に残留農薬に汚染されている可能性だってあるかもね。米国のペットフード禍も、メラミン検出するまでに時間かかったもんね)



■劉:ここで、皆さんにこの企業について簡単に説明したいと思います。
河北省食品輸出集団天洋食品加工場は、中国で30年以上の歴史があり、輸出入検査検疫局の監督をもとにいいますと、この企業の生産記録は完全無欠であり、健全な品質コントロールシステムを備えています。非常に厳格な操業規定があり、作業員はみな厳格な研修をへて、産品も長年検疫検査をうけてきて終始一貫、高い合格水準を維持しています。さきほど、王局長が紹介したように、2004年、一度、基準値以上の大腸菌が検出されました。肉加工品から基準値の大腸菌が検出され、日本から返品されました。我々の分析では、この事件は、貯蔵や輸送の面で問題があったとおもわれます。だから、われわれは全体としては、この企業の産品品質は信頼でき、安全水準も信頼できると思っています。(劉報道官の説明する企業のイメージと、うちの記者が現地でルポしてきている企業イメージとずれるな。13時間労働月給1000元、というのが本当なら、作業員の職業モラルやモチベーションは維持できないし、そこで品質管理にほころびがでる。管理システムというのは、最後にはそこで働く人の質によるものだ。解雇された元作業員の証言と、当局側の発表とどちらが信憑性あ・u桙驍ゥ、よく考えてみよう)

■NHK:そんな信頼できる企業で、こういう事件がおきるということは、何者かが故意に農薬を混入させた可能性が排除できないということですね。(やはり、このセンからはなれられないな)

■王:メディアの皆さんが推測するのは自由ですが、当局の姿勢として、正確でない科学的根拠に欠いたその種の推測は言えません。あらゆる可能性があります。我々はまさに中日合同で調査しており、その結果は適時に皆さんに通知しますって。(まあ、当局に都合のわるい結果がでても、もはやこの段階で隠蔽はしないと思いたいですが)

■王:警察の仕事には彼らのプロセスがあります。検疫当局としては、食品企業の管理、輸出など全体のプロセスにおいて、捜査をすすめます。

■福島:こういう事件が発生したことで、今後、五輪の食品安全措置はなにか変化がありますか。新しい方式、措置をとられますか。


■王:五輪の食品方面については、検疫検査は非常に厳格で、プロセスも複雑な科学的な管理システムが適用されています。中国五輪組織委員会がまさにこの方面の仕事をすすめており、国家品質管理検査検疫総局としては、この構成員の一員にすぎません。五輪の食品安全保障については、北京五輪組織委が専門の複雑なプロセスに対する責任をおっています。(五輪は、国家品質管理検査検疫総局が責任追っているわけじゃないから、話ふらないでよっ、てか)
(以上)


■確かに、今の段階では、いろいろ無責任に妄想する以外、できません。ただ、中国にしちゃ、今回の対応は上出来な方だと思う。というか、今まで(毒ダイエット食品、毒ペットフード、毒咳止めシロップなどなど)の対応があまりにも悪すぎたから。もっとも、私の大阪弁の友人は「あいつらが殊勝な態度みせたからって、本気で反省しているとかおもったらあかんで~」とか言ってました。


■しかし、この事件が、純然たる残留農薬事件だったら、中国産食品への国際的信頼は、もうしばらくは立ち直れないくらい打撃をうけるだろうな。天洋の食品をぜんぶ、日本から閉め出したら、日本の食品流通産業、外食産業だって結構ダメージおおいんでないか?どうするよ、日本人、明日から何たべる?冷凍食品に頼り切っている独身女性新聞記者なんか飢え死にだ…。


■かりに、食品テロのような犯罪だったら、これはもう、日本にとっても中国にとっても想定外のことで、今まで築いてきた日本の食品安全システム全体を根底から見直さねばならなくなりそうだ。いずれにしても、この事件、しばらく尾をひきそう。これを機に、日本は徹底的に食品安保というものを考えるべきではなかろうか。劉さんも、王さんも、春節は休めないだろうけど、がんばってね。福島も休めないと思うよ、きっと…。










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